ごろりんブログ

雫石鉄也のブログ

嗚呼。SFマガジン

2019年10月30日 | SFやで
 小生にはコレクションの趣味はない。モノを集めるということにあまり興味がない。だいいち、ウチはうさぎ小屋マンションなので置き場所がない。小生がゆいいつ集めてるモノといえば上方落語のコレクションぐらいだ。落語会に行った時に買ってきたものもあるが、ほとんどがテレビ放映された落語を録画したモノだ。DVDに収めてあるから場所は取らない。特にブルーレイになって記憶容量が大きくなったから、落語50席ぐらいは入る。
 小生の同好の士であるSFファンには本を大量に保存している人もいる。水鏡子先生のように2000万円かけて書庫を作った人もいる。小生は原則として読む本しか買わない。読んだ本で本棚がいっぱいになれば処分する。
 そんな小生でもSFマガジンは保存している。小生が初めて買ったSFマガジンは1967年9月号だ。それから増刊号も含めて最新号2019年12月号まで1号も欠かさず持っていた。本棚には入らないからボテ箱に詰め込んである。そのボテ箱が6箱ほど。このボテ箱、小生にとっては思い出がつまった箱であるが、そうでない者にとってはじゃまなだけである。そこで思い切って処分することにした。
 星群の会ホームページで「SFマガジン思い出帳」を連載している。最新で1978年9月号まで取り上げた。それ以降の号はこの連載のため読む必要がある。それ以前の号はもう読むことはない。そこで1978年9月号以前を処分することにした。知人に古書店をやっている人がいるので、その人に引き取ってもらおうと算段して、休日を1日費やして古いSFマガジンの総点検をやった。保存状態が極めて悪いことが判明。これじゃ、その古書店に持ち込んでも迷惑なだけだと判断して、古紙回収に出した。もちろん、創刊号と思い出深い1967年9月号とそのあとの10号分は残してある。思えば、これらのSFマガジンを読んでいる時が、小生の長いSFマガジン読書歴の中で最も楽しい時期であった。
 ボテ箱が1箱だけ空になった。残った5箱もいずれどうにかしなければならない。
 小生の人生の大きな区切りをつけた気分である。すっきりしたような、さみしいような、複雑な思いである。


三国志(三) 草莽の巻

2019年10月29日 | 本を読んだで

 吉川英治          新潮社

 群雄割拠。これは三国志をあらわす一番いい言葉だろう。曹操、劉備、呂布、袁術、孫策らが覇を唱え戦に明け暮れる。同盟を結び味方となる。はたまた不倶戴天の敵となる。この戦乱の世では、名のある英雄豪傑といえども、遠慮なく首が飛ばされる。
 この混沌のカオス状態から、曹操が頭1つ出てきた。独裁者への道を進む。

2019年の阪神タイガースをふりかえる

2019年10月28日 | 阪神タイガース応援したで
 金本監督の昨年は最下位だったから、監督が矢野に替わってAクラス3位になったのだから、まあ、良しとするべきであろう。蛇足シリーズに出てDeNAに負けて日本シリーズどころか巨人と対戦すらできなかった。これで良かったのである。万が一、シーズン終盤、火事場のバカ力というか、ツクツクホウシが鳴きだして大あわててで夏休みの宿題やってる劣等生みたいに3位にすべりこんだ阪神タイガースが、棚から巨大ボタモチ的に日本一になったとて、いっこもうれしくない。そんなことをすれば1年間の戦いはなんだったんだということになる。戦略として、4位と3位をうろちょろしながら、力をセーブして、9月にチーム力がトップに持っていったチームが日本一ということになる。これでいいのか?
 で、結局、パリーグ2位のソフトバンクが巨人を一蹴して日本一になった。こんな日本シリーズなにがおもしろい。ラグビーの日本VS南アフリカの方が圧倒的に見ている人が多いだろう。事実、小生もラグビーの方を見ていた。
 巨人優勝の要員の1つが丸佳浩の新加入だろう。これは巨人の戦力を上げることよりも広島の戦力を削ぐ結果となった。巨人は中日のホームラン王であったゲレーロやDeNAの守護神であった山口を獲得した。かような他チームの主力選手を引き抜くことはセリーグ全体の戦力低下となったわけで、このたびの日本シリーズや交流戦にそれは現れている。全体としては日本のプロ野球の質の低下となる。ルールに抵触はしてないが巨人が日本のプロ野球の未来を削いでいるのだ。
 それはさておき、今年の阪神タイガースだ。取り組みべき課題がはっきりと見えた1年であった。守備力と得点力。この二つの現状を変えない限り、来年も今年と同じである。
 まず、守備力。これは内野の守備のミスエラーが印象として残る。守備の名手大和の流出の後遺症がでたのであろう。これは練習訓練以外に特効薬はない。各員キャンプでじゅうぶん練習すべし。それにポジションを固定することも大切であろう。大山が3塁なら3塁、糸原が2塁なら2塁、木浪がショートならショートに固定すべきであろう。
 得点力、これは一朝一夕には解決できないであろう。理想は生え抜き日本人長距離バッターである。大山を育てようとして開幕から4番に据えて育てたが、まだまだその任には至らず4番の座をマルテに奪われた。球団としてもなんとかしなければと、ソラーテをとったが使い物にならなかったのはご承知のとおり。
 4番打者降格の大山ではあるが、ホームラン数打点ともチームトップである。いわれるほど大山は打ってないことはない。ただ勝負弱く、効果的な打撃が印象に残ってないだけだ。8対1で勝ってる試合の8回ぐらいに1発打って8対2にするホームランなら打てるが、0対2で負けててスリーランを1発打って3対2にするホームランは打てない。
 得点力不足を補うために外国人選手に頼るのは最も手っ取り早い手段であろう。しかし、昨年のロサリオや今年のソラーテで判るように、当たり外れが大きく外れならば、ただの役立たずにしかならない。阪神の外国人選手、特に野手はバースとマートンで外国人選手運を使い果たしているのだ。外国人選手の打撃に期待するのはもうやめた方がいいだろう。
 投手力に関しては、とりあえず合格といっていい。先発投手はともかくとして、リリーフ陣の防御率は12球団1である。岩崎→ジョンソン→藤川の鉄壁のリリーフ陣はかってのJFKを彷彿とさせる安定感であった。
 シーズン序盤はドリスが守護神役を務めていたが、不安定なところがあり、藤川が守護神となったが、一度ファームに落ちて、再度昇格してからの守護神ぶりはさすが藤川である。あと岩崎の働きも大いに評価されてしかるべきであろう。今年新加入のジョンソンも抜群の防御率を誇ったが、ときどき体調不良でお休みなるのは不本意である。それにジョンソンは、球団は残留交渉をしているが、本人は来期のことは未定といっている。
 先発で思わしくない結果となったガルシアは、後半、それも最終盤になってリリーフにその能力を発揮した。それに彼は2回3回とロングリリーフが出来るのが頼もしい。ガルシアがリリーフに回ればドリスは立場が微妙になる。外国人選手ワクの関係でドリスは来期はタイガースにいないかもしれない。とはいいつつも、マシスンのいない巨人にドリスが加入すれば、やっかいなピッチャーとなろう。今年の陣容に桑原の復活ジョンソンの残留となれば阪神のリリーフ陣は盤石となる。
 問題は先発である。シーズン当初は先発投手余りといっていい状況であったが、終盤になって西、青柳ぐらいしか頼りになる先発投手はいなかった。望月、高橋の成長と岩貞、岩田、秋山の復活が望まれる。

2,019年阪神タイガースMVP

野手 近本光司 「新人としては」という枕言葉がついて評価された1年だったが、来期はこの枕言葉はつかない。まずは3割を目指すべき。

投手 岩崎優 すばらしい防御率。いついかなる時でももくもくと投げる。チームにとってこんなありがたいピッチャーはいないだろう。



きつねうどん

2019年10月27日 | 料理したで

 きつねうどんや。これを本場大阪では「けつねうろん」というとかいうらしいが、ワシは西宮生まれで神戸育ちのねっからの関西人やが、大阪でこれを「けつねうろん」なんてゆうとる人は見たことはあらへん。ワシの知っとる範囲では、これは「きつねうどん」とゆう。どっか別の並行世界の大阪では「けつねうろん」とゆうかも知れんな。
 うどんが出てくる落語ちゅうと「時うどん」があるけど、あの落語を聞くとうどんが食べとうなりますな。出囃子「石段」で出て来はるような前座さんがようやる噺ですが、あの噺には2種類あって、きいことせいやんの二人で1杯のうどんを食いに行く。で、せいやんが先にうどんを食うわけやが、うしろでまってるきいこが、早よ食いたいから、せいやんの袖をひっぱる「ひっぱりな」があるバージョンと、うどんを食うのは一人で、そいつがうどん代ごまかすのんを物陰から見とった男、翌晩、うどん代ごまかし男のマネをする「ひっぱりな」がないバージョン。江戸落語の「時そば」は「ひっぱりな」ないバージョン。上方落語では吉朝一門の落語家さんは「ひっぱりな」ないバージョンをやらはる。桂吉朝師匠の「時うどん」が「ひっぱりな」ないバージョンや。

ガダラの豚

2019年10月23日 | 本を読んだで

 中島らも         集英社

 うう、面白い。上中下3巻の長い小説なのに一気に読んでしまった。ジェットコースターに乗ったように読者はらもさんの筆にふりまわされる。
 いちおう主人公的な人物は大生部多一郎という民族学の教授。肛門のような口をしたこの教授、アル中でテレビで売れっ子のタレント教授である。アフリカの呪術の研究が専門でアフリカでのフィールドワークの経験も豊富。この大生部、アフリカで娘を亡くす。そのため妻逸美は精神を病んでインチキ宗教に入信する。上巻は逸美をとりもどすべき大生部は手品師ミスター・ミラクルとともに、オウムを思わせる宗教団体に乗り込む。教祖がおこす「奇跡」はみんな単純な手品。インチキをあばいて逸美を取りもどす。このくだりは実に痛快であった。
 中巻はテレビ番組撮影にためアフリカへ渡る。大生部、逸美、二人の長男納、大生部の弟子の道満、超能力青年の清川たち一行はアフリカはケニアに飛ぶ。案内人は関西弁をしゃべるケニア人青年。ケニアの村の呪術師に会うため。ケニアの呪術師。それはいわゆる日本でいう「拝み屋」ではない。医者でありカウンセラーなのだ。
「次の村に呪術師はいるだろうか」「それはアメリカに来て、次の街にマクドナルドはあるだろうかと聞くようなものだ」
 彼らはケニアで最強最悪の呪術師バキリと出会う。大生部一行はバキリの元から大切なものを取りもどし、ケニアを命からがら脱出する。
 下巻は日本に乗り込んできたバキリとテレビ局での大バトル。ここでは逸美が「エイリアン2」のリプリーも顔負けの大活躍をする。ここに到るまで主要な登場人物が惨殺されていく。
 らもさん畢生の一大エンタティメント大傑作である。

グラスを上げる

2019年10月22日 | 作品を書いたで
 バーボンのブッカーズ。アルコール度数63度。 かなり強い酒である。そのブッカーズをストレートで立て続けに4杯あけた。チェイサー無しでだ。
「おかわり」
「ブッカーズですか」
 鏑木が聞いた。
「うん」
 この客は最近、ここ海神に来るようになった。バーボンが好きなようで、いつもはノブクリークかバッファロートレースを注文する。静かな客で、必ず1人で8時15分に来店して、ビーフジャーキーをつまみに、バーボンをロックで2杯飲み、帰っていく。
 無口な男で、最初の注文と会計の時以外口を開かない。マスターの鏑木も、だまっている客に先に口をきくことはない。
「もうしわけございません。もうないです」
「そうか。ノブクリークをストレートで」
 ノブクリークも50度。弱い酒ではない。 
 鏑木はノブクリークをテイスティンググラスに入れて、客の前に置いた。
「酒はなぐさめてはくれますが、味方にはなりませんよ」
 男はだいぶ酔っている。
「味方はいらん。一番の味方に裏切られて、俺はここにいる」
 鏑木は水をグラスに入れて置いた。
「お飲みになって」
 男は水を飲んだ。ごくごくと喉を鳴らして飲んだ。
「うう。冷たい。目が覚めた」
「酒を味方につけるには方法があるんです」
「なんだ」
「敵に回さないことです」
 カラン。カウベルの音がした。男が入って来た。
「お前・・・」
 入って来た男は、男の横に腰かけた。
「マスター、俺にも同じものを」
 鏑木はその男の前にもノブクリークのストレートを置いた。
「わかってる。どのつら下げて俺に前に来たといいたいんだろう」
「一発殴らせろ」
「これを飲んでからな」
 ひと息に飲んでグラスをカウンターに置いた。
「さあ、殴れ」
「その前に聞いておく。アレはどうなった」
「ダメだった。会社はつぶれた。俺もあんたと同じ浪人ものさ」
「そうか。マスター、もう1杯くれ。これで終わりにする」
「あの件はああするより仕方がなかったんだ」
「判ってるよ。俺が担当するよりあんたの方が適役だってことは」
「どうした。殴らんのか」
「マスター、こいつにおかわりを」
 二人はグラスを上げた。
「また二人で会社をやるか」

マイ・ブックショップ

2019年10月21日 | 映画みたで

監督 イザベル・コイシエ
出演 エミリー・モーティマー、オナー・ニーフシー、ビル・ナイ、パトリシア・クラークソン

 レイ・ブラッドベリ「華氏451度」小生たちSFもんの必須課題図書の1冊である。この映画は、この「華氏451度」が重要な意味を持つ。
 英国の海岸の町。小さな田舎町。町には1軒も書店がない。フローレンスはここに書店を開店する。先の戦争で夫を亡くした彼女は、亡夫と共通の夢が書店を開くこと。
 フローレンスは長い間空き家になっていたボロ屋敷を買って「オールドハウス・ブックショップ」をオープンさせる。簡単な道のりではなかった。銀行は融資をしぶり、町の有力者の意地悪ばあさんは反対する。
 最初の客は、古い屋敷に1人で住む老人ブランディシュ。良い本を送ってくれとフローレンスに注文。彼女が選んだのがレイ・ブラッドベリの「華氏451度」ブランディシュはブラッドベリのファンになったらしく、もっとブラッドベリをとリクエスト。もちろん「オールドハウス・ブックショップ」のファンにもなる。「火星年代記」を読む。「たんぽぽのお酒」も頼むとフローレンスに依頼する。
 ウラジミール・ナボコフの「ロリータ」という本が出た。なにかと物議をかもしている本。フローレンスは「ロリータ」を仕入れようかブランディシュに相談。「これは売れる」とのアドバイスを得て250冊仕入れる。(小生=ごろりんも若いころ読んだころがある。大変にしちめんどうくさい小説であったと記憶する。小生が若いころ読んだ2大しちめんどくさい小説は「ロリータ」と「白鯨」その「ロリータ」がこんな小さな町で250冊も売れるとは思わぬが)それはともかくとして、「ロリータ」は売れた。店の前は行列。意地悪ばあさんに行列がじゃまと文句をいわれる。
「オールドハウス・ブックショップ」にも店員ができた。クリスティーンという小学生の女の子。「私、本は読まないけど、ここは好き」口は悪く、おしゃまで小生意気なガキだが、おそろしく頭が良くフローレンスとも仲良くなる。
 引きこもり活字中毒老人と変人少女に支えられてフローレンスの「オールドハウス・ブックショップ」は繁盛するかに見えたが・・・。
 少々理不尽でがてんがいかぬところがあるが、本好きの心の琴線に触れる映画である。最後になって「華氏451度」の意味が判る。例の意地悪ばあさんは「ファイアマン」と同じことをしているのだ。
 主役のフローレンスをやったエミリー・モーティマーとアルバイト店員クリスティーンのオナー・ニーフシーが魅力的であった。

 蛇足。クリスティーンは意地悪ばあさんの悪巧みによって「オールドハウス・ブックショップ」を辞める。その後、BBCの職員だというええかげんそうな若いのが店員になる。もし、小生(ごろりん)が「オールドハウス・ブックショップ」に、この時雇われたら、ブランディシュに「10月はたそがれの国」「太陽の金の林檎」「メランコリーの妙薬」なんかブラッドベリをひと通り勧めて、次にジャック・フィニイ、リチャード・マシスン、ロバート・シェクリー、フレドリック・ブラウンといった比較的SFっ気が薄いのを勧める。次にヴァン・ヴォクト、ジョン・ウィンダムあたりで様子を見て、ここでエドモンド・ハミルトン、EE・スミスとスペオペにいってもいい。そしてアイザック・アシモフ、ロバート・A・ハインライン、アーサー・C・クラークと御三家に導いて、ブランディシュのじいさんを立派なSFファンに仕立てるであろう。

虎の宴

2019年10月20日 | 本を読んだで

  リリー・ライト 真崎義博訳      早川書房

 主役の左膳役は大河内伝次郎だったか大友柳太郎だったか忘れたが、「丹下左膳こけ猿の壷」という映画があった。大昔の映画じゃでどんな映画であったか忘れているが、確か、「こけ猿の壷」というお宝を、善人悪人入り乱れて奪い合う映画ではなかったか。そういえば「インディ・ジョーンズ 失われた聖櫃」もお宝を奪い合う映画だった。
 お宝の争奪戦というのは映画にしても小説にしても、エンタメの1つの定番であろう。
この小説もそうだ。奪い合うお宝は、アステカ最後の皇帝モンテスマのデスマスク。盗掘屋が掘り出したそのマスクは宝石で造られ、美術的にも考古学的にもたいへんに価値がある。
 アメリカのマスクコレクターで研究家ダニエル・ラムジー。その娘アナは父の代理でメキシコへ飛ぶ。モンテスマのマスクを入手できる段取りがついて、入手直前に何者かにマスクを横取りされる。マスクを取りもどすべきアナの活躍がはじまる。ダニエルのライバルコレクターの大富豪。メキシコの麻薬王。あやしげな美術品ブローカー。くんずほぐれつの大争奪戦。
 と、書いたが、それほど派手なアクションもはらはらさせるサスペンスもない。主人公のアナもただ右往左往するだけ。アクション、サスペンス、恋愛、母と娘、いろんな要素が取り散らかされて並べられているだけ。失敗作である。


醤油ラーメン

2019年10月19日 | 料理したで

 ラーメンである。いろんな麺類があるが、ラーメンほど多くの種類がある麺はないであろう。ラーメン屋のおやじの数だけラーメンがあるといっていいのではないか。食べ物屋はどこでもそうだと思うが、「ウチのラーメンはウチだけのもんや」こない思っている食べ物屋はラーメン屋が最強ではないか。
 かくいう小生もラーメン屋ではないが、料理好きおやじであるからして、こだわってラーメンを作るのである。
 いろんなラーメンをレパートリーに持っておるが、今回は基本的な醬油ラーメンを作ろうぞ。
 まず、スープ作り。鶏ガラを使う。熱湯で5分ほどゆでる。盛大にアクが出るが、この時にうんとこさアクを出しておこう。下ゆでが終わったら水洗いする。こうして鶏ガラをきれいにして、本番のスープ取りにかかろう。
 寸胴鍋に鶏ガラ、長ネギの青いところ、玉ねぎ、しょうがを入れる。香味野菜のほかに、いりこ、昆布などを入れてもいい。
 これを2時間ぐつぐつ煮出す。気をつけなくてはいけないのは、火加減。強すぎて沸騰させるとスープが濁る。弱すぎるとダシの出がすくない。泉が湧き出でるような火加減がちょうどよろしい。
 スープを取っている間に焼豚の準備をしておこう。バラでもロースでもいい。豚肉のかたまりをタコ糸でしばって整形して煮る。焼豚といっても煮豚である。小さめの鍋に醬油、酒、味醂を入れて煮る。お好みで香りづけに八角を入れてもいい。間違って理事長を入れないように。30分ほど煮て、裏返してさらに30分煮る。煮た豚肉は鍋に入れたまま一晩おいておこう。
 さて、これで準備はできた。ラーメンを仕上げよう。まずスープに味つけ。醬油と味醂、塩、こしょうで味を整える。卵をゆでる。ほうれん草をゆでる。ねぎを刻む。そして焼豚を仕上げるぞ。グリルに入れて軽く焦げ目をつける。そして麺をゆでる。ゆでた麺は一度水洗いをしよう。その方が麺がおいしくなる。水洗いした麺は熱湯をくぐらせて温める。
 これらをラーメン鉢に入れて完成となる。さて、食べよう。ズズズズ。んまい。

三国志(二) 群星の巻

2019年10月17日 | 本を読んだで

 吉川英治        新潮社

 2巻目は独裁者董卓が中心人物。勝手に皇帝を交代させ。民をかえりみず、反発するものは粛清。傍若無人、好き放題。このままには捨て置けんと、かの曹操も董卓暗殺を試みるも失敗。知恵者軍師李儒と豪傑呂布に守られた董卓を亡き者にするのほとんど不可能。
 董卓の独裁を憂慮し国の行く末を憂いた大臣王允は董卓と呂布を相反するように計略をめぐらす。王允が使った最終兵器が、彼の養女で絶世の美女貂蝉。貂蝉は美貌を武器に董卓と呂布に近づく。

喜楽館に行ってきました

2019年10月15日 | 上方落語楽しんだで
 きのうのお休みは喜楽館に行ってきました。開口一番は桂あおばさんです。「石段」のお囃子でお出ましになりました。演目は前座噺の定番「動物園」です。主人公がすでに動物園に行っていて、虎の毛皮を着るところからの短縮バージョンでした。
 2番手は笑福亭生寿さん。まくらは方言のネタです。九州の佐賀では「はい」を「ない」というそうです。生寿さん、佐賀で食堂に入りました。「親子丼ありますか?」「ない」「じゃあ、カツ丼は?」「ない」「オムライスは」「カレーは」みんな返事は「ない」です。しゃあないな別の食堂へ行こうとしたとき、いったモノがみんな出てきたんですって。「手水まわし」をやらはった。先日のもとまち寄席の桂團治朗さんにもいいましたが、手と目線の使い方がいけません。ちょうず(長い頭)の源助が登場するシーンですが「うわあ、長い頭やなあ」とびっくりするわけですが、目線で頭の上まで追って、長い頭を表現するのですが、目線の使い方が中途半端です。う~んと上の方まで目線を上げなくてはなりません。で、源助が頭を回し始めるのですが、頭を回すだけです。ここはやはり桂雀々師匠のように手を上のほうに伸ばして、その手ごと頭を回して長頭を表現すれば大爆笑でしょう。
 3番手は桂文福門下の桂文鹿さん。お名前の読み方は「ぶんしか」でも「ぶんか」でもありません。「ぶんろく」さんです。この文鹿さんプロボクサーのライセンスをお持ちなんですね。師匠の文福師匠は相撲に造詣が深い師匠です。この一門は格闘技に強い一門なんですね。ケンカを売るのはやめましょう。
「酒の粕」という噺をやらはった。下戸の男が酒の粕を食べたのが自慢で、「こ~んな大きな酒の粕を食べたで」自慢された男は「そやったら武蔵野の大杯でグーと呑むんやな」「武蔵野ってなんや」東京が江戸やった時代、あのへんは武蔵野ちゅうて広いとこやった。それぐらい広い杯で酒をのまなあかんちゅうことです。
 まくらで文鹿さん酒の粕の食べ方についていわはった。酒の粕、粕汁にするぐらいしか知りまへんやろ。あれを焼いて砂糖を乗っけて食うとうまいです。知ってる人?会場の半分ぐらいの人が手を上げました。私(ごろりん)も知ってます。昔は、母が西宮出身だった関係で酒の粕の仕入先は白鹿でした。白鹿は板粕でしたから焼いてよく食べました。しかし、いまのウチのオフィシャル酒は桜正宗です。桜正宗はねり粕ですから焼いて食べることができません。粕汁や粕漬けなど料理に使うにはねり粕の方が使いやすいです。私は毎年11月の後半になると魚崎の桜正宗に今年の酒粕を買いに行って、今年の絞りたて原酒を予約していきます。
 色もんは千田やすしさん。腹話術師です。腹話術なんて芸を見るのはずいぶん久しぶりです。千田さんの師匠は川上のぼる師匠ですって。川上のぼる。なつかしいな。子供ころよくテレビで見ました。一番最後に川上のぼる師匠の芸を拝見したのはずいぶん以前の繁昌亭だったと記憶します。「イットウショー」なんていってはって相方の人形がハリス坊やでしたね。
 仲入り前は笑福亭枝鶴師匠。「初天神」です。トラコとおやじが凧揚げまでやるフルバージョンでした。この噺、フルバージョンはあまり聞けません。じっくりと「初天神」を楽しませてもらいました。時間の制約があるからテレビではフルバージョンはめったにやりません。こういうのは生の落語ならではです。
 さて、おしっこも行って仲入りも終わりました。後半戦のトップバッターは桂きん太郎さんです。金髪にメガネ、ピンクの着物。落語家というよりピン芸人のような落語家さんです。桂小文枝師匠のお弟子さんです。
「いろんな落語家が出てきますが、こんなんもおりますねん。ちりめんじゃこの中にちょいちょい小さなタコやエビが混ざってまっしゃろ。あれやと思うてください」桂文枝師匠の名作「鯛」をやらはったのですが、食べられる鯛の悲哀が良く出てて、たいへんに良くできた高座でした。きん太郎さん、かっこは奇態ですが、なかなか出来る落語家さんだと見ました。
 トリ前は桂福矢さん。「時うどん」です。噺に間がなく平板な落語でした。こんなところに出てくるには力不足ですね。今年のセリーグ蛇足シリーズの対巨人の第一戦の先発ピッチャーは望月でしたが、彼には荷が重かったですね。あれを思い出しました。
 トリはお目当ての笑福亭松喬師匠。なんと「抜け雀」をやらはった。3日前にもとまち寄席で桂南光師匠の「抜け雀」を聞いたばかりです。期せずして米朝一門と笑福亭の「抜け雀」の聞き比べとなりました。甲乙つけ難いですが、南光師匠の絵描きの方が、横柄さえらそうさが際立ってました。松喬師匠は抜け雀で満員盛況の旅館小松屋、トリバゴで調べても楽天トラベルで調べても予約が取れないなどというくすぐりを入れてはった。
 で、息子と親父、2代続けて名人ということですな、米朝親子と違いますな、などと米団治師匠をいじったあと下げとなりますが、松喬師匠の下げは「親を駕籠かきにした」です。南光師匠のは「天狗になるなとのいましめ」米朝師匠のは「親に駕籠を描かせた」です。松喬師匠と米朝師匠では微妙に違いますね。
松喬師匠は前半の息子の絵描きがボロボロの着物でやって来たとき、宿の女将に「雲助のなれのはて」といわしてます。江戸時代の駕籠かきは雲助といわれて、タチのよくないならず者が多かったのですね。父親は雀のカゴを描いたわけです。松喬師匠は前半に下げの伏線を張ってあったんですね。 

弾丸を噛め

2019年10月14日 | 映画みたで

監督 リチャード・ブルックス
出演 ジーン・ハックマン、ジェイムス・コバーン、キャンデス・バーゲン

 アドベンチャー西部劇である。1000キロの長丁場レース。1頭の馬で走らなくてはいけない。人間が倒れても馬が倒れても失格。賞金2000ドル。途中チェックポイントがありそこを通過しなくてはならない。いわば馬を使ったラリーである。
 出場者はハックマンふんするクレイトン。クレイトンの戦友だったマシューズ。歯痛に悩むメキシコ人。初老の男。イギリスの貴族。そしてただ一人の女性参加者ケイト。かような人たちが人馬一体の過酷なレースに挑む。
 クレイトンは最初はレースに出場する富豪の馬を運ぶ仕事を請けおっただけだが、集合時間に遅刻してクビになる。なぜ遅刻したのか。母馬に死なれた子馬を助けていたから。この冒頭のエピソードで、クレイトンが動物を愛する優しい男であることが表現されている。うまい脚本だ。
 レースが始れば、アメリカ西部のさまざまな景色を楽しむことができる。砂漠、山岳地帯、湖、川、街。雄大な大自然を疾走する馬。景色も走る馬も美しい。楽しませてくれるのは西部の景色だけではない。レースをする人たちもそれぞれの人生をかかえて走る。
 主人公のクレイトンはキューバでの戦争に出征した。そこの現地の女性と恋仲になって結構。彼女は戦死。この戦争でマシューズと知り合った。
 メキシコ人はレースのあいだじゅう歯が痛い。がまんできなくて麻薬を飲みつつレースを続ける。結局、ケイトとクレイトンに抜歯してもらう。麻酔なしでナイフで歯を抜く。痛さにたえるために「弾丸を噛む」のだ。
 なにをやってもうまく行かない人生。心臓に病をかかえながらも人生最後の賭けに出た初老の男。マシューズは金が目当てらしい。女ながらこんな過酷なレースに参加したケイトはなにが目的か。
 レース出場者たちはみんな紳士的。他の人を妨害しない。困っている人を助ける。崖から落ちればレースを中断して引き上げてやる。
 悪役らしい悪役は出てこない。いきがっている若いのがいるが、クレイトンにどつかれて改心したらしく、クレイトンとマシューズを助ける。
 ジーン・ハックマンというアクの強い俳優が主役の西部劇でありながら、たいへんにあと味の良い映画であった。

北側の窓

2019年10月13日 | 作品を書いたで
 親父が死んで四十九日の法要もすませた。遺産の整理もあらかたすんだが、最後に大物が残っている。家だ。
 JRの駅から歩いて十五分ほど。坂道の途中にその家はある。私たち子供が家を出たあと、年老いた両親が二人ですんでいたが、母が認知症になり施設に入った。父も施設に入れようとしたが、本人は頑として拒否。この家を動かない。ヘルパーさんの世話を受けながら一人でこの家で暮らしていた、私と姉も週になんどか様子を見に行っていた。
 九十を超しているが健康そのものだった父がぽっくりと逝った。これという死因はない。老衰である。
 遺産というほどの財は残ってないが、一枚のメモを残していた。それには「書斎の北側の窓を開けてはいけない」と書かれていた。
 親父は読書家で、小さな書斎で読書している時間が長かった。その書斎は南北に窓があり、南の窓を開けると海を渡ってくる風が心地よい。北の窓は開かない。ガラスを通して北側の道路が見える。道路の向こうは雑木林。ときどき、イノシシが姿を見せる。
「姉さん、お父さんの書斎の北側の窓な。開けたことない?」
 私より長く父といっしょにいた姉に聞いた。
「ああ、あの窓ね。あそこは窓にさわっただけで、お父さん、ものすごく怒ったよ」
「なんやろ。あの窓」
「さあ」
「開けようか」
「やめといた方がええんじゃない」
「普通の窓やで」
「開けたらブラックホールにつながっていて、吸いこまれるよ」
 SFファンの姉はSFっぽい冗談をいって電話を切った。
 家の中はガランとしている。売れるモノは売り、廃棄すべきモノは廃棄した。今は家のガワだけが残っている。その家も売りに出している。今度の日曜日に不動産屋がこの家を見に来る。私と女房、姉夫婦、四人で査定に立ち会う。
「家屋そのものは寿命です。取り壊して更地にする必要があります。更地にすればこのあたりは坪単価丸い数字で五十万です。取り壊すとなると費用がバカになりません。差し引き買値はこんなもんです」
 不動産屋が見せた電卓には信じられない数字が表示されていた。
「ほんまですか」
「査定を依頼している不動産屋はウチだけじゃないでしょう。一番条件のいい所と契約すればいいんではないですか。ウチが一番という自信はありますよ」
「判りました。検討してまた連絡します」
 あと二社に査定してもらったが、最初の不動産屋が最も高い買値をだしていた。
「どうする姉さん」
「お父さんが五十年以上住んだ家がタダ同然ね」
「あのまま置いとっても固定資産税を取られるだけやで」
「そうねえ」
 結局、父の家と土地はあの不動産屋に買い取られることになった。 

 明日、不動産屋の事務所に行って、書類にハンを押せば、あの家と土地は他人のモノとなる。家は取り壊される。
 この家は私も結婚するまで住んでいた家だ。最後に見ておこうとやって来た。さすがにさみしい。二階に上がってみる。私の勉強部屋だった所は物置になっていたが、今は空っぽでガランとしている。
 一階に降りる。一番西側の四畳半の部屋が父の書斎だった部屋だ。今は空の本棚が並んでいるだけだ。
 南の窓を開ける。港に停泊している船の汽笛がボーと聞こえる。この街は港町で、山がすぐ背後まで迫っている。大きな都市でありながら自然が豊かだ。
 北側の窓。開けるなという父の遺言だが、この窓がどうしたというのだ。なんの変哲もないガラスの窓だ。イノシシが二頭見える。どうせ、この家は取り壊されるんだ。開けてやろう。
 開けた。別になにもない。いや。女性がいた。若い女性だ。ずいぶんとレトロな服装をしている。
 こちらを向いた。ん。あの女性。確か父が学生の時下宿していた家の娘さんだ。父の古い写真にいっしょに写っていたのを見たことがある。
「この人だれ」
 父が母に問い詰められてごまかしていたのを覚えている。
 窓を閉めた。


豚肉のしょうが焼き

2019年10月12日 | 料理したで

 豚肉のしょうが焼きでございます。豚肉料理もいろいろありますが、このしょうが焼きほどご飯にあう料理もないでしょう。
 しょうが焼きとひと口にいっても、いろいろな調理法がございます。わたくしがやっている調理法は次の通りです。
 わたくしは豚肉に下味をつけません。軽く塩こしょうするだけです。タレに漬け込んでから焼く方法もございますが、味が濃すぎでわたくしの口にはあいません。
 豚肉をフライパンで焼きます。相棒の玉ねぎも続いて入れましょう。豚肉には片栗粉がまぶしてあります。ここでタレを投入。タレは別に秘伝でもなんでもありません。醬油と味醂を同量。これにしょうがの搾り汁を入れてあります。
 あとはタレをからめながら焼くだけです。つけ合わせの千切りキャベツとトマトの待つお皿に盛ってやります。少し玉ねぎが多すぎました。豚肉が見えませんが、ちゃんと玉ねぎの下におられますよ。