長谷川恒男

先日、レストランのお客様とスイスの話で盛り上がり、アルプス三大北壁の冬期単独登攀を成功させ一躍有名となった登山家もよく知っていた。
1977年2月上旬ツエルマットのホテルバーンホーフに一人で宿泊し、マッターホルン北壁登頂ために天候の回復を待ち続けている日本人登山家がいた、それが長谷川恒男あった。2月16日マッターホルン北壁冬季単独登頂に成功、数日後、私と数名の日本人で小さなパーティーを開いて祝い、私はフランス料理修行にリヨンへと目的地に向い、ここで彼らと別れを告げた。
78年アイガーの北壁、79年グランド・ジョラス北壁 冬期単独初登頂にも成功、再び会うことがないと思っていたが、パリでまた長谷川と路上で偶然に出会い交友が続いた。
1985年にイルドフランス開店、翌年の8月上旬に植村直己・帯広野外学校が 長谷川を講師に招いた際にこのレストランに立ち寄り「仔羊のロースト」を食べながら「やっぱり山の上で焼いた肉の方がうまい」とよくも語ってくれた。我が家に一泊したが、何か暗く気になって翌朝、別れ際に「死なないでよ、山で」と私が言うと彼は笑って返答を返してきた。
そして、「北壁に舞う」の本を私に手渡し、「泉さん江 北壁単独 長谷川恒男」と記してあった。名声を得た登山家への期待度が高く、長谷川さん「焦らないで」と心で叫んだ。
1991年にパキスタンウルタルⅡ峰南西壁登頂のとき、雪崩に巻き込まれ遭難し亡くなった。彼の遺言にもとづいて1997年に開校したのがパキスタン、フンザ・カリマバードにある「長谷川メモリアル・パブリック・スクール」だ。
先のレストランのお客様たちは日本ヒマラヤ協会・札幌北陵クラブの方たちで、驚くことにその学校を見学したとのことでした。
2017年11月3日長谷川さんまたここで会ったね、イルドフランスの「仔羊のローストお味はいかが」と尋ねたら「お前の料理が最高」と答えるのに決まっている。

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