ベッドの柵です ↓
何度かご注文頂いておりますお客様より、
お母様のベッドで使われている介護用の柵(兼手すり)が金属で出来ているので、
温かみのある木製で出来ないですかというご相談頂いての製作。
ベッドへの出入りを考えて、柵は二分割にして、
片方の高さを、手すりと同じくらいの高さに設定しました。
ベッドへの取り付けは、お手持ちの六角ボルトで脱着ができるボルト方式にしましたので、
取り付け向きを逆にすることも出来るようにしておきました。
また、写真にはありませんが、普段、使われている杖を立てかけて置く、
ホルダーを柵に取り付けましたので、今までのように杖を立てかけて置いて、
倒れてしまうことはなくなりました。
人様のお役立つような家具を作ることは嬉しい限りです。
とまあ、ここまでは良かったのですが、
取り付けるベッドは、それなりの強度が必要です。
今回、身をもって経験したのですが、
取り付けましたベッドは、よくある既製品の合板とMDFを組み合わせたような素材でして、
取り付ける側面は、下段に抽斗がついている関係から、このMDFの側板は非常に細く、
それを補強するかのように、裏には薄い鉄板が張り付いておりました。
このたび、この部分にナットを、計8箇所(一つの柵に4個)、取り付ける段取りとなっておりまして、
その下穴(直径9.5mm)をドリルであけ始めましたところ、
最初の1つ目は何の問題もなく掘れたのですが、
2つ目は数ミリ掘ったところで、ドリルが進まなくなり、おやっと思って穴を覗き込んだところ、
銀色に鈍く光る何かがあり、下に落ちている切り屑をよーく見てみると、金属片が多数まぎれており・・・
思わず、「なんじゃこれー」
と大声を出したかったのですが、実際は心の中で小さくつぶやく程度にして、
非常に焦りました。
せっかく準備万端にして取り付け日の今日を迎え、
こうしてお宅にお邪魔して、さっさと取り付けて、
「作業、終わりましたー」と涼しい顔をして済まそうと思っていたのですが、
そのシナリオが大きく音を立てて崩れてしまいました。
さて、どうしよう、落ち着け落ち着け、
夏場であれば、ここで大粒の汗が噴出し、床にポタポタと落ちていたところですが、
不幸中の幸い、今は冬なのでそういうことにはなりませんでした。
冷静に目の前の事実を受け止めて、対処しなければ・・・
恐らく、ちゃっちいMDFを補強するための、裏の鉄板の金具が、
MDF側へ要所要所取り付けられているのだろうと推測。
であれば位置をずらして、金具の無いところに穴あけすれば問題ないハズ。
15mmずらして挑戦。
先ほどの穴あけで、ドリルの先端が金属を削って磨耗しており、
替えのドリルは持ってきていないので、この傷ついた一本で何とか最後までもたせねばいけません。
恐る恐る、ドリルの振動や材への切削具合を確認しながら作業を進める。
結局、8箇所あければよいところを、4箇所金属に当たってしまい、
30分で済ます作業が1時間以上もかかってしまいました。
更に、取り付けた柵がグラグラするので、MDF裏の鉄板取り付けボルトを増し締めしたり、
ベッドの側板部分をビスで補強するなどして、何とか許容範囲まで強化することができました。
とまあ、既製品のベッドへの柵取り付けには十分な注意が必要と判明した次第です。
まあ、そもそも、この手のベッドを設計する際には、
柵を後からつけることなど想定しておらず、安く早く製造することが出来て、
それなりの見栄えと成ればOKという、大量生産・大量消費の産物と言ってしまえばいけませんが、
価格が安いのは消費者には助かるという事実があり、すべて否定はできないのですが、
“もの”を長年、大事に使っていくという精神は、このような製品では養えない訳でして・・・
せめて、生活に密着したものは、それなりの良い物、愛用できるような物を選んで頂ければと思います。
ウチでは、ベッド(もちろん無垢木材で)も作っておりますので、よろしかったらどうぞ~。
と、オチが宣伝となってしまいました。