呉明憲コンサルタントの中国ビジネス日記

中国の最新情報を上海・東京・神戸を拠点に活動する株式会社TNCリサーチ&コンサルティングの呉明憲が紹介します。

《税収徴管法》の改正、道険し

2012年12月17日 | 日記

 《税収徴管法》という通達があります。略さずに言えば税収徴収管理法でまあ平たく言えば税金の徴収を管理することを目的としたものと考えればわかりやすいです。さて、この《税収徴管法》を改正しようという動きがあったのですが、これがとん挫しているといいます。

 

 お役人の腐敗があまりにもはなはだしいということは以前から言われており、それをただそうという掛け声があってもなかなか状況は変わらないという状況の中、広東省の珠海横琴、広州南沙、韶関の三か所で役人の財産を公開することが発表されました。これは非常に注目すべきことではないかと思います。保有資産があまりにも少なければそんなはずないだろうという声が上がるでしょうし、あまりにも多ければそれはそれで批判の対象になります。果たしてどう転がるのが、個人的には結構注目してます。


 そこでまた 《税収徴管法》の話に戻るのですが、この改正案の中で「渉税信息共享」、すなわち税に関係する情報を共有しようということで、税務部門の権限を拡大すべく金融部門や不動産部門等の部門と情報を共有しようというものです。これができれば資産に関するかなりの情報を押さえることができます。現行の《税収徴管法》では銀行等の第三社が税務機関に税に関係する情報を提供する義務がなく、税務機関の納税者に対する検査権限に制限を加えるものになっており、法律的に強制措置を取ることができる相手は企業のみで自然人は含まれていないとのことです。そうであれば税務部門がいろんなところと情報共有することで不正をあぶりだすのは効果的だと思うのですが、これが役人と富裕層から猛烈に反発を受けており、税務部門でも役人の資産公開が普及してからでないと難しいのではないかという声が上がってきています。まあ、そもそも税務局の人でも資産公開したくない人も多いと思いますけど。


 日本の政治家の公開資産を見ているとえらく少なく感じることも多いのですが、中国だとどうなんでしょうねえ。きっと不動産は親族名義、それ以外は海外へ持ち出すことで見た目を繕うんでしょう。しかし、役人が清廉潔白ですと証明するための改正案に対して富裕層はともかく役人が反対するというのは、いかにもとほほですね。