スコップ団の頃、玉浦に行った。
岩沼インターを降りて、右折して真っ直ぐ。
その日はミヤギテレビの取材が来ていた。
だから、青空応援団のドキュメンタリーの中でもその日のお家の映像が使われていて、とてもよく覚えてる。
今日、植樹祭の時に出演者用の移動バスを降り、神社を眺めていた。
(見覚えがあるような、ないような。)
辺りは公園のように整備されていて、まさか家々があったとは思えない。
「団長」
見覚えのあるお母さんと娘さん、そしてお孫さんの坊ちゃん。
「団長、お久しぶりです。スガワラです。」
「スガワラさん。スガワラさん?」
「スコップ団にお世話になりました。」
「あぁ、そうでしたか。お久しぶりです。すみません、お顔とお名前は高確率で一致していないものですから。」
「本当にお世話になりまして。」
「その後、いかがですか?」
「はい。その後、ここがその後です。」
なんと!
僕が立っていたその場所がそこでした。
確かに、ここに腰掛けてお弁当を食べた気がする。
確かに、この神社はあの神社な気がする。
そして。
確かに、この方々だった。
元々そこに住んでいた人が、こうして苗を植え、何かを思う。
元々そこに住んでいた人は、何を思いながら、木を植えるんだろう。
今、僕らはこうして生きている。
音楽を聞いて、家族と食事をし、友人たちと働きながら、仲間と世界を変えようとしている。
「はーい」
3歳だというその子が、石を拾って僕にくれた。
「ありがとう。」
しゃがんでその石を受け取ると、嬉しかったのかまた何かを拾いに行った。
「そんなのいらないよ、団長さん困っちゃうから。」
「ううん、ありがとうね。嬉しいよ。これは、なんだろうね?」
雨樋の破片だった。
まだ残っているのだなぁと思った。
名刺をお渡しして、出番を待つ控え場所へ走った。
「また、お会いしたいです。」
背中で約束を受けた。
一つ一つの約束事を、新たに作っていきたい。
約束をしては果たす。
約束をしては、果たす。
出来ない約束はしない。
たまに、してない約束も果たす。
そういうことが、生きる上でとても大切なんだなと思う。
本当に難しいことだし、強要しちゃう気持ち悪い人もいる。
皆が自分を見ていると思ってはいけない。
暑いとか寒いとか、疲れたとか忙しいなんて言えるのは、幸せだからです。
ずっとずっと手前の事で、人はグズグズしてる。
良いも悪いも、少し手前過ぎる。
もっと先の、さらにその先に用があるのに。
みんな笑ってるけど強がってるのかな。
どうなんだろう。
言い表せない想いは、それぞれ一人で抱えてる。
僕もそうだ。
ただ、
「嬉しかった。」
と言ってもらえたことが嬉しかった。
何年か経ち。
毎日毎日夜を迎え、毎日毎日朝が来る。
いくら気持ちよく目覚めたって無いものは無い。
「なんで?どうして?」
と泣く子どもの心を、誰もが心の底に残しているから、人はいくつになっても泣く。
僕らに出来るのは、応援することぐらいだ。
僕らは、アホな男だから。
そんな風に思う。
もうすぐ東京。