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Tea Time

ほっと一息Tea Timeのような・・・ひとときになればいいなと思います。

世界の果て(後編) 稲葉透その後のお話です

2014-01-23 19:35:20 | 小説(ホタヒカ外伝以外の小説です)
「住職の三浦珠美です」

「稲葉透と申します。よろしくお願いします」

殆ど化粧気の無い顔だが整った顔立ちだ。なによりもやわらかい微笑みにほっとした。

「こちらが離れです」

老夫婦が住んでいたという離れは生活するのに必要最低限のものは揃っていた。

「他に入用のものがあったら言ってくださいね、あまりお給料は出せなくて申し訳ないのですが」

「そこは気になさらないでください、こんな空気のいい所で働けるだけで充分ですから」

「それを聞いて安心しました。稲葉さんは・・・」

「あの、僕のことは管理人さんとでも呼んでください、それと住職さんのことは住職さんと呼ばせて頂こうと思います」

「はい、わかりました」

必要以上のことは話さない、常に距離を置く。自分でそう決めていた。
独身の男がいることによって、変に勘ぐられることがあっては迷惑がかかる。

ゴロゴロゴロ

「雷?」

「これは雪雷です。明日雪が降るかも知れませんね」


これは・・・朝起きて驚いた。そこは一面の銀世界、東京育ちの俺が初めて光景だった。

「思ったより降らなくてよかった~」

「思ったよりですか?」

「30㎝くらいかな、一気に60㎝くらい降りますから、それでも昔と比べると降らなくなりました。ここは山地ですが、平野部や海沿いになると降雪量が減るんですよ。さてと、やりますか~!」

「寒いですから住職さんは中に入っていてください」

「管理人さんは雪かきしたことありますか?」

「いえ・・・」

「まず雪を捨てる場所を確保するんです。そこに向かってママさんダンプで雪を押しやるんです。これからまだまだ降りますから、雪を捨てる場所は大事なんです」

雪かきというのはなかなか重労働で、けれど1時間もするとコツが掴めてきた。

「これからは雪かきは僕がしますので」

「それは助かります。だけど沢山降ったときは私もやりますから、1mも降ると心が折れますからね(笑)」



伸びた髪には白髪が混じっていた。

(ビジュアルイメージは稲葉さん+神様のボートの白髪混じりの沢木さんで)

目まぐるしく変わっていく世の中で昔の事件や稲葉透の名前を憶えているものは殆どいないだろう、まして東京から遠く離れたこの地では、ここでならひっそりと生きていけるだろうか。


固く雑巾を絞り御御堂の床を拭く。一度目は水拭きで二度目はからぶきで、磨けば磨くほど床は黒く艶を増していく。冬場は手足がかじかんだが、清々しい気持ちになれた。
お寺の隅々までを丁寧に心を込めて掃除しているとあっと言う間に半日は過ぎた。
古いお寺なのであちこちに修理が必要でそれに時間を費やした。
突然入ってくる御通夜やお葬式、年忌法要に月命日、月に何度か法話の依頼もある。女性住職ということで見の上相談にくる女性も少なくはなかった。住職さんのスケジュール管理は最も大事な仕事だ。

「私おっちょこちょいなんで、管理人さんがいると安心です」

役に立っていることにホッとする。



「お疲れ様でした、よろしかったらこれ食べてください」

「うわぁ~美味しそう~」

「一人分作るのも二人分作るのも同じですから」

「管理人さんは?」

「先に済ませました」

それから住職さんの分も一緒に作ることにした。食べてくれる人がいるのは作り甲斐がある。

今夜は水炊きか・・・鍋くらい一緒に食べればいいのにね、だけどこれはあの人が決めたルールだから。。。
今夜も有難く頂きます! うん美味しい~あったまる~。


ある日のことだった・・・

「部屋の電気の球を取り替えたんですが電気がつかないんです。見てもらえますか?」

「接触が悪かったみたいです。これで大丈夫ですよ」

「あっついた、ありがとうございます」

部屋の飾り台に置いてあるものを見て息が止まりそうになるほど驚いた。

「これは? 変わったオブジェですね」

「素敵なオブジェでしょ!」

「どうでしょう? こういうものってよくわからなくて・・・」

「私もよくわからないんですよ。でもこれを初めてお店で見たときに物凄く惹かれたんです。もっとずっと見ていたいと思いました。旅行で東京に来たときで、でも明日には京都に帰らなきゃいけなくて。値段を聞いたら学生の私が買うには高くて、でもどうしても欲しくてローンで買ったんです。随分と昔のことで箱も何処かにいってしまって、作家の名前も忘れてしまったんですが、私にとってはとても大切なものなんです」


                      *


「お願いします!これをここに置いて頂けないでしょうか?」

「そうね、飛び込みはお断りなんだけど、あんた可愛い顔してるから置いてあげてもいいわよ」←おかまちゃんの店主です。

「ありがとうございます」

「値段は・・・10万でどうかしら?」

「それは高すぎます。無名の作家の商品に10万も出す人はいません」

「あんた、芸術家になりたいんでしょ。芸術なんてわからない人が殆どよ。自分の作ったものに自信がないやつが芸術家になれるわけないでしょ。一人でもいいの、一人の心を掴むことが出来たならそれは立派な才能よ、自分に自信をもって突き進むのよ」

「えっ! 売れたんですか? 一体どんな人が買ったんでしょう?」

「若い娘さんだったわ、さんざん悩んだ末に小さな声で「ローンでもいいですか?」て聞いてきたの(笑)」

平松さんのところで数年が過ぎていた。平松さんに「おまえには才能がある。少しづつ売れてるんだぞ」と言われても実感がなかった。
だからそれを確かめたくて飛び込みで置いてもらったんだった。昔のことすぎて忘れていた。

俺にもあったんだな・・・ひと欠片の才能が。。。

「おまえには才能なんかないんだよ!」

あの言葉の呪縛からようやく解き放たれた気がした。

ありがとうございます・・・感謝します。

                      *


「管理人さんはバイクに乗りますか?」

「ええ」

「門徒さんがもう乗らなくなったからって寄付してきたんですが」

「乗らせてもらいます、バイクは小回りが利いて買い物にも便利ですし」


そういえば唯一の趣味がバイクだったな、随分と久しぶりに乗ったが風が心地よい。

ふとなにかが眼の前を遮った。←山地だといのししやイタチが出没したりします。
避けた瞬間眼の前に大型トラックが飛び込んできた。もう駄目かと思ったが間一髪助かったみたいだ。
よかった・・・少し前まではいつ死んでもいいと思っていたのに。
今は時の許す限りここにいたい。あなたを影から見守っていたい。。。



「キャー」

「どうしました!?」

「仏像の鼻がとれてしまったんです。明日は春季彼岸法要で沢山のお参りがあるから納戸から出してきた仏像なんです。うちのお寺に代々伝わる由緒ある大切な仏像なのに、どうしよう~罰が当たるじゃすまないです」

「大丈夫、僕に任せてください」

「えっ?」

「昔仏像の修復をしていたことがあるんです」



「ありがとうございました。お陰様でいい彼岸法要が出来ました」

「いえ、お役に立ててよかったです」


満開の桜は美しく、その散りざまは潔くいっそ美しく、やがて木々は芽吹き新緑の頃を迎える。
夏は大木の蜜を求め虫たちが集まってくる。虫かごや網を持った子供たちの声が境内に響く。
秋は深まり木々は色づき、山々は紅く萌える。そのスケールに圧倒される。
これほどではないにしろ東京にだって四季はあったのにそんなことすら忘れていた。
移り変わる季節と共に時はゆっくりと穏やかに過ぎていく。



「今年の報恩講は例年以上のお参りがあって少し疲れました、だけど心地よい疲れです」

「ええ」

「境内やお墓には草一つ生えてなく、ゴミや危ないものが落ちていることは一切なくいつも綺麗に整備されていて、御御堂や渡り廊下は常に黒光りするほど綺麗でそれが心地よくてお参りする回数が増えたと門徒の皆さんが言ってました。パソコンで作るお寺便りも皆さん楽しみにされているそうです。こういうこというのはなんですが最近お布施も増えました(^^; これも全て管理人さんのおかげです。」

「いえ、私はするべき仕事をしているだけです。では、まだ後片付けが残っていますので」

お茶くらいゆっくり飲めばいいのに、まるで修行僧だわ(笑)

「あっこれも一緒に片づけてもらえるかしら、大事な茶器だから割ったりしたら大変だから納戸の方にお願いします」

「はい」


えーと、ここの棚が空いているな。ん?これは鼠の糞じゃないか、ここにも鼠とりを仕掛けないと。
けど鼠が暴れたら大変だ、箱の中身をチェックして割れ物は少々のことでは割れないように梱包して下の棚におかないと。

こうして一つづつ箱の中身をチェックしていく。

こっこれは!? 俺は箱の中身を見て愕然とした。


それから一月、暮れも押し迫り正月の準備も整ったころ・・・・


「なんでしょう、私にお話って」

「これを納戸の中でみつけました」

「それは・・・」

「住職さんは僕のことを知っていた。あのオブジェを部屋に置いたのは、僕の作品を大切に持っている人がいると元気づける為、事実僕はあれを見たとき涙を流すほど嬉しかった。言葉では言い尽くせないほど感謝しています。だけど住職さんが僕のことを知っているのだとしたらもう僕はここにはいられない。何食わぬ顔してここにいれるほど強くない、僕は弱く脆い人間なんです。ここがあまりにも居心地がよくて思い悩むうちに一月経ってしまいましたが、新しい年がくる前に、明日ここを出ていきます・・・お世話になりました」

「・・・・・・」

「何故泣くのですか?」

「出ていくのは嫌です・・・・・あなたのことが好きだから」

「えっ!?・・・ なにを言ってるんですか、僕は殺人犯です。刑務所で罪を償ったなんて思っていない、一生この罪は消えないんです。こんな男を好きだなんて正気とは思えない」

「私、背中に大きなあざがあるんです」

「えっ?」

「生まれたときからです。両親はなにかの業を背負って生まれてきたんだろうと言いました。女友達さえもひくくらいの大きなあざです。恋なんて自分には縁のないものと思ってました。だけど私が好きになった人はとても優しい人で背中のあざを見て、それでも私を抱きたいと言ってくれました。でも私が彼に身をゆだねようとすると背中のあざが燃えるように熱くなって、私は恐くなり部屋を飛び出しました。私の初めての恋は優しい彼を傷つけただけだった」

「そんなことって・・・」

「余程私の前世は酷いことをしたのでしょうね、あるんですよ、世の中には化学では説明できないことが。どれだけ善意を尽くしても災いから逃れられない人、頑張っても頑張っても報われない人。様々な哀しみ・不幸の中で信仰に救いを求める人は少なくないです。私は少しでもそういう人の力になればと思い未熟者ながら父の跡を継ごうと決めたのです」

「そういう住職さんを尊敬します。だからもうさっきのような戯言は言わないでください」

「私は稲葉透のファンでした。だから勤めていた会社の退職金で自分へのご褒美に納戸にあったあのオブジェを買ったんです。稲葉透は売れっ子アーティストになって、その作品は簡単には買えないような値がつくようになったけど密かに応援していた私は嬉しかったです。だけど正直あの時はショックでした。でもだからといってオブジェを捨てたり割ったりしようとは思わなかった。木口さんからお話を聞いたときは驚いたし躊躇しましたが、あの仏像を見て私はあのときと同じように心が大きく動きました。でも正直最初は少し怖かったです。この人の何処に修羅が潜んでいたのかと」

「それが普通の反応です。そう僕の中には修羅が潜んでいるのです。人が人を殺すなんてそれはもう人間じゃない」


「きっと模範囚だったんでしょうね、雨の日も風の日も雪の日も1日の休むことなく誠心誠意お寺の為に尽くしてくれました」

「体力には自信があるんです(なに言ってるんだか)」

「毎日私の為に美味しいご飯を作り、私は毎朝挽きたてのコーヒー豆のいい香りで眼が覚めました」

「住職さんには恩義があるから」

「そのくせご自分は毎日質素な食事で、寒い日も湯たんぽのみで暖をとる。残り湯で顔を洗い口をすすぎ、まるで昔の修行僧のようです」

「見てたんですか!」

「図星でしたか(笑)」

「ムショ暮らしが長かったですからね、あそこと比べれば随分と豊かに暮らしています」

違う、いつの間にか論点がずれてる。こういう話しをしてるんじゃない。

「黙々と働くだけの無愛想な管理人さんが、拾ってきた子猫に餌をあげるその眼差しがとても優しくて・・・そんな管理人さんをずっと見てたら好きになっちゃうじゃないですか!罪を犯した人を好きになるのは罪ですか、私は罪深い女ですか?」

「あなたはなにも悪くない、だけど・・・愚かだ」

「そうかも知れません。もう恋はしないと思っていました。それなのに・・・私は愚かな女です。誰かを好きになってはいけない女なのに」

「そんなふうに言わないでください。あなたはなにも悪くない。あなたが自分のことを誰かを好きになってはいけない女というのなら、僕は誰からも愛されてはいけない男です。だけど・・・・・こんなことを言うと天罰が下るかも知れないけれど、僕もあなたのことが好きです」

抱きしめた身体はやわらかく、いい匂いがした


その夜僕たちは一つの布団で眠った。

二人ただ寄り添うだけでよかった。

繋いだ手からは君の優しさと温もりが伝わる。

「少しくらい幸せになっていいんだよ」

どこからかそんな声がした。


                             *

「寒いと思ったら降りましたね」

「雪が降ると寒さが違います。石油ストーブくらいは使いますよ」

「えっ?」

「お湯が沸かせるし、おでん煮るにはもってこいだし。それに質素な食事とは思ってないです。ここはビックリするほど水とお米が美味しくて、門徒の皆さんが持ってきてくださる山菜や野菜は新鮮で味が濃くてとても美味しいです」

「そうですか、ずっとここにいるから普通のことだと思っていました」

「昨夜どこからか、少しくらいは幸せになってもいいんだよ。という声がしました」

「私じゃないですよ、お釈迦様かな? それとも亡くなったご両親でしょうか」

「月に一度は一緒に食事して過ごしましょう」

「一度だけですか?」

「ええ、それ以外は住職と管理人という立場を崩さすに今まで通り距離を置きましょう。僕は少し幸せならそれでいい、多くを望んではいけないんです。それでもいいですか?」

「ええ、管理人さんがここにいてくれるならそれで十分です」

「訂正します。僕もここにいれるなら、それは小さな幸せではなくて十分幸せなことです」

「なんだか私たちって安上がりに出来てますね(笑)」

「安上がり? 確かに(笑)」

「管理人さんの笑った顔初めてみました」

「えっ・・・そうでしたか?」

「素敵な笑顔じゃないですか、ドキッとしました。 あっ赤くなってる~もしかして照れてます?」

「いい年したおっさんをからかわないでください。さあ雪かきやらないと」

「私も運動がてらにやります」

「笑っちゃいけないと思ってました」

「笑っていいんですよ、人はなにがあっても生きていかねばなりません。それは生きているものの務めです。生きていればお腹が空く、ときには泣き、ときには笑い、それを誰が責めたりできるでしょうか、だから笑ってください」

「はい・・・」

「あっ 私ったらまた説教くさいことを・・・」

「住職ですからね(笑)」

「普通の女の人は好きな男性に説教なんてしませんよね、可愛くないな~私って」

「そんなことないですよ、むしろ普通の女性と違うところがいいというか、あ・・・・・」

「なんですか?」

「言うほどのことでは・・・」

「言いかけて止めないでください、気になるじゃないですか」


「僕 女の人を好きになったのは住職さんが初めてです(微笑)」

「えっ!?・・・・・・・・・・・・・それは光栄です(微笑)」



僕がたどり着いた世界の果て・・・

そこは美しい人が住む美しいところ。。。

そこで僕は今日も雑巾を固く絞り御御堂を磨く。

そして夜がふける頃・・・

僕は僕のたった一人のファンの為に彫刻刀を握る。。。             end



刑を終えた透さんはどう生きるのだろう? 刑を終えても一生罪を背負って生きていくんだろうけど少しくらいは幸せになって欲しいとの思いから書きました。
楽しんで頂ければ幸いです。一言でも感想頂けたなら嬉しいです。

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三毛猫ホームズの推理番外編・ヒロ兄の真実

2012-06-30 19:51:07 | 小説(ホタヒカ外伝以外の小説です)
めでたしめでたしの最終回でした。あれから3年が経ち・・・

義太郎は家を出て神奈川県警のエースとして活躍していた。

そして・・・

「ヒロ兄、晴美は明日お嫁に行きます」

「うん、おめでとう晴美」

「ヒロ兄、ううんお兄さん、今迄お世話になりました。晴美はヒロ兄のことが大好きです!
ありがとうヒロ兄」

「晴美・・・クウゥゥ~泣かせるね~ あっ腹の具合が・・・ちょっとトイレ」

「もう~人が真面目に挨拶してるのに!」

「ヒロ兄照れてるんだよ、きっと今頃はトイレで号泣だよ(笑)」


「うおぉぉ~晴美~(号泣)石津~! 晴美を不幸にしたら・・・殺してやる!」


「ブルル・・・」

「どうしたんですか、石津さん」

「なんか今背中に殺気が・・・刑事のサガだな~」



「今日はヨシ兄もいるし、3人で川の字になって寝ようよ」

「えー、さすがにそれだと狭いだろ」

「いいじゃん、昔はよく3人で川の字で寝たよな~」

「晴美、義坊、おねしょするんじゃないぞ(笑)」

「もう~それって一体何十年前の話!」



「二人とも相変わらず寝つきがいいな~(微笑)」


26年前・・・ヒロシ16歳の夏。。。


「父さん、僕高校卒業したら警察学校に行って刑事になる! 一家に一刑事が片山家の家訓だし」

「それは嬉しいけど、ヒロシは頭がいいから大学に行ってキャリアを目指してもいいんじゃないか」

「やだよ、一日でも早く刑事になって、父さんと同じ現場に立ちたいんだ」

「そうか、それは嬉しいな。けど志の高い刑事が上にいると父さんたちも仕事がし易くなるんだけどな」

「ふーん」

「まだ1年生だし、ゆっくり考えればいい」

「うん、わかった」


ある日の午後・・・


「はい、片山です。えっ?父が!? そんな・・・そんな・・・」


慰安室・・・・

「父さん・・・父さん・・・」

「お父さん? ねえどうしてお父さんはこんなとこで寝てるの?」

「義坊・・・父さんは寝てるんじゃないんだ。。。 死んだんだ。」

「死んだ?」

「仕事中にだ、刑事としてとても立派な最期だったって」

「やだよ~やだよ~。だって保育園で飼っていたぴょん吉、死んだらもう会えないもん、お父さんにもう会えないなんてヤダー、お母さんにも会えないのにそんなのヤダー!」

「義坊、お父さんは死んでいないから」

「うそだー」

「お母さんのこと覚えているだろ?」

「うん」

「お父さんは義坊とヒロ兄の中にずっと生きている。そして遠い空の上で義坊のこと見守っているんだよ」

「僕のこと見てるの?」

「ああ、だからあんまり泣くとお父さん心配するぞ、義坊だって晴美のヨシ兄なんだからな」

「うん」



「ヒロシ君、なにかあったら私に相談するんだよ、必ず力になるから」

「栗原さん、ありがとうございます」


「ヒロシ君、やっぱり晴美ちゃんは私たちが育てようか、大変だよ、赤ん坊の世話は」

「叔母さん、ありがとうございます。大変かもしれないけど、家族は離れちゃいけないと思うんです。父が信頼していた家政婦の田見さんもいます。だから大丈夫です」

「わかったけど無理しちゃ駄目だよ、困ったときは甘えるんだよ」



「ヒロシさん、晴美さんが寝付いたので帰らせて頂きます。でも、あの本当に大丈夫ですか?」

「今までだって父がいないときは僕がオムツ交換もミルクもあげていたから大丈夫ですよ」

「では・・・」



「義坊、明日の時間割ちゃんとあわせたのかな、ん? しょうらいのゆめ・・・」


しょうらいのゆめ  かたやまよしたろう

ぼくはおおきくなったらおとうさんのようなけいじになりたいです。
おとうさんのようなつよくてやさしいけいじになって、わるいひとをつかまえて、
こまっているひとをたすけて、たくさんのひとをまもりたいです。


「義太郎・・・」


御祖父ちゃん、父さん、義太郎が刑事になりたいそうです。あの泣き虫で気弱な義太郎が(笑)
でもああ見えて、芯は強くて、そしてとても優しい子です。きっと刑事にむいていると思います。
大丈夫、心配しないでください。きっと僕が義太郎を立派な刑事にします。
僕は・・・沢山の人を守れなくていい。義太郎と晴美を守れればそれでいい。
片山家の母として、父として、兄として二人を守っていきます。



「いい披露宴だったな」

「ええ」

「綺麗だったな~晴美ちゃん、石津にやるのは勿体なくなっただろ(笑)」

「ホントそうです(笑)」

「君もそろそろ考えたらどうだ?」

「いやー僕は・・・」



ヒロシ30歳の夏・・・


「私、大阪に転勤が決まったの」

「真由美の会社は大阪が本店だから栄転だね、おめでとう」

「どうして? どうしておめでとうなんていうの?」

「・・・・・・」

「私たち付き合って何年になると思うの? あなたの考えていることくらいわかるわ」

「真由美・・・」

「あなたはとても優しい人で、義太郎くんと晴美ちゃんをとても大切に思っていて心から愛してる。そして私のことも二人と同じように大切に思って愛してくれている。だから選べないの、でも私はそれでいい、そんなあなたが好きだから。だから言って!行くなと言って!皆と一緒に暮らそうって言って!」

「・・・・・・・・」

「さようなら・・・ 片山くん」


俺にはとてもそんな自信がなかった。待ってて欲しいとも言えなかった。。。




「晴美!おめでとう~」

「おめでとう~」

「ありがとう~ それっ!」


「えっ? 晴美~兄ちゃんにブーケ投げてどうするんだよ」

「だってヒロ兄に幸せになって欲しいんだもん」

「えっ?晴美のお兄さんて、こんなにイケメンなのに独身なんですか?」

「私、立候補しようかな」

「私も~」 「私も~」

「ヒロ兄、モテモテだな」

「義坊、40過ぎたオッサンからかうなよ(笑)」

「あっ携帯鳴ってる はいっ、直ぐに向かいます」

「事件か?」

「うん、俺行くわ」

「頑張れっ!」

「おうっ!」


おうっ! か~義坊もたくましくなったな。俺も今度書く小説考えないとな。
花嫁殺人事件。疑いをかけられたのは意外にも新郎の刑事だった。そんなの書いたら銃で撃たれるか(笑)
目指せミステリー大賞! 俺も頑張らないとな。


「すみませ~ん片山さん、そのブーケを作ったフラワーアレジメントの山田さんが写真撮り忘れたから撮らして欲しいとおっしゃっているんですが」

「いいですよ」



「すみません、山田です。   片山くん? 」

「真由美・・・」



「驚いた・・・何年ぶりだろう?」

「12年かな」

「フラワーアレジメントやってるんだ」

「うん、会社に縛られるより自分の力で仕事できるって楽しい」

「今日の披露宴会場のお花が素敵だったって評判だったよ」

「よかった~偶然とはいえ、晴美ちゃんへお祝いができて嬉しい」

「だけどさ、山田なんて名前平凡過ぎて飽き飽きって昔よく言っていたのに(全国の山田さん、ごめんなさい)、やっぱり山田さんと結婚したんだ」

「してないもん」

「えっ?」

「いろいろあったけど、一番好きだった男とろくでもない別れ方したのが尾をひいているのかな」

「ごめん」

「おかげで40過ぎたおばさんになっちゃった」

「君は変わってないよ」

「ホントに?」

「うん、 今も綺麗だ」

「素直に喜んでおくね(微笑) 片山くんも変わってないね」

「俺、なんも成長してないもんな。」

「にゃーにゃー」

「あれっ 三毛猫だ!」

まさかのホームズ?いや三毛猫だけど子猫くらいの大きさだ。

「可愛い~連れて帰ろうかな」

「猫飼うの?」

「マンションだから飼えない、片山くんちに連れて帰るの」

「えっ?」

「私、後悔していることがあるの」

「なに?」

「待つんじゃなくて自分から行けばよかったのよね」

「ん?」

「私、押しかけ女房になるわ」

「え? ちょっ ちょっと待った! 俺は未だに小説家目指している無職の40過ぎたニートだぜ」

「あらっリン〇書いた小説家の奥さんが小学校の先生しながらずっと夫を支えたのは有名な話よ、私も手に職があるし」

「だって30分前に再会したばかりだし」

「だからなに? 私のこと嫌い?」


「いや・・・ずっとずっと君のことが好きだった」

「にゃーにゃー」

過去形はいかんぜよ。←と聞こえた。


「今も・・・君が好きです」

「私も 片山君のことが好きです」



1年後の夏・・・


「はい、片山でございます。えっ?本当ですか? 本当に本当なんですね!」


「どうした?なんの電話だ? なんか顔色悪いぞ」


「ミ・・・ミミミ・・・ミ・ミ・ミ」



2016年 ミステリー大賞 「三毛猫ホームズの推理」 著・片山ヒロシ 発刊!


おめでとう~ヒロ兄! 


幸せなヒロ兄が見たくて書きました。10話で父親が23年前に殺されたという話を聞いて、沸々と浮かびました。
でも相関図を見たら義太郎29歳、晴美24歳と書いてある。晴美1歳のときかよとあせりました。
家政婦の田見さんは代々片山家に住みつく三毛猫の化身だったりして(^^;

ヒロ兄はいいキャラだったけど、ドラマでは全く中身が描かれなくてそこが残念でした。

ヒロ兄のスピンオフドラマ、楽しんで頂けたなら嬉しいです。

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それぞれのバレンタインデー

2012-02-14 12:43:35 | 小説(ホタヒカ外伝以外の小説です)
「ただいま~」

「おかえりなさい」

「どうしたんだ? なんか元気がないぞ」

「帰り道で突然サッカーボールが飛んできて思わず、超有名店のバレンタインデー特性チョコレートケーキの入った箱でキャッチしてしまいました」

「あのつぶれた箱がそのなれの果てか」

「あー食べたかったな~(そこかい) 超有名店のバレンタインデー特性チョコレートケーキ、ガックシ」

「よかったじゃないか」

「えっ?」

「だってもしボールがお腹に当たっていたら大変なことになっていたかも知れない。超有名店の特性バレンタインデーチョコレートケーキの箱がホタルと光を守ってくれたんだよ」

「そっか~そうですよね、な~んだ、ちっともガックシすることなかったんだ、むしろ超有名店のバレンタインデー特性チョコレートケーキの箱に感謝すべきですね」

「うん、それにそんなにチョコレートケーキが食べたかったんなら、普通の美味しいチョコレートケーキでよければ明日買ってくるよ」

「やった!」 


                                 *

「ただいま~」

「おかえりフミくん! 今日はバレンタインデースペシャルディナーだよ。ご飯とお風呂どっちにする?」

「じゃあ先にお風呂に入るよ」

「はーい」


ん?この紙袋は・・・バレンタインデーの義理チョコか、沢山あるな~フミくんはカッコいいから
あれっ?このチョコは義理チョコとは思えない超高級チョコ店の包装紙。しかもカードまでついてる。

(先日は素敵な夜をありがとう また誘ってくださいね)

「あーいい湯だった、おっ美味そうだな~バレンタインデースペシャルディナー(笑)」

「フミくん!」

「どうしたの芹菜、恐い顔して(^^;」

「このチョコとカードはなに?」←強くなった芹菜、一度は許しても二度目は絶対に許しません。

「えっ!? 素敵な夜って・・・こんなの知らない!全然知らないよ! あっ帰りに福寿とぶつかってお互いの持っていた紙袋からチョがこぼれて拾ったときに福寿のチョコが混ざったのかも」

「ふーん、福寿さんのせいにするんだ」

「そうじゃないけど、だけど、もしもやましいチョコなら無造作に袋の中に入れたりしないだろ?チョコもカードも隠すだろ?」

「それもそうね」

「(ホッ)じゃあ誤解が解けたところでご飯食べよう」

チュンチュン チュンチュン

「フミく~ん、行ってらっしゃーい

「ああ、行ってくるよ」

 痛っ 芹菜に信じてもらう為に昨夜頑張り過ぎたか


「なあ福寿、このチョコ俺の紙袋に入っていたんだけど貰った覚えがなくて、おまえのチョコじゃないのか?」

「いや、違うけど」

そっか・・・じゃあなんなんだろう? あのチョコと意味深なカードは。

「主任(出世したらしい)、コーヒーどうぞ」

「ああ、ありがとう」

「昨日のチョコ食べて頂けました?(微笑)」

「えっ!?」

素敵な夜って、もしかして得意先周りで遅くなってお腹が空いただろうと思ってラーメンおごったあの夜のこと? そっ・・・そんな~

今度は年下の美人社員に狙われているらしいフミくんです。

知らないほうがいいのかもね~♪ 美し過ぎる夫にはご用心!


                                   *

「矢代先生、1月の案件こちらにまとめておきました」

「ああ、ありがとう・・・あれっ今日は眼鏡かけてないんだ」

「昨日壊してしまって今日はコンタクトなんです」

「うん、そのほうがいい(微笑)」

 よっしゃー!


「先生、お先に失礼します」

「ああ、ご苦労様」

「あっあの・・・日頃お世話になっているお礼です。こっこのチョコレート食べてください」

「ありがとう、頂くよ」

「先生は沢山チョコ貰うんでしょうね」

「全部義理チョコだけどね」

「わっ私のは義理じゃありません! ほっ本命です! はっ・・・」

 しまった~いきなり告ってどうする自分

「しっ失礼しました! おやすなさい!」

「もう直ぐ終わるから待って、一緒に飯でも食おう」

「えっ・・・」


「この店、お洒落とは言い難いちょっと汚いくらいの店だけど、味はイケテルだろう?」

「はいっ 凄く美味しいです。でも先生がこういう店を知ってるなんてちょっと意外でした」

「意外?」

「いつもはフランス料理か、イタリアン食べてるイメージです」

「はは、この歳で毎日それだったら胃がもたないよ、それに頻繁にフランス料理食べるほど儲かってないのは君もよく知ってるだろ(笑)」

「ええ、まあ、なんてったって先生は正義の弁護士ですもんね」」

「そう言うと聞こえはいいけどな、だけどそのせいで君にあまり給料出せなくて申し訳なく思ってる」

「いえ、とんでもないです。弁護士を目指す私にとって先生の下で働けるのは凄く勉強になります。感謝してます」

「よかった、じゃあこれからもよろしく・・公私共にね(微笑)」

「はっ・・・はいっ!」

矢代さんに優しい春が訪れそうです 今度こそ幸せになろうね、矢代さん。


                              *


「教授」

「あっ室長さん、なんか事件ですか?」

「いえ、近くまで来たものですから、日頃お世話になっているお礼に・・・はい、これっチョコレートです」

「へぇ~手作りチョコか、だけど今僕はチョコパンに嵌っているんだよね、手作りチョコなんて手間隙かけて作らなくてもチョコパンでよかったのに」

 バタン! ← 力任せに戸を閉める音です。


「ん?これは美味い! チョコパンよりずっと美味い! あー美味かった~室長さん、チョコのお礼に今晩一緒に食事でも・・・あれっ?室長さんがいない。来たばっかりなのにもう帰ってしまったのかな? なんか事件でも起きたか」


「くっそ~~~! あんのやろ~一生一人でチョコパン食ってろ!

こんなデリカシーのない男に・・・春は来ません!


それぞれのバレンタインデーを書いてみました。楽しんで頂ければ嬉しいです。

 

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不死身なおひとに愛を注ぐ。

2010-06-01 19:45:14 | 小説(ホタヒカ外伝以外の小説です)
注・・・映画TRICKの若干のネタバレを含みます。が、TRICKとは殆ど無関係です(^^;


うかつだった・・・私としたことがまさか毒キノコを食してしまうとは・・・
不死身なおひとと呼ばれたこの私が毒キノコで命を落とすとは
私ならカミハエールになれたのに、勝負する前に負けてしまうとは無念だ。。。

わかっておる。人間なら不死身なわけがない、本当に不死身ならそれは神だ。
しいていえば私は人並み外れて悪運が強かった。
例えば幼少の頃、家が火事になり全焼したのに私は火傷一つなく人々は「奇跡の子」と私を呼んだ。
古い家で誰が掘ったのかはしらんが、大きな穴があり、偶然みつけた私はそこを隠れ家にして遊んでいた。
家が燃えているときもそこに隠れていただけだった。
遠足で山に登っているとき、足を滑らせて落ちて助からないだろうと思われたが、かすり傷程度で済んだ。
途中木の枝にひっかかったりして、それがクッションになっただけのことだった。
大型トラックにひかれたときも、大した怪我もなくピンピンしてた。
正しくはひかれたのではなく、運よくタイヤが私の身体の脇を通っただけのことだった。
シャツのボタンが全開だった為に、そのシャツにだけタイヤの後がクッキリとついていたのだが、私は素早くボタンを嵌め(せこっ)人々は信じられないと驚きの声をあげた。
こうしたことが何度と無く重なり、私は「奇跡の子」「神の子」「不死身なおひと」と呼ばれ、村人に奉られるようになった。
私に触れると力が沸いてくるようだと言い、人は有り難そうに私の手を握った。
お礼をおいていくものもいた。

これは金儲けになる・・・
そうじゃなくてもっと人の役にたてるようになろうと決心した私は中国に渡り、気孔を習得した。
気孔で病気を治せるとは思わないが、優れた気孔師になると気でパワーを与えることができるようだった。
いんちき臭い気孔師が多いなかで私の師は本物だったのか、私も手をかざすことでリホビタンDを2本飲んだくらいのパワーを与えることはできるようになった。
相手が女性なら2本が3本分くらいのパワーになった。
そう!私、伏見達郎は自他共に認める美形だった。
私みたいな美しい男に手を握られ、にっこりと微笑めば女性はみな心身共に元気になり癒され、頬を赤らめ、沢山のお礼を置いて帰っていくのだ。
この美しさを保つために、毎日のスキンケアも爪の手入れも欠かさない。
そして少々のことでは動じない鋼の身体を作るために、日々身体を鍛えている。
音楽にも親しみギターもピアノもどんとこいだ!
そう、不死身な男は一日にして成らず!なのである。

それなのに・・・もはやここまでか。。。あ~口惜しや~。


ん?なんだ? 唇にやわらかい感触が・・・
そうか、眠れる森の王女さまが王子のくちづけで目覚めるように、
私も美しい乙女のくちづけで息を吹き返すのか!?
ジョリ・・・ジョリ・・・
う~ん乙女にしては毛深いというか、まるで髭のような・・・髭?


「あーーーー!」

「おー気がついたか、よかったよかった(笑顔)」


「誰だ!おまえは!」


            
                        *話を少し戻します*        

ん?人が倒れてる・・・

「どうした!?大丈夫か? こっこれは! ジェロニモ~ジェロニモ~」

「どうした、シンノスケ」

「おっおっ俺が倒れてる~!」

「シンノスケ~死ぬな!シンノスケ! ナ訳ないある。シンノスケには生き別れた双子の兄弟でもいるのか?」

「はて?」

「これは毒キノコ食べたあるよ」

「大丈夫なのか!」

「これ、アリゾナに伝わる秘薬飲めば大丈夫」

「そっか、ほらっこれを飲むんだ・・・駄目だ、全然起きないや」

「こうやって飲ませてやればいい」

そういいながら倒れた男に口移しで薬を飲ませようとするジェロニモ。

「ストップ! おっ俺がやるから(なんかやだ)」


てなことがあったのでした。



「なにを飲ませた」

まずは礼を言えよ(byジェロニモ)

「これっアリゾナに伝わる秘薬」

・・・欲しい・・・その薬。

「俺シンノスケ、おまえ名前なんという?」

「伏見達郎」

「生き別れた双子の兄弟はいないのか?」byジェロニモ

「母は3年前に亡くなったがそんな話聞いたことはない」

「そっか、ただのソックリさんか(笑)」

「世の中には似ている人が3人はいるというからな」

「ところで達郎は変った格好してるけど、なにものだ?」

「おまえに言われたくないわ! 私は霊能力者、偉大なカミハエールの跡を継ぐべき旅の途中だ。
薬を飲ませてくれたことには礼を言おう」


「はぁ?顔はシンノスケにそっくりだけど、おまえ性格悪そうだな」

「ジェロニモ、知り合ったばかりでそういうこと言うのよくない。そうだ、俺達ウマコの妹のトモコ探してる?トモコ知らないか?」

「はあ?(へんなやつだ)そうだ!私がこれから行くところには、人探しの名人もくる。私と一緒にくるか?」

「おーいくいく! 達郎いいやつ、俺達今日から友達。よろしくな(笑顔)」

「おっ・・・おう」


バーカ、なにが友達だ、あの秘薬はこれから役にたつ。それに俺にそっくりなこの男もなにかに利用できそうだ(にやり)。
けどあの男は一体なんだ?全く邪心のない子供のような笑顔でなにが友達だ? ああいう男は苦手だ。
大好きな私の顔(ナルシスト)と同じ顔ではあるが、いや私はあんなバカっぽい顔ではない。私の知性溢れるこの顔とあのバカっぽい顔が似てるとか、クリソツだと言われるのは甚だ心外だ(フン)


                         *


「マンネリ村とは東のほうか?」

「ああ」

「じゃあ、途中に寄りたいところがあるんだが寄ってもいいか?」

「ギャルがたくさんいるぞ(ジェロニモ)」

「途中ならかまわんぞ(ギャルギャルギャル♪)」




「オッサン~久しぶり~元気そうだね

「おーサキも元気そうで良かった! トモコの情報なんかあるか?」

「みんなに協力してもらっているんだけど、なかなか情報なくて、ごめんね~」

「いいよいいよ(笑顔)」

「ん?ワァーーー! おっオッサンがもう一人いる~!」

「伏見達郎、俺のトモダチ、トモコを探す手助けしてくれるんだ」

「へぇ~、てか、さすがオッサンの友達だな、オッサンのカウボーイスタイルが普通に見えるくらいシュールな格好・・・ぶっぶっぶはー(大爆笑)」

「なっなんという失敬な娘だ!このハイソなハイセンスがわからないのか!」


「おっさん~おっさん~おっさん~久しぶり~」

「おー元エンジェルハートの娘たち、元気だったか」


ギャルにもてまくりのシンノスケ。。。


・・・ふん、気にいらねぇ・・・


「あんたさ~、顔はおっさんにそっくりだけど、なんか胡散臭そうな男だね。」


「どうしてそんなことを言うのかな?いきなりそんなことを言われるのは少し残念だよ(微笑)」

「それそれ、その笑顔!眼が全然笑ってないし、まっオッサンが友だちって言うんだから友だちってことにしとくけど、オッサンに迷惑かけたらみんなあんたのこと許さないからね」

「そんな迷惑かけるなんてとんでもない(知るかっ)」

「まっどんな性悪な奴でも、オッサンと一緒にいると、みんないい奴になるんだけどね」




「サキ~オッサンが来てるって!」

「おーレミ元気そうだな、おまわりも進之助も元気か~!」

「うん超元気だよ、それよりトモ子の有力な情報が手に入ったんだ」

「ホントウカ!」

「うん、これに地図が書いてあるから、この家の人を訪ねてみて」

「ありがとう~」

「よかったな、オッサン」



「そういう訳で、マンネリ村には一緒に行けなくなった、すまない達郎」

「いや全然かまわわんよ(一人の方が気が楽だ、この男といると調子狂うし)」

「達郎なら絶対にカミハエーリになれるよ、俺応援してるから頑張れ!」

「うん、ありがとう」


「そうだ、このアリゾナに伝わる秘薬、持っていくといい。何かの役にたつ」

「ありがとう~シンノスケ感謝する(よっしゃっ!)」

「うん、身体に気をつけて元気でな」



「じゃあサキ、俺行くから」

「うん、トモ子見つかったら又寄ってね、私最近料理習い始めたんだ~今度美味しいものご馳走するね」

「オウッ楽しみにしてる」



「シンノスケ~元気でな~」


シンノスケに笑顔で手を振る達郎。極上の笑顔で手を振り返すシンノスケ。


あ~ニコニコし過ぎて疲れた疲れた・・・

まっおかげで難なくこの薬が手に入ったのはラッキーだったな。。。

あの男を利用する必要も無くなったし・・・

あれっ?俺ってもしかしてホッとしてる?

・・・フッ馬鹿な・・・


余計な回り道をしてしまった、先を急ごう。



ジャジャーン 行くぜぇ~! 行くぜぇ~! 万練村へ!


 
                      *


トモコも見つかったし、そろそろアリゾナに帰るか~。


「クウ~ン、クウ~ン」

「どうした?おまえ迷子か? ふわふわの真っ白い毛でなんだか気持ちいいな」


と白い子犬を抱き上げるシンノスケ。


「クウ~ン」

「よしよしわんこ~おまえ可愛い顔してるな、この眼の上の毛だけ青くて愛嬌があるというか、なんか達郎のこと思い出すな(笑)今頃達郎はカミハエールとやらになって楽しく暮らしているんだろうな」

「クウ~ン、クウ~ン」

「俺はこれからアリゾナに帰るけど、おまえ一人なら俺と一緒にくるか?」

「キャンキャン!」

「そっか~一緒に来るか~アリゾナはいいとこだぞ、おまえの名前考えないとな、う~んそうだっ!タツローにしよう!」

「キャンキャン」



こうして犬に生まれ変わった伏見達郎はシンノスケと共にアリゾナに行き、その愛らしいビジュアルから沢山の人に可愛がられて犬として幸せな一生を送るのでした。メデタシメデタシ


て・・・・・それが注いだ愛なのか!?

メデタシなのか? 中身の無いこんな話ですみません~失礼しやした


こんな話でもいいわよ~面白かったわという優しいお方はポチッと拍手お願いしま~す。
感想も頂けたら超嬉しいです。



おかげさまで肩凝りは段々とよくなってきました
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彼ンダー・妄想劇場

2009-11-13 18:33:11 | 小説(ホタヒカ外伝以外の小説です)
3年前に勤めていた会社を辞めた。これでも将来を嘱望されたバリバリのキャリアウーマンのつもりだったんだけど。。。
仕事が多忙で体調を崩していたところに、精神的ダメージが重なって起き上がれなくなった。
精神的ダメージとは情けないことに失恋だった。我ながら酷い恋をしたもんだ、もう恋なんて一生するもんかと思った。
家族や友人の温かい優しさの中でなんとか立ち治った私はアパートの目の前にある花屋でバイトを始めた。伯父の店で気が楽なのもよかった。
なによりも花という自然に触れるのは精神的にとてもよく、フラワーアレジメントの勉強も始めた。

ある日・・・ちょっとここらへんでは見ないような超イケメンの長身の男性が店にきた。
「これくらいのブーケを作って欲しいんですが」
手を広げてみせた。大きな手だった。伯父がいなかったしどうしようかと思ったけれど、自分で頑張って作ってみることにした。

「如何ですか?」
「わー凄く綺麗です。ありがとう!」

なんて爽やかなんだろう、それに大人の男性なんだけど、その笑顔が凄く可愛くて私も思わず笑顔になった。

「ありがとうございます!こういうの初めて作ったんです。気にいってもらえて嬉しいです」
「こっちこそ素敵なの作ってくれてありがと、じゃ又」

じゃっ又・・・て、又このお店に来てくれるってことなのかな?あの爽やかさんは。
そう私はこのお客さんのことを秘かに「爽やかさん」と読んだ。
その爽やかさんは、次の月も次の月も店に来て私の作ったブーケを喜んで買ってくれた。
私は次の月に使う花の花言葉を調べたりした。それはあの爽やかさんと少しお話が出来たらなという邪心からだった(^^;
爽やかさんは花言葉を熱心に聞いてくれた。そして「ありがとう」という笑顔、この笑顔を見るだけで幸せな気持ちになった。
もう恋なんてこりごりだったと思ったのに、ううん恋なんかじゃない。
大体毎月花を買うなんて大切な人が入院しているとか、恋人か奥さんとの記念日に花を買うのに決まっている。誰の為の花なのか気になったけど、知りたくはない。
私はただ爽やかさんの笑顔を見れればいいんだから。

結婚指輪はしていなかった。
「結婚してても指輪をしていない男性なんて沢山いるんだから、それくらい見極めなくてどうするの?」
友人に言われた。ふと忘れていた過去が頭をよぎった。

半年間毎月花を買いにきていた爽やかさんが、先月も今月もこなかった。
なんとなく寂しかった。

1月・・・

「へぇ~これ亜紀が作ったの、見事なもんね。これからもお願いしようかな」
「えー本当に!このホテルで使ってもらえるの?」
「うん、私は凄くいいと思う。上司に掛け合ってみるね」
「ありがとう~ あっ・・・」

「今日ホテルでなんかあるの?」
「インテリアのレセプション、ほらっあの人、新進気鋭のインテリアデザイナーとしてその業界じゃ結構有名な・・・
名前は藤本直人(フジモトナオト)。ちょっと、いや相当かっこいいよね。まだ独身なんですって~モテモテだろうけどね。うちの受け付けの女の子たち、みんな化粧に気合が入って大変よ(笑)」

間違いなく爽やかさんだった。 少し痩せた? とても疲れた顔に見えた。


2月・・・

ガラッ・・・

「こんな時間にお客さん?すみません、もう閉店なんです・・・あっ(爽やかさんだった)」

「すみません、この時間になるともういい花がなくて」
「なんで?綺麗な花があるじゃない」
「はっ!?」
「ここに・・・」

そう言って私の顔を指差した。今日は爽やかさんじゃない、なんか酒臭い。しかも相当飲んでる。。。

「うぅ・・・気持ち悪い」

「まっ待ってー、そこは駄目!こっちのバケツにして~」

「大丈夫ですか?・・・大丈夫そうじゃない」


そして何故か爽やかさんは私のベッドに寝ている。。。
こうやって改めて見ると本当に綺麗な顔。思わずその寝顔に見惚れていた。

「あれっ・・・ここは?」

ギクッ・・・どうしよう、眼を醒ました。

「あのですね、ここら辺タクシー滅多に通らないし、爽やかさんじゃなくて、お客さん酷く具合悪そうだったんで、私のアパートがお店のまん前にあるんで、うちに来てもらったんです。でもベッドに進んで入ったのはお客さんですから、あの~今からでもタクシー呼びますか?」

必死に言い訳してる私・・・何故だ?なにも悪いことしてないのに(クスン)
うつろな眼でじっと私を見ている・・・まだ酔っているのかな?

「一緒に寝ようよ」

「はっ!?」

ふいに腕を掴まれた私はベッドの中に倒れこんだ。

えーーー爽やかさんでも、男はやっぱり狼ですか?

後ろから抱きしめられて、爽やかさんではなく狼さんの手が、私のお腹の辺りでクロスしている。
駄目・・・こういうのに流されちゃ駄目・・・

「あの・・・」
「・・・・・・」
「あの~!」
「・・・・・・・・・」

爆睡してる。一緒に寝ようよって、こういう意味の寝ようよか(^^;
私のことを抱き枕かなにかと勘違いしてるのか、手をほどこうとするとよりギュッと力が入って少し胸が苦しくなった。
もういいや、このまま寝よう。ドキドキし過ぎて寝れないかと思ったけど、背中で静かな寝息を感じながらいつの間にか心地よい眠りについた。。。


3月・・・

迷惑かけたお詫びにと、食事に誘われた。
インテリアデザイナーだけあって、お洒落な洋服で、それが又決まっていてドキドキした。
ちょっと時間があるから先に映画でも観ようかということになって映画を観た。
観た映画は「釣り馬鹿日記20ファイナル」(本当は日誌です)
私は始めて観る映画だったけど、彼はとても楽しそうに観ていた。

「釣り、お好きなんですか?」
「うん、なかなか行けないんだけどね」

カジュアルなイタリアンのお店で、なんでも美味しくて、そこそこ会話も弾んで楽しかった。

「じゃっ又」

じゃっ又ってことは次もあるのかな?でも付き合って欲しいと言われた訳じゃないし、これってやっぱこないだの単なるお詫びってことよね。


4月・・・

忘れた頃に彼から電話がかかってきた。友人の結婚祝いの買い物に付き合って欲しいといわれた。

「あっちょっとこの店寄ってもいい?」

そこには楽器、特にギターが沢山置いてあった。

「ギター弾くんですか?」
「うん、まあ趣味程度にだけどね。これでも学生の頃はプロになりたいと思ったりしてね。何故か学校祭でヘビメタガンガンやってひかれちゃって、少し挫折した(笑)」
「私でもヘビメタはひくかな(笑) でも一度藤本さんのギター聴いてみたいです」

そういうと彼は 「ちょっと弾いてみていいですか?」 とお店の人に聞いてから、アコギを手にして 「ホテルカルフォルニア」 をなんフレーズが弾いてくれた。
凄く優しい音色だった。

釣りが好きで、特技はギター・・・少しづつ彼のことがわかってくる。


5月・・・

また忘れた頃に電話がかかってきた。ううん忘れてなんかいない。少しだけ期待している。
ドライブに誘われた。男の人の運転する姿って好き!


6月・・・

「ビリヤードってやったことある?」
「ううん」
「面白いからやろうよ」

「難しい~」
「ほらっこうやって、簡単でしょ?」 簡単な訳がない。
彼のキュー捌きは実に見事でカッコよくて、いつの間にか私達の台に大勢の人が集まっていた。彼が玉を弾く度に大きな歓声があがる。
誇らしいといえば誇らしいけど、私は全然楽しめなくてつまんなかった。
「あんまり楽しくなかった?じゃあ今度はボーリングにしようか」
「うん」


7月・・・

久々に神楽坂に住む友人の家を訪れた。なんとも風情があって面白くて好きな街だ。
今日はやたらと浴衣姿の女の子が目に付く。そっか今日は花火大会か。
浴衣を着ているカップルもいた。なかなかイカシタ男の子だ。
彼の浴衣姿もカッコいいだろうな、ふと想像してみる。
うん素敵 着物は足が短いほうが似合うのかも知れないけど、やっぱり短いより長いほうがいい(笑)

「今Kビルにいるんだけど、こっちこれない?」 彼からの突然の電話だった。

「よかった~間に合ったみたい」
「えっ!?」

ドーンドーン・・・花火があがった。

「ここ隠れた花火スポットだって、警備員のおじさんが教えてくれたんだ」
「凄い~綺麗~」
「よかった~喜んでくれて。今猛烈に忙しくて今夜も後30分もしたら仕事に戻らなきゃいけないし、もっとゆくっり君と沢山会えるといんだけど」
「ううん、その言葉聞けただけで嬉しい」

君ともっと沢山会いたい・・・月に1回しか会えないのは正直物足りなかった。
でも今日はこの言葉を聞けて本当によかった。涙が出そうになるくらい幸せだった。


8月・・・

「水族館なんてきたの何年ぶりかしら?」
「最近の水族館て凄いね、なんか豪華っていうか」
「うん、子供の頃によく行った水族館てもっとしょぼかったよね」
「あっ写真撮ってあげる、はいチーズ」
「私も~撮ってあげる」
「どれどれ~あっ上手いね~よく撮れてる」
「高校のとき写真部だったんだ(笑)」

水族館でデートして食事して「じゃっ又」ってなんだか高校生のデートみたい。
それはそれで楽しいんだけっど、ちょっと物足りないかな?
だってあれ以来なにも無い・・・いやあのときも一緒に寝ただけでなにもなかったんだけど。
まっいっか、楽しいんだから。。。


9月・・・

オープンテラスのカフェで親友の真紀とランチを食べていた。
「ちょっとトイレ行ってくるね」
「うん」

こういうお店は圧倒的に女子が多いな~となんとなく周囲を見渡していた。

えっ?!あれは・・・彼だった。
一緒にいる女性は誰なんだろう・・・凄く華奢で綺麗な人。
彼はとても優しい顔をしていた。
女性が立ち上がった。細いからだのお腹の辺りがかすかに膨らんでいるのがわかった。
バイバイと手を振る女、彼はなんともいえない愛おしい眼で女の後姿を追っていた。
私は直感した。あの花束はあの人に送っていたんだと。。。
たまらなく切なかった。彼のあの人への思いも、私の彼への思いも。。。

9月は彼からの電話がくることはなかった。


10月・・・

「これから会えない?」 2ヶ月ぶりの彼からの電話。
「今日?」
「アパートの前にいるんだ」 彼は車で待っていた。

「ここまでくると結構紅葉していて綺麗だね」
「うん」
「なんか元気ないけど、調子悪いの?」
「ううん、そんなことないよ」
「よかった~今日さ、サイクリングしようと思って、ほらっあそこのレンタサイクルで自転車借りよう」


「あー風が気持ちいい~」
「でしょう~汗かいた後はジュースも5割方美味いし(笑)」

「綺麗な夕焼け・・・」
「この夕焼け君に見せたかったんだ」
「ありがとう・・・」

彼の唇が私の唇に重なった。。。初めてのキス・・・

「好きだよ」
「私も・・・」

二度三度と繰り返されるキス・・・
あなたの好きなのは私ですか? 信じていいんですね。。。


10月・・・

「今度の日曜に女性同伴のちょっとしたパーティがあるんだ、一緒にきて欲しいんだけど」

どっどうしよう・・・気楽なパーティだからっていっていたけど、なに着ていけばいいんだろう?
真紀に相談すると、これを着ていけば間違いないというドレスを貸してくれた。
真紀はとてもスレンダーで私にはちょっときつかった。
ドレスを着る為に1週間頑張った。

「待った?」

椅子に腰掛けて私がくるのを待っていた彼は私を見てちょっと驚いたような顔をした。ヤッタ~!

気楽なパーティには見えなかった。おまけに新進気鋭のインテリアデザイナーの側にいる私は良くも悪くもちょっと注目されていた。
よかった~ダイエットして。

「直人!」
「兄さん、お義姉さん、お久しぶりです」
「あらっ隣にいる素敵なお嬢さんは直人さんの彼女かしら?」
「はじめまして、亜紀といいます。」

精一杯の笑顔でそう言った。その人はカフェで見たあの女性に間違いなかった。

「よろしかったら今度家で一緒に食事なんてどうかしら?ねえ、あなた」
「それはいいね」

慣れないドレスとヒールの高い靴と、気遣いで私は疲れていた。
眩暈がする。。。もう帰りたい・・・

「ねえ私ちょっと気分が・・・」

「藤本!おまえの義姉さんが向こうで倒れたって」
「えっ!?」

「大丈夫?」
「大したことないわ、ただの貧血よ」
「普通の身体じゃないんだから、兄さんは?」
「急な仕事が入ったって先に帰ったの」
「たく、しょうがないな」
「俺が送るから」
「大丈夫よ、タクシー呼ぶから、直人くんは彼女といなきゃ」

「ちょっと義姉さん、送ってくるから、1時間ほどで戻るから待ってて」
「うん、気をつけて」


「大丈夫?」
「えっ?」
「なんだか顔色が悪いよ、俺直人とは付き合い長いんだけど、あいつってシスコンっていうか、噂では兄貴より直人のほうが先に美鈴さんと出合ったって聞いたんだけど、あっごめん、変なこと言っちゃったかな」

頭痛がしてきた。

「あいつのいうこと気にしないで、あいつは直人のことやっかんでるだけで、あんな奴友達でもなんでもないから」

別の男性がそう言った。わかってるよ、彼は優しくてとてもいい人だってことくらい。
でも私、駄目かもしれない。
他に好きな人がいても、いつかはその人のことを忘れるだろうと思っていた。
だけどその人がお義姉さんだったなんて・・・なんとなくドロドロしたものを感じた。
3年前にもう恋なんてしないと思った。だけどもしもう一度恋をするとしたら平凡な恋がいいと思っていた。


そして1時間経っても、2時間経っても彼は戻ってこなかった。
次の日、私は起き上がることが出来なくて花屋を休んだ。

「昨日はごめん、なに言っても言い訳になってしまうけど本当に悪いと思っている」
「今度の土曜会えませんか?」
「君の都合のいい時間に合わせるから連絡ください、待ってます」
「一週間、仕事を休んでいると聞きました。友人にあの日のことを聞きました。君が体調が悪かったのに気がつかなかった僕の責任です。明日お見舞いに行ってもいいですか?」


「こないでください」 とだけ返信した。

ずっと電話の着信が鳴り響いていた。

「はい」
「よかった、やっと繋がった。身体大丈夫?」
「ええ・・・一つ聞いていいですか?私のこと好きですか?」
「えっ!?なんでそんなこと」
「即答できないんだ・・・」
「違う、そうじゃなくて
「私ってあなたが思っているような女じゃない、嫉妬深くて、独占欲が強くて、昔妻子ある男性を好きになって沢山の人を傷つけました。私はそういう女です。だからもう私のことは忘れてください」
「待って!切らないで!」

きっと彼が悪い訳じゃない・・・ただ私は傷つくのが恐かった。


12月・・・

クリスマスは忙しかった。普段花なんて買わないような男性が薔薇の花を求めて大勢店にくる。

よく売れたな~あんなに仕入れたのに1本しか残らなかった。

ガラッ・・・

「すみません、もう閉店なんです・・・あっ(どうして?)」

「薔薇をください」
「もう1本しかないんです」
「1本でもいいから」


「僕は一人の女性のことがずっとずっと好きでした。その人は好きになってはいけない人でした。それでもその人のことが好きで好きで、けれどその一方で気になる女の子がいました。その子はいつも活き活きと花の世話をしていました。彼女はとても優しくて明るい子で彼女といると僕は癒されました。それなのに僕はもう一人の女性のことを忘れることがなかなか出来ませんでした。心の中で二股をかけていたという最低の酷い男です。僕は彼女の優しさに甘えていた。そして話さなくていいことまで彼女に喋らせてしまった。彼女がいなくなってから僕はようやく気づきました。僕の心の中にはもう彼女しかいないことに」

「もう一度だけ僕を信じてください。僕にもう一度チャンスをください。この店で待っています」

そう言うと彼はテーブルの上に薔薇を1本と店の住所が書いた紙を置いてでていった。


私も・・・私も・・・あなたのことが好きです。



                           *


「いらっしゃいませ!」


「ここ空いてます?」

「・・・ええ(微笑)」

「座ってもいいですか?」

「もちろん!ここは美味いワインがあるんですよ。ワインはいけるくちですか?」

「私、ワインのことはあまりよくわからないんです。教えてもらえますか?」

「喜んで!」


そして・・・私たちの恋はここから始まる。。。

彼ンダーでちょっとしたお話書きたいな~と思ったんですが、こんなに長くなってしまいました
楽しんで頂けたでしょうか? 楽しんで頂けたなら幸いです。
楽しんで頂けた方はポチッとな



彼ンダーがまだ届いてないという方もおられるんですね。
そして迷っている方も・・・↑の妄想劇場読んで彼ンダー欲しくなった人(いないか)は買ってね~。
コメント (7)
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外伝の外伝・さゆりさんのつぶやき・その2

2007-10-19 19:55:33 | 小説(ホタヒカ外伝以外の小説です)
題目・・・「私の身体を駆け抜けた男達・ぱーと2」

鍛えぬいた鋼のような身体と口髭がすこぶるセクシーな男だった。
私たちは切羽詰った状況の中でむさぼるように互いを求め合った。
何もない閉ざされた空間の中・・・まるで獣のように愛し合った。
快楽は恐怖を消し去った。
だって他にすることなかったんですもん。

「私達ここで死ぬのかな?」
「すまない・・・助けることが出来なくて」
「ううん私感謝しているわ、だってあなたが来なかったら私怖くて発狂していたかも知れないもの、それに昔からいうでしょ美人薄命てね、しわしわのおばあちゃんになる前に綺麗なうちに死んだほうがカッコいいもの」
「君らしいね(笑)」
「あなたはどうなの?」
「俺は人より多く人間の死をみてきたせいか、生きるということにあまり執着はないんだ、人間誰だっていつかは死ぬんだ」
「ふ~ん・・・あっ向こうの方に光が」
「えっ!?」

「おーい、誰かいるか!」
「助かった!」

「やっぱ美人薄命なんていうのは迷信だったな・・・長生きしろよ、元気でな」
「そうね、あなたも元気で・・・」
「ああ」
「命は大事にしてね、あなたみたいないい男が早死にしたら多くの女性が悲しむわよ」
「ああそうするよ・・・・・じゃっ」

直ぐに別れたのは惜しかったかな~。
でも危険な状況化で芽生えた恋は長続きしないって映画でも言っていたもんね。


あら~彼って有名な建築家だったのね。
ニューヨークで知人のパーティに出たときに、金髪美人に囲まれて凄く困っていたから助けてあげたのよね。
およそ自分のカッコよさ全然気づいてないとても純朴な人だった。
おまけに結婚式当日に花嫁に逃げられる自分は甲斐性の無い男なんだってとても凹んでいたわ。
あんないい男捨てて若い男の元に走るなんて、わかってないわね~。
それに彼って大人しそうに見えるけど、あれで意外とあっち(どっちだ?)のほうは凄いのに。
教え子だから遠慮してたのかな、だから忠告したわ。
「今度好きな人ができたら直ぐに抱きなさい」てね。
隣にいるのは奥さんね、綺麗な人・・・結婚できてよかったわ。


「プレゼンの成功に乾杯!」
「乾杯!」
「てっきり先約がいると思ったのに、あなたとこうして飲めて嬉しいわ」
「そんなにもてないよ」
「うそっ」
「今は誰もいない・・・3ヶ月前に失恋して未だにそれをひきずっているくらいだよ」
「へぇ~見かけによらず純情なんだ、ちょっとそそられるな」
「君の胸にもそそられるけど(前の彼女はひ貧○だったもんな)」
「前言撤回、純情な男はそんなこと言わないわ(笑)」
「凹んでいるのは本当さ」
「私が慰めてあげる・・・」
「俺は遊びで女は抱かない」
「だったら本気になればいいじゃない?」
「大した自信だな」
「強気な女は嫌い?」
「いや・・・試したくなるよ」

3ヶ月か・・・早かったな。
でもプライドの高さなら私も負けないもの。
だから先にバイバイしたわ。
たくあの男の辞書には、「いくな」とか「俺の側にいろよ」
なんて言葉はないんだわ・・・まっ私も人のこと言えないけどね。



「ねえ裸撮らせてよ」
「裸?」
「仕事がきたんだ!」
「ヌード写真の?」
「今はどんな写真でも貪欲に撮りたい、最高に綺麗な裸を撮ってみせるさ。
でも裸って撮ったことないんだ・・・だから」
「そういうことならOKよ、私で存分に撮って練習して!」
「ありがとう、君は最高のモデルだよ」
「バイト代はずんでね!」
「あんまり出せないけど・・・」
「あなたでいいわよ(笑)」
「商談成立(笑)」

カメラを持ったときのあなたの瞳はいつもキラキラと輝いていた。
そんなあなたがとても好きだった。

・・・盲目のカメラマン・安曇俊介写真展・・・

なぜ?どうして?あなたがそうなったのか私には全然わからなかった。

だけど写真を見ていると心が洗われたかのように涙がとめどもなく溢れた。

きっとあなたの瞳はあの頃のように・・・

ううん、それ以上に澄んで美しく・・・そして穏やかな光を放っているんですね。



以上リクエストにお応えしました~。

安曇さんはふと会いたくなったんです

ホタルノヒカリのシナリオが掲載されているという月刊ドラマ買いました。
こっちで売ってなかったら東京の直友さんに頼んで買ってもらおうかと思ったくらい欲しかった本です。
水橋さんのインタビューも読み応えがあったし、こんなふうにホタルノヒカリが創られたんだと思うと感慨深くもあり、又水橋さんがホタヒカをやって仕事が楽しかった。楽しくなった。ホタルに拘った全ての人に感謝したいと語っていたのがとても印象深かったです。

脚本を読んでみたかった私としては感涙の1冊です。
昨日のMJ忘れていたくらいです
勿論録画はしましたよ、後で見ま~す。

ところで例のDVDですが、一度はパスワード入れて見たんですが。
携帯オンチの私は子供にやってもらいました。
今日PCに入れてDVD見たら、新しいパスワード入れ直さなくても普通に見れました。
これって私だけでしょうか?

MJ見ました。インタビューがあって良かったです。
綺麗なお顔で・・・歌は噂に聞いていたとおりでした
1年ぶりの歌がいきなりステージって緊張していたんでしょうね。
HAY3のほうがちゃんと歌っていましたね。
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外伝の外伝・さゆりさんのつぶやき。。。

2007-10-18 21:16:50 | 小説(ホタヒカ外伝以外の小説です)
書く前に・・・ごめんなさい
執筆の秋ですから~(ちゃうちゃう)
はい・・・病気なんです。ということで・・・

題目・・・私の身体をすり抜けた男達 


「ねえ、教えてよ」

甘い顔と甘い声で私にそう囁いた。
こんな男になら騙されても本望だと思ったわ。
だけど久しぶりに会った彼は角が取れてすっかり丸くなっていて・・・
つまんない男になっていた。私は少し失望した。
と同時に彼をそう変えた女に軽く嫉妬した。


浜辺で膝を抱えて寒そうにしていた男の子を温めてあげたこともあったわ。
凄い美少年だった、今頃さぞかしいい男になっているでしょうね(微笑)


「お姉さん、僕のモデルになってよ」
そう言ってカメラを抱えた子は、ふわふわ巻き毛のとても綺麗な子だったわ。
男のくせに非力で甘えん坊で・・・
でもファインダーを覗いているときは真剣な男の眼だった。
ふらっと私の部屋に住み着いて、ある日ふといなくなった。
まるで野良猫みたい、野良猫にしては随分と毛並みが良かったけどね(微笑)
今頃どうしているかな~プロのカメラマンになったかしら?
それとも今も誰かのひもだったりして(笑)


深夜だけ営業しているバー、名前は「マヌー」だったかしら?
そこのマスターがすこぶるいい男で、店の中はいつも女性客で溢れていた。
あの店にいくと癒されたのよね。
だけどマスターの奥さんが凄いやきもちやきで、
「私の主人に手を出さないで!」・・・て言って
ある日突然コップに入った水をかけられた。
失礼しちゃうわ、まだ何にもしてないのに・・・
頭にきたから1回だけ頂いちゃったけど(微笑)


アリゾナで道に迷ってカウボーイに助けてもらったこともあったわ。
インディアンの暮らしは新鮮で面白くて、毎日が楽しかった。
純粋で真っ白な心を持ったイカシたカウボーイ!
真っ直ぐな眼で「オレノヨメニナレ」と言ってくれた。
それなのにハイと言えなくて傷つけてしまった、ごめんなさい。。。
あなたはなんにも悪くないの、ただ文明の利器が恋しくなっただけなの。
私はあなたのことを一生忘れない・・・
だけど、あなたは私みたいな悪い女のことはさっさと忘れてね。


私だって真剣な恋もしたわ、誠実で実直でとても優しい人。
彼に相応しい女になりたくて、随分無理をしてたかも。
お料理を覚えたのもその頃かしら・・・
だけど彼の頭の中はいつも担当している患者さんのことでいっぱいで・・・
時々とてもしんどそうだった。
私はそんな彼を癒してあげたかった、そういう女になりたかった。
でもそうなれない、そうできない自分がもどかしくて自分から別れを告げた。
今頃・・・優しくて天真爛漫に明るくて、そんな可愛らしい女性が側にいますように。


高野さんと会ったのは1年前だった。
今思い出しても身体が熱くなるくらい濃厚で熱くて素敵な夜だった(微笑)
朝方テーブルに「ありがとう」とだけ書いたメモを残して部屋を出たけど
カッコ付け過ぎちゃったかな~。
でも今の高野さんはあの時とは少し雰囲気が違う。
「ありのままの自分でいられるんだ」
なんて言っていたけど、きっと素敵な恋をしているのね。
あれだけの男のハートを射止めたのはどんな女性なのかしら?


そういえばあの会社で面白い女の子を見かけたわ。
何もない所でつまづいて転んで「ちっきしょう~!」
て可愛い顔した女の子がね、私の若い頃には考えられなかったけどね。
でも可愛くて微笑ましくて何だか笑っちゃったわ。


最近のテレビってお笑い番組が多いわね。
しかもイケメンのお笑い芸人さんの多いこと。
世の中イケメンブームなのかしら?
私はイケメンにはもう飽きちゃった。
大体、カッコつける男と女は上手くいかないのよね。

いっそ・・・あんなのがいいのかも。。。


「オッパッピー!」  



おそまつでした

えー各キャラのファンの皆さん、ごめんなさ~い
それとも他に出演して欲しかったキャラ他にいたかしら?(こらっ)

秋ドラマの感想を書こうと思ったのに何故こうなるんだ


とりあえず今夜の医龍は楽しみです。
ガリレオは次回も見ます。
歌姫は先週見れなかったけど明日は見たいです。
そして皆も言っているけど、SPが早く見たいです。

そういえばDVDがまだ届きません(18日までには届くと書いてあったような気が)
めんどくさそうだけど一応チェックしないとね。

新潟・金沢のチケット共にお譲りする方が決まりました。
ありがとうございます。






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星に願いを(アンティーク外伝・七夕企画です)

2007-07-06 21:36:54 | 小説(ホタヒカ外伝以外の小説です)
「オーナーお客さんですよ」
「う・・・すまんちょっと出てくれっ・・・トイレ」
「えっしょうがないな~、中学生ぐらいの女の子か、良かった」

「いっいっらっしゃいませ」
「こんにちは!その白い服はもしかしてパティシエさんですか?」
「えっ?はい・・・そうですが」
「やっぱり~」

なんて素敵なパティシエさんなんだろう、まるで童話に出てくる白馬に乗った王子様だわ。

「えーと、エトワレットと、デリスピスタッシュと、ミルクレープください!」
「あっここで食べていきます」
「えっ?三つとも」
「はい!三つともです!」

「う~ん美味しい~ほっぺた落ちちゃう、し・あ・わ・せ」

本当に美味しそうに元気よく食べるな、まるで神田君の女の子番だな

「あー美味しかった、上品で優しくて、しっとりと甘くて、まろやかで深くて・・・
あー上手く言えないや、私ボキャブラリーがないからな~」
「そんなに褒めてくれてありがとうね(笑)」
「ご馳走様でした・・・うっ・・・」

急に胸を押えて倒れこむ少女

「君!君!どうしたの?大丈夫!?」
「く・・・くすり・・・バックの中」
「これでいいの?すぐに水持ってくるからね!」

少女を抱きかかえて少女に薬を飲ます小野・・

「うわー!!!小野が女の子に・・・女嫌いっていうけど・・・
実は小野ってロリコンだったのか・・・」

「大丈夫?」
「あっはい、薬を飲めば落ち着くんです」
「そう良かった、家は何処?送っていくよ、オーナー車出してください」


「あの子のお母さん凄く心配そうな顔してた、大分悪いのかな?」
「ああ、心臓かな・・・」
「まだあんなにも少女なのに・・・僕は健康で殆ど病気したことないんですよ」
「俺もだ」
「健康であることに感謝しなきゃいけませんね」
「ああ」

「うんめぇ~」
「美味しいです~」
「なになに?なにやってんの?」
「あっオーナー、今日七夕だからちょっと作ってみたんです」
「へー星型のケーキか」
「下はムースで上はゼリーで、一つはカシスをベースに、もう一つはブルーベリーをベースに作りました」
「織姫と彦星って感じだな」
「でしょ(笑)それでこのクッキー生地で焼いた舟に二つ並べて飴掛けて・・・
どうです?」
「いいねー」
「すげー」
「なんかロマンチックですね」
「で、名前は?」
「そうですね」
「キラキラ星!」
「おまえ、またそんなボキャブラリーのない・・・」
「いいんじゃないですか、シンプルで可愛くて」
「やったー」
「じゃっ神田君、やろうか」

やっぱさ小野はケーキ作っているときが一番いい顔してるな、そんなにケーキが好きな訳じゃないなんていっていたけど、どこかに愛がなきゃ作れないよな、もっとも試食が出来ない俺はあんまケーキの感想いえないっつーのもオーナーとしてどうかと思うけどよ(苦笑)


「じゃーん!ほらっ!」
「立派な笹ですね、飾りも見事で、これ若が作ったんですか?」
「もちそうよ!」
「やるじゃんオヤジ!」
「アッ店に来たお客さんに、短冊に願い事書いてもらったらどうですか?」
「さすが小野さん、ナイスです」
「オーナーが立派なの作ってきてくれたからですよ」
「うんうん(ニッコリ)あっおまえらも何か書けよ」

腹いっぱいケーキが食いて~
先生みたいなパティシエに早くなりたい!

売り上げ10%増!

デコちゃんが幸せになりますように。
デコちゃんが病気や怪我をしませんように。
デコちゃんに悪い虫がつきませんように。
デコちゃんが・・・デコちゃんが・・・デコちゃんが・・・

皆が幸せでいられますように

ホタルノヒカリが面白くて美味しいドラマになりますように(えっ)
直運・チケット運がありますように(おい)


「いらっしゃいませ、ようこそアンティークへ」
「先日は娘が大変お世話になりました。これ、つまらないものですけど」
「いえ、そんなお気遣いなさらないでください」
「こんにちはヒゲのおじさん、全種類1個づつください。ねっママいいでしょ?」
「(ひ・・・ヒゲのおじさん)はい、全種類ですね」
「それとパティシエさんとお話がしたいんだけど駄目?」


「雨あがったね、良かった!織姫と彦星ちゃんと会えるね」
「そうだね、星も出てきたし」

「私ね。子供の頃から心臓が悪くて殆ど病院で過ごしてきたの、だからよくお見舞いにケーキ貰ったんだけど。甘くて美味しいケーキ食べてる時はね、病気のこと忘れてとても幸せになれたの、だからケーキが大好きなの、将来はパティシエになりたいぐらい!なれるかな?」

「なれるよ、パティシエになる第一の条件はケーキが大好きなことだよ、弘美ちゃんはきっといいパティシエになれるよ」

「ありがとう嬉しいな、でも私の心臓って悪くはなっても良くはならないの・・・で体力もついてきたし思い切って手術することにしたんだけど、簡単な手術じゃないってことぐらい私にもわかるし、もし失敗したらって考えると凹むし凄く怖いんだ。。。だけど数年しか生きられないって言われていたのが15歳まで生きることができてラッキーだったし・・・駄目でも仕方ないかな。。。
そのときは・・・星になれたらいいな・・・
そうすれば寂しくないよね」

「駄目だよ!そんなこと言っちゃ!君はまだ若いんだ!もっといろんな経験をして泣いたり笑ったり、美味しいものいっぱい食べて、勉強したり恋をしたり・・・ごめん君がどんなに大変な想いでいるか考えもしないで一方的に」

「ううん。あんまりパティシエさんの眼力が凄いから少し固まっちゃった(笑)私本当は死にたくない、美味しいケーキも沢山食べたいし、パティシエにもなりたい、恋だってしたいわ・・・でもやっぱり手術は怖いけど、最初から負ける気じゃ駄目だよね、勝ちにいかなきゃ」
「うん、その心意気だよ」
「ありがとう!私誰かに、ううんパティシエさんにこんなふうに言ってほしかったんだ」


「弘美!そろそろ行かないと」
「ハーイ私手術頑張るね!」
「うん負けんなよ」
「ありがとう!じゃあね、バイバーイ」

私に素敵な初恋をありがとう・・・
白馬に乗った私の王子様・・・
七夕様・・・
又王子様に会わせてください・・・


「そうだったのか・・・」
「あんなに可愛い子が・・・」
「先生!今日は七夕ですよ!短冊に書きましょう!」


星に願いを込めて・・・
星に想いを込めて・・・
弘美ちゃんの手術が成功して元気になりますように。



「小野!弘美ちゃんから手紙きてるぞっアンティークの皆様へだって」
「本当ですか!オーナー読んで下さい」

「こんにちはパティシエさん、アンティークの皆さん、私は手術が成功してとても元気になりました。又アンティークのケーキが食べたかったんだけど、パパが急にフランスに転勤になり私も行くことになりました。日本に帰ってくるまではアンティークのケーキはおあずけです。でも変わりにフランスのケーキを沢山食べてます。今度日本に帰ってくる頃にはすっかり舌が肥えているかも知れません」
「なんか手強そうだな(笑)」

「では皆さんお元気で、アンティークのケーキを食べて、とても元気に幸せになった弘美でしたー!そうそう私3年後には素敵なパリジェンヌになって帰ってくるから覚悟してね!眼鏡の美人のお姉さんにも・・・」

「へっ私?(やだー)」

「ヒゲのおじさんにも負けないわよ!」

「へっなんで俺?あの子なんか誤解してないか~」
「まあまあ若、あれぐらいの子はそういう妄想するのが好きなんですよ」
「誤解だー!俺の好きなのはだな」

「おっぱいの大きなお姉ちゃんだろ~」
「こらっエイジ!仮にも俺はオーナーだぞ~もっと尊敬してだな」

「先生フランスのケーキってどうなんですか」
「フランスはね・・・」


「短冊の効果少しはあったかな」
「あったんじゃないですか、弘美ちゃんが頑張って、そして皆の願いが通じたんでしょうね。小野さんに笑顔が戻りましたね」
「ああ、いい顔してるな」                      
                                  end


七夕ということでこんな話を書いてみました。といっても以前書いたものなんですけどね。
ドラマでは女の子死んじゃったでしょ、あれが可愛そうで可愛そうで、
殺さなくてもよかったのに~と思ったりしました



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恋に落ちて(注・ほれスタのネタバレ小説です)

2007-04-17 20:07:44 | 小説(ホタヒカ外伝以外の小説です)
ほれスタ見ました!
くだらなくもバカバカしくも凄く笑えてとても面白かったです。
直く~んはホントなにやっても可愛いわ
私は直人が上手くコントをやる必要は無いと思います。
古田さんと生瀬さんがあんなに濃いんだから、あのぐらいで丁度いいと思います。
ところで私もほれスタにならってバカバカしいお話を書いてみました。
一応改行します。

       
       
       
       
       

       

       

       
       
       

       

       
  
       

       


       


ある事情(は省きます)により直人の乗った釣り船は転覆し意識を失った直人は深い海の底に沈んでいった。

「あらっ?何か落ちてくるわ・・・人間?なんて綺麗な人間の男なの?
 大変見惚れている場合じゃないわ、早く助けなきゃ」

「直人さ~ん、良かった~大丈夫だったんですね(首が繋がった)」

・・・誰かが僕を助けてくれた気がする、うっすらと覚えているのは黒い大きなつぶらな瞳だけ・・・

「海の魔女様、お願いがあります!私を人間にしてください!」
「おやっミスおっとせいのおまえが最近恋わずらいをしているらしいと小耳に挟んだが相手は人間の男なのかい?やめときな、人間に惚れてもろくなことにはならないよ」
「私どうしてもあの人にもう一度会いたいんです。なんでも言うこと聞きますからお願いします」
「なんでもね~あっそういえば明後日魔女連盟のカラオケ大会があるんだ、おまえの美声を貸してもらおうかな」
「はい!喜んで」
「但し人間でいられるのは3日間だけだ。3日過ぎたらオットセイに戻ってしまうよ」
「魔女様ありがとうございます!」

ある日のこと直人は人の少ない防波堤に釣りにきていた。

「あれっ?誰か倒れている。大丈夫ですか?」

おもむろに起き上がった女性は少しふくよかで、腰まで伸びた少し濡れそぼった黒い髪は艶やかに美しかった。そして大きなつぶらな黒い瞳はとても可愛かった。
この瞳は何かを思い起こさせた・・・なんだったのか、酷く心がざわついた。

「気分悪いの?怪我は無い?」
女はニッコリと微笑み頷いた。
「君の名前は?」
・・・「ゆっこ」と指で書いた。
「君は喋れないの?」
女は寂しそうにうつむいた。

「ごめん・・・変なこと聞いて、だけど気にしないで・・・
 なぜなら・・・きっと僕たちに言葉は必要ないから

夕陽を背に見つめ合う二人・・・それは恋に落ちた瞬間だった。


2日目・・・

「明日は仕事だから少し遅くなるけど、必ずくるから待っていて!」

あっ・・・唇が熱かった。。。そして泣きそうになるくらい嬉しかった。

彼は私に沢山の話をしてくれた。
彼の笑顔は太陽のようにキラキラと輝いて、その歌声は海の底に眠る真珠のように透き通っていて。
彼の奏でるギターの音色は波の音よりも優しく私を癒してくれた。
1日目で恋に落ちて、2日目にキスされて・・・そして3日目で別れなきゃいけないなんて。
なおひと・・・あなたは何故人間なの?そして私はどうしてオットセイなの?

3日目・・・彼はなかなか来なかった。仕事が長引いているのかな?
もう一度だけ会いたかったけれど・・・もうすぐ日が暮れるわ、
大変手がオットセイになっている!海に戻らなきゃ!

「ゆっこ!遅くなってごめん」
「オゥオウゥ~(こないで!)」
「ゆっこ?どうしたの?」
「オッオゥゥゥ~(お願い・・・見ないで)」

「君は・・・オットセイ?思い出した、あのとき僕を助けてくれたのは君だったんだね!会いたかった、そしてちゃんとお礼を言いたかった、ありがとう、ゆっこ」
「オゥオゥ(さようなら)」
「行かないで!もう一つ伝えたい大事なことがあるんだ、君を愛している、ずっと一緒にいて欲しい」
「オゥオゥオゥ(私はオットセイなのよ)」
「人間だろうとオッソセイだろうとそんなのどうでもいいじゃないか、大事なのは二人の気持ちだよ、僕はゆっこが大好きだ!ゆっこは僕のこと好き?」
「オゥ~(大好き)」

・・・それからほれスタ1話に続きます・・・

オットセイになった直人はオットセイ語を習得してゆっこと幸せに暮らしていましたが、半年経つと薬の効能が切れて人間に戻ってしまいました。

「直人、魚釣れた?私お腹すいちゃった」
「ゴメン今日は調子悪くてもう少し待って、それに君のお腹が膨れるようにバケツ一杯の魚を取るのは結構大変なんだよ」
「ごめんなさい!大食漢の私が悪いのよ!」
「あぁーゆっこ泣かないで、君は少しも悪くないよ、君が満腹するぐらいの魚を釣れない甲斐性無しの僕が悪いんだよ」
「直人・・・私最近太り気味だからダイエットしようと思うの、だからバケツ半分の魚でいいのよ」
「ゆっこ(なんていじらしい)・・・僕前から考えていたんだ、芸能界に復帰してバリバリ働いて稼いで大きな水槽の入る大きな家を建てようと思うんだ、二人のスィートホームだよ、そこで一緒に暮らそう!」
「凄いわ!」
「今までみたいには会えなくなるけど僕を信じて待っていて欲しい」
「勿論あなたを信じて私待つわ~お仕事頑張ってね!」

そう言うとお腹の空いていたゆっこは魚を求めて海に飛び込んだのでした。

ゆっこ・・・そんなにお腹が空いていたのか



「という訳で芸能界に復帰しようと思うんだ、今まで僕の変わりに頑張ってくれた君には申し訳ないんだけど」
「別に~いいっすよ~俺は蕎麦屋が本職ですから~」

蕎麦屋が本職って・・・もしかして俺の仕事は片手間でやっていたのか


えーと今日の仕事はツアーのリハーサル・・・やべっ声出るかな?

えっこの歌アレンジ変わった?随分キーが高くて歌いにくいな。。。

「直人さん風邪ひきました?こないだは凄く声出ていたのに今日はきつそうですね」
「ごめん・・・ちょっと喉の調子悪くて」

俺より蕎麦屋の兄ちゃんのほうが声出るんだ・・・歌・・・上手いんだ俺ガンバロウ

頑張れ藤木○人!負けるな藤○直人!ゆっこと暮らすスィートホームの為に!   end



非常にバカバカしい話に最後までお付き合い頂きありがとうございました

でももう一度「あの二人」見たいと思いませんか?

直人がとても真面目に演技しているところが可笑しかったけれど素敵でした。
さすが俳優ですね!
なのでバカバカしい話の割には台詞は真面目だったりします、はは。


2話以降を見るのはずっと先になるので、忘れた頃に感想書くかも知れません。

       
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こっそりと更新です。

2007-02-24 00:16:01 | 小説(ホタヒカ外伝以外の小説です)
えーっと、ごめんなさい何故謝るの?いやー一応そう書いたほうが無難かしらと

一応謝ったところで「ゆりかご」より数年前の人妻との出会いのお話「白百合の君」upしました。
イメージはナース3のときの高杉でしょうか?女性は一応イメージする女優さんはいるんですが・・・

「ヒロインはあなたです!」

ってことで楽しんで頂けたらいいなぁ~

ちなみに不倫ものを書いたのは初めてです。あまり不倫は好きでないので。
本人とは無関係です(当たり前です!)イメージです。あくまでもフィクションってことで。
でもたまにはこういうのもいいかな~。妄想の世界ですからね。
どう考えても月9は若者のラブストーリーなんで、少しでも出番が多く、美味しい役でありますようにと願うしかないですからね。
今後不倫を絡めない大人のラブストーリーを是非見たいですね。
しいていえば小池真理子さん原作の「冬の伽藍」とか。
↑これについては今度書きます~。


小説はブックマークしてあるHPにあります。興味のある方、抵抗ない方は読んでくださいね~。
初めて読む方は「白百合の君」を呼んでから「ゆりかご」という順番でどうぞ。

今更だけど「ゆりかご」はいい加減なタイトルです(汗)ただゆりかごのイメージだというぐらいです。
タイトル付け直そうにもいいのが思い浮かばなくてそのままです

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