ゴルゴ13総合研究所『俺の背後に立つな!』

ゴルゴ13の全ストーリーを解説

ゴルゴ13第47巻-1暗黒海流

2007-02-15 00:04:57 | 第046巻~第050巻

■暗黒海流(第166話) 発表1980年1月

評価     ★★★★

依頼人   内閣調査室 高村室長

ターゲット  元陸軍情報部 木暮甚介大佐

報酬     $200,000

今回弾丸発射数      16/ 通算弾丸発射数 1,037

今回殺害人数        11/ 通算殺害人数     945

今回まぐわい回数     0/  通算まぐわい回数    74

<ストーリー>
第二次世界大戦末期、財宝を満載した輸送船「安房丸」はアメリカ軍により撃沈させられた。戦後34年経ち、安房丸が引き上げられたが財宝は残っていなかった。財宝の行方を巡り、政治家・防衛庁・内閣調査室が暗闘を繰り広げる・・・

<この一言>
それとも・・・俺が知らないと、思っているのか・・・?

<解説>
1945年4月、輸送船「安房丸」は総額1兆円とも言われる財宝を満載し日本へ向かっていた。輸送船ということでアメリカ軍の攻撃を免れるはずであったが、アメリカ潜水艦「キング・フィッシュ」により安房丸は撃沈された。
1979年、中国は安房丸の引き上げを行うが財宝は発見されなかった。元陸軍情報部「木暮甚介」大佐が財宝を横領し、その資金力を背景に木暮が戦後の政治を牛耳ってきたのであった。

内閣調査室「高村室長」は自分の家族が安房丸に乗っていたことから、木暮の横領を恨み、ゴルゴに木暮の殺害を依頼する。同時に高村は、木暮がゴルゴに狙われているとの情報をリークし、木暮にプレッシャーをかける。さらに高村は、木暮に安房丸に関する疑惑をぶつけ、持病である心臓発作を誘発させる。
病院に運び出されるところをゴルゴに狙撃され、木暮はその生涯を閉じる。

史実に基づく緑十字輸送船撃沈事件を題材にした本作。本作中の「安房丸」は史実では「阿波丸」であり、「キング・フィッシュ」は「クイーン・フィッシュ」である。
内閣調査室「高村室長」と大物政治家「木暮」との心理戦がスリリングだ。第二次世界大戦中の日本軍の財宝を巡る話は、 第26巻-2『聖者からの依頼』 で山下財宝が取り上げられている。M資金をはじめとする日本軍の財宝を巡る伝説、そしてその流用による政財界の立て役者の暗躍。陰謀史観とも取られそうだが、非常に興味深い題材であることは確かで、本作も日本軍物資をフックに読み応えのある内容になっている。
交番にゴルゴの指名手配写真が掲示されたり、日本国内での銃器調達の困難さをゴルゴが克服する過程が描かれていたりと、日本でのリアルなゴルゴの活躍が描かれているのも興味深い。

ズキューン

ゴルゴ13 (47) 巻掲載
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