アルジェリア

地中海の美しい街オランに着いてから、車はもう何時間南下し続けているのだろう。
灼熱の太陽、真っ青な空、荒れ果てた岩肌、たまに通り過ぎる町からはアラブの音楽、男の姿しか見当たらない。
30数年前、とうとう地の果てアルジェリアへ高給欲しさにフランスからやって来た。
現地の日本企業の社員に食事を作るのだが、日増しに「日本を何の目的で出てきたのかと」自分に問いかける。
「やりがい」それとも「金」と。
ある日、農民から頂いたオレンジの自然な「旨さ」が、答えを与えてくれた。
稼いだ金はカスバの女に渡して、帰ろう。
料理を作るためにフランスへ。
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