電影宣伝自由人

香港映画を中心にしたアジア映画のよもやま話などを紹介

ファースト・ミッションその10

2006-08-20 17:57:12 | Weblog
撮影現場に到着すると、スタッフがあわただしく動いていました。そこにはもちろん、お目付け役のように、ジミーさんもやって来ました。私たちはまず現場として使われている学校跡のような建物のなかに入っていきました。しばらく皆と待っていると、そこに現れたのがユン・ピョウでした。通訳はもちろん、旅行会社のおばちゃん。とにかく撮影をしながらのコメント撮りです。ところが、ユン・ピョウはマイペースというか、手に持っていた携帯電話がなると撮影そっちのけで話したり、電話をかけていたりしています。香港ではちょうど携帯電話が使われ始めた頃だったのですが、その大きさといえば、まるで昔のトランシーバーみたいな大きさです。この時もタイミングを見計らって、一緒に写真を撮ったり、プレゼント用のサインをしてもらったりしました。
まだ、全然撮影が始まらないので、外へ移動し、路上においてあるマットに座って、どうやってたくさんジャッキーからプレゼント用のサインをもらうかなどと、松竹の宣伝課長の丸山さんと話していましたが、この時は全然気がつかなかったのですが、当時撮った写真をみてみると、そのそばをスタッフとしていったりきたりしていたのがラム・チェンインだったり、ユン・ワーだったりと、当時はまったくその名前さえも知らなかった香港スターたちが、裏方として現場にいたのでした。
さて、ジャッキーはどこにいるかというと、現場が整うまで、自分の車の中で睡眠中でした。なにせ、湿度90%以上で、気温も38度ほどです。風もなくじっとしていても汗ばむようなこの場所で、睡眠不足のジャッキーにとってはちょっとの間でも身体を休めていました。
やっと外での撮影がスタンバイしました。車から降りたジャッキーが犯人を病院前まで連れて行くシーンを撮影しました。ほんの2,3カットを取り終えると、カメラは屋内に移動です。われわれもぞろぞろとスタッフについて行きます。カメラは部屋の中に入りました。悪者たちが病院の医師たちを襲うシーンです。ここのシーンのメーキングは、日本版『ファースト・ミッション』のエンディングのNGシーンに使用されていますが、実はここの撮影シーンではユン・ピョウがアクション指導をしており、スタンバイの間にジャッキーとユン・ピョウがハンドカメラで撮り合ったりする悪ふざけをしていました。カメラに向ってユン・ピョウが変な顔をする映像が残っていますが、この時カメラを持っていたのがジャッキーでした。さて、この時、実はサモ・ハンはこの現場にいませんでした。彼は私たちがその現場を去った後に来たようだったのですが、私たちがこの現場にいるときに監督をしていたのは、実はウー・マ(午馬※『チャイニーズ・ゴースト・ストーリー』の道士役ななどで有名)だったのです。この映画の実質的な現場監督がウー・マだったことは、何年もたってから知ったのでした。