呉明憲コンサルタントの中国ビジネス日記

中国の最新情報を上海・東京・神戸を拠点に活動する株式会社TNCリサーチ&コンサルティングの呉明憲が紹介します。

飲食店のフランチャイズ展開

2012年01月04日 | 日記

 日本の飲食店の好事例の記事を見つけました。日本の飲食店のポジティブ記事ってそんなに多くないので目を引きました。雅山というお店です。主なメニューは牛丼をはじめとする丼もの、とんこつラーメンです。北京を中心に展開しているので私自身はまだ見たことがないのですが、フランチャイズ展開をしており60店舗ほどあるそうです。 

http://www.gazan.com.cn/index.html (ウェブサイトのアドレス)

 

 牛丼といえば吉野家、最近だと松屋やすき家が思いつくところですが、雅山(GAZAN)という名前は全然知りませんでした。日本の独資ではなくて中国との合弁なのですが、中国現法のCEOである朱さんという人はもともと日本のファストフード店のノウハウをパクとうとして調理師を日本に派遣したのですが、ファストフード店のかなめであるメニュー開発、物流、セントラルキッチン、管理といったことに触れることができ、パクるということは失敗に終わったのですが、その後縁あって雅山と組むことになりました。 

 

 雅山の中国展開のポイントですが、(1)フランチャイズ加盟の発展、(2)二・三線都市での展開、の二つです。2009年にまず北京、武漢等の都市で直営店を始め、その後フランチャイズ展開を開始しました。朱さんはファストフード店のフランチャイズ展開にあたり日本と中国の違いを感じたそうです。中国のフランチャイズ展開というのは一店一店開店し、成功モデルを別の店舗の展開していくというものです。日本の場合は先にセントラルキッチンをかっちりと作り上げ、そこから製品とサービスをアウトプットして行くというものです。現地でのフランチャイズ加盟に当たっては特に大きなプロモーションをしていることはなく、店舗の存在自体がプロモーションになっているようです。例えば、雅山長沙店のフランチャイジーは武漢の加盟店を見て加盟を申し込んだとのことです。

 

 さて、中国の飲食店の多店舗展開ですが、今のところある程度の店舗数があるは吉野家(約150店舗)、サイゼリア(約80店舗)、coco壱番屋(約20店舗)あたりでしょうか。こうしたそうそうたる銘柄の中で雅山の60店舗というのは目立ちます。しかもフランチャイズ展開をスタートしたのは3月からで、もともとの10店舗程度から一気に60店舗程度にまで増やしています(フランチャイズ展開するに当たってはまず2店舗の直営店を1年以上運営しておく必要がありますのでこのような順番になります)。やっぱり一気に店舗を増やすのであればフランチャイズ展開ですね。まあ、台湾系の85Cのように大量の直営店を一気に展開する方法もあるのでしょうが、それをやるには資金力が入りますから。フランチャイズ展開は商品やサービスのレベルの維持が難しいという問題もあり、それを嫌気する企業も少なくないですが、それをやれている企業もありますので、もっともっと研究されてもいい分野なのではないかと思います。そういえば昨年フランチャイズ経営に関するセミナーを開催しましたが、飲食業の参加者はいるにはいましたが、思ったほど多くなかったです。もっと注目されてもいいように思います。