5月8日、早いものでテレサ・テン没後30年という節目を迎えたが、各地でいろいろなイベントが計画されているようである。テレサは台湾出身であるが、彼女の美しい歌声は中国でも愛され、1980年代に、「白天聴老鄧、晩上聴小鄧」というブラックジョークが中国で流行っていた。これは、「昼間は鄧小平の話を聴き、晩は鄧麗君(テレサ・テン)の歌を聴く」という意味で、それほど中国でも人気があったようである。7日付の読売新聞によると、テレサは1989年の天安門事件を批判し、生前の中国公演は実現しなかったが、没後30年となる今年、中国各地においてホログラフィー技術で生前のテレサの姿を立体的に投影する記念コンサートが計画されているようである。
また、母国台湾では、5月8日にテレサテン紀念公園(お墓のあるところ)にて「テレサテン没後30年メモリアルコンサート」が開催されるという。日本でも、6日にBS11が主催する「没後30年メモリアル・チャリティコンサート」なるものが東京の赤羽で開催され、雰囲気を味わおうと内容はあまり知らなかったが、急遽チケットを買い、見に行ってきた。テレサとも交友のあった小柳ルミ子さんを中心に最近若手歌手として時々テレビでも見かけるようになった中澤卓也さんと進撃の巨人のアニメ歌手として有名なシンガーソングライターの小林未郁さんとテレサ・テン東京ファンクラブ会長で歌手の郭静さんの4人がテレサ・テンの懐かしい曲をステージで歌ってくれた。司会は元NHKアナウンサーの宮本隆治さんでトークも十分楽しめたが、残念ながら、観客数は200人もいない印象で、テレサ・テンのファンというより、歌手のファンが多数来ていて、ペンライトを振る姿を目にするとちょっとテレサを偲ぶという雰囲気とは異なり、違和感を覚えた。
テレサの歌声は、コンサートの開幕に、本人が一番好きだったという「別れの予感」を映像で聴くことが出来たが、後は、皆、テレサの歌を出演歌手が歌うという形式となるので、雰囲気は想像とだいぶ異なる印象であった。小柳ルミ子さんは「時の流れに身をまかせ」他、中澤卓也さんは「空港」、小林未郁さんは「愛人」、郭静さんは、「つぐない」やファンクラブが選んだベストスリーの「夜のフェリーボート」「ふるさとはどこですか」等を歌い、フィナーレは全員で「別れの予感」を歌い締めくくった。テレサの曲を聴くことができそれなりには楽しめたが、トーク部分が多すぎるのとやはりテレサの曲はテレサの美しい透き通るような声で聴かなければ魅力は半減してしまうことがよくわかった。コンサートの模様は、7月13日にBS11の特別番組として放映されるとのことである。
10年前の没後20年の時は、渋谷公会堂で徳光和夫さん司会によるメモリアルコンサートが開催され、二人して見に行った。五木ひろし、伍代夏子、長山洋子、夏川りみさん等蒼々たるメンバーが出演し、中国から陳佳さんと王静さんというテレサ・テンを彷彿させる美しい歌声を持つ歌手もテレサの曲を歌ってくれたので、大いに楽しむことができたが、それに比べると今回のコンサートはちょっと期待はずれの感があった。10年前の時も、ホログラフィー技術で生前のテレサの姿を立体的に投影する演出もあったと記憶する。陳佳さんについては、その時以来のファンでその後も何回かコンサートにも出かけているが、とにかく、テレサの歌声と区別がつかないほどそっくりなので、落ち着いてテレサの曲を聴いて楽しむことが出来る。
2018年にお墓参りもしてきたし、今度は、2024年11月にJR只見線の会津宮下駅前に「ふるさとはどこですか」の歌碑が建立されたので、テレサと縁のあるふるさと福島県の三島町を訪れたいとも思っている。