昔の新聞を整理していたら、1997年12月の区報が出てきた。当時、区報でしながわ百景の世界をアクリル画で紹介するという企画があって、絵に因んだ寄稿文を募集していたが、家の近くにある品川寺(ほんせんじ)の江戸六地蔵について応募したところ採用されたものである。
中島美弥さんという画家が描いたアクリル画で、実物を見事なタッチで表現している素晴らしい絵が表紙を飾っており、そこに自分が寄せた拙文が掲載されているので、記念として取っておいたものである。
家から徒歩2分のところにある品川寺は、この「江戸六地蔵」と「洋行帰りの梵鐘」で有名なお寺である。江戸六地蔵は江戸時代に各街道の江戸への入口6か所に建てられた六地蔵の第1番(東海道)にあたるもので、今は5地蔵のみが現存する。5地蔵のすべてにお参りしたことがあるが、このお地蔵さんは馴染みが深いので一番好きであり、ほぼ毎日尊顔を仰いでいる。
当時寄せた寄稿文は以下であった。
『旧東海道を歩いていると、大仏と見違えるような大きな地蔵菩薩が目に飛び込んでくる。洋行帰りの梵鐘のあるお寺として有名な品川寺(ほんせんじ)の入口にたたずみ、訪ねる人々を優しい眼差しで迎えてくれる。この坐像は銅造りで3メートル近くもあり、都の指定文化財となっている。1708年に旅人の交通安全を祈願して江戸の入口6か所に建てられた江戸六地蔵の第1番にあたるという。階段を昇って坐像に近づくと全身と石の台座には、当時造立資金を出した人々の名前がびっしりと刻まれているのに気がつく。傍らには推定樹齢六百年というイチョウの古木もあり、四季折々、いつ訪れても心の安らぎと確かな歴史を感じさせてくれる。』とある。
今から、26年前の区報と絵と拙文であるが、懐かしい思いである。あれから大分年を重ねてしまったが、江戸六地蔵の慈悲深い優しい姿は相変わらずで、今でも前を通るたびに手を合わせている。
江戸六地蔵めぐり: https://youtu.be/ew7jmhCgFPc