ごろりんブログ

雫石鉄也のブログ

モスラ対ゴジラ

2020年12月28日 | 映画みたで

監督 本多猪四郎
出演 宝田明、星由里子、小泉博、佐原健二、ザ・ピーナッツ

 怪獣対決映画の最初の作品。この作品以降、ゴジラ、モスラ、ラドン、キングギドラなどが総当たりでバトルロイヤルをくり広げることになる。
 モスラもゴジラも東宝にとっては大切なドル箱スター。戦わせて、どっちかを決定的に敗北させるわけにはいけない。それにモスラは一連の東宝怪獣映画では人間の味方ベビーフェイスとなっているから、ゴジラがヒールをやれば負けるわけにはいかん。と、いうわけで、こういう結末になったわけ。
 特撮はいまさらながらであるが素晴らしい。映画の冒頭は台風のシーンだが、実物の台風を撮影したニュース映像かと思われるほどリアルであった。そのリアルな台風が去ったあと海岸に巨大な卵が。この卵がファンタジックである。リアルな台風のあとファンタジックなモスラの卵。この場面転換がたいへんに良かった。その海岸に不思議な放射能を発する物体が。ゴジラ登場の伏線となる。そして海岸から、向こうの海を見るととつぜん巨大な尻尾が。ゴジラ出現となる。例によって人間の通常兵器じゃ歯が立たない。後の作品に出てくる超兵器はまだない。頼るのはモスラしかない。モスラを操る小美人に頼むが、断られる。でも、結局、モスラの成虫が出てきて、最後は幼虫がゴジラをやっつける。

山形いも煮

2020年12月27日 | 料理したで

 いも煮である。山形のもんが代表的やけど、山形以外にもいろいろあるそうな。これは牛肉醤油味の山形風やけど、あと、豚肉みそ味とか鶏肉醤油味なんかもあるらしい。
 屋外でこないなもんを食うのは山形だけではない。ワシのオヤジは信州は飯田の人間やった。晩秋、オヤジと飯田に行ったことがあったけど、飯田でも山ん中でおっさんが鍋囲んでなんぞ食ってた。
 さて、ウチのこのいも煮は山形風やけど、ねぎがちゃう。岩津ねぎや。兵庫県朝来の特産で11月下旬から2月にかけての限定出荷で、この時期、神戸市内のスーパーでは普通に売られている。青ネギと長ねぎの中間的なねぎで青いとこも白いとこもやわらこうてうない。この時期にこのへんではねぎつうと、この岩津ねぎやな。

サムライ

2020年12月21日 | 映画みたで

監督 ジャン=ピエール・メルビル
出演 アラン・ドロン、フランソワ・ペリエ、ナタリー・ドロン

 緋牡丹博徒シリーズが藤純子を観る、あるいは「ローマの休日」「マイフェア・レディ」などの映画はオードリー・ヘプバーンを観る映画であるように、この映画はアラン・ドロンを観る映画である。日本で男前の俳優さんといえばアラン・ドロンといわれているように、アラン・ドロンはかっこええのである。チャールス・ブロンソンもかっこええけど、ブロンソンはイモみたいな顔しとるけど、やることがかっこええ、そのギャップがかっこええのである。アラン・ドロンは顔は男前やしやってることもかっこええのである。
 アラン・ドロンはトレンチ・コートにソフト帽がようにあう。こんなかっこ誰がやってもにあうというもんではない。長身の白人男性がやるからかっこええのだ。某国の某財務大臣がおんなじようなかっこするけど、あれはもう噴飯もんである。
 ドロン扮するジェフは殺し屋。寡黙で孤独。薄暗いこ汚いアパートで一人で暮らしている。小鳥を1羽買っている。この小鳥がなかなか良い演出効果になっていた。チッチと常に鳴いている。この小鳥の鳴き声がジェフの孤独感を際立たせている。こんなジェフにも協力者はいる。アリバイを創ってくれる娼婦。盗んだ車に偽造ナンバーを付けてくれる自動車整備工など。ジェフは彼彼女たちとの会話も最小限。ともかく寡黙でクールはアラン・ドロンがいい。映画の中でジェフは2度車を盗むが2台ともシトロエン。よほどシトロエンが好きなんだな。
 モノクロかと思うような、薄いブルーを基調とした画面が寂寥感を表現している。

アナと雪の女王2

2020年12月14日 | 映画みたで

監督 クリス・バック、ジェニファー・リー
声の出演(日本語版) 松たか子、神田沙也加、原慎一郎、竹内駿輔、余貴美子

 あれから3年。ポケモンでいうなら氷系の能力者エルサが女王に復帰してアレンデール王国も平穏な日々が続いていた。その女王エルサが不思議な声を聴く。エルサは声の謎を解くため、妹アナ、雪だるまのオラフ、アナの恋人クリストフ、クリストフの飼いトナカイスヴェンと北へと旅する。北には北の住民ノーサルドラのためにエルサ姉妹の祖父先々代国王が築いた巨大なダムがある。ダムはアレンデールとノーサルドラの友好のしるしであった。ところがアレンデールとノーサルドラは戦争になった。なぜ?
 うん。ル・グインが書きそうなしっかりしたファンタジーに仕上がっていた。ただ、エルサとアナが姉妹とはいえ必要以上にべたべたと仲良く、百合っぽい感じがしたしだい。あ、そういえば、この25日に出るSFマガジン2021年2月号は百合特集だったな。早川さん、前の百合特集が、雑誌としては異例の重版の大当たり。2匹目のどじょうを狙ったな。

石狩鍋

2020年12月13日 | 料理したで

 ちょっと前は11月やちゅうのに熱中症の心配をせなあかん気温やったけど、12月になって、それらしい気温になってきた。寒うなると鍋もんがええな。この季節の酒のアテは鍋もんが一番や。
 つうこって、今夜は石狩鍋や。石狩鍋つうと、ワシ、こんな思い出がおます。真夏の石狩鍋や。今となってはセイシュンのおもひで。
 さて、出汁は昆布と鮭のアラで取る。昆布は利尻を使こうた。利尻昆布を半日ほど鍋の水につけておく。加熱。ふっとう直前に昆布を出して、鮭のアラを入れて煮る。アクが出るから取る。
 出汁がでけたら味付けや。まず味噌。ワシは味噌は地元の六甲味噌を使っておる。マルコメやタケヤより少々お高いが、ぜんぜんおいしい。本場の石狩鍋は味噌だけだが、ワシは酒粕も入れる。酒粕は毎年桜正宗まで買い出しに行っておる。六甲味噌と桜正宗の酒粕。北海道の郷土料理やけど、このへんのもんで美味しく仕上げたで。
 具は、鮭のほか、玉ねぎ、キャベツ、じゃがいも、えのき、春菊や。酒はちょっと浮気して上善如水を飲んだ。

昼下がりの情事

2020年12月07日 | 映画みたで
監督 ビリー・ワイルダー
出演 オードリー・ヘプバーン、ゲイリー・クーパー、モーリス・シュヴァリエ

 ビリー・ワイルダーの演出力とヘプバーンの演技力が、この映画をロマンチックコメディの佳品としている。金持ちの女たらしの中年のおっさんが、自分の娘ぐらいの小娘に本気でほれ込む。と、いう話であるが、これを下手な監督で主演女優がヘプバーンでなかったら、ただの変態ロリコンおやじと色ぼけ小娘の映画となっていただろう。
 舞台はパリ。パリではどこでもだれでもいつでも男女が愛を交わす。冒頭でパリは恋の街ということを表現している。そのパリでチェロを学ぶアリアーヌはひょんなことからアメリカ人の富豪フラナガンと知り合う。この二人親子ほど年が離れているが魅かれあう。アリアーヌの父は私立探偵。フラナガンのことも調べてある。フラナガンもアリアーヌを憎からず想うようになる。
 ほんとは世間知らずのウブなアリアーヌだがせいいっぱい背伸びしてフラナガンに接する。そしてフラナガンは本気でアリアーヌを好きに。
 常にでっかいチェロのケースを持ち歩くヘプバーンのアリアーヌがかわいい。きれいなだけではなくちょっと天然でとぼけたところもある。このへんはヘプバーンの演技力だろう。相手役のゲイリー・クーパーは、小生「ベラクルス」や「真昼の決闘」などの西部劇でのさっそうとしたかっこええクーパーしか知らないが、この映画では完全にヘプバーンの引き立て役。クーパーほどの大物がよくこんな役を引き受けたもんだ。
 大富豪フラナガンのどこにでもついて行って「魅惑のワルツ」を演奏する4人組の楽団が面白い。アリアーヌの同級生で彼女に気があるミッシェルとフラナガンの泊っている下の階の老婦人のペットの小犬がかいそう。
 しかしこの邦題はいただけない。原題は「Love in the Afternoon」午後の恋だ。この邦題じゃ午後に不純異性交遊してるみたいでエロ映画かと思う。

関西人の正体

2020年12月03日 | 本を読んだで

井上章一  朝日新聞出版

著者は京都市右京区花園で生まれて、嵯峨で育ち宇治で暮らしている。生粋の関西人だ。(この生まれ育ち現住所だと真の京都人ではないそうだが)だから関西を愛しているご仁だと思う。だが、この本で書かれていることは、大阪、京都といった関西勢は逆立ちしても東京には勝てんということ。
 かっては京都が王城の地で政治、文化の日本の中心地であった。経済は大阪が中心だった。それが、首都が京都から江戸に遷都となり東京となった。そこから東京(旧江戸)は隆盛の一途。京大阪は没落の一途である。と、いうことを一生懸命に書いている。
 著者の関西愛はよく判ったが、小さなころは優等生。でも今は同級生に追い越され、劣等生となった自分の子供の自慢を聞かされている本である。小生も生粋の関西人であるからして、著者の嘆きはよく判る。