エコポイント&スマートグリッド

省エネ家電買い替え促進で有名となったエコポイントとスマートグリッドの動向を追跡し、低炭素社会の将来を展望します。

電気自動車を普及させるための草の根の取り組み

2010-03-19 06:05:07 | Weblog
 電気自動車(EV)を普通の乗り物として定着させようという草の根レベルの取り組みも始まっています。例えば、埼玉県秩父市にある電気部品メーカーである埼玉富士は、新潟県長岡市の人間行動科学研究所」所長から指導を受けてガソリン車の中古を改造してEVの試作車を完成させました(こちらをご覧ください)。
 同社のEVはセカンドカーとして、買い物や届け物、農作業などに「ちょっと」行くときの「ちょい乗り車」という発想のものです。8時間フル充電で時速40キロの場合、連続40キロの距離を走れます。
 改造費用を合わせた車の値段は120万〜130万円ですが、将来は100万円以下にすることを目指しています。

直流配電の動きは住宅からさらに拡大

2010-03-19 01:06:50 | Weblog
 最近コストとCO2削減に大きな効果があるということで直流配電を目指す試みが活発化しています。
 まず、直流配電の取り組みは住宅から開始されていますが、その代表的取り組みはを行っているのがシャープとパナソニックです(ちなみにシャープと、パナソニックの子会社であるパナソニック電工は、低電圧の直流配線と既存の交流配線を併用する住宅内システムの技術開発を行い、省エネルギー効果を実証する、新エネルギー・産業技術総合開発機構(NEDO)の「住宅内直流システム実証事業」の助成企業でもあります)。
 このうちシャープは、2015年の住宅を構想した「ソーラーDCエコハウス構想」を推進しています。この構想は、屋根に乗せた結晶系太陽電気モジュールと、窓ガラスや天窓に取り付けた薄膜シースルー太陽電池モジュールで発電した電力を、直流配線で家庭内の電化製品に供給するものです。それにより、変換ロスをなくすとともに、電化製品のエネルギー消費を家電情報ネットワークでスマートに管理することで、CO2ゼロの生活を目指すというものです。
 また、パナソニックは「AC/DCハイブリッド配線システム」を構築しようとしています。この配電システムは、「AC/DCハイブリッドパワーステーション」を介して、太陽光発電システムや燃料電池コージェネレーションシステム、蓄電池からの直流電力と電力会社からの交流電力を直流配線と交流配線に配電するというものです。
 AC/DCハイブリッドパワーステーションは、①太陽光発電システムからの高圧直流電力を、感電しても生命に別状ない電圧とされる48ボルトの低圧直流電力に変換する電圧変換、②太陽光発電システムからの直流電気を交流電気に変換するDC/AC変換、③電力会社からの交流電力を直流電力に変換するAC/DC変換――の3つの機能を兼ね備えたもので、技術開発はすでに完了しており実証実験のフェーズに入っています。このシステムでは、宅内配線側ではエアコンや冷蔵庫、洗濯機や電磁調理器など高電圧が必要な機器は交流配線に、LED照明など低電圧でも駆動できる機器は直流配線に接続されます。
 直流配電はデータセンターなどのビル、工場にも拡大しています。NTTデータ/NTTファシリティーズの「グリーンデータセンタサービス」では高電圧直流給電システムの実証実験が行われています。また、三洋電機のエナジーソリューション事業の実証実験の場として使われる加西事業所新工場「グリーンエナジーパーク」(2010年7月竣工予定)にも直流配電システムが導入されます。
 さらに直流配電の広域化の動きもあります。住友電気工業は、太陽光発電所や風力発電所などの直流系発電所と、直流化された住宅や学校、オフィスビルなどを直流配電網で相互接続して、発電量や電力需要の平準化や蓄電池の利用効率化を図ることを構想し、その幹線として直流の高温超伝導ケーブルを活用しようとしています。
 高温超伝導ケーブルで従来のケーブルを置き換えると送電ロスを4分の1に削減できます。さらに、それを直流に変更すると、送電ロスはさらに10分の1に減ります。都市近郊の鉄道はすでに直流電化されているため、切り替えが容易でメリットも大きいからです。