理想的な官僚とは、憤怒も不公平もなく、さらに憎しみも激情
もなく、愛も熱狂もなく、ひたすら義務に従う人間のことである。
マックス・ウェーバー
来日中のフィリピンのベニグノ・アキノ(Benigno Aquino)大統領は3日、都内で行った講演で、
中国をナチス・ドイツ(Nazi)になぞらえ、世界各国は中国に対し宥和政策をとり続けることは
できないとの見解をほのめかしたという。 それによると、中国は、南シナ海の国際水域におい
て大型軍用機が離着陸できる滑走路の建設を含む埋め立て計画を急ピッチで進めており、各国か
ら懸念の声が上がっている。都内で開かれた国際交流会議「アジアの未来)」に出席したアキノ
大統領は、中国の脅威とそれを抑制する米国の役割に関する質問を受け、「真空状態が生じて、
例えば超大国の米国が『わが国は関心がない』と言えば、他国の野望に歯止めがかからなくなる」
と回答。
さらに、「私は歴史学を学んだアマチュアにすぎないが、ここで思い出すのは、ナチス・ドイツ
がさぐりを入れていたことと、それに対する欧米諸国の反応だ」と述べ、第2次世界大戦勃発の
前年にナチス・ドイツがチェコスロバキア・ズデーテン地方を併合した際、「誰もやめろと言わ
なかった」と指摘したという。ともあれ、ナチズムとボリシェヴィキズムはシャムの双生児であ
るとは故・内村剛介 のもの言いだったと記憶するが、「天安門事件」から26年、スペインの記
者が「日本に歴史正視を求めている中国は、いつになったら天安門事件を正視するのですか?」
という質問に、華春瑩(ホア・チュンイン)報道官は「政府の正当性」を繰り返すだけだったと
言う。1982年この事件の発端に多少なりとも関係したわたしにとっては、余りにも大きな課
題を背負ったままにいる中国をあらためて直視させられたニュースだ。
外務省は2日、韓国・中国への旅行を計画中、または現地に滞在している日本人に向け、注意を
呼び掛けた。また、韓国での感染拡大が日本でも大きく報じられる中、日本のネット上には、日
本へのウイルス流入を防ぐ対策を取るべきとの声が出ている。ネットユーザーの中には、「韓国
でのMERS拡大が心配だ」としながらも「日本へのMERS流入防止に韓国人の入国禁止も考える
べき」と書き込んでいるとか。3日、韓国国内の感染者は30人に増え、隔離対象者は750人
となりまた、この影響で訪韓を予定していた海外の観光客のキャンセルが相次ぎ、観光業界は打
撃を被っているという。
MERSコロナウイルス(マーズコロナウイルス Middle East respiratory syndrome coronavirus, MERS-
CoV)は中東呼吸器症候群 (Middle East respiratory syndrome, MERS) の病原体。SARSコロナウイ
ルスに似たコロナウイルス(ベータ型)で、2012年にイギリスロンドンで確認された。2015年5
月30日現在の合計では、1149人感染(韓国12人を含む)、431人死亡。感染地域は2015年5月に中
国、香港、韓国に広がっている。そもそも、2012年9月に初めて報告され(感染者の入院は6月
13日、死亡は6月24日。サウジアラビアのジェッダ)、2013年12月現在、中東地域で感染拡大中
の新型コロナウイルスの流行である。肺炎(異型であるので診断に注意が必要)を主症状として
おり、死亡率が40~50%前後と非常に高いとされる。
●予防 石鹸による手洗い、マスクの装着、人の触る所の消毒などが予防となる。洗っていない
手で、目や鼻や口などの粘膜に触らないように要注意。また、ウイルスの付着しやすいマスクの
表面には触らないよう要注意。また、病人との接触は控えた方が良く、このマーズでは無いが、
シンガポールでのSARSの例では、病院における医療従事者・家族・見舞い客への感染が多かった。
公共交通機関においても密接接触(2メートル以内での接触)は危険。
さらに、病人の排泄物からの感染に要注意必要がある。香港でのSSARSの例では、スーパース
プレッダーによって、ホテルや団地でも大感染が起きている (メトロポールホテル9階、アモイガ
ーデンE棟)[64]。アモイガーデンE棟での大感染の原因は、団地の下水施設に問題があり、排泄物
の粒子が逆流したことと見られているため、下水の匂いがする場所には近づかない方が良く、メ
トロポールホテル9階での大感染の原因は、病人のトイレを清掃した器具で部屋の掃除をしたこと
とされるため、清掃器具の消毒に要注意。
●治療 治療法は確立していない。動物実験において、リバビリンとインターフェロンα2bの組
み合わせが肺炎の発症を抑制するという報告があるが、既に急性呼吸窮迫症候群となっていたエ
ジプトでの5人の重症患者では、これらの組み合わせの投与での治療に失敗。また、HIV薬のロピ
ナビルや回復期患者の血漿に効果がある可能性がある。セリンプロテアーゼ阻害剤の「カモスタ
ット(英語版)」が、培養細胞レベルで、コロナウイルスの活性化に使われるTMPRSS2(英語版)
を阻害し、MERSコロナウイルスの細胞内への侵入を防ぐことが見つかっているという。
国立感染症研究所
それにしても、エボラ出血熱が終息宣言もされずにいるなかで、こんどはマーズ(中東呼吸器症候群)だし
デング熱は昨年を上回る勢いだとか、エイズは相も変わらず減らないし、本当に、東京オリンピックだと、
浮かれている場合ではない状況がつづくね。
LIXIL(リクシル)は東北大学の研究グループと共同で「ゼロ・エネルギー・トイレ(ZET)」の
実証プロジェクトを進めている。災害時に停電が発生しても、トイレを快適に使えるようにする
ことが目的だ。東日本大震災による停電で東北大学のトイレの利用環境が著しく悪化したことか
ら、非常時にも継続して利用できる常設トイレの実現を目指すしていたが、
システム原理は、発電のエネルギーには水洗トイレの便器に水を供給する時の水流を利用する。
日常の生活環境に存在する微小なエネルギーで電力を作る「環境発電」の一種である。LIXILは
発電能力などのデータを公表していないが、水洗トイレのわずかな水流で発電できる電力は極め
て小さい。こうした環境発電の技術に加えて、蓄電池と高効率のLED照明を組み合わせた。LED照
明は暗い場所でも明るさを高める効果のある短波長の光を発する仕様で開発。電力の使用量を最
小限に抑えながら、最低限の明るさを確保することができ、災害時に上下水道の機能が維持でき
ていれば、停電が発生してもトイレの使用に支障を及ぼさないで済むというもの。
これは古いニュースだ。東京大学(東大)は5月28日、悪性度の極めて高い小細胞肺がんを移植し
たマウスに、がん細胞にのみ結合する抗体「90Y標識抗ROBO1抗体」を投与したところ、腫瘤が著
明に縮小することを確認したと発表している(上図参照)。
肺がんは、がんの中で最も罹患率・死亡率が高く、その内、成長が早く転移しやすい小細胞肺が
んが約15%を占め、身体の他の部位までがんが広がってしまっている段階の進展型小細胞肺がん
は、悪性度が高く、有効や治療法が確立されていない。今回、研究グループは、放射性同位元素
で標識した「がん細胞にのみ結合する抗体(90Y標識抗ROBO1抗体)」を開発し、実際に、小細胞肺
がんを移植したマウスに投与したところ、がん細胞を殺傷し、腫瘤を縮小させる効果があること
を確認したもの。
こうした抗体を投与して、がんに集積させることで、小細胞肺がんを移植したマウスの体内から
放射線治療をする「放射免疫療法」が、進展型小細胞肺がんの根治や余命の改善に向けた治療法
の確立につながることが期待できる。今後は、同薬剤の治療効果と副作用に関する詳細な評価に
加え、治療効果や副作用のさらなる改善を目指して、化学治療との併用治療や、別の治療用放射
性同位元素の導入、抗体の小分子化などを検討していくとするほか、抗体の体内動態を可視化す
ることで、SPECT/PETイメージング用診断薬の開発につなげていくという。
「古賀の乱ってなんだ "I am not ABE"」(『進撃のヘーリオス Ⅱ』2015.04.04)で 触発され
るように、積んでおいた本を取り出し読みはじめた。そして、この国の政体を考えみよう。その
結果、どのようになろうとも未来志向できる手がかりを明らかにしたという動機から掲載してい
きたい。まずは第5章から読み進める。
福島のメルトダウンは必然だった…政府閉鎖すら起こる2013年の悪夢とは!?家族の
生命を守るため、全日本人必読の書。「日本の裏支配者が誰か教えよう」。経産省の現役幹
部が実名で証言。発電会社と送電会社を分離する発送電分離。このテーマについて本気で推
進しようとした官僚が何人かいた。あるいは核燃料サイクルに反対しようとした若手官僚も
いた。しかし、ことごとく厚い壁に跳ね返され、多くは経産省を去った。私も十数年前、発
送電分離をパリのOECDで唱えたことがあるが、危うく日本に召喚されてクビになるとこ
ろだった。その理由とは何だったのか――。(「序章」より)。改革が遅れ、経済成長を促す
施策や産業政策が滞れば、税収の不足から、政府を動かす資金すらなくなる。そう、「政府
閉鎖」すら起こりかねないのだ。いや、そうした危機感を煽って大増税が実施され、日本経
済は奈落の底へと落ちていくだろう。タイムリミットは、ねじれ国会を解消するための参議
院議員選挙がある2013年、私はそう踏んでいる。(「まえがき」より)
古賀 茂明 著『日本中枢の崩壊』
目 次
序 章 福島原発事故の裏で
第1章 暗転した官僚人生
第2章 公務員制度改革の大逆流
第3章 霞が関の過ちを知った出張
第4章 役人たちが暴走する仕組み
第5章 民主党政権が躓いた場所
第6章 政治主導を実現する三つの組織
第7章 役人―その困った生態
第8章 官僚の政策が壊す日本
終 章 起死回生の策
第2章 公務員制度改革の大逆流
天下り天国が生んだ原発事故
さて、ここで、新しい、民間派遣を使った天下り規制の脱法策を説明しよう。 たとえば、
経産省の幹部級職員A氏が54歳で東京電力に現役のまま派遣される。A氏は長年、電力行
政に携わってきたが、過去2年間は経済産業政策局の審議官を務めており、電力業界所管で
はないので、こうした派遣が許されてしまう。給料は最低でも現在の水準が維持され、東電
に支払ってもらう。その分役所の負担はなくなる。派遣期間は原則3年以内だが、理屈をつ
けて5年に延ぼすことができる。
その間、派遣されたA氏は東電のためになるように経産省とのパイプ役として汗をかく。
その甲斐あって、A氏と束電の間で退職後は東電に再就職するという密約がなされる。5
年経って経産省に戻ったA氏はほどなく60歳を迎え定年退職する。その際、54歳からの
5年間の分も加算された多額の退職金を受け取る。そのまま先の密約の通り東電に再就職し、
5年から10年程度高給をもらって余生を送るということになる。
むろん、企業もただでは受け入れない。これまでしばしば問題になったように、送り出す
官庁側は何らかの「お土産」をつける慣行性が高い。それでなくとも、親元の官庁と直接つ
ながっている現役官僚が出向するのだから、OBの天下り以上に官民癒着が進みかねない。
公共事業官庁なら違法な官製談合を誘発する結果にもつながる。
これで終わりかと思うとそうではない。さらに細かい細工がしてある。
先述のケースは定年退職の例だ。では派遣企業から戻った後の勧奨退職や自己都合退職の
ときはどうか。そんな場合も認めていたら、まさに定年前の肩たたきに伴う天下りとまった
く同じことが起きるから、さすかにこれはしてはいけないというような規定か書かれている。
しかし、さらに良く見ると、非常に小さな字で、そのような場合も一定の要件を満たせば、
派遣先の企業に再就職して良いと良いてある。しかもこの一定の要件が抽象的で、どうに
でも解釈できる内容なのである。
これでは、結局なんでもありだ。実際には、そういう建て前で、裏で役所が動くというこ
とにもなるだろう。
読紆のみなさんもうんざりしてきたかもしれないが、もう一つ、誰も気づいていない細工
がある。ここまでやらせてもらえればもう何もいらない、と思うのは凡人である。官僚はさ
らに念には念を入れる。
「退職管理基本方針」が閣議決定された2010年6月22日。同じ閣議で「人事管理運営
方針」なるものか閣議決定されている。毎年若干の微修疋はあるが、ほとんど同じような内
容のものが決定されるので誰も関心を持だない。2010年もまったく報道もされなかった。
しかし、私はこれを眺めていておかしなことに気づいた。それは官民交流に関する部分だ、
極めて巧妙に書いてあるのでなかなか分からないが、そこまでやるかと呆れるというか、も
はや「あっぱれ」という感さえ抱いた。
民間企業に天下りの代わりに職目を派遣できるといっても、それはあくまでも企業側が希
望した場合だ。そう考えると人事当局は少し心配になる。たとえば、人事課長が使えない職
員リストを持って企業回りをして、なんとか派遣を受け入れてもらえないかと頼むときに、
「そんな押しつけみたいなことをやるな」と非難される可能性がある。マスコミに告げ口さ
れたら困る。
役人はマスコミの批判を極端に恐れる。特に天下り関連では、自分に後ろめたい思いがあ
るからなおさらである。従って、先のような批判めいたことをいわれないような免罪符が欲
しい。そこで、「人事管理運営方針」に、「民間との間の人零交流については、官民のネッ
トワークによる連携・協力関係の下で、企業・庁省間の交流希望情報の交換等を行うなどに
より『官から民』、『民から官』の双方向の推進・拡大に努める、と書いた。何かいわれた
ら「閣議決定されたので、それに従って情報提供するためにわざわざ来たんですよ」といい
逃れることができる、ということだ。
役人はそこまでやる。逆にいえば、役人は、「そこまでやっても現在の政権は許してくれ
る」、そう思っているということである。
ここで強調しておきたいのは、こんな細かな細工を施して国民の目を欺くことは、官僚に
しかできない、ということだ。答通の人には絶対に分からないだろう。その証拠に、これら
の問題点をまとめて一つの陰謀だと見抜いたマスコミの報道は、いまだ目にしたことがない。
民主党政権は、この官僚の繋争を容認したことで完全に霞が関に甘く見られたることにな
ったのではないかと思う。
2011年1月に元資源エネルギー庁長官が東京電力に直接天下りするという大胆件か起
きたのはすでに述べたが、こんなことを経度省の官僚にやすやすとやられるようでは、この
先何か起こるのか・・・・・・。やりたい放題の天下り天国が復活することだけは必至である。そ
の構造が、原子力安全・保安院を傘下に持つ経度省と東電の癒着と、2011年3月の東日
本大震災による福島原子力発電所の大事故につながったのだとしたら、国民不在としかいえ
ない。
「公務員だけ先に定年延長」という企み
もう一つ、ほとんど問題視されていない公務員特権拡大の策略がある。それは、公務員だ
けは定年を85歳に延長しようというものだ。共済年金の支給開始年齢が65歳に引き上げ
られるのに合わせて、無年金期間の発生を防ぐためである、
一般の国民も同じ問題に直面する。そこで、政府は、民間企業に対して、①定年廃止②定
年延長③再雇用制度導入という三つの選択肢を示して対応を促している。しかし、民同企業
の経営は苫しいから、定年の廃止や延長は極めてむずかしい。そこで、大半の企業は、かろ
うじて再雇用制度を整備してなんとか対応しようとしている。つまり、一度定年退職しても
らって再雇用契約を結び、定年前の半分、ときには2割とか3割という低い水準の給料で我
慢してもらい、なんとか雇用を継続しようというものである。しかも中小企業などでは、そ
れさえままならぬというところも多い。
人事院は公務員の待遇について、何かといえば民間準拠という。民間並みにしろというの
だ。
しかし、民間準拠とはいっても、どう見ても公務員のほうが民間よりもはるかに待遇がい
いと思われる点がある。それは公務員宿舎だ。都心の一等地に格安賃料で入居できる。民間
企業でも一部の大企架にしかできない処遇だ。しかも、幹部職員になっても公務員宿舎に居
座り続けている人たちもいる。民間なら、管理職になれば出てくれといわれるケースが多い
のだ。
この際、管理職以上は全員、官舎から退去してもらって、すべて売却したらどうだろうか。
売却収入は全額、震災復興対策に充てればいい。通常なら強い抵抗があるだろうが、家を失
った人たちの仮設住宅建設のためだと考えれば、まさか反対する人がいるとは思えない。
本題に戻るが、驚いたことに、2010年夏に出た人事院勧告に付属する報告覆では、ほ
とんど理由らしい理由もなく、公務員については(再雇用ではなく)定年を延長すべしと書
いている。しかも、その具体的スケジュールにまで言及する念の入れようだ。
こんなお手嘔りが許されるのだろうか・・・・・・。本当に悲しい気持ちになるのは払だけでは
ないだろう。
民主党マニフェストの大欠陥
民主党政権の脱官僚、天下り根絶を掲げた改革が、なにゆえこのようなおかしな方向に迷
い込んだのか。
その最大の原因は民主党のマニフェストの不備にある。マニフェストでは、公務員の天下
りを全曲禁圧し、定年まで働けるようにするとしているが、これを普通に実施すればどうな
るか。高齢者が滞留し、人件費は増加する。現に総務省は、人件費は二割増加すると試算し
ている。
一方、マニフェストでは総人件費の二割削減も約している。仮にこの二つの公約を本当に
実現しようとすれば、給与と人員、両面での大幅カットが避けられない。たとえば、人員で
10八-セント、給与で10バーセント程度のカットか必要になるわけだ。
ところかマニフェストでは、給与のことは害いてあるにもかかわらず、「労使交渉を通じ
た給与改定」としかいわず、あえて下げる」という言葉を避けている。定員も「見直し」と
しかいっておらず、ここでも「削減」という言葉は用いていない。民主党の有力支持団体で
ある官公庁の労働組合に遠慮したとしか思えない。
こうしたごまかしを放置したまま見切り発県したため、高齢職員のポスト不足と人件費の
増加が差し迫った問題となった。それでも政府が、政治主導で強いリーダーシップを発揮し
て人員と人件費カットに踏み切れば、問題はない。ところがその肝心な政治主導が、天下り
緩和だけでなく、様々な面で後退している。
霞が関は、自民党麻生政権時代から、中高年公務員の既得権維持策を熱心に検討していた。
現在進行している天下り規制の緩和などの改革逆行軍は、そのときの検討結果に添っている。
官僚主導といわれた自民党時代でさえ、官僚は批判を恐れてこの検討結果を棚上げにして
きた。民主党政権になれば、なおさら実現はむずかしくなるだろうと誰もが思った。にもか
かわらず、官僚に都合の良いお手盛り政策が公然とまかり通っている。民主党政権は霞か関
に屈したという他はない。公務員制度改革を、内向きの論理で凝り固まっている公務員に委
ねるのでは、実のある改革などできるはずもない。
給与や定員に手をつけないまま、公務員が定年まで働こうとすれば、必然的に採用を減ら
ざるを得ない。事実、政府が人員削減策として唯一打ち出しているのか、平成23年度の新
規採用者数の4割削減だ。
しかし、このゐ法は、改革に意欲的な若手の意欲を削ぐ結果にしかつながらない。いつま
でも中高年が上につかえており、しかも新卒が入ってこないのでは、若手・中堅の士気は下
がつてしまう。実際、私のもとにも若手官僚から「中高年優遇の人事政策はやめてほしい」
との悲鳴に似たメールが届いている。
このまま何年も新規採用を抑制し、高齢職員のポスト作りを続ければ、若手の下積み期間
は延び続け、いつまでも高齢職員が滞留し、昇進はどんどん遅れ、やりたい仕事を思い切り
やれなくなる、という悲痛な声が若手から上がっているのだ。
わすかに残されていた心ある若手のやる気までも奪う政府と霞が関の幹部職員。これでは
公務貝による自浄作用など望めるはずがない。
天下り拒否の末に
私は菅政権の杓ち出した『退職管理基本方針」の問題点について、改めて論文にまとめ、
『週刊東洋経済』(2010年10月1日号、9月27日発売)に寄稿した。
6月と9月に実名で発表したニつの論文は、私が想像した以上に霞が関に大きな波紋を広
げた。「掟破り」の私を登霞が関が敵視し、排除・追放を画策し姶めた。もちろん表立って
行われるわけではない。しかし、確かにその裁きを私は感じる。
私は、霞が関をぶち壊したいわけではない。むしろ、霞が関の再生、とりわけ、若手官僚
の活躍できる公務員制度の実現を願っているからこそ、あえて警鐘を鳴らしているに過ぎな
い。
一般国民の感情や価値観と離反した官僚は、いま、厳しい非難に晒されている。官僚の名
誉のためにいっておけば、淮でもはじめから天下りしたくて公務員になるわけではない。国
民のために働き、この国を繁栄させる政策立案に参加したいという希望を持って入省する、
ところが大震した先は、若手の「志」を摘んでいくシステムに支配されている。私流にいわ
せてもらえば、「霞が関は人材の墓場」という表現がぴったりだ。
私はこれを官僚が国民のために懸命に慟けるシステムに変え、国民の信頼と休敬を集める
官僚機構に脱皮させたいと願っている。だか、霞が関の淀んだ水に浸かってきた守旧派の幹
部職員には理解してもらえないのか、私を霞が関の「アルカイーダ」と呼んで悪評をなてよ
うとする幹部もいると聞く。
2010年6月の論文の最初の余波はその直後の夏の人事の季節にやってきた。私の異
動は見送られ、その代わり、経産省から、こともあろうに私か反対している「民間派遣」の
打診を受けたのだ。
人事のことゆえ、詳しくは唐けないが、提示された条件はかなりの厚遇で、受ければ60
歳の定年まで生活は安泰だし、定年後もその企業に再就職するように勧められた。前に説明
した天下りの脱法的迂回措置だ。
これを受ければ老後の心配も必要なかった。一方、断れば億円単位で生涯収入が減る。正
直、家族には申し訳ないとも思ったか、もちろんその場で断った。
受ければ、私かいままで主張してきたことが嘘になるだけでなく、踏み絵ともいえるこの
申し出に従えば、わずかに燃える霞が関の改革の灯火さえ消えてしまうと危惧したからだ。
私が断ると、次官は、「では、どうするんだ」という。どこにも答えはない。経産省の官
房は、財務省や民主党、とりわけ仙谷氏に気を遣って動けない。この政権が続く限り、ポス
トは用意できないという。しかも、私は天下りを拒否している。袋小路だ。結局、「10月
末までに辞めてくれ。職探しは自由にやっていいから」ということになった。
とはいうものの、霞が関や現政府に楯突いたというレッテルを貼られた人間をわざわざ雇う
企業などまずないのは分かっていた。
それでも私は発信を続けた。ところが、9月の『東洋経済』への論文寄稿の後さらに激し
くなった私への嫌がらせか、思いがけない展開を生むことになる。退職の期限まであと1ヵ
月と迫った9月18日、私は突然、官房長に呼び出された・・・・・・。
「天下り天国が生んだ原発事故」は、結局のところ「癒着」が「原因」だったとしか、この節で
は書かれていない。つまり、「プロセス」が抜け落ち、具体的な事実関係が書かれていないため
拍子抜けにおわっている。なんだ!つまらない。もう少し踏み込むと「ミスター・コストカッタ
ーが福島第一原発の予備電源の整備執行を、こうした癒着により、サボタージュされたのと・・・・」
とでも書かれていたなら、佐藤栄佐久著の『知事抹殺 つくられた福島県汚職事件』並みであれば
迫力があったのだけれど。
しかし、わたしたちも住民運動などの経験から学習してるから、そのことの難しさも承知してい
るつもりだ。インテリ(専門家)のなれの果ての「官僚」が「えらい」などとの幻想は決しても
ちあわせていない。黒沢明監督の映画『七人の侍』ではないが、民間の人の方が、たとえ低賃金
で喘いでいても、身銭を切りつつも、遙かに優れた「インテリジェンスを発揮し、乗り越えてき
ている。「官僚達よ!けっして勤労国民をなめるなよ。」とでもつぶやき、次回の第3章へ移る
ことにしよう。
この項つづく
● フリンは文化だ!
これは「不倫は文化だ!」で世間のバッシングをうけた石田純一の話ではない、「フリン効果」
の話。つまり、知能指数(IQ)のスコアが過去100年にわたって着実に上昇を続けている。これ
を「フリン効果」という。この上昇は図形合わせなど“文化の違いによらない”と考えられる
テストの結果から生じている。現代の生活は抽象的な思考をますます必要とするようになって
おり,それがフリン効果をもたらす根本的な原因になっていると研究者たちは考えている。
先進的な知性は技術を生み出し,それがさらに知性を高めるというフィードバック関係を生み
出しており、この関係は衰える兆しを見せていない。フリン効果が今世紀中に終わりを迎える
とは考えにくい。将来は、あなたもわたしもひどく前近代的で想像力の欠けた人物に見えるよ
うな世界になるのだろう。このように人類史を通して、人間を本当に賢くしているものは、変
化し続ける環境に沿った新たな種類の知性を作り出す能力かもしれない。
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