わくわく CINEMA PARADISE 映画評論家・高澤瑛一のシネマ・エッセイ

半世紀余りの映画体験をふまえて、映画の新作や名作について硬派のエッセイをお届けいたします。

レベッカ・ミラーの爽やかな演出「50歳の恋愛白書」

2010-02-14 15:09:09 | 映画の最新情報(新作紹介 他)

Img240 アメリカ映画「50歳の恋愛白書」(2月5日公開)の監督・脚本を手がけたレベッカ・ミラーは、「セールスマンの死」などで有名な劇作家アーサー・ミラーの娘です。夫が名優のダニエル・デイ=ルイス。女優としてキャリアをスタートさせ、その後、脚本家・映画監督業に転身。「Angela」(95年)で監督・脚本家としてデビュー。夫のダニエル主演の「The Ballad of Jack and Rose」(05年)などで注目を浴びた。08年には、初めての長編小説「The Private Lives of Pippa Lee」を出版。これを映画化したのが、最新作の「50歳の恋愛白書」です。ブラッド・ピットひきいるプランBが、製作上のパートナーとなっているのも話題だ。
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 主人公は、50歳の主婦ピッパ・リー(ロビン・ライト・ペン)。彼女は、30歳年上のベストセラー作家ハーブ(アラン・アーキン)と結婚、二人の子供を育て、完璧な妻を30年近く演じてきた。だが実は、彼女を取り巻くのは、浮気者の夫や、反抗的な娘たちだった。一見、誰もがピッパを理想の妻として羨んでいたが、彼女自身は退屈と不眠症に悩まされている。やがてピッパは、15歳年下の型破りな男クリス(キアヌ・リーブス)と出会い、新しい人生を始めようとする。物語は、ピッパの青春時代の回想を織り込みながら展開される。自己中心的な父と、薬物中毒の母のもとで育ち、10代には麻薬とセックスに溺れ、荒れた生活を送ったピッパ。そんな彼女を救ったのが、ハーブとの富裕な生活だったが…。
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 このドラマには、女優マリリン・モンローと結婚した経歴を持つ著名人アーサー・ミラーと、娘であるレベッカとの関係が反映されているのかどうか。そのあたりも興味津々だ。上記以外に、ブレイク・ライブリー(若き日のピッパを演じる)、モニカ・ベルッチ、ウィノナ・ライダー、ジュリアン・ムーアらが共演。しかし、従来のハリウッド映画のように派手なメロドラマではなく、女性の心理をじっくりと描きこんでいく。日本映画の「60歳のラブレター」に登場したような古風で優柔不断な男女関係とは対照的に、古い殻を棄てて、自由を求めて飛翔しようとする女性ピッパの生きざまに、すがすがしさを感じます。


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