教育落書き帳

教育とは何か…子どもの視点を尊重し、親、伴走者、市民の立場から語ります。子どもを語ることは未来への信頼と希望を語ること。

《あしたは起きて巣をつくる》−−--あるアホウ鳥=寒苦鳥の雑感

2013年07月11日 | 日本社会

カッコーの《托卵》についてお話された方に誘われて…思いつくままに 

《托卵》と言って、自分では巣を作らず、自分の卵をこっそりと他の鳥の巣に産み付ける不埒な鳥がいる。カッコー(郭公)である。しかし、一方では《春告鳥》としてその鳴き声が珍重され愛される鳥でもある。この両義性が実に面白い。
 では、もしこんな鳥がいたらどうだろう?(随分前、まだ若い頃に仕入れた話の一つ)
「こいつはきっとアホに違いない。間抜けなのかも知れない。いや、足りないのかもしれない…」そんなことを思うのではあるまいか?その話はこうである。
 インドのヒマラヤの雪山にあるツガイの鳥がいた。人々はこの鳥を《寒苦鳥・かんくちょう》と呼んでいたそうな。奇妙な名前だが、その訳はこうである。る。

▼万年の雪山とはいえ、昼の間はとかく陽気がいい。鳥たちもポカポカとした日射しに誘われて野や山を巡り、日がな一日を暢気に過ごす。誠に結構なことには違いない。ところが、やがて夕方になり夜が来る。めっきりと寒さが身に染みてくる。そうすると、さすがに怠惰なこの鳥たちも「これではいかん」と思い直すのか、少しは真面目に考えるようになる。自分たちには眠る巣がないのだ。
 そこで、寒さでぶるぶる震えながら、雌鳥はこう鳴き叫ぶ。
 「寒いわ、凍えて死にそう」
 雄鳥も同意し、涙を流しながら固く決心する。
 「明日は起きて巣を作る。明日は起きて巣を作る」と。
 ところが、根っからの怠け癖が悪魔の囁きをする。「なあに、そのうちやればいいさ。何とかなるさ」と。
 それでまた次の日も、日中の暖かい間、うかうかと過ごしてしまう。そしてまた夕方となり突き刺すように冷たい風が吹き付けると、彼はまた鳴き叫び始める。
 「明日は起きて巣を作る。明日は起きて巣を作る」と。

 ▼何のことはない。毎日がこの繰り返しである。この結果、先のように呆れたような声があがることになる。寒苦鳥はアホウ鳥、というわけだ。
  しかし、これは《アホウ鳥》だけの話なのだろうか?実際には人々はそんな鳥は見たことがないし、どこに住んでいるかもよく分からない。どうやら架空の鳥らしいのだ。(でもネット上にその写真があるから面白い)         
 そんな話、どうして作られたのか?どこの誰が作ったのか?
 
▼それは我々の《共同幻想》なのかも知れない。我々の奥処に眠っている無意識の夢の物語なのかも。いやもしかしてそれは我々自身の姿なのかも知れない!夢と現実とがあざなえる縄のごとく絡み合い我々は生きている。
 自分にとって、我々にとって《アホウ鳥》とは何なのか?まさに夏の夜の酔狂として思惟を宙にさ迷わせる。
 
▼ちなみに、このアホウ鳥こと寒苦鳥は、ついに自分の巣を作ることなく寒さの中で死んでいく。これは仏教の法話で《懈怠の心》(なまけ心)の説明として用いられるとか。どんな人の心にも寒苦鳥は棲んでいる。仏教ではそう説くようだ。
 今やるべきことを明日へ明日へと先伸ばしして、遂にはやらずに終わってしまう。確かに《明日は明日の風が吹く》で、明日に伸ばせばいいものを、今日やってしまおうとして失敗することもある。ある程度の時間が必要なことも確かにある。
 しかし、《明日は起きて巣を作る、明日は起きて巣を作る》は、今やろうとしないことの逃げ口上で、やらなかったことの言い訳になることが多い。
 
不登校の相談を受けていても、そう思うことが多々ある。望んでいながら決心がつかない。態度を保留とする。今日いま直ぐにやるべき巣作りを明日に延ばしてしまう。明日やるということは結局やらないということに繋がる。《明日やろうは、バカやろう!》という言い方もあるようだ。
 《その時どう動く!?》相田みつを氏を持ち出すまでもなく、それが運命を決することもしばしばだ。
 今、自分たちがどういう状況にあるのか、どうすることが必要なのか?しかと見据えて行動したいものだ。
 
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