呉明憲コンサルタントの中国ビジネス日記

中国の最新情報を上海・東京・神戸を拠点に活動する株式会社TNCリサーチ&コンサルティングの呉明憲が紹介します。

中国の映画マーケット

2012年03月19日 | 日記

 中国がWTO協議に違反して外国映画の輸入を制限していると批判されてきていましたが、このたびアメリカと中国が「米中映画協議」なるものに合意 したそうです。「そうです」というのはまだ正式に発表されていないからですが、近いうちに発表されると思います。この協議の内容ですが、
(1)中国は毎年元々毎年約20部割り当てられていたアメリカ映画の輸入を、さらに14部の3DまたはIMAXを追加で割り当てる。
(2)アメリカ側のチケット収入の配分を元々の13%から25%に引き上げ。
(3)中国民間企業が輸入映画を発表する機会を増加し、過去に国営会社の独壇場であったことを打破する。

 これとあわせて、アメリカのドリームワークスという会社がSMG等と上海で総資産3.3億米ドルの合弁企業を設立することが発表されています。ち なみにドリームワークスの出資比率は45%です。

 この他には、米中合作が中国・香港合作と同じ扱いになるという話も出ており、アメリカにとってはいい話ですね。アメリカのエンタメは確かに面白いですから、中国映画を見ているお客さんがそちらに流れていってしまう可能性があるかもしれません。しかも米中合作が輸入割り当ての制限を受けない中国・香港合作扱いになるとさらにどんどんその存在感が高まり、中国映画が駆逐される可能性もあるかもしれません。

 ここで中国映画マーケットを見てきましょう。中国の映画市場は毎年25-30%伸びており、2010年には映画のチケット収入が100億元を突破し、これはイギリスを超える水準(北米と比べると1/7)に達しています。チケット収入以外の海外収入、広告収入等を含めると160億元近くに達しており、48%も伸びています。2010年には映画館が313か所増加し、スクリーンは1533増加、スクリーンの増加率は32.5%となっており、過去8年で最高の伸び率となっています。映画館来客延べ人数も3億人を超えています。2010年の国産映画チケット収入は573352万元で全体の56%、残りが輸入ものです。1億元を超えるチケット収入があったのは27作、そのうち国産が17作あります。中国国外での受けは今一つですが、国内ではまずまずといったところでしょうか。

 2011年の予測としては30%の伸びが予想されており、ネット動画等の普及は版権収入の増加につながると考えられています。今後は二、三線都市にも広がっていき、スクリーン数場3000に達すると予想されています。

 アメリカ映画の存在感がますます増してくるのではないかと書きましたが、これだけマーケットが伸びているのであれば中国国産映画もその伸びの恩恵を受けることができるように思います。中国映画も以前は全是のも白くなかったですが、最近はそこそこ面白い作品が出てきてますからね。


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