教育落書き帳

教育とは何か…子どもの視点を尊重し、親、伴走者、市民の立場から語ります。子どもを語ることは未来への信頼と希望を語ること。

〈諦めの哲学・慰めの哲学〉(1)…〈保護者のための不登校セミナー〉について思うこと

2013年11月26日 | 日本の教育
〈諦めの哲学・慰めの哲学〉(1)…〈保護者のための不登校セミナー〉について思うこと

▼今年度も昨年に引き続き官民連携による「保護者のための不登校セミナー」その〈パート1〉を9月14日、その〈パート2〉を11月4日にそれぞれ開催した。〈パート1〉は埼玉県教委が主催で民間側がサポートにまわり子どもたちの不登校からの立ち直りの姿を披露し、〈パート2〉は逆に民間が主体で県教委の側がサポートにまわってオープニング・セレモニーで元不登校の子どもの歌、不登校の子どもを持つ親の体験談、不登校支援者側からの話などを組み入れた。
 不登校セミナー自体は〈分かり易かった〉と好評だったようで、それはパート2のセミナー後の民間側の懇親会でも確認できたことであった。

▼このセミナーはパート1ではその目的は明確であった。教育委員会側と民間の機関や団体が協力し合ってなるべく早期の不登校の状態からの脱却を図ることが暗黙の了解としてあった。しかし、パート2で見られた壇上での語りや懇親会で出てきた様々な問題は多々の疑問を残すものとなったのではないか。そういう意味でも、このセミナーが自画自賛の良かった良かったでまとめて良いものかどうか。
 特に早期の段階から月刊教育雑誌『ニコラ』やその読者の会(ニコラの会)を中心に埼玉県や東京都を舞台に長らく不登校相談会や実践報告会を開いてきた者からすれば、この20年間に及ぶ不登校支援の歳月は何であったのか、暗澹たる思いで眺めるものとなったことは否めない。

▼特に2部の親の話や3部の支援者側から出た「不登校から8年目で動き出した」「父母で勉強を教えている」というような話は、単に不登校になったというだけで〈失われたその子の8年〉を思う時、その両親の嬉しそうな笑顔とは逆に、何ともいたたまれない思いにさせられたものである。8年…余りにも長過ぎるのである。
 たとえば、樹木に喩えるならば8年経てばもう若木ではない。人としての生を形成する最も根本的な時期に、それが家庭という場所であれ、彼は実質的に一種の軟禁状態の中で8年間を過したのだ。それはもはや埋めようがない。取り返し用がない時間の流れである。

▼このセミナーが官民連携による〈不登校の子どもを持つ保護者のための公開セミナー〉である以上、少なくとも当日壇上で語る人達は、その〈成功者〉であるべきではなかったか。参加された保護者の方々も〈たとえ今不登校であろうとも、こうすればいいんだ〉という脱不登校の体験談を聞きたかったのではないか。
 しかし、実際にその時聞いたのは不登校になってから8年、それでもまだ完全に不登校を脱却できずにいる話や3人のお子さんが皆不登校となった事例などが当日のメインのように語られた(私どもから推薦した親御さんはお子さんが今映画の仕事に熱心に取り組んでいるが近親の葬儀が飛び込み参加中止となった)。今、不登校の子どもを抱え不安な思いに駆られている親御さん達に救いとなったであろうか。まずは親御さん達に元気になってもらおうという取り組みは成功したのだろうか。

▼そこで参加された親御さんが聞かされたことは、〈子どもを信じてひたすら待つ〉ということ。そうすれば子どもはやがて自分の足で歩き始める…というわけである。この心構えは決して間違ってはいない。我が子と接する時の大切な心構えである。だが、何かが足りない。お気付きだろうか。
 それはカウンセラーや精神科医が取る〈カウンセリング・マインド〉という技法ではないか?方法論としては実に正しい。しかし、それは飽くまでも技法なのである。そしてそこには〈技法はあるけれども心がない!〉
 不登校相談を職業とし、子どもやその家族の相談に役立てるならばそれでいいかも知れない。受容と共感の心を持って温かく見守りましょうというように。しかし、繰り返すが、それは当事者の思いにはなんにも答えていないのと同じである。
 当事者にとって、それは〈諦めの哲学〉であり〈慰めの哲学〉に他ならないのではないか。8年もひたすら待つと言うこと、それは一種の〈死の宣告〉に等しい。保護者達は〈不登校セミナー〉の会場に〈救い〉を求めてやって来たのではあるまいか?単なる慰めや諦めを聞きにやってきたのではあるまい。納得していただいただろうか?

▼〈救い〉の方法とは何か?それは次回に触れたいと思う。

(続く)

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講演会&交流会--不登校の味方(味方)考え方

2013年11月11日 | 日本の教育

2010年8月8日ー学びの輪・実践の輪・支援の輪ー NPOニコラの記念講演と実践報告会から

◎----祭りの後に----
▼官民連携の「保護者のための不登校セミナー」のパート1、パート2が無事(?)終了しました。教育行政と民間の教育機関・団体がそれぞれの立場を尊重しながら互いに協力し合える関係に至ったのは大きな成果だろうと思います。でも、教育の専門家の目から見たらどんなものだったでしょうか。もしかすると〈笑っちゃう〉ことも多かったかも知れません。
 その辺も含めて、官民連携による今年の「不登校セミナー」については、後日お話したいと思います。

◎----NPO法人教育ネットワーク・ニコラの年次総会、講演会、懇親会のお知らせ----
▼実りの秋を迎え、皆様におかれましてはますますご清栄のこととお慶び申し上げます。
 日頃は、NPO法人教育ネットワーク・ニコラ(フリースクール・ぱいでぃあ)の教育活動へのご理解、ご協力を頂きありがとうございます。
 今年も下記の要領でNPO法人教育ネットワーク・ニコラの総会、ならびに交流会等を開催したいと存じます。ご多用な中、恐縮ではございますがご家族揃ってのご参加をお待ちしております。

  日  時 2013(平成25)年11月15日(金曜日)18時~20時30分
  場  所 浦和コミュニティセンター(パルコ10階)第14集会室
  総会議題 第9期事業報告書及び収支決算の承認に関すること
       第10期事業計画案に関すること
  講演会  不登校の見方(味方)考え方


◎タイムスケジュール
 ・18時00分~18時10分 開場・受付
 ・18時10分~18時15分 合唱
 ・18時15分~18時45分 総会
 ・18時45分~19時00分 寸劇(ぱいでぃあ生徒による「泣いた赤鬼」)
 ・19時00分~20時30分 講演会&交流会(お食事会)

※「講演会&交流会」では会場からの質疑も出来ます。
※講演会を視聴ご希望の方は、19時からご参加ください。
※講演会は無料。オデン券、オニギリ券をどうぞ。
※ご不明の点はお尋ね下さい。

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