陶芸家の工藤氏には藤沢町で毎年8月に開催されている「藤沢野焼祭」で何度かお会いしていたが、なかなかお話しをする機会がなかった。「藤沢野焼祭」は、1976年、同町の陶芸家本間伸一氏の発案によって始められたものだが、工藤氏はその1年前に本間氏の一番弟子となって焼締陶器の世界に入った。一人で最初から最後まで関われる手仕事に関わりたいとの思いを抱いていた彼に、陶芸はまさに打ってつけの仕事であった。
工藤氏の窯は、美しい花山湖を眼下に望む高台の地に設けられている。私が赴いたときは3月の半ばであったが、例年になく暖かい日が続いたせいか、道路から雪はすっかり消えて、湖には澄んだ雪解け水が満々と湛えられていた。この湖と対面するかのように傾斜面に本間氏と同型の穴窯が鎮座している。1300度近くまで温度を上げて猛り狂う炎とそれを鎮めるかのように静かに佇む湖。その対称の妙を今度は見に来たいと思った。
窯は今年は1月、4月、9月の3回焚くという。窯の両脇には秋田から原木で取り寄せた赤松の薪が積み重ねられている。土は山形県の大石田から運ぶ。花山の近隣は栗駒山系の火山層が分厚く覆っているので陶芸に使える粘土がとれないという。かって湯の倉で地層が深く露出したところを見つけ、採取を試みたことがあったが、2008年の岩手・宮城内陸地震により採取が困難となった。
新しく取り組んでいるのは磁器土を使った焼締。 薬をかけたものも試みている。焼締の醍醐味である自然釉や窯変を生かした工藤さんの作風に新たな魅力が加わるのが楽しみだ。
奥様のお話では、近年は花山も国際化の波と無縁ではなくて、オーストラリアやスウェーデン、アイルランド、インドネシアなど多様な国々の人々がこの風光と陶芸家の生活に魅せられて訪れる。おみやげに工藤氏のどっしりとして力強く、素朴な趣のある土瓶を買って、ほうじ茶を愛飲している外国人もいるという話は、自分のことのようになんだかうれしい。
工藤氏の窯は、美しい花山湖を眼下に望む高台の地に設けられている。私が赴いたときは3月の半ばであったが、例年になく暖かい日が続いたせいか、道路から雪はすっかり消えて、湖には澄んだ雪解け水が満々と湛えられていた。この湖と対面するかのように傾斜面に本間氏と同型の穴窯が鎮座している。1300度近くまで温度を上げて猛り狂う炎とそれを鎮めるかのように静かに佇む湖。その対称の妙を今度は見に来たいと思った。
窯は今年は1月、4月、9月の3回焚くという。窯の両脇には秋田から原木で取り寄せた赤松の薪が積み重ねられている。土は山形県の大石田から運ぶ。花山の近隣は栗駒山系の火山層が分厚く覆っているので陶芸に使える粘土がとれないという。かって湯の倉で地層が深く露出したところを見つけ、採取を試みたことがあったが、2008年の岩手・宮城内陸地震により採取が困難となった。
新しく取り組んでいるのは磁器土を使った焼締。 薬をかけたものも試みている。焼締の醍醐味である自然釉や窯変を生かした工藤さんの作風に新たな魅力が加わるのが楽しみだ。
奥様のお話では、近年は花山も国際化の波と無縁ではなくて、オーストラリアやスウェーデン、アイルランド、インドネシアなど多様な国々の人々がこの風光と陶芸家の生活に魅せられて訪れる。おみやげに工藤氏のどっしりとして力強く、素朴な趣のある土瓶を買って、ほうじ茶を愛飲している外国人もいるという話は、自分のことのようになんだかうれしい。