呉明憲コンサルタントの中国ビジネス日記

中国の最新情報を上海・東京・神戸を拠点に活動する株式会社TNCリサーチ&コンサルティングの呉明憲が紹介します。

麻薬に関する処罰

2009年08月10日 | 未分類
  ここ最近は酒井法子が逮捕されたことでテレビに釘付けの人も多いだろう。実は私もそのうちの一人だったりして。それほどファンというわけでもなかったが、日本芸能界で女性で覚せい剤等でつかまったのはAV女優とかBC級レベルのタレントが多く、これだけの大物は今までいなかった(と思う)のでそりゃあ注目するでしょう。さて、日本のことは散々テレビ等で紹介されていると思うので、ここで中国での麻薬(ここでいう麻薬は覚せい剤等も服務広義の麻薬)事情を簡単に調べてみた。
 
 中国では昨年裁判所で結審した麻薬犯罪案件は43726件と、前年比31.4%増加、している。また、昨年法律効力を生じる判決を受けた麻薬犯は50307人、そのうち5年以上の有期懲役、無期懲役、死刑の判決を受けたのが16053人、これもまた前年比23.7%の増加となっている。
 
  麻薬の種類は絶えず新しいものが現れてきており、伝統的なヘロイン、アヘンの比率は減少してきている。2007年の事件に関係するヘロインは麻薬全体の75.42%、2008年は65.88%、今年5月末までは61.28%に減少している。一方で、2007年の事件に関係する覚せい剤タイプの麻薬は麻薬全体の12.55%、2008年は20.44%、今年5月末までは24.71%と上昇してきている。そういわれると日本でもヘロインやアヘンと言う言葉は最近聞かれず、今回の酒井法子のように覚せい剤と言う言葉ばかりが聞こえてくる。流れ的には日本も中国も同じなのだろう。

 さて、中国での麻薬に関する刑罰はどうなっているだろうか。《中華人民共和国刑法》を見てみよう。
 
《中華人民共和国刑法》
347
麻薬を密輸、販売、輸送、製造した者は、数量の多寡を問わず、いずれも刑事責任を追及し、刑事処罰に処さなければならない。
 麻薬を密輸、販売、輸送、製造し、以下の状況のいずれかに該当する者は、15年の有期懲役、無期懲役または死刑に処理、また財産の没収に処する。
  (一)アヘン1000グラム以上、ヘロインまたは覚せい剤50グラム以上またはその他の数量の大きい麻薬を密輸、販売、輸送、製造したとき。
 (二)麻薬を密輸、
販売、輸送、製造する集団の主要分子。
 (三)麻薬を密輸、
販売、輸送、製造するのを武装援護したとき。
 (四)暴力を以って
检查、拘留、逮捕を抵抗拒否し、情状が重大な場合。(五)組織的な国際麻薬販売活動に参加したとき。
 
 アヘン200グラム以上1000グラム未満、ヘロインまたは覚せい剤10グラム以上50グラム未満またはその他の数量の比較的大きい麻薬を密輸し、販売、輸送、製造した者は、7年以上の有期懲役に処し、また罰金を処する。
 

アヘン200グラム未満、ヘロインまたは覚せい剤10グラム未満またはその他の少量の麻薬を密輸、販売、製造した者は、3年以上の有期懲役、拘役または完成に処し、また罰金に処する。情状が重大である場合には、3年以上7年以下の有期懲役に処し、また罰金を課する。

 
単位が第2項、第3項または前項の罪を犯した場合には、単位は罰金に処し、且つ、その直接に責任を負う主管者その他の直接責任者は当該各項の規定により処罰する。
 
未成年者を利用し、または教唆して麻薬を密輸、販売、輸送、製造させる、または未成年者に対して麻薬を売却した者は、重きに従い処罰する。
 
多数回にわたり麻薬を密輸、販売、輸送、製造し、処理を経ていないときは、麻薬の数量はこれを累積計算する。
 
 
ふむふむ、これは売ったり造ったり運んだりした場合か。
 
 
  同じく《中華人民共和国刑法》。
第348条
 
アヘン1000グラム以上、ヘロインまたは覚せい剤50グラム以上またはその他の数量の大きい麻薬を不法に保有した者は、7年以上の有期懲役または無期懲役に処し、また罰金を課する。アヘン200グラム以上1000グラム未満、ヘロインまたは覚せい剤10グラム以上50グラム未満またはその他の数量の比較的大きい麻薬を不法に保有した場合には、3年以下の有期懲役、拘束または完成に処理、また罰金を課する。情状が重大である場合には、3年以上7年以下の有期懲役に処理、また罰金を課する。
 
 
これは所持していた場合を対象としているが、これを見る限りでは酒井法子の「0.008グラムの所持」と言うのは該当するものが見当たらない。ひょっとして罪に問われないのだろうか。
 
 
ところがどっこい、《中華人民共和国麻薬禁止法》の中で、 
第59条
以下のいずれかの行為に該当し、販売を構成する場合、法に依って刑事責任を追及する。反税を構成しない場合、法に依って治安管理処罰を行う。
 (一)麻薬の密輸、販売、輸送、製造を行う場合。
 (二)違法に麻薬を保有する場合。
(後略)
 
いちおうこれが微量に保有していた場合に適用されるものなのだろう。じゃあこの「治安管理処罰」とやらを見てみよう。
 
《中華人民共和国治安管理処罰法》
第72条
以下のいずれかの行為に該当する場合、十日以上十五日以下の拘留に処し、そして二千元以下の罰金に処することができる。情状が軽い場合、五日以下の拘留または五百元以下罰金に処する。
 (一)違法に200グラム未満のアヘン、ヘロインまたは10グラム未満の覚せい剤またはその他少量の麻薬を保有する場合。
(後略)
 
やったー、見つかったあああ!要するの中国で酒井法子と同様なケースの(逃走劇はここでは考えず)の場合、重くて「十日以上十五日以下の拘留に処し、そして二千元以下の罰金」、軽くて「五日以下の拘留または五百元以下罰金」ということだ。うーん、思ったほどたいしたことがないなあ。
 
なお、これはあくまで私が個人的に調べたものであり、弁護士意見じゃないので、念のため申し添えておきますね。