旬の暮らしをたのしむ会 ダイヤモンド社
なんでも日本がドイツにも抜かれてGDPが4位になったとか。日本は貧しくなったと嘆いているムキもおられようが、本書を読むと日本もけっこう豊かなんだなと思う。金銭的にはたしかに金満国ではなくなったが、これだけ楽しみごとが多い国はあまりないだろう。いかなることを楽しむかが問題なんだけど。
日本には四季がある。暑い暑い熱中症を心配しなくてはならない夏。寒い寒い低体温症に気をつけるべき冬まで、くっきりと季節が区分化できる。1年12ヵ月、日本の自然は毎月違う顔を見せてくれる。
「旬の野菜」「旬の魚介」「旬の味」「旬の菓子」「旬の花」「季節のレジャー」「季節の家しごと」「季節の行事」と、月ごとに八つの項目をきれいなイラストつきで紹介。12×8、あんまりお金をかけずに、年間を通じて96もの楽しみごとがあるとこの本はいっている。これは日本の風土自然がそれだけ豊であるからこそだ。
と、喜んでいるのは今のうちだけかもしれない。大方の諸賢はお気づきだろうが、今の日本は四季の国ではなく、二季の国なっている。冬だ、寒いな。あ、暖かくなってきた、と思ったら次の瞬間には汗が流れ暑い夏になった。涼しくなったと思ったら秋をとばして冬。チキュウオンダンカの影響であろうか。
小生が住まいおる神戸の春の風物詩はイカナゴの新仔のクギ煮。小生も大好物で春になるのがまちどおしい。クギ煮がないと神戸には春は来ない。このイカナゴの新仔、年々不漁で漁獲量が大幅に少なくなってきている。昔はキロ1000円でお釣りがあったが、昨年解禁日に明石まで買い出しにいったが、キロ4000円!もはや庶民の魚じゃなくなっている。とうとう今年は大阪湾のイカナゴ漁は休漁。播磨灘は3月9日に解禁するとのことだが、ごく短い漁期になるだろう。今年の神戸には春は来ないかもしれない。
このままじゃ日本は四季も旬もない国になってしまう。憂慮すべきことだ。