呉明憲コンサルタントの中国ビジネス日記

中国の最新情報を上海・東京・神戸を拠点に活動する株式会社TNCリサーチ&コンサルティングの呉明憲が紹介します。

住宅価格の年収比

2012年05月23日 | 日記

 中国の住宅価格の年収比推移の表を見つけました。こんな感じです。

 

 2004年に旧に跳ね上がり、2008年は金融危機の影響からかいったん下がり、その翌年の2009年にピークの8.3という数値が出ています。8.3を単純に考えれば1000万円の年収の人だと8300万円の住宅を購入するということになりますが、日本の感覚だとちょっと手が出せない金額ですね。この表でいうところの年収というのが額面収入なのか手取り収入なのかという問題があること、住宅積立金という制度(個人・会社ともに給与の7%を毎月積み立て)があり、住宅購入時にはこれが使えることから、若干年収比高くてもいいのかもしれないですが、それでもちょっと高いかなという感じがします。しかもこれはあくまで平均値であります。次に2011年の全国35の大中都市の住宅価格年収比の数値を都市別にした表を見ていきましょう。

 

 住宅価格年収比のトップの深センはなんと15.6もあります。この表を見る限り6から7が現地では合理的な水準とみられているのですが、 目ぼしい都市はみんなこの数値をはるかに超えています。10を超えている都市が7都市、9を超えている都市が7都市、8を超えているとして6都市、7を超えている都市が7都市あります。前から11番目までは東部の一線・二線都市で、数値が6台の都市はだいたいマイナーな都市ですね。あえていうならば西安や長沙が比較的大都市といえるでしょうか。いくら日本と比べて住宅積立金のような制度面での収入の構造が異なるとはいえ、さすがに10を超えるときついです。まあ、北京、上海、深セン、広州といった都市はこれでも前年比数値が下落しているとのことで、不動産相場が下がったのか、はたまた収入が増えたのか、その両方の要因によるものなのか、そこまではわかりませんが、2011年の数値ということであれば不動産価格の下落よりは収入が上昇したことによる要因の方が大きいのではないかと思われます。ただ、この統計では政策的に低価格に設定されているエコノミータイプの住宅までの含めての数値ですので、こういったものを除いてデータを取り直しますともっと高い数値が出てくると思われます。

 しかしこれだけ高い数値を見せつけられると、あらためて中国の住宅価格がいかに高い買い物になっているか思い知らされますね。