■モスクワの記憶(第346話) 発表1993年8月
評価 ★★★★
依頼人 ロシア政府改革派
ターゲット GRU アレクセイ・ソゴロフ大佐
報酬 不明
今回弾丸発射数 6/ 通算弾丸発射数 1,927
今回殺害人数 3/ 通算殺害人数 4,073
今回まぐわい回数 0/ 通算まぐわい回数 97
<ストーリー>
終戦後のシベリア抑留は日本人将校の裏切りの結果なのか?シベリア抑留の真相に迫る大作・・・
<この一言>
腕の確かな者、という条件以外は、聞いていないが・・・
<解説>
日本人将校の裏切りがシベリア抑留を招いたのか?元関東軍参謀「金子」はシベリア抑留より復員後、弁護士事務所を開いていたが、現在は隠居の身であった。ドイツ人ジャーナリストが、KGBの資料を携え金子を訪れ、シベリア抑留をもたらした日ソ密約の存在について尋ねる。
太平洋戦争末期、金子は参謀長、「二階堂」副参謀長とともにソ連と停戦交渉に臨んだ。関東軍の即時帰国を主張する金子に対し、ソ連に対して労役を申し出る参謀長と二階堂副参謀長。この二人の発言が64万人のシベリア抑留をもたらし、7万人の犠牲者を出したのである。二階堂は戦後最大のフィクサーとしての地位を築き、現在も影響力を行使していた。金子は二階堂に対する復讐を決意、二階堂の裏切りの記録を探すため、ロシアに出向く。
二階堂はソ連の保守派と密接な繋がりを維持していたが、自らの秘密を探ろうとする金子を始末するためGRUの「アレクセイ・ソゴロフ大佐」に金子の殺害を依頼する。一方、危険を察した金子はゴルゴにボディーガードを頼む。実は金子がシベリア抑留時代に命を助け、現在は改革派に影響力を持つロシアの大物政治家が、ゴルゴにソゴロフ大佐の殺害と金子の警護を依頼していたのである。ゴルゴが金子をソゴロフ大佐を殺害すると、二階堂は自らの敗北を悟り自害、金子の復讐が果たされる。
シベリア抑留に関する密約は存在するのか?太平洋戦争末期の最大の歴史ミステリーに迫る大作。登場人物すべてが因縁で結ばれており、綿密に練られたストーリー展開が絶妙である。二階堂は「瀬島龍三」がモデルとされるが、瀬島龍三がソ連側と抑留に関する密約を結んだかどうかは史実として明確になっていない。
ズキューン
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>ストーリー展開が絶妙
思わず3回も読み返してしまいました。ただ、敢えてひとこと言わせてもらうと、いくら二階堂の“頭がきれる”とはいえ、たった一人でソ連を手玉に取ることはできないと思います。
本日の一句「金のため、金子を裏切り、弾くらう」
>思わず3回も読み返してしまいました
そうなんです。本作もそうですが、ゴルゴシリーズの中には、1回読んだだけで意味が良く分からない作品がありますよね。漫画(劇画?)なのに難しいって・・・
瀬島龍三が密約を結んでいなかったとい証拠がでたよね
今更ながら書いちゃった
>瀬島龍三が密約を結んでいなかったという証拠
実は本作を読んで『瀬島龍三』を初めて知りました。非常に興味深い、謎めいた人物ですね。『瀬島龍三』関連の著作が数多く出版されているようなので、勉強します。
脚本担当は、このエピソードで脚本デビューした国分康一です。彼はこの後『白い皇軍』『50年目の亡霊』と大戦秘話シベリア3部作を完成させてますね!!
彼は割と謀略物が好きでして、現在でも横溝邦彦、綾羅木恭一郎、氷室勲、品川恵比寿と共に、ゴルゴ脚本スタッフの中核をなしています。
貴重な情報、ありがとうございます。
シベリア3部作、どれも読み応えがありますね。国分康一氏の他作品が気になります。
>ゴルゴ脚本スタッフの中核をなしています
なるほど~現役で活躍中なのですね。しっかり脚本家のクレジットもチェックします!
ちなみに、山崎豊子の小説『不毛地帯』の第1巻の内容の9割は、シベリア抑留の話にページが割かれています。
とにかく、凄まじいの一言。
そんな過酷な状況を体験した人達に追い打ちをかける事が帰国後に待ち受けていました。
周囲から『アカ』呼ばわりされて、それを理由にされて就職できなかったり等がたくさんあったそうです。
※小説の主人公は瀬島龍三がモデルとする説アリ
※『不毛地帯』は山崎作品では
『戦争三部作』の第一部にあたる
私も一言コメントを(笑)
カイさん、順序が逆ですよ~!旧ソ連は、満州方面軍のシベリア抑留が前提にあって、そのための日ソ不可侵条約の破棄なんですよ~!
旧ソ連はシベリア開発の為に第二シベリア鉄道としてのBAM鉄道(バイカル・アムール鉄道)建設が急務でした。
しかし、その建設に従事させる為の数十万の労働力をどうするかが問題でした。そこで白羽の矢が立ったのが満州方面軍の約60万の兵でした。この辺の事は『シベリアの汽笛』でも触れられていますね。
そもそも、条約破棄はポツダム会議で決まっていたことであり、後は破棄の時期でした。
アメリカが広島・長崎に原爆を落とした事により、このままでは満州方面軍を拘束・抑留させる前に日本が無条件降伏してしまうと危惧しての条約破棄だったんですよ~!!
■カイさん、山崎豊子は深いですね~
■マリヨ神父さん、歴史は深いですね~。国益とは?戦略とは?ということを考えさせられます。
国民学校(今の小学校)に通っていた時に、さいとう先生は終戦を経験しています。
その終戦を通して先生が学んだ事が一つあります。
それは、
「悪の定義は時代によって変わる」
との事。
確かに、大戦以降の世界の歴史を見ると、
ソ連を中心とした社会主義→イスラム過激派
とシフトしてますね。