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ごろりんブログ

雫石鉄也のブログ

喜楽館の元気寄席に行ってました

2025年03月14日 | 上方落語楽しんだで
 昨日は神戸は新開地喜楽館の元気寄席に行っておりました。元気寄席は喜楽館で木曜の夜席でやっている落語会です。演者は4人ほどのこじんまりした落語会で、全席自由席なので、ふらりと気軽に寄れて上方落語を楽しめます。
 開口一番は、月亭八織さん。八方師匠の8番目のお弟子さんです。きれいな噺家さんです。最近師匠に似てきたといわれるようです。何が似てきたのか。足の長さだそうです。月亭八方師匠といえば短足で有名ですが、わたしは着物の八織さんしか見たことがないのでわかりません。
「母恋くらげ」をやらはった。この噺、江戸の柳家喬太郎さんが創った新作落語ですが八織さんがうまく上方落語にしてました。母くらげと別れ別れになった子くらげの噺ですが、海の生き物を八織さんはうまく表現してました。きれいな顔を変顔にしてタコを演じたあとカレイとヒラメが出てきました。ちゃんと顔の向きを変えてました。
 2番手は桂三語さん。喜楽館ができてからよく神戸の新開地に来るようになりましたが、大阪の新世界とよく似てる、同じ空気が流れていると三語さんはマクラでおっしゃってました。でもわたし(雫石)は違うと思います。私は三つの時から神戸市民で高校は湊川でした。高校の帰りは新開地を通ってました。昔の新開地はヤの字のおにいさん、おっちゃんの巣でした。私は慣れてましたから普通に歩いてましたが、昔の新開地は良家の子女は足を踏み入れない方がいいでしょう。あ、今は絶対にそんなことはありません。ですから老若男女善男善女、神戸女学院とか海星女子学院のお嬢さまがお一人で行かれてもだいじょうぶです。大阪の新世界はあまり行ったことはありませんが、新世界はホームレスの街、新開地はヤの字の街(昔のことです)とわたしは思います。で、三語さんがやった落語は「天狗裁き」です。
 三番手は露の眞さん。露の都師匠の2番目のお弟子さんです。中堅からベテランにさしかかろうという噺家さんです。三重県志摩市の出身だそうです。志摩出身の芸能人はだれもいなかった。ですから眞さんが志摩出身の一人だけの芸能人だったそうですが、最近、なんたらいう坂道アイドルが志摩から出たんですって。眞さんの母上と坂道アイドルの母が知り合いだそうです。アイドルの母が「うちの娘芸能界にデビューしたけど、お宅の娘さんのお仕事は?」眞さんの母上は自分の娘が落語家になっているといえなくて「グラビア」いったそうです。そのグラビアアイドルの眞さんが演じたのは「軽石屁」です。旅ネタで東の旅のお伊勢さんから帰りの噺です。軽石を粉にしたのを飲むと屁がでます。
 さて、仲入り後のトリは桂三扇さん。こういう落語会に来られる熟年夫婦は落語が始まる前、あまりお話になってないんですって。会場が繁昌亭だったら奥方はパンフレット読んでる。旦那は天井の提灯を数えてるんだそうです。ほんまかなと思って周囲を見ると、昨夜の喜楽館はみごとにおっさんばっかりでした。三扇さんの落語は「別れ話は突然に」師匠桂三枝(現6代文枝)作の創作落語ですが、三扇さんの噺ぶり、文枝師匠にそっくりです。さすが子弟ですね。
 八織さんはご自分で八方師匠似てきた(あんまり似てないとわたしはおもいますが)といわはるし、三扇さんはほんまに文枝師匠に似てます。
 ここで師匠に似てる落語家を見てみましょう。まず、桂米團治師匠。さすが実の親子だけあって、米朝師匠によく似てます。一瞬、米朝師匠が生き返ったのかなと思います。そして桂八十八さんも米朝師匠に似てます。
 それから桂阿か枝さん。数多くいる先代5代目文枝師匠一門で、阿か枝さんが先代文枝師匠に似ています。阿か枝さんの噺に先代文枝師匠の面影がかいま見えるときがあります。
 笑福亭一門では笑福亭鶴志さんが松鶴師匠に一番似ていたが、おしくも亡くなりました。今の人では鶴瓶師匠が大化けしたら松鶴師匠に似てくる気がします。
 次に桂枝雀一門ですが、ざこば一門の桂りょうばさんが枝雀師匠の実子ですがお父さんとは似てません。桂雀々さんが枝雀落語とは別次元の爆笑落語を展開していたのですが、こちら惜しくも亡くなりました。しいていえば雀三郎さんが枝雀師匠に似てるかな。「おひいさんが、カー」という芸も受け継いではるし。
 それはそれとして、昨日の喜楽館の客席、おっさん、じいさんばっか。上方落語家はいま270人。関西の落語好きの人数を考えると落語の供給源はこの人数でいいのではないでしょうか。ですから今は落語家を増やすより、落語ファン、特に若いファンを増やすのが喫緊の課題ですね。

天満天神繁昌亭に行ってました。

2025年01月14日 | 上方落語楽しんだで
 私も人なみに三連休はありました。三日とも出かけておりました。11日は県立芸術文化センターです。ウィーンフィルのニューイヤーコンサートです。ことしはヨハン・シュトラウス生誕200年ですって。シュトラウスの代表的な曲はひととり聞けました。トリは「美しき青きドナウ」SFファンの私は「2001年宇宙の旅」でなじんでおりますが、生で聞くのは初めてです。指揮者のおじさんがなかなかのエンターティナーで楽しめました。
 12日はSFのお友だちと新年会です。大阪は梅田ダンジョンのもっともディープな一角で飲んでおりました。
 13日は天満天神繁昌亭で上方落語鑑賞です。昼食のあと30分ほど時間がありました。私はいつも天神さんの休憩所で待っているのですが、天神さん、まだ初詣バージョンでして、休憩所が絵馬の記帳所になっていて座れません。しかたがないので立って待ってました。神戸新開地の喜楽館なら椅子があります。繁昌亭にも椅子を設けてほしいですね。仁智会長。寄席の仲入りにはトイレに行くのですが、会場内のトイレはいっぱいで行列です。私は繁昌亭の時は天神さんのトイレに行きます。喜楽館は外のトイレは湊川公園のトイレがありますが、遠いので館内のトイレで行列してます。椅子事情は喜楽館の方が良く、トイレ事情は繁昌亭の方が良いですね。
 そうこうしているうちに桂九寿玉さんが一番太鼓を打ち始めました。入場です。SFマガジンでグレッグ・イーガンなどを読んでいると、開口一番、一番太鼓を打ってた九寿玉さんが石段の調べで高座へ。「金明竹」で後半の七つの骨董の名前を一気にしゃべるところが聞かせどころです。前半の貸旦那のところを省いた短縮バージョンです。
 2番手は桂紋志朗さんです。春蝶さんのお弟子さんです。マクラは漫才の正司敏江師匠に可愛がられた話です。噺は「昭和残侠伝」です。紋四朗さんの大師匠で春蝶師匠のお父さんの先代桂春蝶師匠が得意にしてはった噺です。
 3番手は桂文珍師匠の一番弟子桂楽珍さん。新しいマクラのネタおろしをしはりました。噺は「風呂敷間男」です。楽珍さんももうベテランで、独特の個性があってもっと売れてもいい落語家さんだと思うのですが。
 色もんはくるくるコミックさんのコントでした。
 4番手は桂三馬枝さんです。創作落語の「悲しきカラオケ」カラオケ好きのお父さんが亡くなりました。焼香の替わりに、参列者はカラオケを歌うという葬式のお話。喪主のあいさつカラオケ、お止めカラオケなんか。三馬枝さんがエコーを効かせてええ声を披露してくれました。
 仲トリは桂文太さん。先代文枝師匠の4番弟子ですから大ベテランといっていい噺家さんです。シブ好みの噺家さんで私の好きな噺家さんの一人です。「幾代餅」をやらはった。米屋の奉公人の清造が売れっ子美人遊女の幾代太夫にほれます。大名お大尽しか相手にしない幾代が清造と相思相愛。夫婦になって餅屋をはじめて繁盛するというハッピーエンドな気持ちの良い噺です。
 仲入りです。外に出て天神さんのトイレへ。
 仲入り後の最初は笑福亭喬若さんです。こないだの喜楽館で「粗忽長屋」をやってはったけど、独特のとぼけた味わいのある噺家さんです。間の取り方がうまく面白いです。噺は「替わり目」です。こんど家で飲むときツマミに茶瓶のフタをつまんで飲もうと思いました。
 次は笑福亭仁福さん。長いマクラです。自虐ネタのマクラをえんえんとやってはった。「いらちの愛宕参り」です。
 トリ前は桂勢朝さん。落語ではなく南京玉すだれをやらはった。
 トリは桂春団治師匠。先代春団治師匠ゆずりの出囃子「野崎」で高座に上がらはった。先代春団治師匠を思い出します。「だれもせえへん噺をします。米朝師匠も枝雀にいさんも仁鶴にいさんもせえへんかった噺です。『死ぬのは今や』とゆう噺ですけど、なんでこんな題の噺かはサゲで判ります」閻魔さんが金満家の亡者に買収されて、地獄に出張してるお奉行に手下の鬼たちともに逮捕されてしもうた。で、閻魔の庁はからっぽ。死ぬのは今、というわけです。
 楽しかったお休みもおしまい。あしたから働きます。

喜楽館名人寄席に行ってきました。

2024年09月24日 | 上方落語楽しんだで

「暑さ寒さも彼岸まで」とはよくいったもんで、お彼岸やゆうと一気に涼しくなりましたな。筒井康隆師匠によると「暑さ寒さも胃癌まで」だそうですけんど、涼しくなりましたから昨日はウサギ小屋をはい出てハーバーランドまで出かけておりました。行先は松方ホールです。
 喜楽館名人寄席に行っておりました。だったらなんで新開地の喜楽館でせえへんねろと思うとったけど、松方ホール満杯でおました。あの客数やったら喜楽館は収容できへんな。集客力のある噺家さんがようけ出てたちゅうこった。
 開口一番は月亭秀都さん。若手の噺家がマクラでようやるネタは小学校へ落語しにいった話。子供やからなんでもうける。で、小ばなし「隣に囲いができたな」「へー」「鳩がなんぞ落としたで」「ふうん」こんな小ばなし飽きた。違う新作小ばなしを仕入れとくべし。前座噺の定番「時うどん」をやらはった。あれは冬にやったらええ噺やとワシ(=雫石)は思うけんど。
 2番手は桂三ノ助さん。三ノ助さんは喜楽館館長補佐ですって。でマクラで話題にしたのんはいま話題のあのご仁。某県のS知事。東京や大阪とちがい某県(ワシが住まい、聖地甲子園のある県)の知事が話題になることはあまりなかったけど、某県が生んだ全国的な有名知事ちゅうこったな。その知事が喜楽館に視察に来たことがあったんやて。喜楽館の高座用の座ぶとんがえらい気に入ったんですって。知事室にあるのは喜楽館の座ぶとんとちゃうやろか。
「動物園」をやらはったけど三ノ助さんクラスとなるとこんな前座噺でも大うけ。虎の毛皮を着るんやけど、園長が岡田さん。虎を使うのんが上手。岡田さんに主人公を紹介した人は掛布さん。前に虎の皮をつかってたのんはバースさん。で、三ノ助さん「きょうは大事な日なんでしょう。こんなとこでこんなことしててええんですか」
「阪神、ワシが観ると負けよる。観いひんと勝ちよる」ちゅう阪神ファン多いけど、ワシ(=雫石)もそやけど、きっちり1対0で負けとる。
 色もんはめぐまりこさんのモノマネ。松田聖子と若井みどりのモノマネ。ステージを降りて客席にまで乱入。タイガー・ジェット・シンか。
 仲トリは笑福亭たまさん。「源平盛衰記」ときどきベタなだじゃれやギャグを入れはったけど、たまさんのパワーでだじゃれでも客は大爆笑。
 仲入り。15分の休憩時間は平井和正「狼男だよ」を読む。
 仲入り後の一席目は桂二葉さん。久しぶりに声が高いのんで「上方落語界の白木みのるです」をいわはった。白木みのるちゅうても知らん人が多いやろ。まくらは探偵ナイトスクープで鷺がようけとまる木の話。なんでその木だけ鷺がとまるのか?10月の放送を観てくださいとのこと。やらはった演目は「上燗屋」二葉さんの酔っ払い演技は初めてやけど、やっぱうまい。
 トリ前は桂慶治朗さん。ご本人もおっしゃってたけど、慶治朗さん、こんな深いところにでる噺家さんではあらへん。それではなんでトリ前なんてとこに出てはるか。2023年度のNHK新人落語大賞受賞者なんです。前の二葉さんは2021年の大賞受賞。だから二葉さんは前チャンピオン。ぼくは現チャンピオン。でも、2024年度が発表されたらぼくも前チャンピオンになります。その慶治朗さん、大賞審査の時にやった「いらち俥」をなかばまでやらはった。
 さて、大トリは桂あやめ師匠。なんでも雨の日にこけて左手を骨折しはったとか。手首から先はまだ動かせないんですって。右手だけでなんとか用事はでけるようになったけど、どうしても両手が必要な時もある。着物を着たり帯を結んだりとは。今日は二葉さんに帯を結んでもらったとか。骨折して片腕でホームラン打った阪神の人もおったけどあやめさんは骨折して落語をしはる。あやめさんを喜楽館の金本といおうか、金本を甲子園の桂あやめといおうか。
 で、「私の落語で一番人気の落語をします」ということで「サカイでひとつだけの花」をやらはった。あやめ師匠のこの噺、ワシも好きでDVDのコレクションに持ってるけど、生で聞くのんは久しぶり。右手でトランクの中からいろんな花をだします。最後に胡蝶蘭が出て来ます。 

喜楽館開館6周年記念特別公演に行ってきたわ

2024年07月15日 | 上方落語楽しんだで
 昨日は神戸新開地喜楽館に行っとった。喜楽館はでけて6年や。そやから、昨日は喜楽館開館6周年記念特別公演の最終日やった。
 神戸新開地喜楽館は2018年7月11日に開館した。ワシもこけら落とし公演に行こうと思ったけど、この時のチケットは30分で完売。さすがのワシも買えなんだわ。ここだけの話やけどな、喜楽館、ほんまは別の名前になる予定やったんや。神戸の新開地に上方落語の定席ができるゆうんで、小屋の名前を公募しとった。ワシは「新開地ええとこ亭」で応募した。自信もっとったんやけどな。
 ワシの高校はいまはなき神戸市立湊川高校やった。そやから新開地は地元や。今はそんなことないけど、昔は「ヤ」のおじさんらの巣やった。その新開地に聚楽館ゆう映画館があった。今はパチンコ屋になっとるけど、「ええとこええとこ聚楽館」といわれたもんや。高校の定期試験が終わったらよう聚楽館で映画をみたで。「大脱走」「ワイルドバンチ」「ミクロの決死圏」なんかを観たな。その聚楽館への想いをこめて「新開地ええとこ亭」と名付けたんやけどな。
 ま、ワシの思い出話はこのへんで、昨日の話や。
 開演前の一席は桂かかおさん。小枝師匠のお弟子さん。前座噺の定番「動物園」をやらはった。オーソドックな「動物園」を無難にやらはったけど、少しは工夫があったもええんちゃうん。
 開口一番は月亭秀都さん。高座名から判るように月亭文都さんのお弟子さん。これまた前座噺の定番「時うどん」夏にやる噺やないと思うんやけどな。
 二番手は笑福亭鉄瓶さん。「骨つり」をやらはった。オーバーアクションな見ごたえのある「骨つり」やった。鶴瓶一門はうまい噺家さんが多いです。
 色もんはラッキー舞さんの太神楽。清楚な女性の芸人さん。定番の傘の上で鞠や枡を廻す芸のあと、出刃包丁を3本使った芸はなかなかスリリングやった。
 仲トリは桂雀三郎師匠。「代書屋」や。枝雀一門らしく主人公の名前は松本留五郎。ちゃんと「セーネンガッピ」や「セーネンガッピ、ヲ」「ポン」もあった。やっぱり松本留五郎はおもろいわ。
 仲入り後の最初は桂文之助さん。「紙入れ」です。アニキのよめさんと不倫する噺です。
 トリ前は先代文枝師匠の最後のお弟子さん。明石出身の桂阿か枝さん。朝霧駅前のしおみ産婦人科で生まれたといってはった。いまはせきじま産婦人科になってますけど、とゆうてはった。グーグルアースで見るとほんまに朝霧駅前に「せきじま産婦人科」があった。
「千早ふる」をやらはった。ところどころの先代文枝師匠の面影をかいま見ることができた。あのねちゃーとした先代文枝師匠の語り口を一番いろこく受け継いでいるのは、先代文枝一門では阿か枝さんやないかとワシは思うな。
 さて、トリは笑福亭鶴瓶師匠。まくらでたっぷり、先日亡くなった桂ざこば師匠の思い出噺。ふたりでよう遊んだそうです。あんな落語家はもう出ませんと鶴瓶さんはいってはった。「三年目」をやらはった。鶴瓶さんの落語をなまで見る機会は少ないけど、さすがうまいです。
 

喜楽館で落語を楽関記で小籠包を楽しみました。

2024年06月14日 | 上方落語楽しんだで
 昨日は会社は有給休暇をとって神戸は新開地の喜楽館に行って来ました。私は喜楽館のタニマチなので月に一度は喜楽館に来ております。
 開演前の一席は桂かかおさん。桂小枝さんのお弟子さんです。「延陽伯」をやらはった。師匠の小枝さんとはあまり似てません。端正な噺をなさいました。
 開口一番は桂弥壱さん。なんでも落語家になる前はトヨタの工場でパッソの左ドアを造ってたそうです。左ドア造りにあきたから配置転換を上司にいうと右ドア造りになったそうです。トヨタパッソに乗ってる人、そのドアは弥壱さんが作ったモノかも知れません。医者の噺をします。と、いうんで季節柄「夏の医者」かなと思いましたが「犬の目」でした。
 2番手は林家愛染さん。大阪の地下鉄をネタにした新作落語です。大阪メトロ御堂筋線の駅名を織り込んだ男女二人の恋物語です。
 西田辺からはじまって昭和町、天王寺、動物園前、大国町、なんば、心斎橋、本町、淀屋橋、梅田、中津、西中島南方、新大阪まで。男が女にプロポーズするのんが駅名を織り込んでありました。愛染さん次は環状線でやって。
 本日の色もんは豊来家大治郎さんの太神楽。最後に剣の輪くぐりをなさいます。仲トリは笑福亭呂鶴さん。久しぶりです。「阿弥陀が池」をやらはった。なかなか重厚な「阿弥陀が池」でした。さすがの貫禄です。呂鶴さん、今の上方の落語家で最も笑福亭の色を濃くのこしている噺家さんでしょう。
 仲入り後の最初は笑福亭仁昇さん。仁鶴一門の噺家さんです。「手水回し」です。呂鶴さんと違って笑福亭としては明朝体なお噺でした。 
 トリ前は露の団姫さん。ご覧のとおりのお坊さんです。尼崎の天台宗のお寺道心寺のご住職です。実は団姫さん、色もんで出てはった豊来家大治郎さんとご夫婦です。団姫さんは仏教徒、夫の大治郎さんはクリスチャンですって。夫婦でお互いの宗教を尊重してるんですって。やらはったのは「宗論」を大治郎団姫夫婦に置き換えた私落語。クリスチャンのだいじろうくんと仏教徒のまるこちゃんの噺です。実は昨日の神戸新聞のコラムを団姫さんが執筆してました。そこで夫はクリスチャンということを書いてました。家族をむりやり自分の宗教に引きずり込む人でなしの人たちは大治郎団姫夫婦の爪の赤でも煎じて飲むべきでしょう。
 さてトリは桂枝女太さん。実にきれいな光頭です。さっきの団姫さんはほんまもんのお坊さんですが、私はニセ坊主です。団姫さんは髪を剃ってますが、私は天然です。頭は私はほんまもん。団姫さんはバチもん。きれいな頭が二人続いて出て来はったわけです。
 枝女太さんがやったのは「ピッカピカの一年生」兄弟子6代桂文枝師匠が三枝時代に創った創作落語です。三枝色が濃い高座でした。
 出口で団姫さんがお見送りしてはった。昨日の新聞のコラム読みましたよと声をかけようと思ったのですがタイミングを逸しました。
 喜楽館を出て元町に移動。喫茶エビアンで一休みして頃末商店でワイルドターキー・レアブリードを買って、楽関記に入りました。ここは小籠包が看板メニューです。もちろん頂きました。熱々のスープがおいしくさすがです。あと、前菜の盛り合わせ。小皿に9皿ほどちょっとづつ出て来ます。あと海鮮あんかけごはんと家人はチャーシューローメンを頼みました。海鮮あんかけごはんはあんがおいしく高級上等中華丼といったところでしょうか。チャーシューローメンは細めの麺がおいしくあっさりしてます。
 たいへんにおいしく店員の接客も気持ちよく、このお店また来たいです。あ、これを見て私も行こうと思う人、必ず予約した方がいいですね。行列のできる人気店ですから。
 帰って、レッドブレスト12年を飲みながら野球を見ました。阪神快勝。めでたいめでたい。
 楽しく、おいしく、めでたい、けっこうな一日でした。酉島伝法をちょっと読んで寝ました。

露の都芸歴50周年記念ウィークに行ってきました

2024年04月06日 | 上方落語楽しんだで
 いまこの国の女性落語家は約60人。江戸で約40人上方で約20人。50年前は0でした。50年前小田眞理子という女子高生が露の五郎師匠に入門しました。その時この国の女性落語家が1人になったのです。それが露の都師匠。
 喜楽館の露の都芸歴50周年記念ウィークに行ってきました。
 開演前の一席は笑福亭喬路さん。ついさっきまでおもてで一番太鼓を打ってはった。ばくちの噺をしますということで「看板のぴん」松喬門下の噺家さんだけに端正な噺ぶりです。ただこの噺をするには若いですね。主人公は若いからいいです。若いのを手玉にとる老ばくち打ちのおやっさんの貫禄が足りません。
 開口一番は露の棗さん。自分はさる高貴なお方と似ているということだそうです。叱られるまでこの自己紹介を続けるとのこと。「動物園」をやらはった。前座噺の定番です。このたび王子動物園のパンダがお亡くなりになりました。近日に王子動物園に行ってパンダがおると1万円のアルバイトかもしれません。
 2番手は露の瑞さん。棗さんには失礼ですが、こういう並びで瑞さんが出てくると、瑞さん、ほっそりとした美人に見えます。演目は「ちりとてちん」です。たいへんな熱演の「とりとてちん」でした。とくに知ったかぶり男が長崎名物ちりとてちんを食うところは大爆笑です。
 3番手は桂文三さん。いつもにこにこ文三さんです。「四人ぐせ」です。こちらも文三さんならではのオーバーアクションの熱演です。鼻の下をこする。目をこする。着物のすそをひっぱる。こぶしで手のひらを打つ。この4人のくせをおもっきり誇張して演じはる。大爆笑です。
 さて、中トリです。笑福亭松喬師匠が「近江八景」をやらはった。松島の女郎に惚れた男が、これからの成り行きを易者に占ってもらう噺です。あまり聞かれない演目です。私の上方落語コレクションにもありません。松喬師匠らしく落ち着いて「聞かされました」
 仲入りです。男性の演者はここまでです。
 仲入り後の最初は旭堂小南陵さんの講談「露の都物語」今日の主任露の都師匠の一代記です。都師匠に取材したら「よう覚えてへんわ」ということだったそうですが、それでも思い出さはったそうです。
 さてトリ前の色もんは松旭斉天蝶さんです。25才だそうです。(=永遠の)天蝶さん「浮かれの蝶」という至芸をお持ちですが、このときは「宝箱」という手品です。いろんな色の布が次々でてくる実にカラフルな芸です。
 さて、華やかな芸人さん二人の色もんが終わったら、次はいよいよトリ。もちろん露の都師匠です。日本で初めての女性落語家です。落語という芸は日本だけなので都師匠は世界初というか人類で、というかオランウータンやゴリラは落語をしないので、露の都師匠は霊長類というか地球上のすべての生物で初めての女性落語家ということになりますね。私たち地球40億年の生命史に残る事態に遭遇してるわけです。すごいですね。
 初めてですからご苦労も多々あったそうです。私(雫石)、思うのですが、露の都さんもえらいですが、初めて女性の弟子を取った露の五郎師匠もえらかったと思います。都さんもいろいろいわれたそうですが、師匠の五郎師匠は、もっといろいろいわれたでしょう。
「子はかすがい」を聞かせてもらいました。桂福団治師匠や桂ざこば師匠も得意としてはる人情噺ですが、この時の都師匠の「子はかすがい」は福団治師匠やざこば師匠の「子はかすがい」とは違う都師匠ならではの噺でした。
 露の五郎兵衛門下の惣領弟子団丸さんは立花家千橘にならはったし、次男の露の慎吾さんは亡くなった。露のを名乗る落語家では都師匠が一番上です。五郎兵衛師匠は襲名しなくて一生使える高座名ということで都と名付けたそうですが、なんでしたら都師匠が三代目露の五郎兵衛を襲名してもいいと思います。上方落語では露の五郎兵衛は米沢彦八とならぶ大切な名前です。

喜楽館夜席元気寄席に行ってきたで

2024年02月16日 | 上方落語楽しんだで
 ワシは上方落語依存症や。月に最低2回はナマの落語に接しないと禁断症状が出るんや。そろそろやばそうやから、昨日、喜楽館の夜席に行ってきた。ほんま、喜楽館がでけてワシら神戸の上方落語依存症のもんにとってはありがたいわ。会社が終わって30分ぐらいで行けるからな。
 昨日の夜席は、元気寄席バレンタインウィークの企画ちゅうこって女性噺家特集やった。4人の女性噺家が妍を競うんや。
 開口一番は笑福亭喬明さん。若いかわいい。喬介さんのお弟子さんだから、7代目松喬師匠の孫弟子ということになる。古典をやります。まだぎょうさん噺をおぼてません。古典しかしません。あとのお姐さん方はたぶん新作をやらはるので、この落語会で古典をやるのは、私だけです。たぶん。で、前座噺の定番「動物園」をやらはった。だいぶん短縮バージョン。この噺のオチはライオンが「心配すなワシも一万円でやとわれたんや」やけど喬明さんは「心配すな園長の長谷川や」とのオチやった。ところで長谷川ってだれやろ。落語で人名をゆうとき落語家の本名を使うことが多い。「三十石」の宿帳のシーンなんかで「中川」「竹内」「長谷川」「河合」とゆうけど、これは米朝、松鶴、先代文枝、先代春団治の四天王のことや。「長谷川」?喬明さんは先代文枝一門とちゃうし、師匠の喬介さんは川崎さんやし。喬明さんの本名かな。
 2番手は桂ぽんぽ娘が巨体をゆすって高座に上がらはった。喬明ちゃんはあないなことゆうてたけど古典やろうかな。いや、やっぱ新作やろ。高座で迷っとる。くすぐりなんかほんまに迷っとるのかわからん。おもろないくすぐりやで。で、結局新作「ミッション・イン・しゃぶる」下ネタ。「この近くの福原にようけある××に行って××を××してもらう」噺。品のない噺。ワシは上方落語ファンやから上方の落語家はみんな好き。ただ、ぽんぽ娘の師匠桂文福は嫌い。文福は客をいじる。ワシは客をいじる芸人は大嫌い。弟子のぽんぽ娘も客をいじるし、仲間の噺家もいじる。桂南光師匠も仲間をいじるが南光師匠はちゃんと寸止めしとる。しかしぽんぽ娘は寸止めしてない。彼女は仲間の噺家たちに嫌われてるんとちゃうか。ワシも嫌いやけど。
 仲入り前の仲トリは桂三扇さん。高座名で判るように文枝師匠の三枝時代のお弟子さん。中堅の女性落語家やな。マクラは故郷の福知山のハナシ。福知山にも動物園はある。田舎の動物園なんで金がないからキリンやゾウは買えない。おるのはクマ、シカ、イノシシ、タヌキ。そのへんの山でタダでとってきた動物を飼っとる。師匠三枝作の「あこがれのカントリーライフ」ぽんぽ娘のあと、まともな噺家で出て良かった。
 トリは桂あやめさんご存じのごとく、女性落語家の草分け。あやめさん、もう還暦やって。そんなに見えへん。いつまでもお若い。マクラでしみじみいってはったけど、こうして女ばかりの落語会は夢のようやって。あやめさんは18才で先代文枝師匠に入門したころは、女性の落語家は露の都師匠しかいてへん。楽屋で着替える時は男ばっかり。部屋の隅ですばやく着替えるワザを磨いたとか。今でも着替えるのんは早く上手だそう。で、こんなトシになったけど、この噺はまだできます。と「営業一課の高田くん」あやめさんが若い時に創った噺で、見合いの予定がある若い主人公の女性が、片想いの高田くんの気を引こうと、先輩のアドバイスであの手この手のアピールする噺。
 女性ばかりの落語会もええもんや。ぽんこ娘の替りに二葉さんおったら最高やのに。 

桂文三さんの「満腹全席」に行ってきました。

2024年01月30日 | 上方落語楽しんだで
 お寒うおす。昨日は会社でのお仕事を終わってから、大阪は天満までいっておりました。天満天神繁昌亭の夜席です。私の落語観賞の本拠地は神戸新開地喜楽館ですが、繁昌亭は準本拠地といったところでしょうか。
 夕食に天ぷらを食べて繁昌亭に入ります。桂文三さんの「満腹全席」です。文三さんとゲストの噺家さんが一人です。昨日は桂雀喜さんです。
 まず一席め。文三さんです。この企画ではいつも、あまり他ではやらない艶噺をやらはるそうです。テレビでは絶対にできない、昼席でもはばかられるような噺をしますということです。昼席はあまり落語になじみのないお客も来るので、あまりエロが濃いのはしないそうです。それに比べて夜席は落語マニアが多いのでリミッターを外した噺ができます。
 マクラで軽い艶噺でジャブ。
「昔の長屋は隣近所で貸し借りをよくしたそうです」
「ヤモメが引っ越してきました。いい男で、礼儀をわきまえた男です」
「米1合貸したら、2合返してくれた」
「醤油1升貸したら、2升返してくれた」
「掃除もしてないし洗濯物がたまっているので、娘を貸したら、2人にして返してくれた」
 で、本編の落語は「近所付き合い」昔、6代目笑福亭松鶴師匠がときどきやってた噺で、いまはあまり高座にかけられません。エロで下ネタ噺です。私(=雫石)も聞くのは初めてです。
 植木屋のタケさんが木の上で仕事してると、下の離れでおっさんがお手かけさんとねにょねにょやってる。最初はぬくい造りや口移し酒やったけど、そのうちお手かけさんがおっさんのまたぐらに頭突っ込んで、ナニを口でナニしよる。それ見たタケさんのアソコが活性化。タケさんしんぼうたまらんようになって家に帰って「おい、カカ布団ひけ」「こんな昼間っから子供帰って来るやないの」「ワシのこれどなしてくれんね」「お金やるから松島か飛田いっといで」
「タケさんどこ行くの」「お、お梅さん。ちょっと女郎買いに」「そんなとこ行かんでもワテがしてあげる」「あんた早よかった。松島は」「お梅さんにしてもろた」
「お金は」「お梅さんにやった」「アホやなあ。ワテはいつも松さんにタダでしてんのに」
 仲入りまえはゲストの桂雀喜さん。「ヨーデル食べ放題」でおおなじみの雀三郎師匠のお弟子さんです。雀三郎師匠、けっこう厳しいおっしょはんだそうです。「アイヤー行路」100才の師匠と80才の弟子が旅興業に行きます。老老師弟のボケ具合がおかしいです。
 仲入り後は文三さんと雀喜さんの対談。ほぼ同じようなキャリアで雀喜さんの方が2才年下ですって。二人は長いつきあいで趣味嗜好がよく似てるそうで、二人とも離婚経験者だそうです。雀喜さんちかじか引っ越すそうで、整理の手伝いに文三さんが来たそうですが、本はほとんどダブってそうです。「妖怪人間ベム」のDVDをもらったんですって。私(=雫石)も同じような経験をしました。阪神大震災のとき私の本棚がぐちゃぐちゃになりました。SFのお友だちに整理を手伝ってもらったのですが、所有本の多くはダブってました。
 さてトリは文三さんです。「くっしゃみ講釈」です。文三さん、冬の噺をしましょうとはじめられたのです。この噺よく聞きますが季節を意識したことはないです。なるほど「くっしゃみ講釈」は冬の噺なんですね。暖房用の火鉢を借りて、それでとんがらしの粉をくすべて講釈師にくっしゃみさす噺ですが、冬でないと火鉢ありませんからね。この噺は成り立ちません。
 実は先日、喜楽館で桂雀々さんの「くっしゃみ講釈」を聞きましたが、かなりの迫力でした。この時の文三の「くっしゃみ講釈」も雀々さんに負けず劣らずの迫力でした。
 文三さんと雀喜さんの熱演で心は暖かくなりましたが、繁昌亭の外に出ると寒いです。そのへんでラーメンでも食べようかと思いましたが、天ぷらを夕食に食べたばかりなんで、ラーメンはがまんしました。

喜楽館の兵庫県民ウィークに行ってきました

2023年09月15日 | 上方落語楽しんだで
 昨日は昼からお休みをいただいて落語観賞に行って来ました。地下鉄ハーバーランドから高速神戸に乗り換える途中におっサンの店があります。そこで「ARE」を買いました。今夜はこれをなめながら「アレ」の瞬間を見ましょう。
 喜楽館昼席に行って来ました。今週の企画は「兵庫県民ウィーク」ということで、兵庫県に縁やゆかりのある落語家が出ます。
 開演前の一席は笑福亭喬龍さん。今日のトリ笑福亭松喬師匠の3番目のお弟子さんです。「三人旅」をやらはった。旅ネタですが無難に端正に演じはった。
 開口一番は桂二豆さん。桂米二さんの3番弟子で、いまのってる桂二葉さんの弟弟子です。芦屋の出身ですっていうと、客席から「ほおおおお」という声が。二豆さん「なにか」ととぼけたはった。芦屋というとなんか特別なんですね。何が特別か知らんけど。芦屋出身の有名人では大関貴景勝がおりますが、二豆さんも貴景勝に負けんぐらいに名が売れるといいですね。「ろくろ首」をやらはった。美人のお嬢さんの首が伸びます。そこにムコ入りする男の噺です。
 二番手は桂吉坊さん。西宮の出身。きのうホームランを打った佐藤輝明とおんなじです。ちいさな声でいいますがワシも西宮の生まれなんです。名前のとおり童顔でかわいい落語家さんでしたが、もうすっかり貫禄が出てきました。芝居噺の「七段目」をやらはった。いかにも米朝一門らしい「七段目」でした。もうだいぶん師匠の吉朝に近づいてきましたね。
 色もんは笑福亭智之介さん。地元神戸出身。智之介さん落語もする手品師か手品もする落語家か判りません。二刀流です。きょうは手品です。ハンカチなどを使った小ネタ手品でしたが、落語家がやる手品ですので笑えます。
 仲入り前の仲トリは露の五郎兵衛一門のベテラン露の団六さん。神戸市東灘区ですって。ずうっと神戸だということだそうですが、阪神大震災の被災者でしょう。ワシもそうです。演じたのは「神崎与五郎」です。あの赤穂浪士の一人神崎与五郎の少年時代の噺です。この噺、ワシは聞くのは初めてです。もとは講談でしょうか。
 仲入りです。仲入り後の最初は月亭方正さんです。西宮出身。元々はピン芸人山崎方正として芸能活動してはって15年前月亭八方師匠に入門。上方落語家になったそうです。今でもダウンタウンの浜田や松本と仕事をしているそうです。やったのは「看板の一」です。八方の実子八光がもひとつたいないから、遊方さんや文都さんらとともに八方一門を支える落語家さんでしょう。
 トリ前は笑福亭呂竹さん。尼崎出身。お坊さんみたいな頭です。「犬の目」です。軽妙で軽快な「犬の目」でした。
 さてトリは西宮の住人笑福亭松喬師匠。オリックスファンの松喬師匠。阪神のアレのあとにあるソレの相手はオリックスでしょう。マクラでそれについてなんかいうかなと思ってたけどいわはらんかった。来月の喜楽館は10月18日に行く予定です。その時のトリも松喬師匠です。そのころには阪神のソレの相手はオリックスと決まっているでしょう。松喬師匠なんかいわはるかな。
演目は「禁酒関所」です。ワシは柳家小さん師匠の「禁酒番屋」(江戸落語ではこういう)を落語コレクションに持ってますが、松喬師匠のを聞くのは初めてです。
 さて、楽しい落語観賞も終わりました。三宮で夕食後。ちょっと買い物して、大急ぎで帰宅。阪神タイガースのアレを見届けなければなりません。

天満天神繫昌亭に行ってきました

2023年08月25日 | 上方落語楽しんだで
 昨日は有給休暇をとって大阪は天満天神繁昌亭の昼席に行って来ました。天ぷらえびの屋でえび天丼をいただいて、少し時間があるので天神さんにお詣り。文筆上達をお祈りしました。
 午後1時になりました。桂九寿玉さんが一番太鼓を打ち始めました。入場します。さて、開口一番は桂りょうばさん。「ろくろ首」をやらはった。美人の新妻の首が伸びる噺ですが、こういう奇想な噺の時、演者が客に「ついてきてますか?」との問いかけをすることがあるが、あれは要りません。演者が客の理解度にまで気をつかう必要はないでしょう。判りましたか、りょうばさん。染太さんも。りょうばさん、やっぱり血はあらそえんもので、奥の方に父の枝雀師匠の面影がかいまみえます。
 2番手は露の瑞さん。元気いっぱいのかわいい女性噺家さんですが、夏に「時うどん」はそぐわないんじゃないですか。熱中症の心配をしながら熱いうどんを食う噺はいかがなものかと。どうしても真夏に「時うどん」をやりたいのなら創作落語「時うどん 夏バージョン」を創ってほしいですね。
 3番手は林家染太さんです。びりけんさんみたいです。まくらで新世界あたりで売ってるニセブランドもんの噺。ラコステのニセもんを持って来て見せてくれました。ラコステはワニのワンポイントなんですが、ニセもんはワニがひっくりかえってるのです。「ラコステ」じゃのうて「オコシテ」なんです。噺は創作落語「魁!学習塾」染太さん学習塾の先生をやってはったんですって。アホな生徒のアホの解答をフリップつきで披露してくれました。とんちんかんな答えだけれど、これが落語みたいでごっつい面白い。落語なんやけど。
 色もんの一発目は太神楽の豊来家大治郎さん。傘まわしやジャグリングのあとナイフを刺した輪を飛びぬけるという芸をやらはった。露の団姫さんのだんなさんです。
 次は笑福亭べ瓶さん。「東の旅発端」いかにも上方落語なにぎやかな噺をべ瓶さん、軽快に演じられて実に心地よく聞いてられました。この噺、前座噺なんですがうまい人が演じるとやっぱり違うんですね。べ瓶さん、張り扇、小拍子をリズミカルにつかって、上方落語はもとは大道芸だったということがよく判ります。上方落語の祖米沢彦八がやってたのはこんな落語ではないでしょうか。
 仲とりは桂勢朝さん。創作落語「永田町商店街懐メロ歌合戦」司会はイシバさん。お仲間がいません。キシダさん、コウノさん、アソウさん、それから外遊帰りのマツカワさんたちが次々と懐メロを歌います。みんな替え歌です。時事風刺ネタです。大爆笑です。ちょうどこのころ雷が鳴って繁昌亭の館内までゴロゴロと大きな音が。勢朝さん「うるさいな雷」といいつつも雷をネタにくすぐりを。プロの落語家さんは自然現象まで笑いのネタにするんですね。
 仲入り後の最初は桂あおばさん。「脱ぐんやったら着てこんかったらええんやけど」という羽織を脱ぐくすぐりは師匠のざこばさん譲りですが、やっぱり師匠の方が一日の長があります。
「たけのこ」をやらはった。上方落語には珍しい侍が出てくるはなしです。まくらで侍ネタの小噺を。「冬のことです。向こうから侍がやってきます。ずいぶんうす着です。『お侍さん。さむうないんですか』『さむない』」
 隣家の竹のタケノコが庭にでてます。それを取って食べます。家来のべくないに隣家に断りにいかせます。侍どおしの言い分がおかしいです。
 次は笑福亭岐代松さん。内弟子時代に松鶴師匠の家に朝丸時代のざこばさんが来たそうです。「うううう」指さしながらのざこばさんのおしゃべり。「ううううう」松鶴師匠も指をさしながらしゃべります。似ているようで違うんですって。ざこばさんは左手松鶴師匠は右手なんですって。
 運のつく噺をしましょうということで「ん廻し」をうやってくれました。
 トリ前の色もんは奇術です。松旭斎小天正さん。やった奇術はビール瓶が消えたりハンカチから鳩がでたりといった珍しくない奇術ですが。巧みな話術で笑わせられます。ネタばらしをしたりわざと失敗したりと楽しいコミック奇術でした。
 さてトリは桂文之助さん。「片棒」です。この噺米團治さんも得意としたはる噺です。三人の息子が親父の葬式をいかにばかばかしい葬式にするかがキモです。文之助さんは洒脱でスマートな「片棒」でした。
 楽しかったです。私は月に2回は生の上方落語に接しないと禁断症状がでます。今月は15日に喜楽館に行く予定で前売りチケットも買ってあったんですが台風で喜楽館は臨時休館になりました。禁断症状がでかけてたんですが。なんとか健康を保つことができました。

喜楽館夜席神戸落語ビレッジ

2023年06月13日 | 上方落語楽しんだで
 昨夜は喜楽館夜席、神戸落語ビレッジへ行っておりました。この企画、桂九雀さん、桂文之助さん、桂吉弥さんの3人が毎月喜楽館での夜席でやっている企画です。今の上方落語の主力3人ともいうべき3人です。阪神タイガースでいえば近本、中野、大山に相当するでしょうか。
 夕食は神戸駅構内に出来た、ちゃんぽん亭で近江ちゃんぽんをいただきました。長崎ちゃんぽんとは違います。麺と具は似たようなモノですが、汁はカツオ昆布だしの醤油味でした。けっこうおいしかったです。こんど作ってみましょう。汁はできます。ちゃんぽん用の麺は夏場は入手困難です。もらい物の半田そうめんがあるのでそれを使いましょう。徳島、長崎、近江のハイブリッドな麺料理になるでしょう。
 さて開場時間になりました。喜楽館に入りました。満席です。開口一番は桂天吾さん。桂南天さんに2019年入門ですから、まだ若い噺家さんです。神戸市北区の住人だったそうで、神戸電鉄の電車賃が高いことが話題のマクラでした。「時うどん」をやらはった。定番の前座噺ですがこの噺は冬場にやった方がふさわしいでしょう。今は夏ですから「動物園」か「つる」がいいと思います。元気いっぱいで明るいおしゃべりで好感を持ちました。南天師匠の薫陶が効いているのでしょう。ただ噺に間があまりなく、うどん屋と客の目線の使い方が弱いです。うどんを食べるシーンは客席は大爆笑でした。有望な若手が出てきました。楽しみです。
 二番手は桂九雀さん。まくらで先般なくなった上岡竜太郎さんの話題を。ウチの師匠(=枝雀)と上岡さんは仲良しだったそうです。上岡さんとウチの師匠。上岡さんが気まぐれでわがまま。ウチの師匠は常識人と思われているでしょう(ワシ=雫石は思いません。枝雀師匠は普通の人には見えませんでした)ほんまは上岡さんが常識人でウチの師匠がきまぐれで何するか判らん人だったそうです。
九雀さんの出し物は「応挙の幽霊」丸山応挙が描いた幽霊の絵を思いのほか安く入手した骨董屋。(真贋不明)買い手もつきました。もうかった。ホクホクしながら酒を飲んでると。軸から絵の幽霊が出てきました。えらいべっぴん。その幽霊酒を所望。とんでもない大酒のみの幽霊です。よっぱらっておかしな格好で軸に戻ります。この絵にはなりません。こんな絵は売れません。困りましたね。
 2番手は桂文之助さんです。マクラで今年の阪神タイガースについて言及。「強い阪神タイガース」を話題にするのは今のうちですね。と。もうちょっとするとどうか判りまへん。「アレ」になればいいですね。ところでJR神戸から高速神戸に来る途中にサンテレビの「お!サンの店」があります。「アレ」が売ってました。衝動買いです。お弁当に入れてもらいましょう。
 文之助さんは「狐芝居」です。小佐田定雄さん作の芝居噺です。狐の芝居小屋の紛れ込んだ主人公。舞台では仮名手本忠臣蔵の判官切腹の場。判官さん切腹してるのに由良助が出てきません。主人公の尾上たにしがガマンできんようになって狐の芝居に乱入します。最後にどんでんが。
 さて、トリは桂吉弥さん。最近、吉弥さん、風格がでてきました。先日「百年目」をやっておられましたが。実に良い高座でした。4代目米朝はだれがいいかと考えれば吉弥さんがいいと私はおもいます。
「茶の湯」をやらはった。仕事一筋の大だんな。隠居してヒマになった。で、茶の湯をやることに。お茶の作法知らんといいとうない。ええかげんに自己流で茶の湯を始める。災難はまわりのもん。飲むと腹を壊すこと必定の茶をふるまわれます。
 吉弥さんもお茶を習っておられるそうです。宗匠にいわれて、お茶の場でこの落語をやったんですって。最初は、宗匠も笑っておられたが「利休まんじょう」のくだりで顔がこわばってきたそうです。
 大いに楽しめた落語会でした。

天満天神繁昌亭に行ってきました。

2023年05月02日 | 上方落語楽しんだで
 昨日は大阪は天満天神繁昌亭に上方落語を楽しみに行って来ました。午前中、会社でお仕事。昼食でカツカレーを食したあと、開城まで30分ほど時間があるので天神さんの休憩所で読書してました。私は繁昌亭の開場待ちのときはいつもここで読書しております。アシモフの「われはロボット」を読んでました。
 桂八十助さんが一番太鼓をたたき始めました。繁昌亭に入場です。私が最初の入場者でした。
 開口一番は桂二豆さん。桂米二師匠の3番目のお弟子さんで、今、一番のってる噺家さんの桂二葉さんの弟弟子です。「始末の極意」をやらはった。
 2番手は桂紋四郎さん。3代目桂春蝶師匠のお弟子さん。演目は「昭和任侠伝」です。この噺、師匠の春蝶の実父2代目桂春蝶が得意とした噺で、高倉健の任侠映画にかぶれた八百屋の息子の噺です。先代春蝶師匠の骸骨みたいな風情がよくあってました。紋四郎さんは骸骨ではありませんが、先代春蝶版「昭和任侠伝」の雰囲気をよく受け継いでおりました。
 3番手は笑福亭純瓶さん。花粉症だそうです。マクラで花粉症のご苦労を話されておられた。くっしゃみとなみだがたいへん。高座ではくっしゃみもなみだもダメです。だからくっしゃみの薬を飲み目薬をさして高座に上がるそうです。「いらち俥」です。前半ののんびりゆっくり俥屋と後半のいらち超スピードの俥屋の対比がおもしろいです。
 色もんは松旭斉天蝶さんの和風手品。手妻の至芸「浮かれの蝶」紙でつくった蝶を扇子であおいで生きてるがごとくあつかう芸です。この芸は3代目帰天斉正一が昭和天皇にご覧に入れた天覧芸です。今、この芸を受け継いでいるのは天蝶さんだけだそうです。
 仲とり一つ前は笑福亭生喬師匠です。「ぞろぞろ」です。けっこう珍しい演目です。私の上方落語コレクションにも入ってません。昔、一度生の落語会で聞いた記憶があります。ぞうりとかヒゲとかがぞろぞろで出てくる噺です。落語が終わった後、生喬師匠、ひとさし踊ってくれました。「かっぽれ」です。私が大店の大旦那であったなら、お茶屋のお座敷に生喬師匠を呼んで踊ってもらうでしょう。もちろん芸者や舞妓はんもたくさん。一度大旦那のお茶屋遊びというのをやってみたいもんです。
 仲とりは桂三歩さん。前歯がありません。歯がない三歩さんのお顔はなんとも愛嬌があります。師6代文枝が三枝時代につくった創作落語「わたしがパパよ」をやらはった。22才のベテランパパと53歳の新米パパが妻の出産を産科の待合室で待っております。
 さて仲入り。仲入りご一番手は露の団姫さんがきれいな頭で高座に上がられた。「地獄めぐり」です。「地獄八景亡者戯れ」の六道の辻のくだりだけです。この噺仏教ネタですが、団姫さんは天台宗不軽山道心寺のご住職です。本物の僧侶のこの噺を聞くのは初めてです。
「わ、映画館もおますのやな」「そや。おもろい映画やってるで」「どんな映画や」「ぼんさんがようけ出てくる。親鸞、法然、日蓮。空海、隠元」「なんちゅう映画や」「スターボーズ」いちど天台僧団姫さんのフルバージョンの「地獄八景亡者戯れ」を聞きたいもんです、
 次は団姫さんの叔父弟子露の吉次さん。「風呂敷」をやらはった。「悋気の独楽」は嫉妬深いお内儀の噺ですが、こちらは嫉妬深い亭主の噺です。「悋気の独楽」のお内儀には女中のお竹が、「風呂敷」のお内儀には「兄貴」が参謀でついてます。この「兄貴」のはったりが面白いです。
 とり前は桂朝太郎さん。米朝一門のベテランですが、私はこの噺家さんの落語はあまり聞いたことはありません。師匠米朝にお前は落語はあまり向いてないといわれたそうで、趣味でやってたマジックを高座でやるマジカル落語を開発されました。落語のおしゃべりをしつつ軽いマジックをします。ゼンジー北京さんは漫才風のおしゃべりをしつつマジックをしますが、あれの落語バージョンといってもいいでしょう。
 さてとりは桂塩鯛師匠。以前、塩鯛師匠の「試し酒」を聞きました。絶品でした。塩鯛師匠、もともとお酒の噺はうまい噺家さんでしたが、肝硬変を患ってから禁酒されました。それで塩鯛師匠のお酒噺にいっそう磨きがかかったようです。お酒を飲まない噺家さんの方がお酒の噺がうまいといわれます。松鶴師匠のような例外もありますが。今回の塩鯛師匠は「替り目」です。こちらも絶品でした。
 さて連休(世の中は。私は違う)の上方落語観賞の第一弾は終わりました。ゴールデンウィーク(世の中は。私は普通の日々)中は喜楽館にも行きます。帰りは日本一長い商店街の天神橋筋商店街をJR天満までぶらぶら歩いて行きました。神戸人の小生にはやはり大阪は空気が違うようです。

繁昌亭 林家菊丸文化庁芸術祭大賞受賞記念ウィークに行って来ました

2023年04月13日 | 上方落語楽しんだで

 きのうは、お休みを取って大阪は天満天神繁昌亭の昼席に行ってきました。今週は林家菊丸さんの文化庁芸術祭大賞受賞記念ウィークです。トリはもちろん菊丸さん。あと歴代受賞者ワクとして二人が出演します。この日は笑福亭松喬師匠と内海英華姐さんです。
 開口一番は笑福亭大智さん。元気で明るい噺家さんです。東の旅の発端。「煮売り屋」をやらはった。仁鶴一門の噺家さんです。煮売り屋のオヤジのおしゃべりが、一瞬、仁鶴師匠に聞こえました。
 2番手は林家染吉さん。きょうの主役菊丸さんの弟弟子です。動物の恩返しの噺をします。と、マクラでおっしゃったので狸賽かなとおもいました。助けた子狸が恩返しにやってきました。間違えない狸賽や。で、子狸が化けたのがサイコロではなく、魚の鯉。「狸の鯉」をやらはった。染吉さん、変化球を投げはったな。染吉さんも大智さんに負けず元気いっぱいで大きな声でした。
 3番手は桂鯛蔵さん。どろぼうの噺をしますとおっしゃった。あれれと思いました。仲トリで笑福亭松喬師匠が出はる。寄席では先の出番の人がやった噺と同系統の噺は後の出番の人はさけます。そして後にでてくる人のほうがエライのです。松喬師匠はどろぼう三喬といわれたどろぼうネタを得意としてはる噺家さん。普通に考えて、松喬師匠の前にどろぼうネタをやるのはさけると思うのですが。楽屋で松喬師匠にことわってはるのでしょう。「打飼盗人」をやらはった。この噺のキモは泥棒のええ人ぶりがだんだんと現れてくるところなんですが、鯛蔵さん、なかなかのどろぼうぶりでした。
 さて、きょうの色もんは女道楽。もちろん内海英華姐さんです。あいかわらず色っぽいです。お年をめしてそのお色気にますます磨きがかかってきております。もちろん三味線の超絶技巧も。こんな芸、昔は吾妻ひな子さんがおられたが、今は英華姐さん一人です。英華姐さんにお弟子さんはいないのでしょうか?この芸が途絶えるのは残念です。
 次は桂よね吉さんです。マクラでさんざん英華姐さんをイジリました。で、とつぜん英華姐さん高座に乱入。大笑いです。こういうことは生の落語会ならではです。そのよね吉さんは「皿屋敷」です。いちおう怪談ということになってますが、まったく怖くない怪談です。さげでお菊さんが皿の数を18枚まで数えるのですが、明日のぶんまで数えて明日はワクチンの副作用でしんどいから休むんですって。お菊さん5回目のワクチン接種したのです。今風なさげになってました。
 さて仲トリは笑福亭松喬師匠。「てれすこ」です。ちょっと珍しい噺です。マクラで小学校の国語の問題を話題にしはった。
「インド料理でカレーにつけて食べるパンみたいな食べ物はなんでしょう」という問題。師匠のお子さんが「そのとおりです」と答えたとか。私は判りましたが、半分ぐらいの客は判らなかったようです。判りませんか。こう書くと判るでしょう。
「インド料理でカレーにつけて食べるパンみたいな食べ物はナンでしょう」先生はナンと答えて欲しかったのでしょうね。
 みたこともない珍魚の名前が判らない。お奉行が「この魚の名前を知ってる者に10両与える」とのおふれを出しました。たが屋茂平という男が「この魚はてれすこといいます」とお奉行に申し上げた。と、いうお噺です。
 仲入り後の最初は菊丸さん受賞の記念口上。ここは写真撮影OKです。壇上、一番左が司会の笑福亭由瓶さん。笑福亭松喬師匠、林家菊丸さん、桂よね吉さん、内海英華さんです。
 仲入り後の最初は露の紫さん。「稽古屋」をやらはった。この噺にでてくる稽古屋のおっしょはんは、それをめあてにおっさんの弟子がくるぐらい色っぽい女性です。その女性を女性の紫さんが演じるわけです。紫さんもうまい噺家さんですが、この稽古屋のおっしょはんは、なんも違和感もひっかりもなく聞けました。普通の女性でした。桂米團治さんもこの噺を得意としたはるが、米團治さんのおっしょはんの方が色っぽいです。女が女を演じる。男が女を演じる。落語という芸の奥深さが良く判ります。演劇や映画では女優が女を演じる。目で観れば判ります。落語は登場人物は見えません。ビジュアルはないのです。演者の話芸だけで客は頭の中に想像でビジュアルを組み立てていくのです。
 トリ前は先ほど口上の司会をした笑福亭由瓶さん。「うなぎや」です。短く半ばで終わらはった。時間的に少しおしていたのでしょう。トリの菊丸さんの時間をたっぷりとるための、由瓶さんの心使いでしょう。
 さて、トリは林家菊丸さん。人情噺の大ネタ「幸助餅」をたっぷりと時間をとってやらはった。主人公のもち米問屋の幸助、大関雷、吉田屋の女将。この3人の演じ分けが難しい噺です。特に雷。自分のタニマチであった幸助。その幸助がタニマチが過ぎて店をつぶしてしもた。自分は大関にまで出世した。この大関雷をいかに演じるかがこの噺の命です。
 いや菊丸さん。ものすごく良かった。絶品の「幸助餅」でした。さげのところなど少し涙腺が刺激されました。







喜楽館夜席元気寄席に行ってきました。

2023年03月31日 | 上方落語楽しんだで

 昨夜は喜楽館夜席元気寄席に行ってました。私は月に2度、生の落語に接しないと禁断症状を発症します。困ったものです。まったく。
 喜楽館で落語を楽しむときにはたいてい、グリル一平で食事をするのですが、あいにく定休日。吉野家で焼肉定食を食べました。入口のメリケンさんのひざをなでて入場です。
 開口一番は桂健枝郎さんです。6代桂文枝師匠のお弟子さんです。文枝師匠のお弟子さんは惣領弟子の桂三馬枝さんから桂三実さんまでずっと三の字がついていたのですが、一つ上の兄弟子桂文路郎さんから三の字がつきません。だからこの健枝郎さんは師匠が6代文枝になってからの入門でしょう。その健枝郎さん、師匠が三枝時代に創った「考える豚」をやらはった。私も長年上方落語のファンをやってますが豚が主人公の落語はこれしか知りません。健枝郎さん「石段」で上がらはる噺家にしては落ち着いた噺ぶりで安心して聞けました。
 2番手は笑福亭笑助さん。先日亡くなった笑福亭笑瓶さんのお弟子さんです。鶴瓶師匠の孫弟子、松鶴師匠のひ孫弟子ということになります。演目は「道具屋」です。いろんな客が素人道具屋をひやかしに来るのですが、客の描きわけをもう少しめりはりをつけた方が良かったですね。
 仲入り前の仲とりは桂三ノ助さん。お名前から判るように6代文枝師匠の三枝時代のお弟子さんです。開口一番の健枝郎さんの兄弟子です。なんでも三ノ助さんはこの喜楽館の地元新開地の住民なんですって。そのため師匠文枝に喜楽館館長補佐を命じられて、日々その職務に励んでおられるとか。夜中に喜楽館に異変があると飛んでこなくてはいけないかも知れませんね。ご苦労様です。
 その三ノ助さんがやったのは弟弟子健枝郎さんと同じ、師匠三枝作の創作落語「アメリカ人が家にやってきた」アメリカ人が家にホームステイに来るというので家中が英語で過ごすというお話し。
 さて、仲入りも終わってトリです。笑福亭鶴笑師匠です。いつものアニメ「ハリスの旋風」の音楽でお出まし。実はこのときの喜楽館は入場者が少なく、20人ほどでした。鶴笑師匠「これぐらいの人数でしたら、みなさん楽屋にいらっしゃい。車座になって落語しましょう」と、おっしゃった。それも面白かったかも知れません。こんどこんなんでしたら、ぜひその車座に入りたいです。実は私、落語家の車座に入ったことはありませんが、SF作家車座に混ぜてもらったことはあります。
 鶴笑師匠がやったのは、もちろんパペット落語。マクラは落語体操。ラジオ体操第一に古典落語のフリを当てて行くモノです。手水まわし、口入屋、つる、動物園、あたま山、親子酒なんかがどんな体操になってるかは、4月2日まで鶴笑師匠は喜楽館でトリをつとめはるので、ご自分で確認してください。
 落語は「立体西遊記」いやあ。いつものことですが大熱演です。大スペクタクルのワイドスクリーンバロック落語でした。面白かった。

天満天神繁昌亭に行きました

2023年02月24日 | 上方落語楽しんだで
 昨日の休日は落語を楽しみに行ってました。私のオフィシャル寄席は、神戸新開地喜楽館ですが、サブ・オフィシャルは大阪天満天神繁昌亭です。昨日は繁昌亭に行ってました。
 11時まで会社でお仕事。ご苦労様です。大阪天満宮で降りて、すぐそこが日本一長いので有名な天神橋筋商店街です。私はいつもここで天ぷらを食べます。天ぷらえびのやで穴子天定食をいただきました。そこから繁昌亭まで歩いて3分です。
 前で少し待っていると、桂八十八師匠のお弟子さん桂八十助さんが一番太鼓を打ち始めました。入場します。私の席は前から5列目の通路側というたいへんに良い席でした。
 開口一番は桂文五郎さん。桂文珍師匠の4番目のお弟子さんです。先日、国際会館での文珍師匠の独演会に行ったのですが、その時も文五郎さんは前座を務めておられました。昨日の演目は「二人ぐせ」でした。
 2番手は桂治門さんです。桂小春団治師匠のお弟子さんです。マクラはベトナムへ落語をしに行った話。小春団治師匠は国際的な噺家さんですから、たぶん師匠のお供で行ったのではないでしょうか。フォーを食べたんですって。おいしかったそうです。「ん廻し」をやらはった。「ん」をいうと田楽を食べられる噺です。たくさん田楽が出てきます。田楽が食べたくなりました。
 3番手は桂雀喜さん。ヨーデル食べ放題でおなじみの桂雀三郎師匠のお弟子さんです。まくらで「この落語は架空の話で登場人物も架空の人物です」といわはった。演目は「老老稽古」です。雀喜さんの創作落語です。私は何度か聞いたことがありますが、自分の師匠をイジる噺です。100才の師匠楽三郎と80歳の弟子楽喜が落語の稽古をする噺です。こういうお年なだけにまともな稽古はできません。師匠の楽三郎師匠が雀三郎師匠をほうふつとさせて大爆笑です。
 色もんは豊来家一輝さんの太神楽曲芸です。なんべんか失敗しはった。
 お次は林家染左さんです。「喧嘩長屋」です。最初は夫婦げんかです。隣家の男が止めに入り、家主が止めにはいり。といっても「天狗裁き」ではありません。喧嘩を止めに入る人が火に油を注ぎ自分も喧嘩して喧嘩を大きくします。それを止めに入った者がますます大きな喧嘩にする。昔のハリウッド映画のパイ投げか西部劇の酒場の殴り合いのような落語です。
 次は桂枝三郎さん。侍がでてくる噺です。隣の竹の筍がウチの庭に生えてきてる。下男のべくないが昼食のおかずにする噺です。隣も侍です。堅苦しい侍同志の意向がおかしいです。
 ここで仲入りが入ります。
 色もんが二つ入ります。二つ目の色もんは浪曲です。真山隼人さん。水戸黄門の浪曲でした。私、浪曲聞くのは初めてです。
 次は笑福亭仁昇さん。「手水回し」です。なかなか大きなダイナミックな手水回しでした。
 トリ前は笑福亭鉄瓶さん。兄弟子の笑福亭笑瓶さんが亡くなりました。ご愁傷さまです。その鉄瓶さん、お酒、酔っ払いの噺です。先日、テレビ「日本の話芸」で、桂塩鯛師匠が「二番煎じ」をやってはった。塩鯛師匠数年前に肝硬変で入院なさったそうで、それから禁酒。お酒を飲まない噺家の方がお酒の落語がうまいそうです。塩鯛師匠は以前からお酒の噺はうまかったです。師匠の「試し酒」なんぞは絶品ですね。その塩鯛師匠がお酒を飲んでない。先日の「二番煎じ」も絶品でした。
 さて鉄瓶さんがやったのは「替り目」大師匠の松鶴師匠がいうところの「ごしゅかのおうわさ」ですね。登場人物が最初から酔っぱらっております。外でたらふく飲んで家でも飲みたい。ご内儀にブチブチ文句をいいます。私、雫石はビールは500cc日本酒は1合半ウィスキーは50ccを2杯と決めていて自己抑制が効く人間ですから、ご内儀にブチブチいうことはありせん。(なんか影の声が?)
 さて、トリは先代文枝一門のベテラン桂文太さんです。骨董の噺とおっしゃるから「はてなの茶碗」かなと思いました。しかしマクラで「モネでございます。ルノアールでございます」「これはピカソね」「いいえ鏡でございます」というくすぐり文太さんほどのベテランならやめた方がいいですね。とりあえず客席から笑い声が上がりましたが、私は全くおかしくありません。ここでもいいましたが、このくすぐりはもう古いです。聞き飽きました。
 で文太さんがやったのは「はてなの茶碗」ではなく江戸落語の大ネタ「火炎太鼓」です。さすがベテランだけあって枯淡の噺ぶりで聞かされました。