教育落書き帳

教育とは何か…子どもの視点を尊重し、親、伴走者、市民の立場から語ります。子どもを語ることは未来への信頼と希望を語ること。

■「インプットからアウトプットへ」「洗脳から覚醒」の教育へ

2010年11月14日 | 学校教育
▼日本で「教育」というと外側から子どもに働きかけるというイメージが強い。しかし、本当の教育と言うものはその子の可能性を内側から引き出すものではないだろうか。日本では、どこか「教育」というもののベクトルの向きが違っている。
明治になって「Education」に「教育」という訳語が与えられた。が、福沢諭吉は、それは違う、「発育」とでも訳すべきだと言ったそうな。確かに「発育」とか「生育」「学習」とでも言えば良かったのかもしれない。少なくとも、「子どもへの教育は<教え育てると書くように…>などというもっとらしい論法だけでも鎮めることができただろう。
教育とは上や外側から教え覚えこませる「洗脳」ではない。きっかけは外部からの刺激であったとしても、「気付き」や「覚醒」という内発的な発露に基づくものだと考えるべきだろう。
▼時代が明治になって「Education」を「教育」と訳した人は、欧米の列強に対抗すべき日本に今求められているものは何か…、一刻も早くそのための人作りが必要だと考えたことであろう。どこの近代国家においても、近代教育の普及を手掛けた為政者たちは学校教育を近代国家建設のためのための「人材育成」の場と考えたのである。
たとえば、自由を標榜し人権を掲げ市民革命まで起こしたあのフランスにおいても、「Vive la France!」(フランス万歳)と唱え、外敵に対抗し国家を守るための兵士を育てる学校教育を行って来たのである。
▼国民新党の亀井静香さんは最近、日本は日清日露の戦争で勝ってしまったことでアジアの仲間を見下す立場になり、その後の進路を誤り、第二次世界大戦へと突き進んで行くことになった…、という趣旨の発言をしている。
確かに、多くの日本人たちは団塊の世代の頃まで、中国人や朝鮮人やロシア人たちを支那人、半島人、露助などと呼んでいた。アジアに属し、大東亜共栄圏のアジアを守るなどと称しながら、実際は上から目線でそういう国々を見下してきたのである。
▼団塊の世代の親の時代まで(第二次世界大戦終結の頃まで)日本人の多くはそういう教育を受けてきたのである。教育はそういう国家国民を作り上げる原動力であった。確かに、国際社会が国を単位として形成され、国益が重要視される以上、現状では教育のそういう側面は必ずしも否定できない。
しかし、「Education 」に「教育」という訳語を当てはめた時から日本の教育活動はおかしなことになってしまったという側面は否めない。
▼しかし、もはや一国のナショナリズムに固執して片が付く時代ではない。国の垣根を超えて市場原理で物流や金銭が動き、情報が飛び交い、協調や調整なくしては国際間の交流もあり得ない。たとえば、日本の食料自給率は4割だとか。残りの6割は外国に依存しているのだ。
ところが、日本の教育界は教育の国際化に脱皮できていない。政府の方針もあり日本への留学生は年々増加しているが、逆に海外に学ぼうとする日本の若者は毎年激減している。しかも、日本の大学でも覇気を持って研究している日本の大学生は少なく、多くは留学生であるという大学も多いらしい。日本の教育が行き詰まっている証左であろう。
▼振り出しに戻るが、日本の近代学校教育はまずは師範学校を整え、上意下達の上からの発想で強引に推し進められた。国威発揚のための教育であった。それは植民地支配を画策していた欧米の列強に対抗するためには必要なことでもあった。
しかし、その反省を経たはずの戦後の日本で、唯一教育の分野だけは国民学校の延長線上の活動を続けてきたように見える。子ども達を戦場に送り出し、あたら若き命を散らせた軍国主義の教育を否定するために、教科書を墨で塗り潰したのは国民向けのパフォーマンスに過ぎなかった。
▼そういう流れの教育を問い直し、ベクトルの向きを180度変えるためには、「インプットからアウトプットへ」教育を変えるべきだと思う。そして、国家主義的なインプット中心の教育から、個性を尊重し同時に環境(人的・物的)をも考えたアウトプット中心の教育へと大きく舵を切るべきだと私は考える。
たとえば、チューリップの球根はあくまでもチューリップの球根であり、育つためには適度の水や空気や温度などの環境もまた欠かせない。それらは全てそれが何の種子であるかで決まってくる。気温は高ければいいというものではないし、黄色い花を咲かせる球根に「赤い花よ咲け」と念じて水やりをしても意味はない。全てはその球根が何をどれだけ求めているかで決まる。教育で言えば、子どもによって何を学習すべきかが決まるということである。これがアウトプット学習法の原点である。

******************************************************

「フリースクール・ぱいでぃあ」のサイト
「ぱいでぃあ通信」(不登校・フリースクール応援マガジン)(ブログ)
******************************************************
 良ければアクセスしてやって下さいね。