哲ノート

gentle heart!! ヤサシイココロ・オトナノココロ

空想旅行案内人 ジャン=ミッシェル・フォロン展 -東京ステーションギャラリー-

2024-07-28 18:26:17 | ちょっとそこまで。
東京駅丸の内駅舎内にあるアクセス抜群で、好企画展を随時行っている「東京ステーションギャラリー」を訪問(ちょっと時間が空いた時なんか便利でいいです)

「空想旅行案内人 ジャン=ミッシェル・フォロン」展

20世紀後半・ベルギーを代表する絵画作家で、事前には名前は存じあげませんでしたが、その淡いタッチの絵画と「空想旅行」というキーワードにひかれてどんなもんだろうかと・・・。



エントランスで作品の中にたびたび登場する「リトルハットマン」がいざないます・・と案内役にして作品展を一巡してくれるみたいです。

「色彩の魔術師」「線の職人」「謎のリトル・ハットマン」「矢印と迷宮」「やさしい悪魔」といった紹介から館内の案内が始まり、

鑑賞テーマとして「プロローグ・旅の始まり」「なにが聴こえる?」「なにを話そう?」「エピローグ・つぎはどこへ行こう?」と題した作品が並びます。



事前調べ・事前勉強なしに作品を鑑賞するのは、おもわぬ発見、おもわぬ出会い、おもわぬ驚き、おもわぬ感動、おもわぬ余韻があってとっても良いと思うのですが

今回のフォロン展でも作品に織り込まれた「矢印(方向性)」「音」「メディア」「人権」「運命」そして「人生」といった主題が

一作品一作品にそんな想いをいだかせ、鑑賞する者に創造と思考・思案をおもわせながら作品を観る事ができました。

淡くて優しいタッチの絵画作品なんですが、実はなにかと考えさせるような「メッセージ」が垣間見えて、特に印象残る作品は何度も立ち止まってその作品がなにを訴えかけるか、どんなメッセージを投げかけているのか・・・

そんな思いと余韻を残しながらのフォロン展を充実感をもって鑑賞しました。とても有意義な企画展でした。
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デ・キリコ展 -東京都美術館-

2024-07-05 16:30:00 | ちょっとそこまで。
なんか話題になっているデ・キリコ展がおこなわれている、上野公園・東京都美術館へ「どんなもんかなぁ・・・」と行ってきました。

ジョルジュ・デ・キリコ展 

20世紀美術に衝撃を与えた弧高の画家デ・キリコ、10年ぶりの大回顧展と副題がありました。



「デ・キリコ」ってなに?というくらいの「にわか美術ファン」からすると、こういった美術展は下調べもなしの無知識のアタマくらいで作品にであったほうが、より新鮮な感覚で作品を観る事ができます。

初期の作品群から晩年の作品まで館内は時代を追って、生涯を駆け巡る形で一作品一作品をじっくり目の前で鑑賞できます。

歪んだ遠近法、形而上絵画、幻想的な雰囲気、バロック調古典絵画なんて紹介もあり、めぐり巡ると作風も変わってきたり、マヌカンをモチーフとしたイメージの世界があったりと

きめ細かい写実的なものではなく、かといって印象派のような画風でもなく、なんとなく現代風のポスターのような印象のある作品が続きます。

なにをイメージするものか、どんな発想から作品に着手しているのか、そして作品からなにを訴えているのか・・・。



デ・キリコの画風は無機質な世界でもあり、イメージ上での世界でもあり・・・はたして観覧者は作品からなにを見出せるのか、何を感じ取れるかを試されているような面持ちで多くの作品と次々に対峙してゆきます。

印象のある作品、インパクトある作品というよりも、デ・キリコ氏の持つイメージの世界を観ることができる回顧展といった印象がのこる美術展でした。



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いすみ鉄道 第四夷隅川橋梁

2024-06-20 23:29:33 | ちょっとそこまで。
いろんな地方に行って、風光明媚な名所名跡をそのたびに訪れます。

記念に写真に収めることも欠かさずに・・・そして「その一瞬」なんて場面になると、より貴重で思い出になるものの。

今回もゴルフついでにそんな一瞬を追いかけてみました。

千葉県房総半島内陸にある、古くからの城下町として有名な大多喜

古い商家や、入り組んだ街並みが随所にあって歴史を感じさせられるのですが、この街中に有名な鉄道写真撮影スポットがあります。

大多喜城を背景にした「いすみ鉄道第四夷隅川橋梁」の風景

ここでいすみ鉄道の列車が橋を渡る瞬間をぜひ撮っちゃおうと、前々から行きたくて行きたくてスケジュールをなんども練って、はるばる大多喜の街へ

撮影スポットはいすみ鉄道橋梁の手前にある三口橋の上から、第四夷隅川橋梁と大多喜城をアングルに収めて準備万端で待ち構えます。

橋梁手前の小谷松駅を7時43分に出発する上総中野発大原行きに狙いを定めて、橋の欄干に望遠レンズを固定してスタンバイ

遠くでカンカンカンと踏切が鳴る音がして、ガタンゴトンガタンゴトンと列車が近づく音がしてきます。

そして来た来た、来たぁ・・・いすみ鉄道キハ20系国鉄色の単行気動車。

橋梁をわたる瞬間を逃すまいと、シャッターをパシャパシャパシャと・・・うわぁぁぁぁ、やったぁ。

この瞬間のシャッターチャンスしかないんですよ、赤い橋梁を渡る列車と大多喜城と・・・。

 

ちょっと朝日が強く反射しちゃってボケぎみですが、ジャストタイミングでパシャっと1枚(よかったね)

こんなささやかな喜びが毎回あるから、また次の地へ、次の地へと心がいざなうんですよね。

「いすみ鉄道第四夷隅川橋梁と大多喜城のある風景」ほんと来てよかったぁ。



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三島喜美代 未来への記憶展 -練馬区立美術館-

2024-06-14 22:18:28 | ちょっとそこまで。

年間を通じてあちこちの「美術展」や「企画展」をのぞきに行っていますが、その中で公立の美術館でも魅力的な企画展が開催されます。

マスメディアを利用した大規模な商業宣伝はありませんが、自分の見識を広める上で「これは、見ておかなきゃ・・・」と思われるような興味を抱かせるものもあって、

今回の美術展も作者の名前は存じ上げませんでしたが、今の時代への警鐘・メッセージ性もあって「どんなもんだろう・・・」と行ってみることに。

「三島喜美代 未来への記憶展」

西武線中村橋駅を降りてすぐの練馬区立美術館にて開催されています。(同美術館には「電線絵画展」2021-4-9投稿以来の訪問)

新聞や印刷物、ダンボール・空き缶などのゴミなどを陶器の形で立体化して作品に仕上げ、発想やメッセージを訴求発信しています。

これらの立体化された作品にはシルクスクリーンという技法で印刷物を転写して作品のメッセージ性を持たせるものになっています。

エントランスにある「ゴミ箱に捨てられた空き缶」も遠目からは空き缶なんですが、近くによると陶で出来ていることがわかります。

館内で展示されているダンボール・新聞の束などもよくよく見ると陶で立体的に作成されており、そこにシルクスクリーン技法で印刷がされているような作品が並んでいました。

展示の中には耐火レンガ・ブロックを敷き詰め、そこには様々な新聞記事の切り抜きが描かれており、空き缶のゴミとともにとても印象深いものとして見る事ができました。

今回の三島喜美代展は現代の大量消費社会と環境問題を含めてのゴミ問題、そしてあふれるような情報過多の社会など、

現代社会がかかえるさまざまな問題提起が見え隠れしているような作品群が未来への警鐘として発信、展示されている興味深い企画展でした。

 

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宇野亜喜良展 -東京オペラシティ アートギャラリー-

2024-06-08 12:02:00 | ちょっとそこまで。
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普段からイラスト・広告デザイン・ポスターには興味があり、方々で開催されるこの手の企画展は要チェックしています。

今回は「イラストレーション」「イラストレーター」という分野を確立した宇野亜喜良氏の仕事を集めた大個展が

初台・東京オペラシティ・アートギャラリーでおこなわれているので、乗り遅れないようにさっそく・・・。

宇野亜喜良氏はイラストレーター・グラフィックデザイナーとしてだけでは収まらず、

絵本や書籍の装飾から映画・演劇・舞台設備に至るまでさまざまなエンターテイメントの世界で活躍されており

街中でもどこかで見たことあるような・・・という作風・作画で親しみある作品が多く発表されています

作品や画風はアタマに入っていますが、氏の名前はあまりピンとこないので、あくまでもデザイン・ポスターデザインを鑑賞するために訪問したのですが

初期の懐かしさを感じる商業デザインからはじまり、多岐にわたるイラストの味わいにどんどんハマってゆきます。

ああこの作品も・・・なんてポスターを一堂に掲示されたコーナーがあったり、ファンタジーの世界のようなイラスト群には目を見張るものがあります。

そこには感性と感覚、そして発信力とメッセージ力がこめられていて、鑑賞する側のひとりひとりがどのように受け止めるか・・・そこには奥の深いデザイン・イラストの世界が広がっていました。

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伊藤潤二展 誘惑 -世田谷文学館-

2024-06-04 21:41:19 | ちょっとそこまで。

年間を通して魅力ある、興味を湧き立てる“せたぶん”世田谷文学館でまたまた・・・(最近アニメ・漫画系が多いですが…)

「伊藤潤二 展 -誘惑-」

グロテスクな作風で知られる伊藤潤二氏の600点にも及ぶ作品絵画をあつめた企画展です。

「富江」(デビュー作品)とかは名前とともに見たことはありますが、氏の作品群はほとんど初めて触れるものばかりで

逆にそのほうが新しい発見・出会い・触発を受けてなかなかおもしろいもんです。

ホラーの世界は非日常なもので、行き過ぎている感があるものが多く、正直“ついていけない”世界でもあります。

ホラー好き・愛好者・アニメなどのマニアの方、外国人も多く見受けられる展示会場ですが、あくまでも中身よりもイラストを楽しむという視点で作品を眺めました。

ホラー作品って突拍子もない構図の作品よりも、より日常的ででも何かが隠されているような精神・心理的な印象あるもののほうが、

作品からなにか感じるものがあってとても印象深いものになる気がします。

代表作である「富江」も含めて作品に登場する女性たちも、なにかしら持っているような表情であり、作品をじっくり鑑賞するうちにその世界に引き込まれてゆきました。

見識を広げるために自分の知らない世界をのぞくというのは、時にはとても興味あふれるものとなり、今回の「伊藤潤二展」はそんな企画展のひとつになりました。

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Beautifull Japan 吉田初三郎の世界 -府中市美術館-

2024-06-02 21:20:12 | ちょっとそこまで。
地図を眺めているだけでいとまがないくらいで、「地図」という文字を見るだけで「なになに・・・」と首を突っ込みたくなるくらいの根っからの「地図マニア」です。
 
この都度、府中市美術館で「鳥瞰図」を確立した吉田初三郎氏の企画展が行われているんで「行かなくちゃぁ・・」でさっそく。
 
(府中市美術館は「棟方志功展」2019-6-6投稿 以来)
 
「Beautifull Japan 吉田初三郎の世界 展」                                              
 
大正時代から昭和初期にかけて、従来の地図が精度も含め確立されていく中で、「鳥瞰図」というものを世に生み出し確立していった、吉田初三郎氏の作品を一同に集めた企画展です。
 
「ビューティフルジャパン・・・」とあるように、正確に精度を高めた地図をもとに、
 
電鉄会社の沿線地図から観光名所・観光地を強調した観光地図・観光案内を美しい描写を交えて「鳥瞰図」の形で発表してゆきました。
 
 
 
多少の誇張がありますから、正確を求める地図とは違って、だれしもが馴染みやすいこれも地図の一種です。
 
作品を作る過程において実地測定もされており、そのうえで実地に基づいて脚色されています、
 
また現在とは違い古くは100年前にもなりますから、地名や駅名・名所の変遷などノスタルジーの世界でもあり、興味わくわくで作品を1点1点眺めました。
 
鳥瞰図は地図でありながらも、ひとつの美術作品と言えるくらいの見事な観光案内地図として確立されたものでありました。
 
 
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フジフィルム・フォトコレクションⅡ 展

2024-05-02 23:15:41 | ちょっとそこまで。

六本木。東京ミッドタウンにある、フジフィルム・スクエアを訪問します。

写真好き・撮影好きも講じて、ちょっと気になる個展を年間を通じて行われているんで、その都度行っちゃいます。

フジフィルムのショールームとしてカメラ・撮影機材から写真にかかわる博物館的なもの、そしてフジフィルムの技術からの化粧品に至るまでが集められており

その一角に写真にかかわる個展が開かれるスペースが設けられています。

  

今回はフジフィルム創立90周年記念コレクション展として、「フジフィルム・フォトコレクションⅡ 世界の20世紀写真 人を撮る」と題しての写真企画展が行われています。

写真撮影の原点ともいうべき「人物写真」をテーマに、海外写真家による20世紀初頭からの作品を一同に集められています。

もともとショールームの一画で規模が小さいものですから、有名無名すべてではありませんが、なかなか魅力ある人物写真から日常のさりげない人間模様までが作品として展示されており

こういった作品群を気ままに気楽に触れられるスペースとして、興味があって思い立ったら見にいける(入場無料です)・・・フジフィルムスクエアは六本木にあるとても有意義なスポットです。

 

 

 

 

 

 

 

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安井仲治 生誕120年僕の大切な写真展 -東京ステーションギャラリー-

2024-04-15 07:39:51 | ちょっとそこまで。

先日“写美”での「木村伊兵衛展」(2024-3-21投稿)に刺激を受けて、もう1展気になる写真展を鑑賞

建物遺産としてもシンボリックな東京駅構内に併設されている「東京ステーションギャラリー」(「竹久夢二展」「春陽会展」以来です)

アクセスよくて、ちょっと時間が空いた時に、なかなか興味がわく企画展が随時行われています。

「安井仲治 生誕120年僕の大切な写真」と題した、回顧写真展がおこなわれています。

大正から昭和初期にかけて日本近代写真史に大きく足跡を残した、安井仲治氏の200点以上の作品を集めた回顧展で、

作品の魅力とともに撮影技術、写真技術の足跡も見られ、後世・現代の写真技術・文化・写真家に大きくかかわり影響を与えた写真家のひとりです。

有名な美術家・写真家の作品展はある程度(にわか)知っているものですが、今回の作品展のように事前に知らない(不勉強)のカタチで訪問するのも

これまた新鮮で、自分のインスピレーションに驚きと発見、刺激を受けるものがあったりして有意義なものになります。

数々のモノクロ写真作品を見回ると、当時の世間情勢・市井の人々の暮らしぶりとともに、黎明期の写真・撮影技術の模索が感じられます。

「プロムオイル」「シュールレアリズム」「半静物」・・・。

それにしても前回の「木村伊兵衛」展と同様に「モノクロ写真」のインパクトというのは大きいですね、写実的な街中のスナップ写真もモノクロにするだけでグッと印象が変わります。

帰路に東京駅丸の内側をモノクロで・・・とても威厳あふれるものになりました。これからもどしどしと写真の魅力に取りつかれたいと思います。

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大吉原展 -東京藝大美術館-

2024-04-04 07:58:00 | ちょっとそこまで。

桜がちょうど開花して大にぎわいの上野・上野公園を突っ切った所にある東京藝術大学、その構内に藝大美術館があってなかなか興味がわく魅力ある美術企画展が開かれています。

今回は・・・「大吉原展」

華やかな江戸文化のひとつであり、落語ファンとしてはおなじみの吉原の情景からして、とても興味がある企画です。

(「明烏」「お見立て」「三枚起請」「紺屋高尾」「幾代餅」・・・演目は多々あります)

そんな吉原ですが、落語の演目では知っていても実際はどうなの・・・?

江戸の文化と言える「吉原」を知る。落語をさらに掘り下げる意味でも知っておきたい。そんな「吉原」のすべてを・・・

吉原の位置づけ、名称から始まり、吉原の一日の流れ、しくみ、しきたりなどの解説、そしてそこで働く遊女の日常から生活ぶり、格付け、役割、遊女を取り巻く人々、ファッションまで

吉原の情景から情緒、人々の息づかいから雰囲気まで・・・もう「吉原」のすべてと言っていいほどの見ごたえあるものです。

知っているようで知らなかった江戸の文化、吉原の文化の一端をつぶさに観る事ができた「大吉原展」、とても有意義で魅力ある企画展でした。

   

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