極東極楽 ごくとうごくらく

豊饒なセカンドライフを求め大還暦までの旅日記

中国の食品汚染考

2015年04月21日 | 新弥生時代

 

  

 

 

● 日中食品汚染 Ⅸ 中国の食品汚染地図

 

【目次】

 第一章 見えない食品の恐怖
 第二章 中国の食品汚染地図
 第三章 食品汚染のヒトへの影響
 第四章 なぜ汚染連鎖が絶ちきれないのか
 第五章 重金属汚染という新たな難題
 第六章 日本の食品は安全といえるか


『農産物完全自給プロジェクト』(2014.12.31)から掲載してきた、高橋五郎著「
日中食品汚染」は現在の食品の交易、あるいは技術と文明の問題を炙り出すととも
に、食の安全と近未来の安全な食品生産システムを考察していく。また、今進めて
いる、古在豊樹 監修「図解でよくわかる 植物工場のきほん」 の考察にも生かし
て行こう。


第2章 中国の食品汚染地図
 

                      「神農丹」ショック

    あまりにも危険な農薬は国際的な取り決めやガイドラインもあり、製造・使
 用禁止の対象になっている その数は今
のところ23種類,B日C、DDT、
 トキサフェン、DB
CP、クロルジメホルム、ジブロモエタン、ニトロフェン、
 アルドリン、ディルドリン、水銀製剤、ヒ素、ナマリ系農薬、メタンジアン
 日本にはない化学物質)、テトラミン、フルオロ酢酸ナトリウム、ラット中毒
 シリコン、メタミドホス、メチルパラチオン、パラチオン、モノクロトホス、
 リンアミンなどだ。

 


  このうち、メタミドホスは毒入り餃子事件で日本でも有名になった、いわく
 つきの農薬だ。すでに、1983年に製造・使用禁止になっていたはずのもの
 だ。それでもまだ製造・販売されているのだから、中国はまことに自由主義の
 国だとしかいいようがない。
  農村の農業用資材を売っている小さな商店をのぞくと、至るところにこの種
 の農薬や添加物が乱雑に積まれている。

※ 中国産食品の安全性 - Wikipedia
※ メタンジアン(methanediam
)については不詳(残件扱い)


                   有機肥料という名の人糞

  有機肥料の害も無視できない。日本では有機肥料は有機野菜や無農薬野菜の
 生みの親のような受け止め方があるが、中国ではそうばかりともいってはおれ
 ない。家畜の糞尿を発酵させた堆肥は有機青果物の栽培にとって有効かつ不可
 欠なものだが、中には、ヒトの糞尿をろくに発酵させないまま畑にまく例も少
 なくない。人糞はコストもかからず、農民にとっては毎日排出される打ち出の
 小づちなのだ。

  わたしは中国の書店で最近出版されたばかりの肥料学の専門図書や農民向け
 と思われる肥料ハンドブックを買ったが、これには人糞肥料の作り方から使い
 方まで細かく書いてあった。また、中国農村の畑を歩くと、人糞肥料を土に混
 ぜたちょうどアンコのような色をした固まりをよく見かけるが、その固まりは
 やがてほぐされ、畑や田圃の土の中に混ぜ込まれる。これが発酵した場合、と
 てもいい肥料になる。たとえばナス。人糞肥料を使っている畑のナスは大きな
 葉が上をぴんと向いて、黒光りした茎が力強く立っている。ナスは光沢のある
 紫色をして、いまにもはち切れそうな勢いを見せる。これに対し、化学肥料だ
 けを使って栽培したナスは勢いと色がまったく違う。

  しかしこうした発酵した人糞ではなく、まだ取れたてのものを桶で運んで大
 きな柄杓で土壌にかけることが問題なのだ。確かに人糞には、窒素、燐酸、カ
 リウムといった肥料に欠かせない3要素が豊富だが、発酵させずにまけば、土
 壌の表面や中で悪玉の雑菌や細菌の繁殖実験をするようなものだ。結局は逆効
 果となる。そこで農民は、それらの悪脱菌を退治せんと強烈な農薬をまく。こ
 のような農法が残留農薬問題をひき起こす最大の理由だ。中国の伝統農法は人
 糞肥料なしには成り立たず、善良でまじめな農民ほど伝統を重んずる傾向があ
 ることは国が違っても同じで、これが災いのもととなっているとは皮肉なこと
 だ。

                    PM2・5は農村地帯にまで

  大気汚染や水汚染も、青果物汚染につながる問題として中国で注目され始め
 た。では大気汚染がなぜ青果物汚染に関係するのだろうか。それはPM2・5
 など、さまざまな汚染源の微粒子が降雨や風の影響で、雪のように大地に降り
 注ぐからだ,中国のPM2・5の微粒子は石炭煤煙や車の排ガス、さらには工
 場煤煙などが元凶といわれる。

  とくに、石炭煤煙の影響はきわめて深刻なレベルに達していろ。50メート
 ル先が見えなくなるのは北京や上海などの大都会だけではなく、今や農村地帯
 にまで広がっている。あるとき河北省の郊外農村を訪れると、北京や上海ほど
 ではないにしても前方が見えにくくなるほど霞がかっていた。

  中国の石炭のうち、石炭化の進んだ高品質の無煙炭は10%程度にすぎない。
 ただしこの種類の石炭は煙は出ないが、石炭化率が高い分、硫黄酸化物を多く
 排出する。残りは、煙と硫黄酸化物の両方を含むあまり品質の良くない石炭が
 占める。
  これらのもっとも大きな問題は、酸性雨の原因ともなることだ。しかも中国
 は世界一の石炭消費国で年間35億トンにも達する,石炭を家庭や地域暖房の
 ために大量に消費し、エネルギー消費の70%を石炭に依存する中国では、脱硫
 装匿を完璧に装備することはほとんど望めず、石炭を使い続ける限り、大気汚
 染を減らすことはできない。大気汚染は土壌や農林畜水産物までも汚染する。

  暖房の季節は、北京市内でも石炭の煙の臭いがするし、石炭産地の山西省辺
 りでは、夏でも夕方になると、夕飯の支度のために燃やす石炭の煙が町全体を
 煙突のようにする。保有量が1億台に達した車の排ガスの排出吸も世界一多く、
 さまざまな原因から生まれる二酸化炭素排出量を合わせると72億トン(20
 10年)で財界最大だ。これらの化学物質は広い大地に降り注ぎ、農地を硫黄
 酸化物や重金属を含む微粒7.で汚染する原因となるのだ。


                      地下水汚染が与える影響

  汚水による青果物栽培への影響も同じように深刻だ。汚水は地下水と地表水
 両方から青果物に襲いかかり、生育の低下はもちろんのこと、青果物そのもの
 に農薬成分や重金属などが浸透する。中国のほとんどの農村では地下水のくみ
 すぎから地ド水位が低ドし、塩害の発生も各地で起きているが、水銀、細菌水、
 ヒ素などで汚染した地下水の散布がもっとも大きな問題となっている,

  中国の専門家なら誰しもが知っていることだが、水の3
分の1が地下水で賄
 われ、その60%は深刻な汚染状態にあるとみられている,また都市の場合、き
 れいな地下水はたったの3%しかないほど悪化しているという。
  かつて中国は水大国で、その証拠に水墨画には必ずといっていいほど山紫水
 明の風景が描かれてきた,ところが、その豊富な水があだとなって、いつしか
 枯渇し、しかも汚れるに任せてきたツケがまわってきているのが現状だ。

  先ごろ国連は、この数十年間で中国の河川が2万7000本も消滅したとい
 う報告書を出し、世界を驚かせた。そして2010年、環境保護部は直接人体
 が触れてはいけない汚染性水の割合が、揚子江、黄河、松花江などの中国7大
 河川水全体の16・4%を占めると警告した。
  このほか地下水と地表水の汚染の理由として、農村のトイレ問題がある。中
 国国家衛生・計画生育委員会によると、農村附帯数は2億6000万戸。この
 うち自宅にトイレのある附帯は1億8000万戸(約70%)、残りは外の公
 衆トイレや畑の共同便所(屎尿を肥料として使うために設けてある)で用を足
 している。

  自宅にトイレがあるといっても、農家世帯のうち水洗式は122%にすぎず、
 大部分はいわゆる自然落下式を使っている。この場合、どこへ処分するかとい
 う問題が起こる。成人は1口約2リットルの排尿をし、150~200グラム
 の排便をする。農家附帯人ロを3人とすると1日当たり11万7000~15
 万6000トンの便の量だ。これに水分が加わるから大変な量が毎日農村から
 排出され、どこかに消えていく。このうちの多くが、地表水や地下水を汚染し
 ている。

                      コメの重金属汚染

  コメは、下(土壌の重金属汚染)と上(茎や葉の農薬汚染)から汚染されて
 い
る。2011年1月、改革的な論調で知られる中国紙「南方週末」は基準値
 を大幅に超えたカ
ドミウムや水銀が、工場に出回っているコメから検出され
 ことを報じ、コメを主食とする中国南方の人びとに衝撃
を与えた,これを発端
 に、汚染米のニュースが全国を駆け
巡ると、それまで隠されていた実態が次々
 と明るみに出
た。カドミウム汚染は、遼寧省、浙江省、江西省、広東省、湘南
 省、広西チワン族自治区、貴州省、四川省などに
も広がっている(重金属汚染
 の分布図は図3を参照)。



  湖南省はとりわけ深刻で、省の土壌肥料研究所は省内の水田の68・8%が
 カドミウムで汚染されているという、す
でに2008年に行っていた研究結果
 を公表した。
 
 同省の湘潭県は伝統的にコメを作ってきた。コメの郷里で、面積7000ヘ
 クタール、年に85万トンを収穫する
コメ産地だ。ところが、汚染米であるこ
 とが明らかにな
ってから農民自身もみずから作ったコメを食べなくなり、すべ
 てを鶏と豚のエサにせざるを得ない状況だという。重
金属によって汚染された
 水田では、収ほが極端に減少する
現象も現れ、同じ湘潭県では半減した水田も
 あった。


  「信息時報」という新聞の2013年5月21日付では、事
態を重くみた広
 州市が、ついにカドミウム汚染の深刻な産
地として、湖南省衡東県と蚊県を公
 表したと報じた。これ
には「羅生門」という呼び方まで付けた。中国でも、黒
 沢
明監督の羅生門は有名だが、「身勝手な」という意味も付している。カドミ
 ウム汚染は、農民の化学肥料の使いすぎ
も影響しているから、あながち外れた
 形容詞ともいえな
い。カドミウム汚染は、まきすぎた燐酸肥料が化学変化に
 ってカドミウムに変化して起こるといわれる。だが多く
の場合は、農民とは無
 関係な鉱山や化学工場からの廃液、
汚染した大気の降雨による土壌沈着だ。

  中国科学院も、カドミウム、クロム、ヒ素、ナマリなどを中心とする重金属
 汚染が全耕地の20%に当たる約2000万ヘクタールに達するという研究結
 果を公表した。これは、政府系の研究機関がそれまでのベールを剥いで、土壌
 汚染の深刻な実態を世にさらすことで、国民に注意を呼びかけざるを得ない状
 況にあることを示唆している。
  南京農業大学農業資源環境研究所のある教授によればコメが汚染するという
 ことは、コメと並んで中国最大の収穫砥を誇るトウモロコシ、小麦、大豆、ジ
 ャガイモ、サトイモ、人参、落花生などあらゆる農産物に汚染が広がっている
 証拠だとしている。
 
  中国の重金属汚染問題の研究者によると、ナマリ、カドミウム、水銀、ヒ素
 のどれで実験しても、最も多く吸収・蓄積するのがコメだという。コメは試験
 したネギやかんきつ順、甘藷、一見類、ピーマンなどよりも、はるかに多くの 
 重金属を蓄積する性質を持っているという。



                    DDTを復活させた薬剤耐性

  コメの上からの汚染は残留農薬汚染によるものだ。残留農薬問題は殺虫剤、
 殺菌剤、除草剤、殺鼠剤などが、コメ本体の中に残留する問題である。最近は
 中国東北地方での栽培も増えてはいるが、コメの主産地は中国南方に分布し、
 気温が比較的温暖なためか、害虫や土壌中細菌が大ほに繁殖しやすい。稲の立
 ち枯れ症状を見せるイモチ病やさまざまなカビが発生したり線虫が繁殖しやす
 く、これらを退治するために強力な農薬が必要だったのだ。

  あらゆる生物には薬剤耐性があり、強い農薬でなければ徐々に効かなくなる
 ので、禁止された有機塩素系殺虫剤DDTやBHCといった猛毒の農薬が使
 われることになる。
  国際的にはDDTを禁ましてからマラリアの発生が増えて、WHOが仕方な
 くマラリアの蔓延地区に対して、製造と使用を認めるように方針を変えた。だ
 が、中国の田圃でも薬剤耐性が起きている。DDTの使用禁止を知らない農民
 がほとんどだからだ。仮に知っていても、それを使わなければコメが育たない
 ほど薬剤耐性は深刻になっている。


                        水汚染はコメと直結

  さらにコメを作るための水の汚染問題が、全国に広がっている。水汚染につ
 いては後に詳述するが、工場三廃(廃水、廃気、廃ゴミ)といわれる中のひと
 つだ。加えて家畜糞尿汚染、生活雑俳水汚染などがある。
  まず家畜糞尿による汚染は、肉や卵、酪農品の生産の急増に、家畜糞尿処理
 施設の建設や浄化技術が追い付いていないことが背ほにある。たとえば黒竜江
 省では最近、豚、牛、羊、家禽の飼養が増加し、1年間に排出される糞尿が1
 億トンを超えている。これに対し、糞尿処理施設はコストが高いこともあり、
 ほとんど建設が進まず、一部は堆肥生産に向けられるものの、大半は廃棄され
 ているという。

  糞尿は時間がたてばすべてが土か水に溶けていく。相当部分は河川や湖沼に
 流れ、あるいは地下水に浸透していくということだ。汚れた水は、富栄養化し
 たり、汚れたままの用水となって田圃に入り込んでくる。
  わたしの兄はかなりの規模の畜産経営者だったが、毎日、豚や牛から排出さ
 れる糞尿の量は想像を絶するもので、ポンプを使って畜舎からくみ出すために
 体中にその水分を浴びながら必死で作業をしていたものだ。とくに育成中の豚
 はしょっちゅう臭い尿を音を立てながら排泄し、離れた場所からそれを見てい
 た当時中学生だったわたしは、そんな兄に心から同情した。
  青果物汚染の項で述べたことの多くは、コメ汚染にも当てはまる。さらに、
 コメ汚染はトウモロコシ、小麦や人コウリャン、アワなどの穀物全体にも当て
 はまるという事実を、しっかり認識していただきたい。

                                  高橋五郎 箸 『日中食品汚染』

                                           (この項つづく)

 



【新弥生時代 植物工場論 Ⅶ】 


 「植物工場」とは、光、温度、湿度、二酸化炭素濃度、培養液などの環境条件
 を施
設内で人工的に制御し、作物を連続生産するシステムのことで、季節や場
 所にとら
われず、安全な野菜を効率的に生産できることから多方面で注目を集
 めています。
その「植物工場」そのものにスポットをあてた本書では、設備投
 資・生産コストか
ら、養液栽培の技術、流通、販売、経営などを豊富な写真や
 図解を用いて様々な角
度からわかりやすく解説。また、クリアすべき課題や技
 術革新などによってもたら
されるであろう将来像についても、アグリビジネス
 的な視点や現状もふまえながら
紹介、文字通り植物工場のすべてがわかる一書
 となっています。


          古在豊樹 監修「図解でよくわかる 植物工場のきほん」 

   【目次】

    巻 頭 町にとけ込む植物工場
  第1章 植物工場とはどういうものか
  第2章 人工光型植物工場とは
  第3章 太陽光型植物工場とは
  第4章 植物生理の基本を知る
  第5章 植物工場の環境制御(光(照明)
  第6章 CO2/空調管理
  第7章 培養液の管理
  第8章 植物工場の魅力と可能性
  第9章 植物工場ビジネスの先進例
  第10章 都市型農業への新展開
  第11章 植物工場は定着するか


 日本の「人工光型」は、いま…

            85の工場が毎日1000株以上を生産

  2014年3月現在、日本では85の人工光型植物工場が毎日1000株以
 上のレタスなどを生産・販売している(1000株以下の工場も含めると16
 5工場)。これは2010年の約3倍におよぶ数であり、さらに2014年中
 には毎日1000株以上を生産・販売することが可能な10カ所の工場が新た
 に建設されることも決まっている。
  経営収支的には、2013年3月時点で黒字の工場が全体の20%、収支が
 均衡した工場が60%、赤字の工場が20%と、まだまだ産業としては未成熟
 ではあるものの、2014年度は黒字経営の工場が増大すると予測されている。
  さらに、2015年から2025年までの10年間で市場規模は3倍になる
 と予測されており、工場の設置場所も病院ホテル、駐車場など、街中のさまざ
 まなところへと広がりをみせていくと考えられる。
 
                    日本と世界の工場事情

  大型の人工光型植物工場が増加している一方で、レストランやショッピング
 センターなど身近な場所にも床面積10~50平方メートル程度の小型の人工
 光型植物工場が併設されはじめている。
  さらに、家庭用、趣味用、展示用、教育用といった用途に応じた床面積1平
 方メートル以下のデザイン性に優れた人工光型植物工場の販売やサービスもは
 じまるなど、植物工場は着実に私たちの生活空間のなかに入り込みつつある。

  このような動きは、日本のみならず台湾や中国をはじめとした東南アジアの
 各地でもみられる。またオランダ、アメリカ、中近東、ロシアなどにおいても
 人工光型植物工場ビジネスヘの参入や導入の動きがみられるようになってきた
 人工光型植物工場に関する国際集会や国内集会が世界各地で開催されており、
 その社会的関心はいまや世界中に広がっている。

                     世界を牽引する日本の技術

  そのようななかでも、日本の人工光型植物工場に関する研究レベル、普及数
 および社会的認知度は、世界のトップクラスである。ロシア、モンゴル、バー
 レーン、クウェートなどで。メイド・イン・ジャパン‘の人工光型植物工場が
 稼働(または案件が進行)するなど、日本の技術は世界各国に影響をおよぼし
 ている。


  全国にチェーン店を展開する大戸屋は、2009年の4月より、山梨県で植物
 工場を試験的に運営している。海外、とくに東南アジアの店舗において、お客様
 に提供する野菜の品質や安全性をさらに高めたいということがきっかけとなり、
 植物工場試験の取り組みをはしめた。

  植物工場での野菜栽培は、コスト面で課題がある。しかし、お客様へ安全・安
 心な野菜を届けるための有用な技術に発展するという視点を軸に活動している。
 現在、生産量の関係で、植物工場産野菜が取り扱われているのは山梨県の一部の
 店舗と大戸屋ダイニングのみだが、植物工場産野菜のみを使用したサラダメニュ
 ーを開発するなど、店舗で提供する際に必要となる品質や栽培品目などについて、
 有益な情報を集めている。

  そして、それらの成果をもとに、さらなる改善を加えながら、植物工場産野菜
 の出荷を増していく予定だ。なお、2011年8月からシンガポールの店舗にお
 いては、パナソニック社が手がける水耕の野菜工場からの野菜を使ったメニュー
 を展開しはじめている。



 第3章 太陽光型植物工場とは

  「太陽光型」の特徴と対象植物
   
                                太陽光型植物工場とは? 

    太陽光型植物工場と人工光型植物工場の基本的な違いは、人工光型が「断熱量
 によ
って閉鎖された密閉度の高い空間のなかで人工光のみを使って植物を生産す
 る」のに対
し、太陽光型は「透明な量(膜)で覆われた施設のなかで太陽光を利
 用して植物を生産す
る」という点にある。

  ただ、「ならば、私たちが普段見かけるガラス温室やプラスチックハウスはす
 べて太陽光
型植物工場なのか?」というと、そうではない。太陽光型植物工場と
 そのほかの園芸施設
の違いは、備えている環境制御機器にある。その違いを次頁
 に示した。太陽光を利用す
る植物生産施設には、①簡易被覆施設、②環境制御上
 耕施設、③環境制御養液栽培施
設、の3つがあり、①は表の基本機器のみを備え
 ている。②は、基本機器+中級機器を
備えている。③は基本機器+中級機器+上
 級機器をすべて備えている。そして、③のなかでも高度で大
型のものを、太陽光
 型植物工場と呼ぶ。なお、補光ランプ装
置を備えたものは、人工光併用型植物工
 場と呼ばれる。

                             太陽光型の特徴

  太陽光型は、園芸施設ほどではないが外界気象(とくに日射量)の影響を受け
 るという点で人工光型とは大きく異なる。
  さらに、太陽光を利用する植物生産施設のなかでは「トップクラス」の環境制
 御システムを備えているものの、人工光型のそれと比較すると室内環境の安定性
 に欠ける。
  また、太陽光型には農業的な側面がかなりある。これも、人工光型とは異なる
 点だ。人工光型は、植物(農作物)を計画的・安定的に生産することを主目的と
 する。一方、太陽光型には、植物(農作物)の生産に加え、生物多様性、景観、
 農業社会の維持など多様な役割がある。

                          太陽光型に適した植物

  太陽光型での生産に適しているのは、「高度な環境制御により品質と収量を大
 幅に向上できる可能性が高く、また強い光を好み、栽培期間が数か月~1年にお
 よぶ植物」だ。
  具体的にはトマト、ピーマン、キュウリなどの果菜類である。コンテナ利用で
 小型に仕上げた、ブルーベリー、ビワマンゴー、ブドウなどの果樹も対象になり
 得る。機能性成分を多く含む野菜・ハーブ類、大型のコチョウランなどの高級花
 き、さらには薬用デンドロビウム、オタネニンジン、サフラン、センブリなどの
 基本本性または1年生草本の薬用植物も今後は対象になり得る。



                                              この項つづく

 

 ● 今夜の一品

We make brushing teeth fun  

歯みがきが楽しい!スマート歯ブラシ

 

 

 

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