八月とは思えないような梅雨空、藤沢町に着く頃はどしゃぶりかな、と思っていたら、金成インターを降りる頃には薄日がさして雨の気配は全く消え、会場の藤沢中学校についた5時過ぎには、すっかり晴れて、鰯雲やら、鱗雲やらが空いっぱいに広がって、涼しげな秋空の趣となっていた。今年は不況の影響か否かは分からないが、小ぶりの作品が多いように見えたものの、開会式でのアナウンスでは昨年並みの1028点が集まったという。窯にいっせいに火が放たれて、燃え上がる炎を見ていると、日頃の心の中のモヤモヤが焼き尽くされるようで心地よい。考古学者の故塩野半十郎の発案で始まり、藤沢焼(粉香木窯)の陶芸家本間伸一氏が実働部隊の中心として支え続けて、今年で34回目を迎えた藤沢野焼き祭り。岡本太郎、池田満寿夫、辻清明といった錚々たる面々が集った時代から比べると、表面上の華やかさは減ったが、地域の人々と陶芸愛好家のオール参加者が熱い思いで受け継いでいる祭りは日本でも珍しいのではないか。燃え上がる炎をバックに演じられた南部神楽。古事記の語り、太鼓の響き、手踊りのリズミックな動きに、太古の魂が蘇えるかのようだった。