教育落書き帳

教育とは何か…子どもの視点を尊重し、親、伴走者、市民の立場から語ります。子どもを語ることは未来への信頼と希望を語ること。

政府、民法の「懲戒権」の規定の見直し(削除し)、体罰や虐待の禁止を明文化する方針

2022年01月05日 | 子育て
今まで何人子どもたちが親の「しつけ」の口実のもとにあたら若き命を失ったことだろう。それはこれまで民法822条で「親権を行う者は、監護及び教育に必要な範囲内でその子を懲戒することができる」と懲戒権が認められてきたからだ。それがようやく見直されることになった。

日本国憲法の護憲派の中にも、日進月歩で進む社会の変化に対して民法の規定の様々な時代遅れを指摘する人は多かった。その意味では、まだ微々たる対応ではあるが、この見直し案は時代に即応した画期的なものと言っていいかも。

これで親の理不尽や無知等で失いかねない小さな掛け替えのない命が救われる。是非、家庭や学校など子どものいる現場で活かしてほしいものだ。


 

子どもに合わせるということ ─〈家訓〉を失った子育て─

2012年04月19日 | 子育て
子どもに合わせるということ ─〈家訓〉を失った子育て─

▼公立の学校も似たものかもしれないが、長らくフリースクールを運営していると、実に様々な人々に出会う。その中には親御さんが錚々たる社会的ステイタスを築いている人もいれば、縁の下の力持ち的な役割をこなし黒子に徹しているという人もいる。経済状況も様々だ。不登校は親の経済状態を考えてするわけではないのだから。しかし、もとよりそのことで不登校生本人をどうこうと勘案するということはまずない。どんな子どもであれ、独立した人格を持ち、親御さんとは同一視出来ない存在である、ということは、こういう業務に携わる者の基本的考えである。

▼しかし、不登校になる子ども達はまだ未成年であり、思春期前の肉体的にも未完成の部分をたくさん残している。まさにティーンエージャー、まだ10代の子ども達である。だから、必然的に見たり体験したりしてきた世界も限られている。(特に市街地の住まいであれば便利と引き換えに様々な生活上の制約もある。)だから、その子が考えたり望んだりすることもそういう限定の下にある。子ども達は見聞し体験したことを血肉に育つしかない。ところが、現在の日本の社会では、何でも子ども任せにすることが進歩的な親の振る舞いと思われているフシがある。〈子どもを尊重する〉ということが、何か勘違いの上に築かれてしまっているのかもしれない。

▼〈子どもがそうしたいと言うから〉〈子どもが嫌だと言うから〉などということが尤もらしく語られる。〈だから?〉〈だから、××です。〉なるほど、物分りのいい親は子どもの評価も高いかも知れない。しかし、そこには親の意向が全く見えない。親たる者が人生の中で篩(ふるい)にかけ獲得してきたであろう筈のものがまるで見えない。少なくとも我が子が成人するまでは全責任を担って子育てするという親としての気概が全く等閑に付されているのだ。まだ10代の世間知らずの、物の軽重も充分にわきまえず、ただ好悪の感情に任せて口走る子どもの言葉に判断を任せてしまっている。さもそれが最良の判断であるかのように。

▼いや、そうとは言い切れない。それが一方の近現代の特徴だとするならば、もう一方には子どもの言い分以前に家としての決まり、いわゆる〈家訓〉というものが厳として存する家庭もある。そういう家庭では子育てもまたその規範に則って行う。いわゆる〈帝王学〉というものがあったりもする。そこでは少なくとも子ども任せの判断に従いはしない。親が責任を持って家訓に相応しい子育てをすることになる。しかし、それは決して子どもの言い分に耳を貸さない親ということにはなるまい。子どももまた親の意向を充分に汲み取って行動するのだ。

▼だとするならば、〈子どもがそう言うから〉とか〈子どもが望んでいないから〉などという親の言い分は、子どもに対抗すべき何物も持たない親、自分の生き方に何の指針もない親、と言われてもやむを得ないとも言える。かつて、不登校は子どもの学校への不適応が原因ということで、学校の側の問題は不問に付され、子どもの問題とされた。今も名称は変えたが適応指導教室という考えは色濃く残っている。フリースクールはそういう教育行政のあり方を鋭く批判してきた。しかし、今、子育ては環境の劇的な変化も伴って、一筋縄では行かない事態になっているのを感じざるを得ない。〈日本の教育のちゃぶ台返し〉は至る所で行われねばならないのかも知れない。

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「最善の子育て」と「いい子の非行」と…少年非行から見えるもの

2012年03月18日 | 子育て
「最善の子育て」と「いい子の非行」と…少年非行から見えるもの

▼「子ども支援ネット・さいたま 教育広場&親の会」の発案から始まった「大人のフリースクール・ティーパーティ」は、幸いに3回目を無事終了し、次回3月30日には4回目を迎える。もとより行政認可&お墨付きの助成金事業などではない。徒手空拳、文字通り「民間(市民)による民間のための民間の事業」である。だから、潤沢な講師料などあるはずもない。全て自発的なボランティアの活動と言ってもいい。

「寄付文化の根付かない日本」と批判することは容易だし、まさにその通りである。だが、それだからこそ、自発的に協力の手を挙げてくれる人が有り難い。とかく日本的知識人等は、机上では素敵な論を展開するが、自ら汗を流して現場に関わる人は少ないし、批判はしてもそういう地道な活動にびた一文出さぬことが多い。奇妙な光景だ。「寄付文化の根付かない日本」を批判する人が自ら実践している。

▼地方紙に限らず、大新聞にも地方欄の記事がある。だが、その大部分は誰に向けた記事?というものが多い。官報的な情報は広報の手段が腐るほどある。あえて民間の新聞がお手伝いすることもあるまいとも思う。逆に、民間の活動にはシャットアウト状態のことが多い。地元に足を置き、地元に密着した新聞が、地元の声を聞かないで上からの声に従った記事ばかり書いてどうするんだろう?心ある読者が疑問を持ち、新聞離れを起こすのもある程度頷ける。

▼そういう中、幸いに私たちのような〈ないない尽くし〉の手弁当の活動にも目を向けてくれる新聞がある。今までにも、毎回とは行かないが、地元支局の朝日新聞、毎日新聞、埼玉新聞等がイベント案内に掲載してくれた。今回、東京新聞が3月19日の紙面で〈思春期までこそ心豊かに〉(「大人のフリースクール・ティーパーティ第4回」)をイベント紹介してくれるという。私たちには行政のような広報の手段を持たない。勢いネットを活用することになるが、それで地方の情報を毎日仕入れている人は数少なかろう。だから、どんな小さな記事でもいい、載せてくれるのはとても有り難い。

▼今回のテーマは〈「いい子の非行」とは何か?なぜ起きるのか。子育てにいそしむご家庭への警鐘でもある。親として最善を尽くしたはずの子どもが暴発する。近年こういうタイプの非行が増えている。従来型の非行類型では対策が難しい。臨床現場から見えてきた少年たちの姿とは…?〉ということ。
私たちはお偉い知識人の机上からのご託宣を拝聴したいわけではない。が、現場に密着した視野の限られた愚痴を聞きたいわけでもない。まさにその両者の合体を望む。佐々木光郎さんはその両者を結ぶ位置いる。実践と理論が一致して「いい子の非行」に陥らないためのホットな考えを披露してくれる。

《思春期までにこそ心豊かに》のパンフレット
※どなたでも参加できます。

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思春期までにこそ心豊かに ←30年に及ぶ少年非行の臨床現場からのメッセージ

2012年03月09日 | 子育て

▼「大人のフリースクール・ティーパーティ」第4回のお知らせです。今回は〈「思春期までにこそ心豊かに!」~30年に及ぶ少年非行現場からのメッセージ~〉というタイトルです。
講師は現在、静岡英和学院大学教授・佐々木光郎さん。30有余年間にわたり水戸家庭裁判所・東京家庭裁判所などで家庭裁判所調査官として家庭問題や少年非行等に取り組まれてきたかた。また、文部省第16期中教審専門委員、少年非行に関しNHK・TV「クローズアップ現代」にも生出演した。

▼「非行の子どもたちからいろいろ教えられた」と氏は語ります。ここに非行の子どもたちを単なる臨床の被験者と見る専門家とは違うものを感じます。そしてまた、「近年、非行の性格が変わってきた」とも言います。著書にもあるように、「いい子の非行」タイプの、従来型の非行類型では対応できない子どもたちが増えているとも。親として最善を尽くしたはずの子どもがある時突然暴発する。今現在、子育てにいそしむご家庭への警鐘でもある。

▼臨床現場から見えてきた少年たちの姿とは?彼らは私たちに何を訴えようとしているのか?私たちの子育ての何が問われているのか?豊富な経験と現場の少年たちの声なき呻吟の代弁者として、夕刻のひと時、じっくりと佐々木光郎さんのお話に耳を傾けたいと思います。勿論、毎回同じく、どなたでも参加できます。共に学びませんか。歓迎です。

パンフレット「思春期までにこそ心豊かに」(「大人のフリースクール実行委制作)

※「不登校からのはばたき」(「大人のフリースクール・ティーパーティ第3回、フレネ学校の実録ビデオを観て)にご参加、ありがとうございました。

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