風 雑記

建築とその周辺で感じたこと、思ったこと

「建築を考える職人」に

2013-05-06 15:02:19 | インポート

P1010452_2 P1010455_2

5月5日昨年に続き山鹿・湯の端美術会に行った。昨年工事中だった「天聴の蔵」の修復も完成し、大小3つの蔵で絵画や、ワークショップ、映像のインスタレーションなどが展示されていました。「おお蔵」では絵(野田竜太郎)と映像(畠山浩史)とピアノ演奏会(ながふちなほみ)「展覧会の絵」の演奏によるコラボレーションがあり、

P1010457_2 P1010460

「もと蔵」ではこの酒蔵に関わる昭和初期の写真映像が次々に映し出され、空間を切取る浮んだパネルに切り取られながら、土壁にも映り込む、その不思議な立体感で人がその中に立つと時が混在したような感覚がある。

P1010267_2 P1010270

今年2月16日に「阿蘇キャンプ60周年記念事業」があり、3月19日はその実行委員の反省会 、20日は会員交流会のワークキャンプで15人程で雨の中カッパを着て、側溝に溜まった土の除去を行った、午後からはYMCAが管理する的石(小学校跡地)にブルーベリーの植樹。

阿蘇キャンプメインホールも改築15年を経て風景に馴染んできた。YMCAの方から「建物は何年も残こるので素晴らしい仕事ですね」と言われ、「この建物にはその分のエネルギーが要りました」と答えてしまった。思い出すとこの建物は持てる力を全て注いで取組んだことと経営的に厳しかったことが思い出された。

建築設計に携わって40年近く経て、改めて建築は奥深いと思う。

成功や失敗、経験を積み重ねながら建築設計の質は益々高まっていくし、この年になっても建築への興味は尽きない。新しい設計に取組むと気持は熱くなり、ワクワクしてくる。

今も図面は自分で描きたいし、描いていると完成する建物の細部までが自分の体の一部になって来るような気がする。ディテールを工夫しながら積上げていく作業は楽しく、手書き時代の楽しさも格別だったけど、老眼が進んでも描けるCADもあり難い。

古建築と最新建築両方にも興味は尽きず、まだまだ建築の知らな部分も多くあり、用事で遠方に行けば建築を見て歩き回り、本を読む。

以前日本建築家協会の会員でもあったけれど10年程前に退会した。建築への思いや質の高さを求める設計者の集まりは建築家協会しかないと今も思っている。

しかし10年ほど前から自分が求めている建築を考えていると、自分自身が建築家になりたいと思っていないことに気付いた。

オリジナリティやデザイン性の高い建築ではなく、シンプルで無駄がなく、使い易く、メンテナンスがし易く、光熱費が少なく、地域に馴染み、建て主や使う人が喜べば充分であり、その方が嬉しい。その為に力を注ぎたい。ただそれだけである。

「一建築を考える職人」になりたかったんだと最近よく思う。

時々講師や人前でプレゼンをする機会も多いけれど、実はあまり得意ではない。引き篭って目の前にある建築の設計を考え、図面を描き、完成へ向けて現場監理をし造り上げるのが何よりも好きであり、楽しい、これからもそんな職人でありたい。


最新の画像もっと見る

コメントを投稿