昨日11月23日は勤労感謝の日で祝日です。午前中会社へ行って、少しだけ勤労して、勤労できることを感謝しました。午後は2時ごろ家よりはい出て西宮北口方面へ。県立芸術文化センターであった「秋の特選落語競演会」へ行ってきました。私は月に一度は生の上方落語に接しないと禁断症状で出て苦しみます。
会場の中ホールへ入ると、ぎっしり満員です。落語会でこんな満員はずいぶん久しぶりです。
開口一番は石段のお囃子で高座に出はった桂弥壱さん。桂吉弥師匠の3番目のお弟子さんです。
喜楽館では開口一番の前に若手が出て開口ゼロ番といいます。弥壱さん先日喜楽館で開口ゼロ番をつとめた時お客が二人だったそうです。私は
喜楽館のタニマチとして心配です。「たぬさい」をやらはった。無難に演じはったけど、狸がサイコロに最初に化けた時「うわ、大きいな一尺四寸もあるサイコロはないで」こんなことゆうても、今の人はどれぐらいか判りません。手で大きさを表現するか、約40cmと判るように変える工夫が必要でしょう。
2番手は桂鯛蔵さん。「お玉牛」を元気いっぱいで演じられました。この噺、村の小町娘お玉のべっぴんさをいかに表現するかがポイントですが、鯛蔵さんのお玉ちゃんは、そのあたりが少し不足しているように感じました。
3番手は弥壱さんの師匠。桂吉弥師匠。ここで気がついたのですが、見台を出したり座布団をひっくり返したり名ビラをめくっているのは弥壱さんです。江戸の寄席は知りませんが、関西の寄席、繁昌亭や喜楽館では女性がお茶子をつとめます。今はもうありませんが、
恋雅亭元町寄席では神戸大学落語研究会の女子部員がお茶子をやってはった。ここの中ホールは正式名称は「阪急中ホール」といいます。だったら系列にべっぴんの大きな供給源があるじゃないですか。タカラヅカの生徒さんをひっぱってこれないでしょうか。
吉弥師匠は若いころ米朝師匠宅の飲み会に参加したそうです。吉弥さんのような若いもんはなかなかお酒にありつけません。そのかわりざこば師匠や枝雀師匠が酔っぱらうのをよく観察して、よっぱいとはどんなモノか研究にいそしんでいたんですって。これからその研究成果をご覧にいれます。と、「親子酒」をやらはった。なるほど、研究成果は充分に生かされております。
さて、仲トリは桂南光師匠。「抜け雀」です。前半に出てくる若い方の絵かきは、ボロボロの服装で出てくるのですが、黒の羽織がはげてきたない。黒の羽織は最初紅色に染めてその上から黒く染めます。黒がはえるんですな。この若い絵かきが着てる羽織は黒がはげて紅が出ている。南光師匠、この羽織の様子を表現する方法を考えたんですって。「ものすごく汚れた阪急電車」大うけでした。このホールが阪急沿線だからでしょう。阪神沿線でやっても受けないでしょう。
この噺、舞台が小田原なんです。上方落語なのになんで関東の小田原?疑問に思った南光師匠、なんでも知ってる米朝師匠に聞いたことがあったそうです。米朝師匠、眉間にしわを寄せて、う~んとうなって「ワシも知らんことがある」だれも判らんでしょう。
この噺のオチは本来は、すずめの鳥かごを描いて「親にかごをかかせた」というのですが、南光師匠は、止まり木に天狗が住むという鞍馬山の杉の木を書いて「天狗になるなといういましめ」というふうに判りやすく変えておられます。
仲入り後のモタレは月亭八方師匠。ここは桂ざこば師匠の予定だったんですが、ざこば師匠ぜんそくでせきがひどく休演、八方師匠が代演です。ざこば師匠、どうかお大事に。八方師匠はエコをテーマにした新作でした。さすがに、まくらでタイガースのことをちょっとだけ触れておられた。
さて、トリは御曹司桂米團治師匠。明治時代のお噺ということで「胴乱の幸助」です。大笑いさせてもらいました。