農村ライフ 日々是好日

山形・庄内平野でお米を作る太ももの会広報部長の農村日記

砂の女

2024-06-22 09:24:21 | 映画

土門拳記念館の特別企画、映画「砂の女」の上映会に行ってきました。
「砂の女」は安部公房が庄内砂丘に着想を得て書き上げた小説だそうです。
それも浜中集落の砂に翻弄される生活を、グラビアで見たのがきっかけだとか。
その「砂の女」を映画化したのが勅使河原宏監督。
上映会は記念館の勅使河原氏が手がけた庭を望む(上映中はカーテンで仕切り)
展示室で行われましたので、思いも格別です。

現在ではほとんど見かけなくなりましたが、以前の浜中や十里塚などの集落では
砂の窪地に居を構えた民家が存在していたのを見た記憶があります。
建物の中に砂が入ってくるからと、家の中でも傘を差しながら食事をした
という話も実際に聞いたことがあります。

映画は若い時分に一度NHKだったかテレビで見た記憶がありますが、
147分にも及ぶ長編だったのですね。
映画が製作されたのはちょうど60年前だそうです。

蟻地獄のような砂穴の底にある粗末屋に、
理不尽にも拉致されてしまう昆虫採取が趣味の教師の男。
そしてあるがままを受け止め淡々と砂を掻き出しては配給を待つ一人暮らしの女。
その奇妙な共同生活の物語を、舞台として近所の浜中集落を連想しながら観ていました。

勅使河原氏が土門拳記念館に作庭したテーマは「流れ」。
映画でも常に流れていく砂と淀んでいく砂が描かれています。
その中で暮らす人間の不安と諦め。
「流れ」の庭に流れているものは水なのでしょうか。
それとも砂なのでしょうか。

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