ようこそ!フレンチレストラン『イル・ド・フランス』の泉英晴です。
シェフの一言
古き、よきパリ

そこの古くて安くて小さな『ホテル・セントラル』には、世話好きなスペイン人の老夫婦がコンセルジュとして働いている。
いつしかこの安宿が、日本から料理修業に来た若者の宿泊と情報交換の場となっていった。ドアを開け、階段を上がっていくと足音だけが淋しく響きわたる。
部屋にはベッドと整理ダンスだけであったが、窓から見えるレンガ色のかわら屋根、買い物客たちの行きかうざわめきのあい間から、ときおり聞こえるシャンソンが、なにか泊り客のこころをなごませていた。
夢を追って旅立ってきた若者たちは、ここをねぐらとして、フランス各地に点在する有名レストランに修業の場を求めて行った。
そんな料理人たちのロマンと挫折をこのホテルは知り尽くし、やさしく迎え入れてくれた。
カフェで飲む一杯のエスプレッソ、一箱のゴロワーズ、焼きたてのバゲット、アルジェリアのヴァン・ド・ペイ。
薄給の中から、そっと買い求めるフランス女に一瞬のぬくもりを感じ、わびしさだけがしのび寄ってくる。
そこには、そんな熱い仲間たちとの、その青春がパリには存在していた。
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