何代目のピエールだろう?
ハエの名前です。
説明を致しますと、ハエが部屋の中にいるんだけど僕は名前をつけてかわいがるようにしている。
ハエは五月蝿い(うるさい)という漢字に使われるぐらい一般的には疎まれるけれども、名前をつけてみると…
なんか愛おしく感じられたりします。
何が言いたいかって、何事も心の持ちようでものすごく「変わる」ってこと。
何事もじゃない?
不思議なことに、名前をつけて、
「ピエールおいで?」
などと声がけをすると、本当に来る。
プイーンと飛んできて、僕の手をヨジヨジ登ったり、
「どーもどーも。」
と手を合わせてシャカシャカしたり、
「いぇーい!」
と手をあげてみたりと僕らが思う以上に愛嬌がある仕草をする。
家族の誰にも懐かないけれど、名前をつけて可愛がってる僕にだけとまる。
僕が動こうが、お茶を飲もうと手を伸ばしても時計を見ても…何をしようが飛んで逃げたりはしない。
こいつは安全だと思われてるのかどうかは知らない。
顔にとまってきても、僕はピエールが甘えてると思って払いのけたりもしない。
「顔はやめてね?ピエール。」
と言うと、手に戻ってくれるし、腕に捕まってどこにでも一緒にいようとする。
気のせいかもしれない。
それでも、いいんだ。
それでいいんだ。
何がしたいかは知らないけれど。
なんでそんなに甘えてくるのかも知らないけれど。
いていいよ。
そして、いつかサヨナラの先で僕を忘れてもいいけど、僕はハエを見るたびに君たちのことを思い出す。
豊かであると言うことは、財産などの話ではない。
幸福と贅沢は別モノ。
案外心の持ちようです。
心だけでも豊かな人でありたいと思うのだ。
置き忘れることのないように心をどこかに置き、そうであれるように全てから教えを乞えば良い。
くすぐったいぞ、ピエール。
いていいよ。
君も、あいつも、だれもかれも。
いていいんだ。