風 雑記

建築とその周辺で感じたこと、思ったこと

小さな倉

2005-10-12 20:37:08 | インポート
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今日は山都町(旧矢部町)の農家の小さな倉リフォームの完成検査へ、通潤橋(農業用水をサイホンの原理で谷を越え送る橋 江戸時代完成)の廻りの田んぼでは稲刈りが始まっていました。
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この倉は50年ほど前に建てられ、地階はコンクリート造、1階ブロック造、2階木造(移築)と言うなんとも建築的には悩ましい構造です。傾斜地に建ち漬物や野菜の貯蔵庫として使われていた1,2階部分を改修し、宿泊可能な客間につくり替えました。母屋(築130年)は10年程前リフォームしており、今回も同じ大工さん(宮大工の修業もした腕自慢の人です)にお願いしました。難しい工事だったと思いますが、落ち着いた部屋が出来上がりました。壁にはイグサのクロス(緑と茶)を使っています。丁度建て主は稲刈りの時期で忙しかったのですが、合間をぬって帰ってきてくれました。
熊本は台風の被害は少なかったのですが、稲の実の入りは今一つで、天候の具合(天気と雨のバランス)が良くなかったそうです。
母屋の土間から農家が数軒、遠くには雄大な山々が見えます。母屋や倉はリフォームなので集落の風景はほとんど変わってないですが、見事な木組みの民家を再生したことで「農家の暮らしに自信と豊かさを感じる助けになっている」と言ってもらえることが何より嬉しいことです。天草へ行く途中でも惹かれる海岸沿いの旧い民家が幾つかあります。デザイン的にも優れていて昔の棟梁達の技に関心します。