極東極楽 ごくとうごくらく

豊饒なセカンドライフを求め大還暦までの旅日記

GIな磁気抵抗メモリ

2012年09月11日 | デジタル革命渦論

 

 

【デジタル革命の渦中】

デジタル革命は、高度資本主義社会、電子情報通信技術の進展とともに胎動し産み落とされ、現代
進行中である。反面、急速に膨張した人類の経済活動は、エコロジカル・フットプリントでの環境
容量を遙かに凌いでしまった。端的な例を示せば、2006年の世界のエネルギー消費量に比べ通信情
報機器の急増により、2025年には9.4倍の4.6兆kWhに達すると見込まれている。つまりは、21世紀
の最大の課題は「地球環境ガバナンス」であり、地球環境劣化、人口増加、南北格差拡大等の人類
社会の持続可能性(サステナビリティ)の問題を解決しなければ人類が滅亡するような破局を否が応
でも想定しなければならなくなったことだ。民主的な社会では、個々の人々がサステナビリティに
関する十分な知識を有して、判断し、行動するのでなければ「地球環境ガバナンス」という目標を
達成することは到底不可能だ。このような意味で、人々がいつでもどこでも必要な情報にアクセス
でき、リスクと便益とを考慮して意志決定し、行動し、意見を述べ、政策決定に参加し得る高度情
報化社会、ユビキタス社会の実現が、人類社会の持続可能性を高める前提となる。で、その核心を
なすのが、科学技術コミュニケーション(Science and Technology Communication =STC)というわ
けだが、肝心要の電子情報通信技術等の世界消費エネルギーが「地球環境ガバナンス」を超えるよ
うな事態が各地で生じるとも限らないのだが、そこで、従来のフラッシュメモリー、FeRAM(強誘
電体メモリー)など半導体以外として、日本半導体「救世主」の期待を担う次世代メモリー「MRAM
」の開発が急加速し、スマートフォンやタブレットPCの誕生により消費電力は飛躍的に急増してい
ることに対応し、消費電力をさらに低減できる切り札として注目を集めている。それが、スピント
ロニクス技術を応用したMRAMという次世代メモリーだとわれている。

 

【グリーンイノベーションの1つ】

磁気抵抗メモリは、磁気を利用した記憶素子。N-Sという磁力極性を利用した記憶媒体(磁気ディ
スク装置や磁気テープ装置など)ではなく、電子のスピンをメモリ素子として利用するスピントロ
ニクスを採用している。これを解説するのは難しいが、構造はおおよそDRAMと似ており、DRAMにお
けるキャパシタ部分をMTJ(Magnetic Tunnel Junction、磁気トンネル接合)素子に置き換えたよ
うな形をしている。MTJ部分には、各MTJを選択するための電界効果トランジスタ(MOS FET)が附
属している。右の図のように、下から順にMOS FETとワード線、MTJ、ビット線が積み重なっている。
MRAMの記憶はMTJで行なう。MTJは2つの強磁性層のうち片方は磁化が固定されており、他方は磁化
が可変であり、間に障壁となる薄い絶縁層がある。一方の磁性層の磁化の方向を固定し、他方を変
化させることで抵抗値の高低を切り替え、0と1に対応させる。MTJは、2つの磁性層の磁気の向きが
違う時に抵抗が高く、同じ時に抵抗が低い(GMR効果、TMR効果)。



MRAMは記憶に磁化状態を利用しているため不揮発性で、DRAM等とは異なり、電源を切っても記憶状
態が保存されるという特徴がある。 研究レベルでは、SRAMと同様に高速なランダムアクセス性能、
(数ナノ秒)が実現されている。GMR効果を用いたMRAMに代わり、近年は大容量化に有利なTMR効果
を用いたMRAMの研究開発が盛んになっているが、外部からの強磁界に弱いという短所がある。これ
はMTJの可動層の磁化方向そのものではなく両面の磁化方向の違いにより情報を記憶するため、固
定層の磁化方向が狂ってしまうと正常に読み出しできなくなり、回復不能になることによる。また、
書き込み方式は、電流磁場とスピン電流磁場の2方式がある




以上が磁気抵抗メモリの概要であるが、MRAMの分野における技術開発は、日本が東北大学が多くの
特許を持っており、トンネル磁気抵抗を世界に先駆けて実証したのが産業技術総合研究所で最先端
開発をリードしている。日本の半導体産業はここにきて、一気に右肩下がりの状況にあえいでいる
が、MRAMの分野では日本勢は、特許の多くを押さえ、最先端開発で先行し、量産移行や装置の開発
でも有利に進めている。また、量産移行についても特に東芝・ハイニックス連合の技術は先行して
いると見られ、起死回生の逆転をかけて、MRAMおよびこれを応用したシステム LSIの次世代に向け
た戦いが始まった。折しも、サムスンも米国・グランディス社を買収し、450mm ウエハーのターゲ
ット材を日本の材料メーカーから調達するなど日本の巻き返しに警戒を緩めていない。

 

スピントロニクスをベースとするデバイスだけがDRAMやSRAMを置き換えられる可能性を秘めている
といわれる。これは、待機電力を99%削減する、あるいはゼロにする可能性が大きいためだ。だか
ら今夜のブログテーマとしたのだが、スピントロニクスデバイスの構造は絶縁体を強磁性体ではさ
むサンドイッチ構造であり、電荷を帯びた電子を応用するエレクトロニクスに加え、電子が帯びて
いる磁気であるスピンも利用する。ただ、これからの課題には微細化対応があり、90nmまではこな
せるといわれるが、その後の開発が重要になってくるという。材料面の改良が必要であり、MgOを
コバルト/鉄/ボロンでサンドイッチしているのが現状であるが、新材料採用が必要となってくる。
下地の材料も含めて様々な開発競争が繰り広げられるとみられている。



このように、グリーンイノベーションのホープとして期待されているわけだが、選択と集中に謬り
がなければ
なければリベンジも世界貢献も可能だろう。現実はどれほどのスピードで開発波及すべ
きは、まさに「地球
環境ガバナンス」に依拠するところである。今夜は、久しぶり半導体メモリを
取り上げた。コーヒーCMに「日
本人はうるさい」というのがあったが、大局を見据えて機動的戦
略をトップダウンすることには長けてないと
いう意味で使うのだが、勿論、個々の能力はどの国よ
り優れているのだか、上手くそれを引き出せないとい
うリーダシップを問題にしていうのだが、半
導体や液晶テレビなどで韓国・台湾・中国勢に圧倒されている現
状に多少苛ついていたのもその理
由かもしれない。

関連特許などにも踏み込んで、一気通貫のローコスト、ローロードな製造システムについて考察し
たかったが、やりすぎると、統合失調症ゾーンに入ってしまうので急遽引っ返してきた ^^;。
それにしても、短時間でやっけるのはほんまにきついわ!  

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