電影宣伝自由人

香港映画を中心にしたアジア映画のよもやま話などを紹介

過去を知るということ

2007-06-04 16:17:03 | Weblog
最近、日本の若い映画監督と仕事をしても、映画をあまり観ていないことを知りびっくりしてしまうことがあります。
自分の感性で撮ることもいいのですが、過去の作品を観ることでアイディアを得ることも大事だと思います。
ハリウッドのS・スピルバーグといった大御所の監督たちも過去の作品から学び、自分の作品を作り上げていったわけです。さて、私が監修を手がけたキング・レコードのショウ・ブラザース作品ですが、観れば観るほど現在の香港映画界の大御所監督たちが、いかにショウ・ブラザース作品に影響をうけたかがよくわかったからです。というか、よくもまあ、ここまで影響をうけているのかと、驚く作品があります。
その代表的なのが、ツイ・ハーク監督の『ワンス・アポン・ア・タイム・イン・チャイナ 天地大乱』のクライマックス・シーンのジェット・リーVSドニー・ユエンの対決シーンです。このシーンは、『ワン・チャイ』シリーズのなかでもいちばんの名場面シーンと思っておりますが、その後、ラウ・カーリョン監督の『ワンス・アポン・ア・タイム 武館激闘』を観てびっくりしました。クライマックス、リュー・チャーフィー演じる黄飛鴻と北派の使い手であるワン・ロンウェイが狭い路地でお互いの技を繰り出して戦うというシーンがあります。その構図がまさにジェット・リーVSドニー・ユエンのシーンにそっくりなのでした。
ツイ・ハーク監督はもともとショウ・ブラザース作品に対しての思いが強く、大学の卒論がキン・フー監督論だったといわれております。また、『ブレード/刀』は『片腕必殺拳』シリーズのオマージュであったわけですし、観れば見るほどその影響の受け方が半端でないことがわかります。
映画の楽しみ方は過去の作品を知ることで、新しいことを知る場合が多いわけです。新しい作品を観ることもいいのですが、ぜひクラシックの作品を観ることもおすすめいたします。