ミシェランが東京にやってくる

「ギド・ミシェラン」とは、1900年に発行された、観光旅行者のための赤いガイドブックである。
フランス各地のホテル、レストランの名前、住所、道路地図を旅行者に紹介するだけでなく、それぞれを星によってランクずけが始まったのは1926年からで、1931年に初めて2ッ星、3ッ星レストランが登場した。
これによって、かくれていた地方料理や、田舎の有能なシェフたちのスペシャリティーに光があてられ料理業界は発展していった。
戦前の三大巨匠、ピラミッドのフェルナン ポワン、ラ コートドールのアレクサンドル デュメーヌ、ピックのアンドレ ピックなどが出現したことによって、その舞台裏からは、数多くの優秀な弟子が誕生したのである。たとえば、ボキューズ、トロワグロ、シャペルたちがその代表としてあげられる。
その世界的ガイドブックの覆面調査官は、すでに東京のホテル、レストランの評価をして回りこの秋に東京版ミシェランが出版される。
フランスでの修行時代、レストランの調査の時期になると厨房の空気はピーンと張りつめ、その緊張感の中でソースエを担当したが、私の腕では星は捕れなかった。
だが、その仲間と高い次元で仕事をしたことにとても満足であった。

ソースによって料理人の出来不出来が決まる。
            偉大なる料理のオーケストラにあって、
         ソースづくりは独奏者(ソリスト)のようなものだ。
                 
                          フェルナン ポワン

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