電影宣伝自由人

香港映画を中心にしたアジア映画のよもやま話などを紹介

パクリの映画

2007-06-30 17:07:15 | Weblog
香港映画を観ていると、「どこかで観たことある話だなあ。」とか「どこかで観たことあるシーンだなあ。」と感じることがあります。昔から人のアイディアを盗んですぐ作っちゃうから台本がない、と言われていましたが、このパクリの精神は日本映画にもありました。
石原裕次郎や渡哲也が活躍していた日活の映画がまさにヨーロッパ映画のストーリーをパクっていたりしていたことをご存知ですか?石原裕次郎主演、舛田利雄監督の『赤い波止場』はジャン・ギャバンの名作『望郷』をベースにして作られており、その『赤い波止場』を舛田利雄監督がセルフリメークして渡哲也主演で作ったのが『紅の流れ星』なのですが、これがまたゴダールの『勝手にしやがれ』にそっくりという、見比べてみると面白い作品が日活映画に沢山あります。
そのノリが香港映画に受け継がれていたといったほうがいいのかもしれませんが、1989年に香港へ行った時、劇場で観ていて唖然とした映画がありました。アンディ・ラウとロザムンド・クァン主演『トップポリス(傲気雄鷹)』です。新作をいち早く上映する午夜場という、香港で特殊な上映形態が1980年代にあって、キャスティングをみてこれは早く観にいかなければと、当時、一緒に香港へ行っていたマスコミの人たちとチムサーチョイ・イースト(尖沙咀東) にある映画館へ行きました。あらかじめ昼間にチケットを買っていたので、列に並んでいると、私たちの前に並んでいた香港の若者が話しかけてきました。私たちはその青年に「なんで、この作品を観ようと思ったの?」と質問すると、「このキャステイングだったから、観たいと思った。」と答えてくれました。
夜でも相変わらずがんがん冷房が入った場内で、長袖シャツを着つつ、予告が流れはじめました。昔の香港映画の予告は、シーンをつなげただけのだらだらした予告が多くて、1本の予告が3分もあって、つまんなそうな映画だと飽きたりします。さて予告も終わり、いよいよ映画が始まりました。アンディ扮する主人公の青年は、香港警察の特殊部隊を育成する警察学校に入隊します。そこで美人の女教官(ロザムンド・クァン)と出会い、恋を芽生えさせながら、親友とともに訓練に耐えていくが、ある日、親友が訓練中に死に・・・・、あれ、これどっかで観たことがあるなあと思ったら、トム・クルーズの『トップガン』だ~、ということで、この映画のオチが観てる途中でわかってしまい、結局、その通りに話が進んで、観終わった後、皆で苦笑いしていたのでした。
ここまでパクられていると、立派としかいいようがありませんが、これもまた香港映画を観る楽しみの一つといえるでしょう。ちなみにこの『トップポリス』はビデオ化されていますが、DVD化はされていないですね。