エコポイント&スマートグリッド

省エネ家電買い替え促進で有名となったエコポイントとスマートグリッドの動向を追跡し、低炭素社会の将来を展望します。

「アジア低炭素共同体」構想

2010-03-21 14:19:16 | Weblog
 鳩山政権は「東アジア共同体」を提唱していますが、東アジアは世界でも有数の流動性と多様性を持つ地域です。したがって、EUのような共同体の実現はそう簡単なものではありません。しかし、地球環境問題の緊急性にかんがみると、低炭素社会の実現は、先進国と途上国が共通に目指すべき目標です。どこで削減しても、どこから排出しても気候の変化に対してはほぼ同じ効果を有するというCO2の特徴とCO2対策のコストベネフィット効果を考えると、アジアにおいて国境を越えた互恵的広域低炭素社会を構築するという「アジア低炭素共同体」構想は、比較的実現可能性が高く、かつ、優先度の高いものであると言えます。
この「アジア低炭素共同体」構想は、同志社大学の周教授が提唱しているものですが、2015年までの期間においては、アジアの中で、法的拘束力のある数値目標を設定する国(強制的:日本など)、法的拘束力のない数値目標を自主的に設定する国(自主的:韓国など)、数値目標は持たないものの自発的に削減方法を講じる国(自発的:中国など)の3類型に分け、その後2020年までの期間においては、自主的な国は強制的な国へ、自発的な国は自主的な国へと転換し、2020年以降において自主的な国が強制的な国への転換するという3段階アプローチを取るものです。また、アジア内における国際的な技術・資金協力とアジアワイドの排出量取引に関しては、ESCO方式とCDMの組み合わせにより、互恵関係を構築しようというものです。

スマートグリッド革命時代のビジネスモデル、「スマート企業」になるためには?

2010-03-21 06:43:06 | Weblog
 今回は、スマートグリッド革命時代の日本企業の基本戦略、「スマート企業」になるためにはどうしたらよいのかについて考えてみたいと思います。
 これからは、スマートグリッド革命が進展して様々な破壊的イノベーションが登場し、商品、サービスがコモディティ化していくパラダイムが現出していきます。この中で日本企業は、かつてない規模で「イノベーションのジレンマ」に直面します。
 この状況下で、自社技術を特許等で守り、モノづくり、モノうりで収益を稼ぐという昔ながらのビジネスモデルを継続させることは、自社技術は守れたとしても他社が新たな技術を投入して市場を席巻すれば、自社技術はたちまち時代遅れになってしまいます。このことは、いち早く破壊的イノベーションに直面した電子機器やテレビの分野において、EMS(Electronics Manufacturing Service)形態をとる中国などの企業が日本のモノづくり、モノうりを駆逐していることからもうかがい知ることができます。スマートグリッド革命が進展する時代においては、従来型のビジネスモデルでは、早晩中国などに競争上の優位性を奪われます。
 これからは、経営のスピードを上げ、仲間をつくり、その中から競争優位性を形成するという「Linux型経営」が基本となります。たとえば、電子機器の世界でもJVC・ケンウッドは、中国のEMSを巻き込んでM-LinXという新しいサービスを提供するシステムを世界に供給しようとしています。M-LinXにより、インターネット網を活用してFM・AMラジオ放送と同じ音声を受信できるというサービスで、ネットを利用することで、電波障害などが起こらず、難聴取地域でもクリアなラジオ放送を聴けるようになります。音声とは別に画像などの付加データを受信できる技術仕様も開発中で、動画、静止画、文字情報などの情報を追加することが可能となります。
 提携先の海外のメーカーから中国のEMSに対して、M-LinXなどの多様なサービスを利用することができるBlue-ray Discレコーダー、HDD、デジタルハイビジョンチューナー、FM・AMチューナー、デジタルアンプを1台に集約したホームAVC機器であるRYOMAの生産をアウトソーシングさせ、「JVC・ケンウッド*海外メーカー*中国EMS」のビジネスネットワークにより、製品を売るだけではなく特許料収入を継続的に獲得しようというビジネスモデルの根本的転換がここにあります。
 スマートグリッドに対応した新しいイノベーション創造のため日本企業が「Linux型経営」によりビジネスモデルを転換し、「スマート企業」を目指すかどうか、これこそが日本企業の生殺与奪を決する本質的な問題です。太陽電池、燃料電池、そして蓄電池等の要素技術の優位性をいかにビジネスモデルひいては社会システムのイノベーションレベルにまで高めるかが問われています。