エコポイント&スマートグリッド

省エネ家電買い替え促進で有名となったエコポイントとスマートグリッドの動向を追跡し、低炭素社会の将来を展望します。

村井純さんによるインターネットの「新世代」とスマートネットワーク

2010-03-03 22:50:06 | Weblog
 村井純さん(慶応義塾大学環境情報学部長)による最新著『インターネットの新世代』を読みました。一般向けの本ですが、大いに啓発されました。
 特に、インターネットの”生き字引”ともいえる村井さんが思い描くインターネットの「新世代」と私が構想するスマートグリッドの発展形としての「スマートネットワーク」がかなり類似していること、近い存在であることに共感を覚えました。
 村井さんは、今までのインターネットは、情報技術の専門家が、ある方向性や夢を実現するためにどういう技術を用意すればよいのか等を考えるという情報技術の専門家が主役であった時代と総括しています。しかし、スマートグリッドの登場が象徴するように、現在人類は未曽有の環境エネルギー問題に直面しており、これからは、分野を問わずプロ、アマすべての人たちが需要応答()などに参加し、それをIPV6やクラウドコンピューティングがサポートするようようになって、インターネットの未来を構築する人になると予想しています。
 そして村井さんは、これからは、ネットワークを利用する人と作る人の共同作業になると村井さんは指摘しています。その意味で、現在はインターネットの「折り返し地点」だと位置づけています。
 その関係で、この本での村井さんの指摘の中で特に関心を引いたのは、これからの電波の利用においては、デジタル技術の活用によって1つの周波数に電気信号をのせて、数多くの人々が参加していても必ず1対1でコミュニケーションができるとして(これは「イーサネット」が実現したパラダイムです)、電波という資源が従来想定されていた有限から無限になったことです。
 私は、スマートグリッドが発展して「スマートネット」へと進化し、2020年ころには人間の知的活動をサポートするインターネットと人間の生活活動をサポートするスマートグリッドが統合、融合して「スマートネットワーク」が構築されるというビジョンを有していますが、その過程において、無線が多大な貢献をすることは間違いありません。

シャープとイタリア・エネル社との提携事業開始へ

2010-03-03 05:44:08 | Weblog
 シャープは電力最大手エネルとの間で、合弁による薄膜太陽電池の現地生産と太陽光発電事業に関する契約を締結しました。薄膜太陽電池は、2011年初めの生産開始を目指しています。
 同プロジェクトについては、08年5月に両社間で基本合意に達していましたが、その後発生した世界的な金融危機により、予定より1年ほど遅れての契約締結となりました。この影響で、事業計画にも変更が加えられました。
 薄膜太陽電池会社は、エネルのグループ会社で再生可能エネルギー発電専門のエネル・グリーン・パワー、半導体メーカーのSTマイクロエレクトロニクスとシャープの3社合弁(各社33.3%出資)で、生産開始時期を11年初めに設定しました。稼働当初の年間生産能力は、前回発表時の480メガワット(MW)から3分の1の160MWに縮小しました(段階的に480MWまで拡張する予定です)。エネルのプレスリリースによると、太陽電池生産への当初の投資額は合計3億2,000万ユーロ(1ユーロ=約132円)となる予定です。
 また、エネル・グリーン・パワーとの合弁(10年3月末設立予定)で参入する太陽光発電事業(複数の発電所を設置)については、発電設備の規模を「12年までに合計189MW」から「16年までに計500MW以上」に変更しました。
 薄膜太陽電池の生産は当初の予定どおり、南部シチリア州のカターニア県にあるSTマイクロの既存の半導体工場を活用しする。同工場は、現在は操業が停止されている状態です。なお、当初予定されていた組立工場の設置については、今回は発表されていません。
 薄膜太陽電池のパネルは、高温環境で中規模以上の設備での発電に適していることから、今後需要増加が見込まれる地中海周辺国を中心に供給していくほか、スペイン(最大手の電力会社エンデサに92%出資)、フランスやギリシャで展開予定の発電事業にも利用する計画です。
 また、同工場は国内最大の太陽電池工場となるため、雇用面でも期待が寄せられており、少なくとも600人以上の雇用創出効果を見込んでいます。

(注)エネル・グリーン・パワー(EGP)は、イタリアを含む14ヵ国で再生可能エネルギー(太陽光、水力、風力、地熱、バイオマスなど)による発電事業を展開し、合計4,700MWの発電設備を保有。