孫文(1866~1925)は、辛亥革命の成功によって清朝を倒し、中国近代化に成功、台湾では国父、中国では革命の父と呼ばれる著名な革命家です。西洋思想に傾倒し、医学を学びながら革命を志す。だが、清朝に追われて、アメリカ、イギリス、日本など各国を転々として同志を糾合し、革命資金を調達、主に外地から蜂起を指揮した。その孫文の亡命時代を題材に、アクション映画として作られたのが、中国・香港合作「孫文の義士団」(4月16日公開)だ。「ラヴソング」「ウォーロード/男たちの誓い」のピーター・チャンが総合プロデュース、「アクシデンタル・スパイ」のテディ・チャンが総合監督を担当。「インファナル・アフェア」のアンドリュー・ラウが、後半部分のアクション演出に特別参加した。
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物語の舞台は、1906年のイギリス領・香港。あるとき、孫文が来航するという情報が流れる。腐敗した清朝打倒をめざす彼の目的は、武装蜂起のための同志との1時間に及ぶ密談。それを嗅ぎつけた西太后が仕向ける500人の暗殺団に対して、孫文を護衛する義士団が結成される。新聞社を経営する活動家と、革命に賛同する大物実業家のもとに集まったのは、暗殺団と孫文派に二股かける警官、純情な車夫、苦難の過去を持つ物乞いら8人の名もなき民たち。彼らは、それぞれの思いを胸に、暗殺団を相手に壮絶な戦いを展開する…。実際に起こった孫文暗殺事件をもとにした、辛亥革命100周年作品というけれど、要するに香港アクションの集大成。スケールアップされた奇想天外なアクションが売りです。
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さらなる見どころは、中国・香港・台湾を中心にしたアジアのオールスターの競演だ。うさんくさいスパイ警官に「イップ・マン 葉問」のドニー・イェン、おかしな物乞いに「ラヴソング」のレオン・ライ、純情な車夫に「PROMISE」のニコラス・ツェー。その他、「墨攻」の美人女優ファン・ビンビン、「愛人/ラマン」のレオン・カーフェイ、「花の生涯/梅蘭芳」のワン・シュエチー、「インファナル・アフェア」のエリック・ツァンら多士済々。資金繰りやキャストのスケジュール調整のために10年の製作期間がかかり、20世紀初頭の香港を再現する巨大なセット作りに8年かけたとか。上映時間2時間19分。思わず度肝を抜かれるような武闘アクションのかずかずを、存分に楽しめること、請け合いです。
春爛漫!
(千葉県野田市の清水公園で)