東莞市第一人民法院の統計によると、2007年から2009年上半期の、民が官を訴えた行政機関関連の訴訟案件が709件あり、原告の勝訴率が3%に満たないという結果が発表された。社会保障局が訴えられた案件は3年連続して首位であった。
ここ3年間において、行政機関の敗訴率は3%を超えておらず、これは全国水準よりもかなり低い。以下が統計結果である。勝訴率及び敗訴率は行政機関から見た数値である。
|
訴訟受付
|
結審率
|
勝訴率
|
敗訴率
|
2007年
|
246
|
100%
|
69%
|
2.4%
|
2008年
|
303
|
100%
|
73.3%
|
3%
|
2009年上半期
|
160
|
100%
|
61%
|
2.9%
|
勝訴率と敗訴率を足し合わせて100%にならないのおそらく引き分けっぽい判決や和解が混じっているからだろう。いやあ、しかしそれにしても官は強い!強すぎだ!
東莞の特徴として社会保障局がらみの訴訟案件が多いことが挙げられる。毎年コンスタントに100件前後あり、2007年、2008年、2009年上半期は各々案件総数の40%、29%、25%を占め、行政機関がらみではトップの位置にある。その多くが工傷認定に関する紛争である。いかにも工場が集中している東莞という地域の特徴が良く現れているといえるだろう。
社会保障局の工傷認定案件数が多い理由として以下のものが挙げられている。
① 雇用単位側の工傷保険付保率が低く、雇用単位は訴訟という方式でもって賠償金支払いの引き伸ばしを図る
② 訴訟コストが低い(訴訟一件につき50元)
③ 法律の条文であいまいなものがあり、工傷認定に対する見方が分かれてしまう
④ 労働者の権利意識の高まり
以上の理由であれば今後も公傷認定関係の訴訟は減少していかないだろう。しかしながら、②、③、④はともかく、①の理由についてはまじめにやっている企業にとっては関係ない話だ。とはいうものの、とある地方で聞いた話だが、社会保障関係をまじめに付保していないのが当たり前になっているところがあるようで、そのような地域でまじめに付保するとかえって周りから後ろ指を指されてしまうそうだ。社会保障を付保しないわけだから当然コストは安くなるわけだが、実際に問題が起こったときのことを考えると話したそのような地域に進出すべきか疑問が残る。なんだかんだいってこれからも進出する企業もまだあるだろうが、進出に際してはこのあたりのリスクについても検証する必要があるといえるだろう。