教育落書き帳

教育とは何か…子どもの視点を尊重し、親、伴走者、市民の立場から語ります。子どもを語ることは未来への信頼と希望を語ること。

日本でのフリースクール活動とは何か---フリースクールの日本での展開と変質の跡付けのために

2015年01月18日 | フリースクール

日本でのフリースクール活動とは何か---フリースクールの日本での展開と変質の跡付けのために

ーーー 日本の教育と日本の不登校支援のあり方を問い直す ーーー 


※学術論文や大学生相手の講義ではないので、ここで専門的な研究は行いません。しかし、日本が1960年代に高度成長期に突入して以来、不登校の問題は多少の増減はあるもの一向に終息する気配はありません。むしろ、社会の好不況等や若者の就業問題などとも絡んでより一層深刻化する側面さえ見せています。

 一体、日本の不登校問題は日本の教育問題とどのように関連し合っているのか、日本のフリースクール活動は海外のフリースクール活動などとどこがどう違ったのか、それはどこから由来するものなのか、日本の教育問題の核心に少しでも切り込む形で書いてみたいと思います。

(覚書&下書きとお考え下さい。また、必ずしも定期的にアップできないかもしれません。ご容赦を)


現在、フリースクールと言えば不登校の児童生徒のための民間の受け皿・救済機関ということになっているが、これは日本のフリースクール運動が出鼻から不幸な出発をした結果だと思っている。 
何が不幸であったかというと、フリースクールは本来、不登校の受け皿ではなく、もっと広く国の子どもの教育のあり方全体を問い直す運動であったにも拘わらず、日本の場合には不登校の救済のための機関に特化されてしまったことである。 
この不幸な出発によって、フリースクール運動そのものへの誤解を招くことになっただけでなく、不登校という問題をも本来の教育の枠組みから外れた特殊な子ども達の教育問題であるかのように扱われるようになってしまった。問題の捉え方が全く逆転してしまったのである。 

本来は、不登校の問題こそ、鋭く現在の教育問題の欠陥を問い質すものであったはず。ところが、この出発が間違っていたために、不登校になることは何かととてもいけないことをやっているかのように錯覚させるものとなってしまった。 
その結果、子ども本人も親も、不登校になったことを犯罪でも犯したかのように自己卑下し、一刻も早く学校復帰をさせるのが正解であるかのように思ってしまっている。誰がこういう結果を招いたのか? 

日本が高度成長期に突入したのは1960年代初頭から。その成長を陰で支えたのは高い教育の力だった。しかし、過度の競争は教育界に大きな矛盾を引き起こした。 

1995年に教育月刊誌『ニコラ』を発行した私が出版した『行ってみないかこんな「学校」』(ハート出版社)36頁にはこうある。
受験や進学熱が高まる一方、学校教育の網の目からこぼれ落ちる子どもたちが増え始め(…)」とある。1960年代の状況を指している。そういう中、「子どもたちにどうしたら学ぶ楽しさを味わってもらえるか模索する塾が現れた。」と述べ、故・八杉晴実さんの「東進会」を紹介し、「その後、学業不振の子どもたちの増加のみならず、いじめや登校拒否、自殺などがマスコミの注目を集めるようになり、登校拒否や学力不振の子どもたちを支援する」全国の『支援塾ネットワーク』についても触れている。
不登校支援の全国規模での最初の動きであった。
 

しかし、残念ながら、この運動は結局大きくはならなかった。あくまでも地域の落ちこぼれ支援にとどまったのである。代わって不登校支援に乗り出したのはフリースクール「東京シューレ」を立ち上げた奥地圭子さんの活動。実は、この人のお子さんたちは最初は八杉さんの塾に通っていたという。そして、そこから不登校の児童生徒に特化した支援活動のヒントを掴んだらしい。

▼それが「東京シューレ」という活動の場であり、それを日本での「フリースクール活動」と名付けたのである。その時、学校の教師でもあった奥地さんにどれだけ海外の自由教育やフリースクール運動に理解があったか寡聞にして知らない。
そこでは学校で排除されたり否定された子どもたちを守るということが支援活動の主眼とされ、時には不登校の子どもに理解のない学校と鋭く対立することもあったようである。そして、それに賛同する人たちもいろいろと生まれた。
 

この活動は正直、日本の不登校支援の一頁をなす画期的なものであったと思う。しかし、同時にそれは、日本のフリースクールの運動に海外でのあり方とはかなり違った特異な側面を強調することになったのは否めない。
そして、それは日本の学校教育での不登校支援のあり方をも規定するものとなった。そしてそれはまた、日本の教育が海外のそれとは違っていかに特異な性格を持っていたかをも図らずも証明することとなってしまった。
 

(つづく)

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