恥ずかしい歴史教科書を作らせない会

改憲で「戦争する国」、教基法改定で「戦争する人」づくりが進められる今の政治が
将来「恥ずかしい歴史」にならぬように…

与党が「教育」に求めるもの

2006年03月30日 | 教育基本法・教科書
■ 教育基本法改定案「宗教的情操の涵養」は見送られたが

 自民・公明の両与党の「教育基本法改正検討会」は29日の会合で、教育基本法の改定案に、自民党が強く主張していた「宗教的情操の涵養」を盛り込まないことで一致しました。これは公明党の支持母体である創価学会に配慮したものとされているようですが、子供たちの「信教の自由」に対する介入を排除するものとして当然のことであり、これを盛り込もうとすること自体、始めから実に愚か過ぎる行為だと言わざるを得ません。
 さて問題は、両党が次回以後、いわゆる「愛国心」の表記について詰めの作業に入るとしていることです。これについて自民党が「国を愛する心」という表現を主張し、公明党は「国を大切にする心」という表現を主張し、意見が分かれています。
 では、そのような「愛国心」教育で、彼らは一体どのようなことを行おうとしているのでしょうか。
 私は、同じ29日に明らかになった高等学校用の教科書検定に付された検定意見に、その一端を見ることができると思います。

■ 政府の言うことは正しいと信じ込ませる

 今回の教科書検定で、文部省は「政府見解」に対する強い執着を見せました。とりわけ「靖国」「イラク」「領土」の問題では、それが顕著に表れています。
 例えば「靖国参拝」問題について、まず「公式参拝」は「参拝」に、一昨年の「福岡地裁による違憲判断」は「福岡地裁判決」に、と記述が改められました。
 また、「イラク戦争」について、米軍による「先制攻撃」という記述は認めませんでしたし、イラクへの自衛隊派遣について「非戦闘地域での後方支援活動」「多国籍軍への参加」という事実ではなく、「復興人道支援活動」と、政府が主張した「目的」だけを強調した記述になっています。
 「領土問題」については、竹島や尖閣諸島について、これまで検定を合格していた「(相手国と)交渉中」という表記は認められませんでした。
 これらは全て、政府や首相の主張を反映・踏襲したものでないと認めない、という政府の強い姿勢の現れです。少しでも政府の考えと異なるものや、政府に対する批判に繋がるものは一切排除しようというのです。
 つまり、子どもたちに「政府の言うことは全て正しい」と信じ込ませるための「教育」を行おうとしているのです。政府に対する批判を許さないどころか、批判しようと思うことすら許さない、これが与党が「教育」に求めるものであり、彼らが唱える「愛国心」教育の根幹です。

■ 子どもたちを「政府のロボット」にしてはならない

 しかし、政府がいつも正しいというとは限りません。逆に政府が間違いをおかすことは、よくあります。だからこそ三権分立があり、国会や裁判所のチェック機能があるのです。
 「政府の言うことは全て正しい」と信じ込ませることは、権力者にとっては都合の良いことでしょうが、子どもたちにとっては大変に恐ろしいことです。政府から与えられた情報をただ信じ、自分で価値判断をせず、政府の言うとおりに動く、これではロボットと変わりません。
 この教育基本法改定をめぐる協議の中で、公明党が以前、自民党に対して「『(国という)統治機構を愛せ』とか『国のために死ね』とかは言えない」と批判したことがありますが、これこそ正に「愛国心」教育の本質です。
 「ただ政府の主張を妄信し、『国のため』とさえ言えば喜んで命を差し出すロボット」私は、子どもたちをこんな風に育てたいとは思いません。
 子どもたちを、国家主義者たちに売り渡すわけにはいきません。私は、このような教育基本法改悪は断固として許すことは出来ませんし、教科書検定の姿勢には絶対に反対です。


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