エコポイント&スマートグリッド

省エネ家電買い替え促進で有名となったエコポイントとスマートグリッドの動向を追跡し、低炭素社会の将来を展望します。

日本における電気自動車向けの充電インフラ整備状況

2010-03-07 23:12:34 | Weblog
 電気自動車用の充電インフラに関しては、NEC、NTTデータ、日本ユニシスが充電インフラ整備の実証事業に取り組んでいます。NECとユニシスはそれぞれ新日本石油と共同で実施し、NTTデータはコンビニエンスストアや自治体と共同で実証事業を行っています。
 このうちNECは、電気自動車の内部にあるバッテリーを短時間で充電する急速充電器と、その制御システムを提供しています。急速充電器にはNECのグループ会社である高砂製作所が開発したものを採用し、ENEOSブランドのサービスステーション全国22カ所に設置しています。NECは認証・課金システムも提供し、操作性や信頼性を検証しています。日本ユニシスは充電器の設置場所や空き情報を、カーナビ向けに配信するサービスを青森市内で提供しています。
 またNTTデータは、コンビニエンスストアや自治体から充電スタンドを借り、課金や決済の仕組み、無断防止の仕組み、電子マネー利用機能などをどう実現するかを検証しています。実証実験にはコンビニのローソンやスリーエフ、東京電力、神奈川県、横浜市など20の企業と自治体のEV170台が参加していますが、これは、09年度のEVの全国販売予定数の1割に相当する規模です。参加した企業と自治体のEVは、東京や神奈川、大阪の3都府県計24カ所に設置されたEV用充電器を、ガソリンスタンドのように急速充電できます。
 その際の決済手段として、NTTデータが開発したICカードを活用しています。NTTデータは通信ネットワークを通じて、各地の充電器の利用状況を分析、把握し、今後の事業化へ展開する予定です。
 いずれも、資源エネルギー庁が推進する「平成21年度 電気自動車普及環境整備実証事業」の一貫として実施しているものです。

中国自動車メーカーの注目株はBYDと上海通用五菱

2010-03-07 05:58:35 | Weblog
 中国汽車工業会の発表によると、中国企業の自主ブランド車が2009年の全体の販売台数に占めるシェアは前年比4ポイント増の44%で、ほかは日系ブランド車21%、ドイツ系14%、米系10%、韓国系8%、フランス系3%です。
 今後注目される中国自動車メーカーは、何と言っても、深セン市に本社があるBYDです。09年の同社の販売台数は45万台で、前年の2.6倍と急拡大しています。同社はもともと、95年に設立された中国国内最大手の充電式二次電池メーカーです。リチウムイオン電池で世界最大手になった同社が自動車生産に乗り出したのは03年。その後、陜西省西安工場と深セン工場を合わせ、同社の売り上げの55%を自動車部門が占めるまでになっています。
 同社の主力車種「F3」は、09年10月1ヵ月間の販売台数が3万台を突破しました。F3の外観はトヨタの「カローラ」に似ていますが、販売価格は6万元(1元=約13円)とカローラ(14万元)に比べ圧倒的に低価格で、品質も悪くないと評価されています。
 他方、小型車でマーケットを牽引するのは、上海通用五菱 <http://www.sgmw.com.cn/> です。09年の同社の新車販売台数は106万5,000台(前年比63.7%増)と急伸しました。同社は、米ゼネラル・モーターズ(GM)、中国大手の上海汽車などが共同出資する合弁会社で、広西チワン族自治区の柳州市に生産拠点があります。
 上海通用五菱の自主ブランド車「五菱之光」、「五菱之栄光」の09年の売り上げは前年比40%増と好調で、単体メーカーで初めて年間100万台を生産・販売しました。同社は10年の生産目標を123万台、うち五菱ブランド車を115万台としています。
 

DOEはCCS実証事業に対して10億ドルを支援

2010-03-07 00:05:37 | Weblog
 米エネルギー省(DOE)のチュー長官は昨年12月、景気対策法による助成措置の一環として、石炭火力発電所の商用規模の二酸化炭素回収・貯留(CCS)実証プロジェクト3件に対し、合計約9億7,900万ドル(約870億円)の助成を行うと発表しました。民間企業側の投資約22億ドルと合わせると、総額約31億8,000万ドル(約2,824億円)の投資となります。対象事業には、三菱重工が二酸化炭素(CO2)回収部門を担当するプロジェクトも含まれます。
 景気対策法で認められたエネルギー省のクリーンコール関係予算は、総額34億ドル。内訳は、第3次クリーンコール発電イニシアチブ(CCPI)への追加予算8億ドル、化石燃料の研究開発に10億ドル、産業施設のCCSプロジェクトに15億2,000万ドル、貯留地層の調査に5,000万ドル、地中貯留のための職業訓練などに2,000万ドルとなっています。
 今回の助成は第3次CCPIの一環として、既存の予算と景気対策法の追加予算を合わせたかたちで行われます。CCPIは、大規模なCO2発生源である石炭火力発電所からの排出を削減するプロジェクトに対して、連邦資金と民間資金を投入し、CCS技術の早期普及を図るプログラムで、①排出されるCO2の90%以上を回収する、②電力料金の上昇率を石炭ガス化発電の場合は10%以内、通常の微粉炭燃焼や酸素燃焼の場合は35%以内に抑える、③年間30万トン以上のCO2を回収・貯留、または有効利用することを目的とする実証プロジェクトを助成対象としています。
 第3次CCPIとしては、2009年7月に水素エネルギー・カリフォルニア・プロジェクトに約3億ドル、アンテロープバレーの燃焼後CO2回収プロジェクト(ノースダコタ州)に1億ドルの助成を行っており、今回が2回目の助成対象の発表です。
 今回発表のあった助成対象プロジェクトは、次のとおりです。
1 サザン・カンパニー炭素回収貯留実証プロジェクト(アラバマ州、助成額2億9,500万ドル、期間11年)
 既存のバリー石炭火力発電所の排ガスの一部〔160メガワット(MW)の発電所からの排ガス量に相当〕を利用してCO2を回収する施設を、サザン・カンパニー・サービスが改修し、実証実験を実施する。回収されたCO2のうち、最大年間100万トンを地下の含塩層に貯留し、残りは石油増進回収に利用する。
 本プロジェクトには、シュランベルガーやアドバンスト・リソース・インターナショナルといったCO2貯留技術やEORの技術を持つ企業のほか、三菱重工業も参加し、同社が関西電力と共同開発したCO2吸収液の実証実験を行い、商用機に対応した技術の確立を図る予定。
2 テキサス・クリーン・エネルギー・プロジェクト(テキサス州、助成額約3億5,000万ドル、期間8年)
 サミット・テキサス・クリーン・エネルギーが実施するプロジェクトで、新設の400MWの石炭ガス化発電からCO2を回収・貯留する(回収量は年間270万トン)。回収されたCO2はEORに利用される。テキサス大学が最新式のCO2貯留のモニタリング、検証と計測プログラムを開発する予定。
3 マウンテナーCCS実証プロジェクト(ウエストバージニア州、助成額約3億3,400万ドル、期間10年間)
 アメリカン発電(AEP)が実施するプロジェクトで、既存のマウンテナー石炭火力発電所の排ガスの一部(235MWの発電所からの排ガスに相当)を利用したCO2回収施設を建設し、実証実験を実施する。排ガスの90%、年間150万トンのCO2を回収予定で、回収されたCO2は発電所近くの2ヵ所の深さ約2,400メートルの含塩層に全量貯留される。CO2の回収はアルストムのチルドアンモニア回収法を用いる予定。
 米国ではウエストバージニア州のほか、インディアナ州、ワイオミング州、ケンタッキー州、ノースダコタ州で発電構成の90%以上を石炭火力発電が占めており、国全体の電源構成でも石炭火力発電は49%を占めています。
 オバマ政権の下で、再生可能エネルギーの導入促進が進められていますが、再生可能エネルギー利用発電(水力を除く)が発電量に占める割合は、今のところ、バイオマス発電の導入量が大きいメーン州が18%強、風力、太陽光、太陽熱、地熱、バイオマスすべてにわたって導入量が大きいカリフォルニア州が13%強ではあるものの、国全体では3%強と、化石燃料エネルギーを代替する規模にはなっていません。
 CO2排出を大幅に削減するには、大規模排出源の1つ、石炭火力発電からのCCS技術の早期確立と実用化が大きな課題となっています。大規模発生源からのCCSにはいまだ解決すべき技術的問題があり、各国とも商用運転にこぎつけていないのが実情です。今回のような大規模な実証プロジェクトへの動向が注目されるところです。