「相棒」シリーズは、相変わらずスリリングで面白い。その理由は、ストーリーが理詰めで展開されることと、なによりも、しっかりしたディスカッション・ドラマになっているからだと思います。最新映画化版「相棒-劇場版Ⅱ-警視庁占拠!特命係の一番長い夜」(12月23日公開)も、最初から最後までスリル満点。警視庁本部内で、幹部12名が人質になるという事件が発生。現場は機動隊とSITによって完全包囲。だが、犯人の動機や要求は不明。一発の銃声で強行突入が敢行されるが、犯人は絶命。人質たちの曖昧な証言などで謎は深まり、特命係の杉下右京(水谷豊)と神戸尊(及川光博)が事件解決に乗り出す…。
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警視庁本部内で人質籠城事件が起きる、などというあり得ない状況が、計算しつくされた構成で解き明かされていく語り口に釘づけになります。キーワードは、公安、外事、チャイニーズ・マフィア、警察庁との権力争い、などなど。上海マフィアを船の中に追いつめる冒頭から、事件の元凶を断罪するラストまで、息つぐひまもありません。そんな中で、邪魔者扱いされた右京と尊が、寡黙な行動を続けて事件の核心に迫っていく。右京以下、登場人物が陰影深く魅力的、人物関係や謎の解明部分もわかりやすく、しっかりと緊迫感あふれる展開になっている。いままでの和製ドラマにはなかった映像感覚だと思います。
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脚本担当は、「相棒」の生みの親である輿水泰弘と、前作をヒットさせた戸田山雅司。監督も、前作に続いての和泉聖治。出演陣も、水谷&及川という名コンビに加えて、鑑識課員・米沢守役の六角精児ほか、岸部一徳、國村隼らの名優たち、加えて宇津井健、品川徹らのベテランも登場。また、事件の鍵の一端を担う警察学校出身の警視庁総務部装備課主任に扮する小西真奈美が、妖しげな魅力を発揮。配役も、隅々まで個性的な役者ぞろいです。2000年のドラマ初放送から数えて、10周年を迎えた好評シリーズの最新映画化版。なんといっても、続編・続々編が流行の昨今、一話完結というスッキリ感がいいですね。
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