実はケッコー久しぶりに聴くんだよね。
PRIMAL FEARの『CODE RED』。
このアルバム制作前に、マット・シナーが重病になってあわやという事態になっていたらしいが、マットも何とか回復し、その生還から曲作りにはかなりの熱が入ったようだ。
とは言ってもな。
実際、オレはこのバンドのアルバム聴くのも7~8年振りくらいになるんじゃないかと思う。
『DELIVERING THE BLACK』以降、多分2~3枚くらいのアルバムは耳にしてないと思う。
この辺りから、いよいよもってバンドが悪い意味でマンネリ化してきたと、オレは感じていた。
良い変化を見せてきたのは、『SEVEN SEALS』と『NEW RELIGION』で、チューニングを半音下げたという試みから生まれた楽曲とオーケストレーションとの良い塩梅での融合が、以降のバンドの土台の一角となった傑作だと個人的に思っている。
ただ、それ以降からメンバー構成が不安定になっており、ラルフ・シーパースとマット以外のメンバーは何が何やらよく判らない状態だった。
その点も、オレがバンドに対して興味が薄れてしまった点でもある。
前作から一先ずメンバーも安定しており、ギタリストは実は3人存在しているが、マグナス・カールソンは作曲にのみ携わる言わば裏方メンバーとなり、スポットライトを浴びるギタリストは、トム・ナウマンとアレックス・バイロットの2人。
そして、現在ドラマーはGAMMA RAYに在籍しているマイケル・エーレとなっている。
何故再びPRIMAL FEARのアルバムに手を出そうという気になったかといえば、丁度MVでANGRAの新曲が披露された後に、PRIMAL FEARの「DEEP IN THE NIGHT」が上がってきたんだよね。
ANGRAが悪いとは思わないんだが、今回両バンドの新曲を聴いた時、PRIMAL FEARのギターの音の方が、オレからしたら「本物のメタルギターの音」という風に聴こえたんだよな。
加えて、スローテンポのダークな雰囲気を纏わせた曲の中で、ラルフの歌唱がこれまでよりも新味を感じさせるものだったところ。
現時点でロブ・ハルフォードを超えるほどの強靭なハイトーンと声量を放つラルフに関して文句なんて無いんだが、駆使する声域、表現力があまり広くない点が弱点と言えば弱点だったのも確かだろう。
だが今回のアルバムでは、その歌唱に多少なりとも変化を齎す表現を交えており、ハルフォード系列の声帯を持つ、いちシンガーから一つ前に出てきた感じがあった。
まァ、オレが『CODE RED』より前のアルバムを聴いてきてないからそう思えてるのかもしれないが、少なくともここまでの期間耳にしてこなかった分だけ、今回の楽曲は中々新鮮に聴こえる。
所謂硬派な、正統派へヴィメタルとしてのクオリティはケチのつけようがないが、この手のバンドに本当に必要なのは、バラエティある曲調に挑む事でもあると思ってしまったりする。
ラルフがPRIMAL FEAR結成の前までは、GAMMA RAYに居たのはご存じの通り。
ラルフ在籍時は、GAMMA RAY(というかカイ・ハンセン)自体がメタルとしてどの方角へ向かっているのか判らない状態のバンドではあったものの、ハンセン主導の下作られたものは、個性的と言って良いほどにバラエティに富んだ曲たちが居並んでいたとも思う。
ラルフ在籍時の3枚は、試行錯誤時期ではあったにしろ、今でも好きなGAMMA RAYのアルバムである。
そういった意味では、PRIMAL FEARはラルフの憧れであるJUDAS PRIEST寄りの、ヘヴィメタルの硬派な雰囲気を強調したバンドとなったワケだが、ソレがまた足枷にもなっている状態が出ていたのは否定できんと思うんだよね。
「ヘヴィメタルとはかくあるべし」という硬い思考が、やはり纏わりついてるのかね。
今回、未だカチコチなカテゴライズの中にあって、少しでも違う雰囲気を持たせようとした印象がアルバム全体から滲み出ている。
マットの容体事情があったのも影響しているのか、このバンドとしては攻撃的且つ重みの利いた説得力のあるサウンドが、楽曲の粒ぞろいを感じさせる。
このバンドも結成から25年。
ラルフGAMMA RAY離脱の理由が、当時JUDAS PRIESTのヴォーカルオーディションを受ける為という事で、納得でもあるが同時に残念でもあったが、この分岐点ができたからこそ、その後GAMMA RAYはハンセンに期待されているパワーメタル路線へと舵を切る事ができたワケだし、ラルフも自分の歌唱を披露できる理想的メタルバンドを結成する事ができたワケなのだから、面白いものである。
そんなハンセン、今では古巣のHELLOWEENへ復帰した為、GAMMA RAYは開店休業中の状態。
エーレは、丁度良い時期にPRIMAL FEARに加入したと思うね。
多分、ハンセンの推薦もあったと思うし、GAMMA RAYで振るっていたドラミングを見てみた限り、堅実且つ重厚なドラミングが出来る人物なので、PRIMAL FEARでも活躍できる筈だ。
良いね、今回のアルバムは。
久々に聴き込んでみようと感じたね。