ゴルゴ13総合研究所『俺の背後に立つな!』

ゴルゴ13の全ストーリーを解説

ゴルゴ13第46巻-3B&Cクラブ会員死す

2007-02-13 00:32:39 | 第046巻~第050巻

■B&Cクラブ会員死す(第164話) 発表1978年12月

評価     ★★

依頼人   不明

ターゲット  米上院特別査問委員会 エルドリッジ・フォアマン上院議員

報酬     不明

今回弾丸発射数       9/ 通算弾丸発射数 1,020

今回殺害人数         9/ 通算殺害人数     933

今回まぐわい回数     0/  通算まぐわい回数    74

<ストーリー>
仕事を終えフロリダのエバー・グレーズに降り立ったゴルゴ。しかしそこには、名ハンターの団体ブーン&クロケットクラブの面々が待ち構えていた・・・

<この一言>
せっかく命を賭けてゲームを楽しもうとしたんだろうが・・・途中でオリちゃ、みんなに悪いぞ・・・

<解説>
アメリカの名だたるハンターで構成される「ブーン&クロケットクラブ」のメンバー8人がエバー・グレーズに集結。上院議員を射殺した犯人がエバー・グレーズに逃げ込んだことを知った8人は、初めて人間をターゲットにゲームができると喜び、犯人を銃で狙う。しかし、上院議員狙撃犯であるゴルゴは、次々とブーン&クロケッツのメンバーを射殺。ゴルゴが薬莢を笛のように鳴らすと、メンバー達は恐慌に陥る。ハンターが獲物を前にしたときに、恐怖や興奮のために思いも寄らぬ行動をとることをバック・フィーバーというが、ゴルゴはベテラン・ハンター達をバック・フィーバーに陥れ、皆殺しにしたのであった。

いくら人間を撃ったことのない狩猟家達が相手とはいえ、本作のゴルゴは無防備で不用意過ぎる。遮蔽物の無いところに立ちつくしたり、孤立した樹木に上ったりと自らを危険にさらす様はゴルゴらしくなく、命を落としてもおかしくない行動に不満が残る。

ズキューン

ゴルゴ13 (46) 巻掲載
★ゴルゴ・グッズ紹介 デイブ・マッカートニーの店★

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ゴルゴ13第46巻-2PRIVATE TIME

2007-02-12 00:28:08 | 第046巻~第050巻

■PRIVATE TIME(第163話) 発表1979年9月

評価     ★★★★★

依頼人   なし

ターゲット  なし

報酬     なし

今回弾丸発射数       0/ 通算弾丸発射数 1,011

今回殺害人数         0/ 通算殺害人数     924

今回まぐわい回数     0/  通算まぐわい回数    74

<ストーリー>
カリブ海に姿を現したゴルゴ。ゴルゴが乗り込んだヨットは診療船だった・・・

<この一言>
見ての通り・・・診療船だ・・・

<解説>
カリブ海に現れたゴルゴをFBI捜査官ブラウニーがマークする。ゴルゴが沖合に停泊している豪華ヨットに乗り込むと、すかさずヨットを検査するブラウニー。しかし、ブラウニーが見たのは診療設備を満載した「診療船」であった。ゴルゴは休暇を利用して人間ドックを受けていたのだ。

ゴルゴが人間ドックのための診療船を持っていること、医者が舌を巻くほどの医学知識を持っていることが明らかになる貴重な小作品。ブラウニーのつぶやきが本作の全てを物語っている。
「やつは・・・たとえプライベートタイムでも戦っているんだ・・・」

ズキューン

ゴルゴ13 (46) 巻掲載
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ゴルゴ13第46巻-1国王に死を

2007-02-11 22:24:51 | 第046巻~第050巻

■国王に死を(第162話) 発表1979年10月

評価     ★★★★

依頼人   スイス”ナショナル銀行”会長(ドワイト・D・グリンヒル)

ターゲット  イラン ムハマド国王

報酬     300,000スイスフラン

今回弾丸発射数       1/ 通算弾丸発射数 1,011

今回殺害人数         1/ 通算殺害人数     924

今回まぐわい回数     0/  通算まぐわい回数    74

<ストーリー>
イラン革命で追われた国王の預金払い戻しで揺れるスイス”ナショナル”銀行。スイス銀行の伝統と信頼を揺るがすデフォルトを防ぐために、銀行会長が下した決断とは・・・

<この一言>
あんたは、そんな投機的な人間じゃなかったはずだ・・・

<解説>
イラン革命を題材にしたストーリー。1979年1月16日、イラン「ムハマド国王」はモロッコへ脱出、同日「フセイニ師(史実ではホメイニ師)」がメッセージ『世界の諸銀行の国王とその一家に対する資産払い戻しの禁止』『国王に死を』というメッセージを発表する。
イラン新政府はスイス”ナショナル銀行”の会長と頭取に、国王一家の資産は新政府に帰属するため国王一家への払い戻しをしないよう要請する。一方のムハマド国王側は即時の資産払い戻しを要求、顧客を守るスイス銀行の伝統と信頼を維持すべく支払いに応じる。
しかし、ムハマド国王の資産は「ボロ株」で運用されており、このままではデフォルト(債務不履行)に陥ることが発覚。「親子の情に溺れ、能力のない息子に頭取の椅子をゆずった」会長の世襲経営がスイス銀行全体の信用不安を誘発する事態となったのである。

思い悩んだ会長は、ムハマド国王の殺害をゴルゴに依頼する。ゴルゴは頭取に対し「あんたは、そんな投機的な人間じゃなかったはずだ・・・」と辛辣な言葉を投げつける。依頼を受託したゴルゴは国王の狙撃に成功、直後に頭取は事態の責任を取るべく自殺する。何も知らないどら息子の頭取は、国王の死を知ると父親の早まった自殺を嘆き、葬儀に向かうのであった。

第2巻-5『南仏海岸』第3巻-6『最後の間諜-虫-』 に登場したスイス”ナショナル銀行”頭取が、息子に頭取の座を譲り会長として登場する。『南仏海岸』で、銀行の名はスイス”ナショナル銀行”、会長の名は「ドワイト・D・グリンヒル」と紹介されている。また、ゴルゴの口座番号は『最後の間諜-虫-』で「F5R6I5D1A3YX」と記されており、これは「FRIDAY」×「ゴルゴ13」のアナグラムになっている。口座番号は本作時点でも変更はないとゴルゴが明言している。

登場回数こそ少ないが存在感のあるサブキャラクター「ドワイト・D・グリンヒル」が本作で死を迎えてしまうのは残念だ。だが、1979年に彼が残した教訓と問題提起は、今日のビジネスシーンにおいても大きな課題となっている。
○銀行の守秘義務とマネーロンダリング
スイス銀行に限らず銀行には顧客の秘密を漏らさない守秘義務が課せられる。同時に、犯罪行為などで得た資金の隠匿を目的としたマネーロンダリング(資金洗浄)の防止と報告が義務づけられている。昨今、日本のメガバンクがアメリカでマネーロンダリングの監視が甘いと指摘される事例が散見されている。二律背反的な守秘義務とマネロンの報告義務は、銀行に忠実な運用が求められる大きな課題であろう。
○債務不履行
銀行の不良債権問題は片がついたと報道されているが、今後、銀行が投資銀行的なスタンスを強めていくと不良投資資産が問題となるだろう。銀行本体での投資規制はなされているものの、収益確保に邁進する銀行は投資業務への比重を増していく。不良投資先が原因で預金者に対するデフォルトが発生したら、「銀行は、そんな投機的な組織じゃなかったはずだ・・・」と批判されるに違いない。
○世襲問題
いつの世にも、どの組織にも排斥することのできない問題。世襲の全てが悪ではないが、一度問題がおこれば世襲であることの批判を受けることを覚悟しなければならない。親子の情に溺れ能力のない子息に権力を移譲するのはそれなりの根拠と覚悟が必要だ。がんばれ、スイス”ナショナル銀行”頭取!

ズキューン

ゴルゴ13 (46) 巻掲載
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ゴルゴ13第45巻-3トリポリの埋葬

2007-02-10 17:34:27 | 第041巻~第045巻

■トリポリの埋葬(第161話) 発表1979年8月

評価     ★★★

依頼人   イスラエル秘密警察モサド

ターゲット  元警視庁公安一課特殊処理班副長 川路大道

報酬     不明

今回弾丸発射数       1/ 通算弾丸発射数 1,010

今回殺害人数         1/ 通算殺害人数     923

今回まぐわい回数     0/  通算まぐわい回数    74

<ストーリー>
リビア革命評議会議長カダフィ殺害を企てる元公安特殊処理班・川路。日本政府はカダフィ殺害を阻止すべく、川路の殺害を川路の部下であった鷹谷に命令する・・・

<この一言>
鬼百合も摘みとるのか・・・?

<解説>
川路大道は公安特殊処理班在職時、日本赤軍関連の事件「ハーグ・フランス大使館占拠事件」「ダッカ空港事件」の特殊処理任務に失敗した。カダフィの差し向けた工作員により任務を妨害されたことを知った川路は公安を退職、私怨を晴らすべくカダフィ暗殺を企てる。川路の動きを知った日本政府要人は川路殺害を公安に指示、川路の部下であった鷹谷に白羽の矢が立つ。ちなみに政府要人は、セリフ中に「あ~、う~」が多用されていることから本作発表時の総理大臣「大平正芳」と推測される。
リビア・トリポリ空港で鷹谷はゴルゴを目撃する。鷹谷は公安にゴルゴの件を報告するがその時の会話により、公安内でゴルゴは「鬼百合」と呼ばれ、管理番号は「A-32」、「アジア人」と目されていることが判明する。また、公安幹部が「大平総理」にゴルゴを説明する際、「日本人もしくは日系米人と噂されている」と語っているが、これは 第44巻-1『モンゴルの鷹』 でカンボジア革命評議会の資料がゴルゴを「日本人もしくは日系米人」と記していることを受けての発言だろう。
カダフィを狙う川路に鷹谷は肉薄、にらみ合いが続くなか、ゴルゴがヘリコプターより川路を狙撃、舞台に幕が引かれる。

公安特殊処理班の師弟対決がメインストーリーであり、最大の見どころは当時現職の大平総理が殺害命令を公安に指示しているシーンだろう。

ズキューン

ゴルゴ13 (45) 巻掲載
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ゴルゴ13第45巻-2ヒューム卿最後の事件

2007-02-09 01:10:13 | 第041巻~第045巻

■ヒューム卿最後の事件(第160話) 発表1979年11月

評価     ★★★★★

依頼人   元MI6部長 ヒューム卿

ターゲット  ジョン・バグネル・ベリィ/バグネルの軍用犬

報酬     前金£30,000+後払£30,000

今回弾丸発射数       4/ 通算弾丸発射数 1,009

今回殺害人数         8/ 通算殺害人数     922

今回まぐわい回数     0/  通算まぐわい回数    74

<ストーリー>
余命1ヶ月と診断された元MI6部長のヒューム卿。自らの生命保険を担保に最後の依頼をする・・・

<この一言>
新聞も読めぬほど具合が悪いのか・・・

<もう一言>
退職者のあんたが・・・なぜそう無理をする・・・?

<解説>
タイトルが示すとおりヒューム卿の最後の事件。ゴルゴと深い信頼関係を築いたMI6元部長のヒューム卿は病に冒され、余命1ヶ月と診断される。女王陛下に対する最後の奉公として私財を投じゴルゴに殺害依頼を行うが、報酬の支払い方法は「前金£30,000+死亡生命保険£30,000」というもの。ゴルゴへの報酬は原則的に前金制だが、ゴルゴはヒュームの病状と死亡保険金であることを慮ったのだろう、変則的な支払い方法を承諾している。ヒュームに向けるゴルゴの言葉も「退職者のあんたが・・・なぜそう無理をする・・・?」「新聞も読めぬほど具合が悪いのか・・・」といつになく優しさを滲ませており、これから訪れるヒュームの死を思うと涙なしには読めない。

ヒュームの依頼をうけ、軍用犬の調教師「ジョン・バグネル・ベリィ」とその犬を始末に行くゴルゴ。バグネルとの対峙、犬・狼の群との格闘シーンは緊迫感がみなぎり、非常にスリリングだ。ゴルゴはバグネルの愛犬「アルゴス」を仕留め、その牙をヒュームに送ることで任務遂行を報告するが、ヒュームはその結果を知ることなく事切れる。しかし、 第29巻-1『女王陛下の憂鬱』でゴルゴを「世界で一番信用できる男」と評していたヒュームは、ゴルゴの任務遂行を確信していたことだろう。

ヒューム卿の登場は12回。
<ヒューム卿登場作品>
第3巻-3『メランコリー・夏』
第3巻-5『ベイルートVIA』
第6巻-3『17人の渇き』
第9巻-5『暗い街灯の下で』
第10巻-4『リオの葬送』
第10巻-5『ナチス鉤十字章は錆びず』
第14巻-2『カリブ海の死影』
第17巻-2『欧州官僚特別便』
第19巻-1『ジェット・ストリーム』
第29巻-1『女王陛下の憂鬱』
第44巻-2『薔薇の下で』
第45巻-2『ヒューム卿最後の事件』
ところで、 第1巻-1『ビッグ・セイフ作戦』の依頼人は、若き日のヒュームなのだろうか?顔つきがヒュームに似ている。ヒュームだとすれば通算登場回数は「13」回となり、ゴルゴとの因縁がますます深くなる。

第19巻-1『ジェットストリーム』のメッセージをヒュームの墓碑銘とし、筆を置く。
”同志に告ぐ、「賛美歌13番」を斉唱し、これをただひたすら願う、母の命にかけて、すべてを誓いつつ・・・ヒューム”

合掌

ズキューン

ゴルゴ13 (45) 巻掲載
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